【くろうにん】の書(完結)   作:へたペン

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ようやくやまびこの笛を手に入れる話。


第六話「笛は吹くもの」

 何だか時間が掛かったが『山彦の笛』を探しに『アープの塔』に向かった。

 

 とりあえずニーナは冒険の書を勝手に書いたから今日は船で反省文を書かせておく。

 

 さてアープの塔の攻略だが『ビッグホーン』の『甘い息』が正直うざい。

 1匹なら瞬殺できるのだが、こいつは大群で出てくる。

 

 アリシアの【ベギラマ】と皆の打撃で手っ取り早く倒すか、眠らされる前に【ラリホー】で逆に眠らせるのが手っ取り早い。

 

 

「私に任せて!」

 アリシアが張り切っている。

 嫌な予感がするから皆を少し下がらせておいたら案の定【ベギラマ】と【メラミ】を同時に使用しようとして自爆した。

 

 ティナの【ラリホー】で『ビックホーン』を眠らせて、俺が【ベホイミ】でアリシアを回復してやる。

 

 

 アリシアが久々に落ち込んでしまった。

 フォローをするこっちの身にもなってくれ。

 

 

「二兎を追うものは一兎を得ずということわざがありましてですね。二匹いるウサギを両方捕まえようと追いかけたら要領が悪くて結局どちらのウサギも捕まえられずに逃げられてしまう、というお話しです」

 

 ステラの笑顔のことわざでアリシアがさらに沈んだ。

 アレでいてアリシアは結構傷つきやすいんだから勘弁してくれ。

 

「ここら辺の敵は弱いんだ。もっと肩の力を抜け」

「……ぬけ~……」

 

 マリアはフィリアを肩車して歩いている。

 お前らは肩の地から抜きすぎだ。

 

 しばらくモンスターを倒しながら塔を上っていくと、ロープが向こう岸まで続いている部屋に出た。

 別にこんなのどうって事ないのだが、アリシアとティナとステラが【ルーラ】を推薦してきた。

 わざわざ渡れるところに【MP】なんて使うのはもったいない。

 

「……前は遊べなかった……」

 フィリアはもうロープの上を歩いている。

 

「あする~。早くいこー」

「おう、俺はこっちのロープから行くから競走な」

「お~」

 

 階段の近くにある2つのロープは同じ足場に繋がっていたから競走してみた。

 最初に比べてフィリアはずいぶん自分からものを言うようになってきた。

 嬉しい限りだ。

 

 だけど今まで何にも興味を持たなかったのにいきなり何かに興味を持つようになった反動か、よく俺の部屋に忍び込んできては悪戯したり、朝目覚めたら隣で寝てたり、風呂も一緒に入ろうとしたりするのは止めてもらいたい。

 

 一応俺も男だ。

 いくら射程範囲に入っていない少女が相手とはいえ心臓に悪い。

 

「よし、お姉さんが手を引いてあげよう。さあステラ。あっちの隅のほうに行こうか」

「何だかとても手相が心配なので遠慮しておきます」

 少し息を荒くして嬉しそうに手をにぎにぎしているマリアにステラは苦笑していた。

 

 まあ俺とフィリアとマリアで綱の先を調べてみたが『山彦の笛』らしきものは見当たらない。

 そういえば3階の中央に宝箱があった気がする。

 2階下まで飛び降りないといけないのか。

 これって結構痛くないか?

 

「よしアルス。行って【ルーラ】で戻ってこい」

「いやいや、こういうのは戦士の役目だろ」

「女性には優しくするものだぞ」

 俺より接近戦得意なくせにこういう時ばかり女性だということを表に出す。

 マリアのことだ、きっと飛び降りる俺の姿を見たいか突き落として遊びたいのだろう。

 

「ええい、男ならさっさと行け」

 ほら突き落とされた。

 しかも位置少しずれてるし。

 さらに下に落ちたくないので【ルーラ】で無理矢理位置を調整して、なんとか宝箱にたどり着いた。

 

 

 中には『山彦の笛』と、

「親父の……手紙?」

 親父からの手紙が入っていた。

 内容はこうだ。

 

 

 息子へ。息子以外だったら黙って物を宝箱に戻せ。

 元気にしてるか。

 これをお前が読んでいるという事は俺はもうこの世にいないか、大魔王やってるかのどっちかだろう。

 『ダーマの神殿』でなりたかった職業だったからな。

 ある意味俺の夢だ。

 

 

「やべぇ、『ダーマ』でネタかぶってたのかよ」

 

 

 さて、俺は『聖なるオーブ』を5つ集めたんだが、最後の一個がどうしても見つからなくて“ラーミア”は諦めた。

 そもそも俺は鳥よりも竜に乗って空を飛びたいしな。

 『聖なるオーブ』は俺の信頼できる友に預けて笛はここにおいておく。

 いや俺笛吹けねえし。

 とりあえずお前は吹けるようにルイーダの伝言で音楽も習わせてるから大丈夫か。

 

 

「そのための音楽の勉強だったのか。俺はてっきりモテる為の修行かとおもっていたぞ」

 

 

 さて、お前が俺と同じようにならないように俺の強さをここに記しておこう。

 

 

【HP510】       【MP460】

【力255】       【素早さ180】

【体力255】      【賢さ230】

【運80】        【LV84】

 

 

 魔法は一通り覚えておいた。

 俺を超えるいきおいで頑張れ。

 

 

「いや無理だから。お前高いステータスカンストしてるから」

 

 

 なんだ絶望したか。

 まあ俺の偉大さに比べればお前なんてミジンコと同じよ。

 

 

「会ったことも無い息子にそこまで言うかお前は」

 

 

 だがお前は俺じゃない。

 俺とは違うお前のやり方で行け。

 俺にはないお前の力で勝ち進め。

 ミジンコにはミジンコのよさってもんがある。

 

 

「親父……なぐさめるかけなすかどっちかにしろ」

 

 

 手紙はここで終わりだ。

 『山彦の笛』を吹いてみると笛の音色はとても綺麗だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冒険の書28―アルスの日記―

 昨日ニーナが勝手に日記をつけたからニーナには船で反省文を書いてもらうことにした。

 今日は『アープの塔』まで『山彦の笛』を取りに行ったが、アリシアがアッシュという男の真似をして久々に誤爆した。落ち込んでいるアリシアにステラが余計な一言を言ったので二人とも反省文を書いてもらおう。

 

 




オルテガは強い(確信)
滅茶苦茶な親父でも残してきた息子の為に手紙を残させました。
他の人が読むことは一切考えないの猪突猛進な男がこの作品のオルテガです。
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