【くろうにん】の書(完結)   作:へたペン

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ボストロル戦。ここでの痛恨の一撃は皆のトラウマですよね。


第二話「サマンオサの決戦」

「これより罪人アルスの公開処刑を行う! いかにも悪人面をしよって! この国の――――」

 この台詞を言う前に『ラーの鏡』を使ってみたら『ボストロル』がこの台詞を言ってくれた。

 

 

 どう見てもお前が悪人面だ。

 俺を悪人面呼ばわりした報いを受けるがいい。

 

 

 ついでに『ラーの鏡』は【モシャス】で俺に変化してギロチン台を取り付けられた姫や、モンスターが化けた兵士達の姿も元に戻す。

 何が敵か一発で分かる状況を作ることが出来た。

 

 

 

 

 

 

「王宮騎士隊は小物の撃破を! 勇者様は頭を抑えて下さい! 男の方は女子供の非難をお願いします!」

 

 

 

 

 

 

 姫のその叫びで一斉に人もモンスターも動いた。

 肝が据わったいい姫さんだ。

 この際ステラのパワーアップを待たずにこの姫さんでも連れて行くか。

 俺はそんな事を思いながらギロチン台から姫を助けて『ボストロル』と対峙した。

 

「……見たな! もういい。もうやめだ! 貴様らを皆殺しにした後ゆっくり王から情報を聞き出せばいい!」

 

 『ボストロル』が迫ってくる。

 『トロル』系は打撃中心だ。

 

「アリシア! ティナ! 頼んだ!」

「しっかり盾やってなさいよね!」

「みんな頑張って!」

 

 【スクルト】と【ピオリム】で全体の能力を上げる。

 これで多少の攻撃は持つ筈だ。

 

 俺は『ボストロル』の身体をチェーンソードで切り裂こうとした。

 が、思った以上に硬い。

 

「【ルカナン】」

 ティナの援護かと思いきや、『ボストロル』が生意気にも補助魔法を使ってきた。

 更に巨大なこん棒を俺に振り下ろしてくる。

 

 『魔法の盾』で防いでみるが【守備力】が少し下がって支えきれない。

 

 

「お姉さんを忘れないでもらおうか」

 マリアが『鋼の鞭』をこん棒にまきつけて押さえつけてくれた。

 

 

「このっ」

 

 

 そこにアリシアがすかさず【メラミ】をぶつける。

 攻撃チャンスは今だ。

 出の早い【火炎切り】で俺は『ボストロル』を薙ぎ払った。

 

 

「その程度の攻撃片腹痛いわ!」

 

 

 効いているようだが体力が多いようだ。

 鞭で縛られたこん棒を強引に振るいマリアを地面に叩きつける。

 

 

「【ベホイミ】!」

 

 

 すぐにティナが回復に回ってくれたおかげで叩きつけた後に続いた第二撃目をマリアはぎりぎりのところで交わしてくれた。

 だが鞭はまだこん棒に繋がったままだ。

 ここで引き寄せられたら……。

 

 

「アルス!」

 

 

 マリアは鞭を強く引いて『ボストロル』がそれに抵抗しようとしたところで手を離した。

 空気投げの原理で『ボストロル』が横転する。

 

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

 

 

 俺は会心の一撃を放つがぎりぎりのところで避けられて、左腕一本切り落とすことしか出来なかった。

 

 こん棒による反撃で俺の身体が木の葉のように宙を舞う。

 お前攻撃力高すぎだ。

 

 更に『ボストロル』は俺を追撃しようとしていたが、アリシアが【ベギラマ】で注意を逸らしてくれた。

 

「【バギマ】!」

 

 さらにティナが【バギマ】で足をすくって、再び『ボストロル』が転倒する。

 てっきり俺が吹き飛ばされて動揺するかと思ったのだがいい判断だ。

 

 後は、

 

 

 

 

 

「マリア!」

「承知した」

 

 

 

 

 

 俺はマリアにチェーンソードの鎖を投げると、ちゃんとマリアは鎖を手に取り剣を引き寄せて装備した。

 そのまま勢いよく地を蹴り上から『ボストロル』の胸を突き刺してすぐに後ろに飛ぶ。

 

 

 

「これで最後だ!」

 

 

 

 そこに俺は落下しながらも【ライデイン】を突き刺したチェーンソードに落とした。

 今の攻撃で受身を取る暇がなくって地面に背中から落ちたが、剣を通して身体に直接電撃を食らわせたんだ。

 いくらタフな『トロル』系モンスターでもこれで仕留め切れた筈だ。

 

 

 

 だが『ボストロル』は黒焦げになりながらも立ち上がった。

 

 

 

「おろかな人間よ。なぜそうまでして歯向かう」

 トロルが左足を一歩俺に近付いた。

「『バラモス』様がこの世界を統治されればよりよい世界になる。なのになぜ歯向かう?」

 更に右足を一歩踏み出した。

 そこで『ボストロル』の右足が受けたダメージに耐えられなくて崩壊していく。

 

 それでも向かってくる。

 

 何がそこまで“ボストロル”を駆り出しているのかは分からない。でも、

「いい世界になるかどうかなんてどうでもいい。俺は仲間を守りたいだけだ。俺の知っている人達が平和に暮らせればそれでいい。だから俺は『バラモス』を倒す」

 もしも俺が望む世界があるとしたら誰も泣く必要のない平和な世界。

 だが『バラモス』は多くの悲しみを生み続けている。

 

 

 

 

「ふはははははははは! これは傑作だ! とんだ茶番ではないか!」

 

 

 

 

 笑いながら『ボストロル』の身体が崩れていく。

「いいだろう。守ってみろ。守れるものならな! ふははははははははは!」

 町中に響き渡る笑い声を残して『ボストロル』の身体は完全に崩れ去った。

 

 

 

 言われなくっても守る。

 強くなってみせるさ。

 

 

 

「アルス。お疲れ様」

 ティナが駆け寄ってきて【ベホイミ】を掛けてくれた。

 とにかくこれで『サマンオサ』に平和が戻ったので、牢屋に閉じ込められていた王を助けて一件落着だ。

 

 

「勇者様。国を救っていただきありがとうございました。この『変化の杖』はあなたに差し上げます。そもそもこんなものがあるからあんなことになったのですから。ねぇお父様?」

「うむ……まあ市民の視点で私の評価を知るにはいい道具だったが仕方があるまい。旅に役立ててくれ」

 姫の突き刺さるような視線に王は『変化の杖』を渡してくれた。

 『聖なるオーブ』でなくて残念だ。

 

 念のためにアリシアに『山彦の笛』を吹かせてみたけど山彦は返ってこなかった。

 これからはいつでも声をかければ『サマンオサ』は力になってくれるらしいのでよしとしよう。

 

 

 

「今思えばあのサイモンという男も魔物が化けて悪さをしていたのかもしれんな。『祠の牢獄』に幽閉してしまったがとんでもない事をしてしまったのかもしれない」

 

 

 

 どうやら『祠の牢獄』は『オリビア海』を抜けた先にあるそうだ。

 これでますますオリビアを成仏させないといけなくなった訳か。

 目的も決まったことだし今日はここでゆっくりしていくことにしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冒険の書36―アルスの日記―

 『サマンオサ』で王に化けた『ボストロル』を倒した。直撃は奇跡的に食らわなかったから何とかなったが、もしも痛恨の一撃を直撃していたらやばかったかもしれない。

 国を救った報酬として『変化の杖』を貰ったが何かに使えるだろうか。

 今日一日かけてゆっくり考えてみることにしよう。

 

 




敵には敵の戦う理由がある。
何か隠された謎を残すようなボストロル戦にしました。
ゾーマ戦後のフラグだったのですが、おそらくこのまま予定通りバラモス戦で終了するのでお披露目はなしとなります。
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