ロマリア王に聞いてみたが『ロマリア』でも親父は一人旅をしていたらしい。
『オルテガの兜』のように何か託されていないか尋ねてみるも、瀕死の重傷だった幼い隊長の保護を頼まれた以外は何もないようだ。
だけど親父の予定は聞いていたようである。
まず各国を回って戦力を整えてからバラモスを倒すと俺と同じ考えだった。
何だかこのままだと親父と同じ運命をたどりそうで怖い。
それで『ロマリア』は兵を出す決心をしたが、『バラモス城』に行くのには険しい山を越えなければ行けなくて結局加勢することが出来なかった。
俺が親父の立場だったら強い仲間と共に山を越えるか、空から行く方法を探すかだな。
どちらも今の俺達には出来そうにないので、『バラモス城』攻略はもっと情報を集めてから考えるとしよう。
次は『アッサラーム』だ。
「はっはっは。少年、いい店に通っていたようだな」
「ちょっとあんた、何でこんなお店知ってんのよっ」
『アッサラーム』のステージは隊長には好評、アリシアには不評だったようだ。
ニーナとステラは興味津々に踊りの練習を見ていて、ティナは店の雰囲気が目に入っていなくて「上手ですね」と拍手している。
フィリアはまあ、いつも通り食べ物の方に目が行っていた。
「オルテガ氏の友人探しねぇ。そういえばルイーダって人と一緒に冒険してたな」
灯台下暗しとはこのことか。
まさか『アリアハン』の出発点ともいえる『ルイーダの酒場』に重要人物がいたとは。
おそらく親父は泳いで海を渡って各地に【ルーラ】で飛べるようになってから、城への報告などで一度『アリアハン』に戻り、その時にルイーダを仲間にしたのだろう。
そうとわかれば今度は【ルーラ】で『アリアハン』に飛ぶ。
「ええ、途中までは一緒に冒険してたわね。魔法使いやってたんだけど弱くてね。途中で帰されちゃったわ」
ルイーダは愚痴をこぼすように語ってくれた。
「確か『アリアハン』からずっと西にある『レイアムランドの祠』だったかしら。6つの『聖なるオーブ』を集めて不死鳥を復活させようって話になったわ。あ、そうそう。アルスのぼうやはこれを受け取る前にお店出て行っちゃったでしょ?」
どうやら親父から俺への贈り物を受け取ったらしい。
こんな事なら初め『ルイーダの酒場』に寄った時もっと長居すればよかったか。
「【セクシーギャル】は強いから彼女につけてやれ、だってさ。あんたの親父は本当にどうしようもない人だね」
物は『ガーターベルト』だった。
昨日の『オルテガの兜』を受け取った時の気持ちを返せバカ親父。
アリシアの目線がとても痛い。
「……つけるか?」
「なっ、そ、そんなものつける訳ないでしょ!?」
顔を真っ赤にして顔をそらした。
即答で断って殴られるかと思ったのにやっぱこういうのは免疫が無いらしい。
「あ、私つけるつけるー。これで私もスーパー超人だね。もうステータスぐんぐん伸ばして最強キャラになるのだー!」
「恥ずかしくないのか?」
「だってズボンの下に着れば良いじゃん。私って頭良い♪」
そのスパッツ穿いてるから大丈夫的な発想は無かった。
やるなニーナよ。
でもとても性格が【セクシーギャル】になる行動とは思えないのは気のせいだろうか。
「話を戻すけれど、当時のメンバーで私が居場所を知っているのは『ランシール』にいる僧侶くらいかしら。あまり役立つ情報を上げられなくてごめんなさいね」
「それだけ分かれば十分です」
「それと、たまには家に帰ってあげなね。お母さん心配してるわよ」
「いや、まあ帰れる時は」
まだ母さんは夜になると家の前で俺を待っているらしい。
今日は『アリアハン』に泊まって行く事にした。
『オルテガの兜』の事とこれから親父の仲間を探すことを母さんに言っても笑顔は崩れない。
俺を笑顔で死地に送り出した母親だもんな。
でも、夜遅く水を飲みに下へ降りると、母さんは『オルテガの兜』を抱きしめて泣いていた。
初めて母さんが泣く姿を見た気がする。
俺を勇者として送り出さなければいけない手前、弱いところは見せられなかったのだろう。
本当は親父のことも、俺を送り出さなければならなかったことも辛かったに違いない。
余裕がある時は宿をとっていても【ルーラ】で実家に帰ることにした。
今日は『ロマリア』と『アッサラーム』、『アリアハン』で親父の話を聞いて回った。
どうやら親父は『レイアムランドの祠』で伝説の不死鳥『ラーミア』を復活させてそれに乗って最終戦に挑むつもりだったらしい。ルイーダさんの話によるとその方がカッコいいからだそうだ。
親父よ、そんな理由だけで伝説の不死鳥を使わないでくれ。
後、親父の冒険仲間の一人がアリアハンから少し西にある『ランシール』にいるようだ。
明日会って話を聞こう。
サイモンやドワーフ(ホビットだったかも?)もオルテガの仲間なので、旅立った後に出来た仲間達がこれからも登場します。
ルイーダが仲間だったのは、アリシアと被る凡人枠が欲しかった為仲間として短いながら旅を共にした関係としました。
そして今までは母親が辛かったことをようやく知ることが出来たアルス。
年頃の男の子が自分でそのことに気付くのは難しいことだと思い、シンプルに夜な夜なこっそり一人で泣く母の姿を目撃させました。
読み直すとこの辺りももう少し膨らませて描いてあげられたらよかったなと思ってしまいます。