【くろうにん】の書(完結)   作:へたペン

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勇者は盗賊の鍵と魔法の玉を手に入れた。


第二話「盗賊の鍵」

「あー、冒険二日目だがいきなり問題発生だ」

 

 とりあえず船の無い俺達は旅の扉で世界中を回って『バラモス城』になんとかたどり着かないといけないわけだが、鎖国体制のこの国はこともあろうことか『旅の扉』のある『いざないの洞窟』の入り口を塞いでいるのだ。

 と言うわけで今作戦会議をしている。

 

「あんたのお父さんはどうやって大陸を渡ったわけ?」

 アリシアの質問はもっともだが、海を泳いで渡ったなんて言える訳も無い。

 

 なんて言ったって先ほど「泳いで渡ればいいじゃない。私って頭いい」と飛び出したニーナが浜辺に棺おけになって打ち上げられていた。

 親父がこの馬鹿と同類とみとめたくない。

 

 

 という訳で船で行ったことに決定。

 うん、親父は船を持っていた。

 

 

「壁壊しても良いなら私のお父さんが研究中の『魔法の玉』を使えばいいんだけど」

「なんだ、解決策あるじゃん」

「研究に熱中すると鍵閉めて引きこもるのよ。ちなみに今その引きこもり中」

 

 手間のかかる父親を持つと大変だわと愚痴っている。

 その気持ち俺も分かるぞ。うん。

 

「ニーナちゃん復活! いや~まさか海にあんな凶暴なモンスターがいるなんて思いもし無かったよ。アルス君も沖に泳ぐ時は注意しないとね」

「ただいま。えっと……話は進んだ?」

 ニーナを復活させに行ったティナが帰ってきた。

 

 しばらく棺おけにしていればいいものをティナが「そんなの可愛そうだよ」と棺おけを教会まで引きずっていったのだ。

 ティナは良い子すぎて涙が出てくる。

 これで【ホイミ】が使えれば最高なのだが。

 

「とりあえずアリシアの親父しだいだな。『魔法の玉』ってアイテム貰おうにも鍵掛けて引きこもってるらしいからな。何か鍵開ける道具があればいいんだが……」

 

 【アバカム】やキーピック技術はさすがに『アリアハン』で習わせてもらえなかった。

 独自で覚えるのも時間が掛かるしどうしたものか。

 

「鍵開けるアイテムなら『ナジミの塔』にいるおじいちゃんが『盗賊の鍵』を持ってるって商人の間じゃ有名だよ?」

 意外にもニーナがまともな意見を出していた。

 

「お前……まともな台詞言えたんだな」

「失礼な。商人たるもの情報が命だからねー。アルス君私のこと見直した? 見直した?」

「ああ、株が0から1Gに増えた」

「わー、それって0Gの時買った人大もうけだね。このまま株値を上げて億万長者だー!」

 

 多分すぐ下がるからもし本当に株でもそれはないだろう。

 という訳で『岬の洞窟』経由で『ナジミの塔』に向かった。

 

「やはり俺のにらんだとおりアリシアが打撃に加われば楽だな」

「だからその言い方複雑なんですけどねぇ」

 苦笑しつつもアリシアの『ひのきの棒』はどんどん赤く染まっていく。

 

 なんだか自分で指示しておいてなんだがかなり怖い。

 

 そして塔にたどり着いた時、奴が出てきた。

 知る人ぞ知る不意打ちの悪魔『さそりばち』の大群だ。

 こいつは素早いし何よりも攻撃力が割りと高い。

 俺ならまだしも村人に毛が生えた程度の彼女達にとってその攻撃はまさに致命傷。

 

「なるべく後ろにいろよ。隙を見て【ギラ】で一掃する」

 本来それは魔法使いの仕事だがどこに飛ぶか分からない魔法なんて危険すぎる。

 だがら本来打撃要員であるはずの俺の役目になる訳だ。

 

 

 【くろうにん】は辛い。

 

 

「あ、大丈夫大丈夫。アルス君の盾にハチミツ塗っておいたから多分アルス君の方にしか行かないよ」

「ニーナ後でお仕置きな」

 

 いつの間にか俺は『さそりばち』の大群に囲まれていた。

 ついでに『フロッガー』や『じんめんちょう』も蜜の香りに引かれて集まって来ている。

 

 

 【くろうにん】は【MP】少ないんだからやめてほしい。

 

 

 俺が襲われている隙にニーナ達が老人から『盗賊の鍵』を回収。

 アリシアが苦戦している俺に「今助けるから!」なんて言って俺の見よう見まねで【ギラ】を唱えようとして暴発。

 棺おけにはならなかったもののアリシアは重症?(黒こげになって泣いている)だったので、とりあえず屋上まで逃げて【ルーラ】で『アリアハン』まで逃げ帰った。

 

 屋上の老人が心配だったが、まあずっとあそこに暮らしていたんだ。

 多分大丈夫だろう。

 大丈夫だよな?

 きっと無事でいることを祈っておこう。

 

 さて問題のアリシアの父親の研究室を『盗賊の鍵』で開けてみると怪しい研究をしているへんな親父がいた。

 

「お父さん世界救うから『魔法の玉』頂戴」

 

 アリシアはずいぶん直球な要求をしているが、いくら娘の言葉だからといってそんな城の研究室で作った怪しげな物体を民間人に渡すとは思えない。

 ここは俺の方から『勇者権限』を発動させて問答無用に『魔法の玉』を貰うのが一番だと思う。

 

「ああ、いいよ」

 

 でも俺の予想とは裏腹に簡単に返事を返してしまった。

 そういえば『アリアハン』の宿に『魔法の玉』で吹き飛んだ男が一人横たわっていた気がする。

 

 それもこの「いいよ」が生んだ惨事だろう。

 この親子は人を巻き込むのが得意なようだ。

 

「まだ試作品だけどプラスとマイナスのエネルギーをスパークさせて大きな力を生み出す爆弾だから気をつけて使うんだよ」

 よく分からないからスペシューム光線と考えておこう。

 恐ろしい威力だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

冒険の書3――――アルスの日記――――

 今日は塔で『盗賊の鍵』を取りアリシアの親父から『魔法の玉』通称スペシューム弾頭弾を手に入れた。

 せっかくの『盗賊の鍵』なので民家をあさろうと思ったがティナがいる限り「そんなことしたらダメだよ」と止められるのがオチか。

 とりあえずニーナの罰ゲームは今日一日スクール水着と浮き輪着用ですごせと言ったら三人に白い目で見られた。

 

 いや、だって商人といったらこの格好だろ。

 

 その格好で自重したのか売った筈の俺のギターを買い戻してきた。

 どこから金を稼いできたのかはしらないけどさすがは商人といったところか。

 ボロボロだけど俺の大切なギター。

 早速宿から離れたところで引いてたらアリシアが聞きに来たのには驚いた。

 上手いと言ってくれるのは嬉しいが正直照れる。

 その後ティナが来てわりとまったりしてたのにニーナまで来た。

 相変わらず騒がしい奴だ。

 




魔法の玉の入手先がレーベのおじいちゃんから、アリアハン城の赤扉にいる『魔法の玉』の情報をくれる人に変更されています。
それと塔のお爺ちゃんは勇者に鍵を渡す夢は見てもモンスターが押し寄せる夢は見なかったようです、なーむ(生きております)

そして勇者オルテガは重要アイテム全てを飛ばし、ゾーマ様のところまで泳いで渡った偉大な勇者です。
覆面とパンツだけなのは結界のある荒海を渡る代償だったのでしょう。(FCより
オルテガさんの身体能力おそるべしっ!
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