【くろうにん】の書(完結)   作:へたペン

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幽霊戦を攻略する話。


第五話「幽霊船の悪霊」

 さっしそく『グリーンラッド』に足を運んでみると変なところに老人が住んでいた。

「わしはセクシーギャルになる魔法を開発しておるところじゃ」

 立派な魔法使いだ。

 

 『変化の杖』を渡すとあっさり『船乗りの骨』を渡してくれた。

 少し惜しい気もしたけどあんな危険な杖持っているとろくなことはないだろう。

 痛い思いをする前に渡してしまった方が得策だ。

 

 船に帰る途中で『氷河魔人』が『不思議な帽子』を落とした。

 珍しいこともあるものだ。

 

「『銀の髪飾り』よりアリシアはこっちの方が似合うだろ」

「確かにこのタイプの帽子は好きだけど……なんか目の柄がたくさんついてるんだけど」

「だから不思議なんだろ」

 

 少し不満そうだったけど装備してくれた。

 【防御力】は少ないけど消費MPを抑えてくれる優秀な帽子だから、魔法使いのアリシアにぴったりな防具だろう。

 

 

§

 

 

 その後海賊アクアブルーと合流していざ『幽霊船』狩りだ。

 『船乗りの骨』が『幽霊船』の居る方角を指してくれているから簡単に見つけることができた。

 

 

 問題はアリシアとティナは幽霊苦手ってことだ。

 

 

「もしも行きたくないんだったら俺とマリアで行くけどどうする?」

「い、いくに決まってるじゃない! これ以上二人っきりにさせたら色々……ごにょごにょ

「私も頑張ってみるね。私だってアルスの役に立ちたいし」

 二人ともついてきてくれるようだ。

 

「もてもてだな」

 マリアは茶化さないでくれ。

 

 海賊側からはアッシュとフィリアとカーチスが助っ人に来てくれるらしい。

 これならもしもアリシアとティナが怖くて戦闘不可能になっても、余裕で『幽霊船』を攻略できそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

「いいかボウズ。どさくさにまぎれてフィリアに振れたら……」

 

 

 

 

 

 

 

 フィリアの方から触ってくるのにそれはないと思う。

 そんな殺気だって剣を抜かれるとマジで怖いから止めてほしい。

 

 『幽霊船』に乗り込むと魂が浮いてたり、屍が転がっていたりと、いかにもそれっぽい雰囲気だった。

 

 

 アリシアとティナが俺のマントをちょこんと掴んでついてきている。

 

 

「俺はここの船長に用がある。お前らは噂のエリックという男を捜してオリビア攻略の鍵を聞き出すんだな」

 おっさんは別の用事があるようだ。

 

 いや大物を見つけたようだ。

 噂でしか聞いたことのない『大王イカ』よりも強力な『クラーゴン』が海面から顔を出している。

 

「カーチス。一人で大丈夫なのか?」

「アッシュ。てめぇーはフィリア守ってればそれでいいんだよ。特にそこのくそガキの魔の手からな」

 

 酷い言われようだ。

 だけどオッサンなら多分一人でも大丈夫だろう。

 皆を連れて階段を下りることにした。

 

 だが降りると『テンタクルス』や『腐った死体』が待ち伏せていた。

 

「へっ、こうこなくっちゃ面白みがねぇ!」

 これだから戦闘マニアは嫌いだ。

 作戦を立てる前にアッシュは【イオ】の爆発力で床を蹴り、【ベギラマ】の拳で『テンタクルス』を殴りつける。

 

「フィリア、イカは頼んだ。ティナは【ラリホー】主体で、アリシアはお得意の【ベギラマ】で敵を蹴散らせ」

 その隙に俺とマリアで『腐った死体』を蹴散らしていく。

 

 『サマンオサ』で買ったのかマリアは『ゾンビキラー』なんて持っていて面白いように『腐った死体』がやられていく。

 俺の新武器『草薙の剣』の威力も好調だ。

 フィリアは相変わらず『アサシンダガー』で敵を天昇させてくれる。

 ティナとアリシアも暗闇に怯えながらもしっかりと戦ってくれている。

 

「これでラスト!」

 

 何よりアッシュが思いのほか強い。

 ステラもこのくらい出来るようになって戻ってきてもらいたいところだけど、まあ無理だろう。

 

 

「アルス。エリック見つけた」

 

 

 フィリアが変な男をずるずると引きずって来た。

 男は「仕事サボってません。ちゃんとやってます。ああオリビアふがいない僕を許してくれ~」と泣いている。

 

 聞いても居ないのにオリビアとの甘い生活ストロベリーな展開を語ってくれている。

 これを俺に代弁しろと言うのだろうか。

 

 ティナがほほを赤くして「聞いちゃダメ!」とフィリアの耳を塞いでいる。

 アリシアは顔を真っ赤にしながらも聞き入っている。

 お前の苦手なエッチな話とこのラヴロマンスがどう違うのかぜひ聞かせてもらいたいところだ。

 

 

「だからこれをオリビアに見せてくれ」

 

 

 話し終わるとペンダントを俺に渡してきた。

 アイテム名を確認してみると『愛の思い出』となっている。

 もしかして長々と話を聞かなくってもよかったのだろうか。

 緑のボタンで覚えなくってもよかったのだろうか。

 最初からそれを渡してくれ。

 

 

 戻ろうとすると『テンタクルス』が船の壁を突き破り無数の触手で襲ってきた。

 完全な不意打ちだ。

 一番近くに居たティナに伸びた触手は切りばらうことが出来たが、アリシアまで手が回らない。

 フィリアとアッシュも自分に迫り来る触手を叩き落すので手がいっぱいだ。

 

 

 

「まかせろ」

 

 

 

 マリアがアリシアを突き飛ばしてくれたおかげでアリシアは無事だ。

 だが、マリアの足に触手が巻きつく。

 マリアはそれを剣で切り裂こうとしたがなぜか剣を床に落とした。

 

 

 

 

 

 

 利き手の右手が震えている。

 おそらく持病の毒だろう。

 

 

 

 

 

 

 いくらマリアでもこんな状態で、しかも海のモンスターに海に引きずり込まれたらひとたまりもない。

 だが今俺がマリアを助けに向かうとティナがやられる。

 

 

 

 

 

 笑わせてくれる。

 たった一人の少女も守れずに魔王が倒せるか。

 ここでどちらかを選んだらきっと俺はこれ以上前に進めない。

 強くなれない。

 

 

 

 

 

「全員その場から一歩も動くな!」

 足の数はたったの18本。

 船の右舷左舷に一体ずつ。

 『テンタクルス』の体力を【イオラ】や【ライデイン】で削りきることは出来ない。

 【稲妻切り】は威力があるけど一体のみ。

 一体ずつ倒すには早さが足りない。

 

 

 

 なら、それ以上の高火力を広範囲にやればいい。

 俺は全魔力を自分の体の中心に集める。

 【ライデイン】の細かいコントロールで剣に宿らすことが出来たんだ。

 自爆を恐れるな。俺は出来る。

 

 

 

 体全体に【ライデイン】の電撃を蓄積させる。

 何か熱いものが身体中を駆け巡る。

 まるで身体中の血液が沸騰しているような感覚と共に電気が駆け巡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「【ギガデイン】!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 蓄積させた電撃を一気に解き放った。

 それと同時に身体中から力が抜けて俺は膝を突いた。

 だけど電撃は床を焼き払いながら、仲間を避けながら、『テンタクルス』の触手を全てなぎ払い本体にまで電撃が届いて敵を吹き飛ばした。

 

 『テンタクルス』も一撃粉砕の威力とは自分で放っておいて驚きだ。

 だけど体が鉛のように重くてもう一歩も動けない。

 威力が強すぎて『幽霊船』が崩壊を始めている。

 威力は高いけど燃費が悪すぎだ。

 

 

 

「皆私に捕まって!」

 

 

 

 アリシアが叫んだ。

 今の【ギガデイン】で天井に穴が開いている。

 【ルーラ】で脱出する気だろう。

 マリアが左腕で俺を担いでアリシアの元に駆ける。

 

 

 結局助けるつもりがマリアに助けられたようだ。

 アリシアの【ルーラ】で船の真上に飛び出すと、カーチスも自分の船に戻るところのようだ。

 皆無事でよかった。

 

 

()()『幽霊船』じゃなかったか。たくとんだ骨折り損だぜ」

 別れ際にアッシュはなにやら溜息をついていた。

 独り言を言うのなら分かるように説明してもらいたいところだ。

 

 

 フィリアはまだ海賊のところにいるらしい。

 「私が行くとお父さんが泣く」とのことだ。

 まあ家族との時間を大切にするのはいいことだ。

 

 

 俺達は海賊達と別れて『オリビア海峡』に向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冒険の書38―アルスの日記―

 今日は『グリーンラッド』の魔法使いから『変化の杖』と『船乗りの骨』を交換してもらい、海賊達と共に『幽霊船』に乗り込んだ。

 久々にフィリアと一緒に戦えたけどやっぱりフィリアは強くて助かる。いつでも戻ってきてくれよ。

 さてここで新技【ギガデイン】の考察だが、どうやらまだ俺のレベルが使いこなせるレベルまで達していないから【MP】消費以上の疲労感に襲われるようだ。逆に魔法コントロールだけで【ギガデイン】を使えた俺ってすごいな。

 でもこれは撃ったらしばらく動けなくなるから最後の切り札だな。

 

 




ギガデインをバラモス撃破前から不完全ながらも使えるようになったアルス。
疲労感はバオウザケルガ(ゲフンゲフン
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