【くろうにん】の書(完結)   作:へたペン

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アッサラームに向かう道中の敵は強い。
イシス編始まります。


第三章「イシス編」
プロローグ


 『アッサラーム』方面に入ってから妙に敵が強い。

 

 ニーナが『暴れザル』を調子に乗って『鉄の槍』でこつき回し、怒りを買って痛恨の一撃をくらい一撃で棺桶になった。

 久々の戦死者に一度『ロマリア』に引き返して生き返らせてもらったから『アッサラ-ム』につく前に日がくれてしまい今日は野宿でテントを張ることになった。

 

 

 俺の【トヘロス】のおかげでテントは安全地帯。

 もし敵が強引に近付いてきても俺と隊長のどちらかは気配に気付くだろう。

 

 アリシアは野宿でもテントの近くで魔法の練習をしている。

 【ヒャド】の命中率も何とか3割になってくれたから『アッサラーム』の先にある砂漠でもちゃんと戦えるはずだ。

 

 

「時に少年よ、『アッサラーム』に何か用があるのか。あそこはお姉さんのような大人が楽しむ街だぞ」

 隊長なら目的が分かっているはずだが、それでも知らないことにして俺をからかいたいらしい。

 

「『アッサラーム』を越えて『ピラミッド』まで行く。噂だとそこに『魔法の鍵』があるらしいんだ。そうすれば『ロマリア関所』を通って港町『ポルトガ』に挨拶しに行ける」

 

 とにかく今は仲間のレベルを上げつつ各大国に挨拶して回るのが目的だ。

 そしてこまっている人を助けながら行けば船などの移動手段を貸してくれるかもしれない。

 

「だが『ポルトガ』に行くだけなら私の許可でも『ロマリア関所』は開くぞ。隠さずに言ったらどうだ。俺はイシス様に会いたいんだ。宝を盗んでイシス様にお仕置きしてもらいたい。ああ、イシス様、イシス様。どうかこの『とげの鞭』で醜いブタのわたくしめをずたずたにしてください、そうなんだな。そういう趣味なんだろ?」

 

「俺は変態か」

 

 いたぶられて喜ぶ趣味は俺にない。

 ただ砂漠の王女であるイシスを一目見る……じゃなかった。

 挨拶しておくのも今後の旅の役に立つ。

 魔王戦で今までであって来た国が助けに来てくれる展開は燃えるだろ。

 

「皆、ご飯できたよー」

 ティナが夕食を作り終えたようだ。

 ティナの料理はこのメンバーの中では一番美味い。

 順位をつけるとしたら、ティナ>俺>(越えられない壁)>ニーナ>アリシアだろう。

 

 隊長は料理にどんな悪戯をするか分からないからやらせていない。

 俺はめんどくさいから料理しない。

 だからティナが料理を作っている。

 ニーナとアリシアも暇な時は簡単なことを手伝ってるようだ。

 

「はわー。やっぱりティナちゃんのお料理は最高だね。これはもう食べたらリアクションで私の体がとんでもない変化をしそうですヨ。うぅぅぅぅ~生き返るー」

「よし、次ニーナが死んだらその口にティナの料理を流し込んでやろう」

 

「アルス君ひどっ! 死ぬって皆が思っている以上に怖いし痛いし恥ずかしいしでもうそれはトラウマになっちゃうくらいなのに神父さんが棺おけ開けたら口に食べ物がつまってたら死因はなんですかって聞かれちゃって生き返った時の恥ずかしさ倍増ですヨ!」

 

 息継ぎくらいして喋れ。

 

「ねぇアルス。あんた【ベギラマ】は使えるの?」

「アリシアよ。勇者はレベル23以上で【ベギラマ】を覚えるんだ。覚えていると思うか?」

「使えないんだ。そっかそっか。うんうん」

 

 アリシアが妙に嬉しそうに笑っている。

 今まで以上誤射に気を配る必要がありそうだ。

 でも頑張って成長してるんだ。

 ここは【ベギラマ】だけに暖かく誤射を受け入れてこっぴどくしかってやろう。

 アリシアがまともな命中率になるまでもってくよ俺の体。

 

 気付けばまた性格が【くろうにん】に戻っていた。

 

「ところでティナ。何か新しい魔法は覚えたのか?」

「えっと……【キアリー】を頑張って勉強して覚えたよ」

 【ピオリム】、【マヌーサ】、【ラリホー】とか使えそうなのを飛ばして【キアリー】か。

 俺と隊長の為にも【ピオリム】は覚えて欲しかった。

「後、攻撃呪文のバキを練習してるところ。私も攻撃に参加できたら皆楽できると思うし」

 ティナはそう言って苦笑していたけど、苦笑したいのは俺だ。

 バキってどこのグラップラーだよ。

 それを言うなら【バギ】だ。

 それにただでさえ【MP】少ないんだから攻撃魔法で消費してもらったら困る。

 

 ニーナは地味に強くなってるけどたまに調子に乗って命令無視して棺おけになるし、どうしてこうこのパーティーはクセが強いんだ。

 ここらでまともに戦える武道家か賢者がほしいところだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冒険の書11―アルスの日記―

 ニーナがポカして今日中に『アッサラーム』にたどり着けなかった。

 そのせいで隊長にからかわれた。これはいまだになれない。いつかギャフンと言わせてやるから覚悟しとけよ。

 ティナの料理は相変わらず美味い。だけど【ピオリム】は覚えてくれよな。

 明日は『アッサラーム』で水と食料を買い込んで砂漠の様子を見て、明後日本格的に『イシス』を目指すけど砂漠は辛いから今日も早めに寝ろよ。

 というかもう冒険の書が皆に見られるの前提に書いてるな俺。俺のプライバシーはいずこに。

 プライバシーカムバック!

 

 




ベギラマを使えるかどうかで否定はしないアルス。
一人旅基準のレベルなので到達レベルをオーバーしている勇者だったりします。
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