【くろうにん】の書(完結)   作:へたペン

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ダーマ神殿に辿り着くとついついレベリングをしてしまうもの。


第五章「想いの欠片編」
プロローグ


 『ダーマの神殿』にたどり着いた俺は転職を申し込んでみた。

 

「大魔王に転職したいんだが」

「たわけものが」

 

 当然怒られた。

 転職したあかつきには世界の半分をくれてやろうと説得してみたが、アリシアに頭を叩かれた。

 

 

 うむぅ、大魔王は最大【HP】が増えて良いと思ったのだが。

 

 

 しょうがないから誰か転職したい奴はいないか聞いてみたけど、誰も今の戦闘スタイルから変えるつもりは無いらしい。

 

「……てんしょくって、なに?」

 そもそもフィリアなんて『ダーマの神殿』がどういう所かも理解していないようだ。

 

「転職と言うのはですね、ダーマの祝福を受けることで本来持っていない能力を開花させる神聖な儀式なんですよ。今フィリアちゃんは盗賊だから魔法は使えませんが、魔法使いの祝福を受ければ魔法使いの魔法を、僧侶の祝福を受ければ僧侶の魔法が使えるようになっちゃうんですよ。凄いですよね~。もちろん転職しても努力をしなければ何も変わらないですが、人間の可能性を引き出すありがたい祝福なんです。人間を『真理』に近づけさせるとも言われており~」

 

「……ステラ、せつめいながい」

「はわ!? フィリアちゃんにもダメ出しを受けてしまいましたっ!」

 

「それよりステラ、本当に武道家にならなくていいのか?」

「アルスさん! 私は元から武道家ですよぅ~! 何でそんな意地悪なこと言うんですか!?」

 

 ステラは本当にいじっていて楽しい奴だ。

 さて、からかうのはここまでにしてこれからの転職方針だが、もしも『悟りの書』を見つけたらティナを賢者にでもなってもらうか。

 でもティナには速めに回復魔法を覚えてもらいたいから止めておいた方が良いかもしれない。

 

 

「すみません」

 だけどティナがダーマのおっさんに話しかけていた。

「僧侶に転職しようと思うんですけど」

「僧侶だな。まあ【なきむし】のティナにはちょうど良い職業といえよう」

 

 

 そういえばティナはなんちゃって僧侶だった。

 レベルは1に戻るがこれで【MP】はまともになって魔法も覚えてくれるだろう。

 

 アリシアもなんちゃって魔法使いだがこの攻撃力の高さは捨てがたい。

 このまま努力して魔法を覚えてもらおう。

 今日はティナのレベル上げもかねて遠くに見える塔でレベルでも上げることにした。

 

 

 そしてレベル上げの場、『ガルナの塔』で俺はなんと『メタルスライム』を目撃したのだ。

 普通に戦闘していれば『メタルスライム』1匹分の経験地なんてすぐに貯まるのだが、もしかしたらどこかに『メタルスライム』の住みかがあるのかもしれない。

 

 探している最中『ガルーダ』の大群が【ベギラマ】連発してきてビビったが、こちとら【ベギラマ】を食らうのはアリシアの誤射で慣れている。

 

 俺と隊長とフィリアの3人もアタッカーがいればすぐに倒せるのだ。

 誤射の少なくなったアリシアが【ベギラマ】を使えば、ニーナとステラだって残り一撃で倒してくれる。

 

 

「やべぇ、この大人数はすごいな」

 

 

 なんていうかザコには負ける気がしない。

 でも経験値が全然入らない。

 それに毎回俺が高速で指示を出さないといけないから正直疲れる。

 

「よし、俺と隊長なしで行ってみるか」

 

 フィリアはまだ俺としか馴染んでないからちょうど良い時期かもしれない。

 全滅しても俺がパーティーから抜けているからダーマ神殿に強制送還されるだろう。

 俺と隊長は今日ヒマをもらうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冒険の書29―アルスの日記―

 ようやくティナがなんちゃってから正式な僧侶になった。【MP】がちゃんと【賢さ】の二倍あるし魔法だって覚えてくれる。

 これで後はレベルが上がれば戦力になってくれるはずだ。というわけで今回の『ガルナの塔』は修行をかねて俺と隊長なしで潜ってもらった。

 全滅回数は一回と上々。みんな一回り強くなっていたがステラが「【ルーラ】怖かったですよぅ」と呟いていたのと、フィリアが「【ルーラ】楽しかった」と楽しんできた様子が謎だ。

 まあ『悟りの書』まで拾ってくれるとは正直驚いた。

 今日も俺が料理を作ってご馳走しておこう。

 みんなお疲れ様。

 

 




次回勇者抜きのレベリング。
何だかんだで成長して戦えるようになったのは日ごろの努力の成果でしょう。
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