黄金の爪ありのピラミッドの移動しにくさは異常ッ!
朝早くに隊長にたたき起こされて剣の稽古をつけてもらった。
一対一ではまだ模擬戦で隊長に勝つことが出来ない。
簡単に攻撃を受け流されては頭を撫でられたり、頬を指でつつかれたりと遊ばれてしまう。
まさかここまで技量に差があるとは思いもしなかった。
どうやら俺は小技が多すぎて決定打にかけるそうだ。
なおかつ無駄な動きも多いとのこと。
大振りをもう少し増やすべきか、いやそれだと無駄な動きが増えるだけか。
悩ましい問題である。
「アルス。ちょっといい?」
珍しく何もないのにアリシアに呼び出された。
「私に……魔法のコントロール教えなさいよ」
まさかアリシアの方から俺に魔法について聞いてくるとは思いもしなかった。
あの【いじっぱり】っ子がどういう心境の変化だろうか。
「この際もう恥を覚悟で『トロル』に魔法を教わっても良いわ」
俺に魔法を教わるのはそこまで嫌なことだったのか。
いくらなんでも『トロル』と同じなんてへこむぞ俺は。
「まあそれだけの覚悟があるなら教えてやる。隊長、朝錬はここまでで」
「そうか。すまないなアリシア。アルスを取ってしまったから少し怒ったか?」
「べ、別にそんなんじゃないわよ!」
アリシアが隊長にからかわれているところを始めてみた。
今日の朝錬も隊長から言い出したことだし、『ピラミッド』の一件で隊長は何かが吹っ切れたようだ。
「ほんじゃあアリシア。まずはコントロールを上げる方法だが、ゆっくり撃って思い通りに動かしてみろ」
「それだけ?」
「ああ、それだけだ」
「何よそれ」
アリシアはそんなの誰だってできると“メラ”を撃ってみたが、いつもより遅い程度で充分メラの速度だ。
「あれ?」
本人も遅く撃つつもりでいてたので驚いている様子だ。
遅く撃つというのはそれだけでコントロールがいるものだ。
まずはその基本から。
その後ゆっくりとそれを思った方向に動かしていけば良い。
「アルス、アリシアちゃん。宿の人がご飯用意してくれたよ」
ティナが呼びに来てくれたから今日はここまでだ。
とりあえず基本は教えたからアリシアなら努力して物にしてくれるだろう。
とにかくまずは飯だ。
その後に本来の目的である『ピラミッド』での『魔法の鍵』回収だ。
俺がアレだけ頑張って倒してもまたモンスターが復活していると思うと溜息が出てくる。
『ピラミッド』にいくと予想通りモンスターがわんさかいた。
『黄金の爪』を持っているステラを置いてくれば大丈夫だっただろうか。
まあ地上は魔法も使えるしいいレベル上げにはなりそうだ。
それになにも『ピラミッド』の入り口から入る意味なんてどこにある。
段差を上って最上階に出た方が速いだろ。
「【ベギラマ】!」
アリシアが先手を取って【ベギラマ】で道を切り開いてくれた。
ただしまだコントロールが上手くなくて、射線が斜めになり『ピラミッド』まで道が大きくそれてしまっている。
「あー、まだまだ先は長いんだからスタミナ配分を考えること」
とりあえず俺も【ベギラマ】を撃って見本を見せてもよかったが、いざという時の【ルーラ】と【ホイミ】に【MP】は取っておきたい。
早速俺の『鎖鎌』と『鋼の剣』を合わせた武器、チェーンソードと言ったところか。
そいつを試すとしよう。
普通に使う分には『鋼の剣』と変わりないが、こいつは投げても鎖がついているので手元に戻すことが出来る。
モンスターを斬って他の奴に剣を投げつけ、引き寄せてからチェーンを振り回すと面白いようにモンスターが粉砕されていく。
まさかこんな簡単なカスタマイズで『破壊の鉄球』もどきが出来るとは思いもしなかった。
やべぇ、これ使いやすいわ。
「あ」
チェーンが外れて『鋼の剣』が遠くのモンスターの群れの中に落ちていった。
取りに行くまで『銅の剣』で我慢するか。
こんな事ならチェーンソードをもっとこった作りで作っておけばよかった。
【ベギラマ】一回と『銅の剣』を駆使して何とか『鋼の剣』は回収出来た。
「少年、もう鎖はつけないのか?」
隊長が笑顔でそんなことを言ってくれた。
いいアイディアだと思ったのだが、絶好のからかいネタになってしまったようだ。
気を取り直して段差を上りながらモンスターを蹴散らし、頂上にある階段から中に入る。
「アルス君アルス君アルスく~ん! 天辺に小さなメダル落ちてたよー」
ニーナが何かメダルを拾ってきたようだが、いったいなんの役に立つアイテムなのだろうか。
後で聞いてみよう。
「アルス。ここ鍵がかかってて開かないよ!」
ティナが扉を開けようとするが『魔法の鍵』で開く扉らしい。
当然ティナをどけて隊長に蹴り破ってもらう。
更に下に下りると迷路みたいになっていて石の扉が道を塞いでいる。
もちろんそれも隊長に叩き壊してもらった。
【アバカム】いらずの素敵な戦士だ。
そういえば俺達は何のためにここに来たんだっけ?
石の扉の奥に『魔法の鍵』があった。
そうだ、これを求めてやってきたのだ。
これさえあれば器物破損で訴えられることはない。
不法侵入は……考えたら負けだ。
「はいアリシア頼む」
「【ベギラマ】!」
行き止まりに追い詰められている形になっていたので【ベギラマ】でなぎ払ってもらう。
うむ、広範囲攻撃は便利だ。
アリシアの後ろにいれば誤射の被害は割と少ない。
道が少し出来たら俺と隊長がその道をさらに開いて、ニーナとステラが牽制。
ティナが【ホイミ】をしてくれるからすごく助かる。
ようやくパーティーらしい連携が板について来たのではないだろうか。
でも正直このモンスターの数はうざい。
ここは魔法が使えるんだから【リレミト】を使って即座に【ルーラ】で『イシス』に戻った。
するとアリシアに「初めからそうしなさいよ!」と怒鳴られた。
いや、俺もすっかり【リレミト】を使えることを忘れてたし。
まあ何はともあれ無事に『魔法の鍵』を入手できたし、経験地とGも稼げたからよしとしよう。
強引に『ピラミッド』で『魔法の鍵』を手に入れた。
この鍵で開かないところは隊長に蹴り破ってもらえばいいだろう。
ニーナから聞いたのだが『小さなメダル』は『アリアハン』にいるメダルおじさんに渡すと良いものをくれるらしい。
そういえば前に『アリアハン』によった時に井戸の中に変な親父がいたな。俺が知らないと思ったら今年から『カザーブ』から引っ越してきて井戸に住みだしたらしい。
それと朗報としてこれからも隊長は朝錬をしてくれるそうだ。それを聞くとアリシアもその時間に起きて魔法の練習をするとのこと。
アリシアは朝弱いくせによく頑張ることだ。
ティナに頼んでコーヒーの差し入れでもしてもらうとしよう。
ピラミッド上部の扉からまさかのアバカム(物理)。
そしてこの辺りでのベギラマの火力は本当に頼りになります。
メラミやベギラマは覚える時期が丁度良く、覚えた時は頼りになる高火力ですよね。
ただし6でムドーに炎の爪使いまくったり、転職してメラミだけ覚えてからのメラミ連発はほどほどに?