【くろうにん】の書(完結)   作:へたペン

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章の締め。
日記の最後にアルスとマリアのやりとりが追加されております。


エピローグ

 朝日が嫌いだった。

 

 みんなを消してしまう朝日が眩しすぎて嫌いだった。

 光が村を消していく。

 みんなを消していく。

 私は泣いていた。辛かった。苦しかった。

 

 

「もういいんだ」

 

 

 そんなこと言われても苦しいものは苦しい。

 どうしようもない。だって私はみんなの命で生かされていたんだ。

 大好きな人達が死んで悲しまない奴がいるか。いる訳がない。苦しくない訳がない。

 

 

 

「もう幸せになっていいんだよ。マリアはもう大人なんだから」

 

 

 

 まるで言い聞かせるようにお父さんがそう言った。

 私は大人になったんだ。

 

 でも私自身が認めたくなかった。

 この時期の私は子供だから子供のままでいようとした。

 私は迷子になって泣いてしまった子供と、同じだ。

 

 とても苦しい。苦しんでもいいそれが人間だ。苦しまない人間なんていない。

 幸せになる権利は誰にでもある。

 だけど私はみんなの代わりに生きて、みんなの過ごすはずだった幸せな時間を奪った。

 

 

 

 

 それなのにみんなが、幸せになっていいんだよって光の中で歌う。

 私の名前を呼んでくれる。

 私を認めてくれてたんだ。

 

 

 

 

「……大丈夫。私には仲間がいるから」

 幸せじゃないなんて言ったら罰当たりだ。

 こんなにも私の事を想ってくれている人がいて、側にいてくれる仲間もいて、アルスもいる。

 

 

「今、幸せだ」

 

 

 だから笑顔で見送らないといけなかったんだ。

 私はもう大丈夫だって安心させなければならない。

 強がりでもいい。

 苦しくてもかまわない。

 私は幸せになろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冒険の書22―アルスの日記―

 親父の友人の一人は柄の悪い『ランシール』神殿の神父だった。

 悪い人ではないが親父の仲間が皆こうだと思うと溜息が出てくる。図らずともハーレムパーティーを結成で来た俺ってもしかして勝ち組って奴か。

 だけど苦労に見合うリターンがない気がするのはなぜだろう。

 まあ何にせよ『ブルーオーブ』ゲットだ。

 神父の情報でまずは『テドン』で『聖なるオーブ』を受け取ろう。

 その後『アープの塔』に行って、一番近くにある『スー』を目指すのがいいか。

 今から出れば夜には『テドン』につけそうだ。

 

 無事『グリーンオーブ』を入手。マリアの父親は俺の親父の古い友人だったらしい。

 

 

マリアの考察

 人の想いは時に奇跡を呼ぶのかもしれない。この『テドン』という村がそのいい例だ。

 一夜のみ滅んだ村が復活する。それは村人全員が伝えたかったメッセージで一人の少女を救いたいと想いが奇跡を呼んだ、というのはどうだろう。

 理屈や仕組みなんて魔法にも無いのだから想いは奇跡を起こせる、この考えが単純でいい。しかし問題なのはこの奇跡は役目を終えたらどうなってしまうかだ。

 もしも仮に前立ち寄った『ムオルの村』の時間のずれが『オルテガの兜』を息子アルスに渡してくれという強い想いが引き起こしたものなら、消えてしまった理屈は元の時間軸に戻って一時的に消滅したか、そこもまた既に滅んでしまった村か。

 私はこのどちらでもなく、オルテガの生きたいという想いが作り出した別世界の入り口がこの『ムオル』ではないかと考えている。

 別の世界の村『ムオル』。突拍子もない発想だがこういう空想は好きだ。後にこれを読む者がいればそこでもまた勝手に空想してもらえると嬉しい。

 さて役目を終えた『テドン』がどうなったかは、世界が平和になった時にでも花でも持って確認しに行くとしよう。

 後アルス。私を泣かせた責任は取ってもらうからな。お前は強引で激しすぎだ。

 

 アリシアに突然殴られたと思ったら最後にこんな事書いたのか。

 嘘ではあるまい。

 というか近くにいるんだから口でやり取りしないか?

 口でというと接吻か?

 そういうこと書くとまたアリシアに殴られるだろ。というかそれが目的か!?

 ああ、存分に楽しませてもらうぞ。

 

第五章「想いの欠片編・完」

 

 




隣り合わせにうつ伏せのまま、肩と肩が触れ合うか触れ合わないかの距離で交互に文字を書く。
その光景をなぜ描写しなかった、言え昔の作者ァッ!
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