最終的にアレフガルトの青空を取り戻すこともあり、このサブタイトルが各キャラクターとの小さな約束となります。
フィリアが海賊のところに残ることになった。
ステラとマリアが非常に別れを惜しんでいるようだ、本当の親の元で暮らすのはいいことだ。
それにもう二度と会えない訳でもないしフィリアもこの場所に慣れてきたら『ルイーダの酒場』に顔を出すそうだ。
わざわざ冒険に参加しなくても遊びに行くと言ったのだが、「冒険は楽しいって言ってた」と指摘されてしまった。
という訳でお別れパーティーではない。
親子が再開したことを祝ってお祝いパーティーを海賊達と開くことになった訳だ。
「お前はあの時の悪党!? さては決着つけにきやがったな!」
騒がしいのが出てきた。
そういえばアッシュはここの団員だったな。
熱い勘違いは止めてもらいたい。
「だからこいつが俺の探していたアルスだって言ってるだろクソガキが!」
「っぁ」
カーチスのかかと落としがアッシュの脳天に決まった。
他の海賊達の話によるといつもこんな感じらしい。
「で、ボウズ。一つ聞きたいことがあるんだが」
カーチスが肩を組むように俺の首に片腕を回す。
「俺の娘に手だしてねぇだろうな。出してたらコンクリート詰めにしてオリビア海に沈めるぞオラ」
この人が言うとなんかシャレにならない。
「あの歳に手を出したら犯罪だろ」
「だがボウズと2つしか離れてねぇぞ」
そういえばそうだ。
親父が死ぬ前にフィリアは一人になったんだから、物心ついている歳プラス親父が死んだのが8年前だからそこまで歳が離れてないのか。
背が小さいもんだからもっと年下かと思っていた。
「お前、それなら守備範囲内とか思ったろ。え、思ったろ。家の可愛いフィリアにやましい気持ち抱いたんだろ、このやろうっ」
「め、めっそうもないっ」
本当に親父の仲間は柄の悪いのばかりだ。
「アルス君アルス君アルス君っ。このジュースおいしいね。なんだかもう心がハッピーになるジュースだねぇ。アルス君も飲んじゃえ飲んじゃえー」
「それはジュースじゃないぞ」
「えー。いいじゃんいいじゃん。アリシアちゃんだってアリシアちゃんだってたくさん飲んでもうダウンしてるんだから」
いや、アリシアの場合は本当にジュースだと思って一気飲みしただけだから。
ティナがうちわを仰いであげているところがなんとも言えない。
「今度からフィリアもここに住むんだから酒以外も置いとけよ」
「まあ細かいこと気にすんな。お前だって飲んでるだろ」
「俺はいいんだよ。勇者だから」
ビールを一気に飲み干す。
酒場で情報を集めで飲み比べをしなければならなくなった時の為に『ルイーダの酒場』で酒を毎日のように飲まされていたから問題ない。
あの時はあまり美味く感じなかったけど今はちゃんとおいしく感じる。
「アルスさ~ん。何だか体が熱いですよぉ~」
ふらふら~っとステラが俺のところにやってきた。
ステラは一口目で酒だと気付いて飲もうとしなかった筈だがどうしたのだろうか。
「大変だアルス。無理矢理飲ませてみたら顔の赤いステラがシャレにならないくらいエロく見えるぞ。これで手を出さない方が逆に失礼とは思わないか?」
マリアの仕業のようだ。
そんな事思わないししないから。
とりあえずマリアとティナとニーナは普通に飲んで悪酔いもしてない。
アリシアとステラはダメか。
これは航海中にみんなで飲み会はできそうにないな。
一人だけならからかえるが二人だとさすがに面倒見切れない。
「って、俺の足にしがみついて寝るなっ」
「うぅ~、アルスさんの意地悪~。私のことさらったんだからちゃんと責任とってくださいよ~」
「ええい、うらやましいぞアルス。そのポジション私と代われ。今すぐ代われ」
ツッコミ役のアリシアがつぶれているのは辛い。
「カレー」
フィリアが戻ってきてカレーの入った鍋を大きなテーブルに置いた。
パーティーの主役の癖に「今日は私が作る」と言い出した。
料理なんて出来るか心配だったけどティナが「毎日教えてあげてたから大丈夫だよ」と言っていたから心配ないだろう。
海賊達も美味い美味い言って食べている。
俺もステラがいて動けないからティナによそいでもらって食べてみると美味い。
だけど辛い。だから美味い。ステラとティナは少し辛い辛さだろう。
「……あるすは辛いのが好きー」
「いつもはティナがいるから少し控えめにしてるけどな。美味いぞ」
そう返すとフィリアはどこか嬉しそうだった。
「おっとスプーンが折れちまった」
カーチスの持っていた鉄製のスプーンが握力で砕け散った。
たったこれだけのことで脅すなよ。
「……あ、ステラずるい」
ステラが俺の足にしがみついて寝ているのを見るとフィリアが俺の膝の上に座った。
今度は「おっと地面が割れちまった」とカーチスの座っている椅子を中心に床にヒビが入る。
「お前父親いるんだからカーチスのところ行け」
「……お父さんごつごつしすぎてすわり心地が悪い」
カーチスが一瞬灰になった。
その後黄金のオーラを放って「おっとハイパーモードになっちまったぜ」なんて言って引きつった笑顔を見せてくれた。
目が「お前後で殺す」と言っている。「これは俺に非はないだろ」とアイコンタクトを返すと「問答無用」とアイコンタクトが返ってきた。
俺の勝手な予想だけど合ってると思う。
しかし、さすが海賊と言ったところか騒いでいる時の生命力は凄まじい。
なんだかこのパーティーの目的をすっかり忘れて自分達でもりあがっている。
これは夜まで続きそうだ。
ニーナとマリアは元気がいいのでもう海賊達となじんでいる。
「さあ第一回ニーナ主催の飲み比べ選手権。はたして最後まで立っていられるのは誰なのか。勝者にはなんとなんとなんとー! この“エッチな下着”を勇者一行の誰かを指定して着せられちゃうんですヨ。もう燃えるね萌えるね。気になるあの子の真っ赤な顔、必死に隠そうとする姿。これを求めないと男じゃないよね。ないよねないよね!」
「気前がいいなニーナ。無論私が優勝させてもらうが君達も頑張るのだな。ふはははは!」
というか勝手にそんなこと決めて……どうなっても知らんぞ。
でもバカ騒ぎは好きだ。
この企画がばれる前にアリシアとステラを船に運んでティナに面倒を見てもらう事にした。
「……あるす」
船から戻ろうとするとフィリアがついてきていた。
「お前パーティーの主役だろ」
「すぐもどるから平気」
らしい。フィリアがクスリと笑ってみせた。
「ようやく笑ってくれたな」
「……うん。少しすっきりしたから。だからきっと、次に会う時も笑っていられる」
それは約束。
青空の下で交わした小さな約束。
「だから今度会った時はまたあるすの冒険を初めから聞かせて。今度はちゃんと笑えるかから。楽しい時は笑えるから。……
無表情で何も興味がなかった少女との始めての約束を俺は澄み渡る青空に誓った。
フィリアが父親と再会した記念にパーティーを開いたがアリシアとステラがアルコールにやぶれたから船まで運んでティナに面倒を見てもらう事にした。
マリアとニーナは相変わらず騒がしいところでは最強のコンビだ。勝手に一位の人は『Hな下着』を俺達の中の誰かに着せられると飲み比べ大会を開くとは良くやる。
ちなみに勝ったのはマリアで見世物になったのは俺だ。なぜこうなる。
物語の都合上の離脱よなりますが、もちろん後々合流します。