もう少しやりようがあったんじゃないかな過去の自分よ。
どういう訳か朝起きたら俺の性格が【むっつりスケベ】になっていた。
冒険の書を見たら「ティナより」と書いてあったから叱っておく。
まあそれはおいておいて今日はタイトルどおり特訓だ。
「今はまだザコしか出ないから良いけどその内ドラゴンとか魔王とか神様とかと戦うことになるかもしれん」
「いや、神様には喧嘩売りたくないんだけど。というか売る気なの?」
うむ、いつもの呆れながらの突込みがきた。
元気な証拠である。
「そういうアリシア、【メラ】を俺に撃ってみろ」
「いいの?」
「問題ない」
俺がそう言うとアリシアは遠慮なく【メラ】を作って手で掴んで俺に投げつけた。
遠慮ないのはとてもいいことだ。
「はい失格」
当たると痛いからとりあえず銅の剣で弾いておく。
「なんでよ。ちゃんとまっすぐ飛んだじゃない」
「手、痛かったろ。とりあえず薬草ぬっとけ」
俺がそう言うとアリシアはごまかすように苦笑した。
多くの魔法撃たなければならない魔法使いが魔法を撃つたびにダメージを受けたんじゃ話しにならない。
「とりあえずこんくらいコントロールできるようになれ」
【メラ】を動かして「ヒンヌー」と空中で文字を書いてみた。
「あんたねぇ……」
アリシアは拳を震わせている。
「魔法なら撃ってきても良いぞ。ただし自分も傷つく方法は全て弾く。まあ後は自主練しとけー」
へたに俺からアドバイスすると嫌な顔するだけだからこんなもんだろう。
「はい、次にニーナ」
「はいはーい。今日も絶好調だからもうメタル系倒した時のようにバシバシパワーアップしてアルス君なしでも魔王倒せるくらいに大変身だー」
「とりあえず魔物図鑑でも読んで敵の特性でも勉強してろ」
「はわっ。私は勉強ですか。もっとこう俺に一発でも攻撃を当てたらとっておきをくれてやるとか言って奥義の伝授とかないのかな」
「その有り余るパワーを生かす知識を身につけろ」
ニーナはまあ戦闘能力はそこそこだけど知識が浅い。
もっと敵のことを知っておくべきだ。
マダラグモとか。
「えっと……私は何をすればいいのかな?」
「当然【ホイミ】。まずは発音練習から」
「発音は関係ないと思うけどなぁ」
「魔法を甘く見るな。ホイミ(音↑)でもホイミ(音↓)でも呪文はできん!」
まあ実際はできるけど。
魔法はイメージ力大事だし、ティナは素質あると思う。
出来ると思い込めば案外楽に使えるようになるかもしれない。
「【メラ】」
アリシアはもっと慎重にゆっくり移動する魔法のイメージから始めれば良いものを。
とりあえず外したから反撃でまた「ヒンヌー」の文字を書く。
「ほいみ~」
ティナも恥ずかしいのか顔を赤めながらも頑張って発音練習している。
うん、関心関心。
とにかく今日掛けても良いから皆の能力を戦えるレベルまで上げたいところだ。
ゆっくり成長を見守ることにしよう。
そう思った俺が甘かった。
スパルタメニューにしておけばよかったと少し後悔する。
まさか半日掛けて何の進展も無いとは思いもしなかった。
ティナなら【ホイミ】くらい一時間でいけると思ったのだが……。
ティナのステータスを確認してみる。
「ん」
嫌な予感がする。
「まさか」
商人のニーナ以下ってのはどうかと思う。
「アリシアも進歩なしか」
速さと威力は上がってる気がするけどコントロールは変わりなし。
ニーナにいたっては勉強を放棄して進歩しないアリシアを茶化して遊んでいる。
「スパルタ開始だな」
☆ただいまスパルタモード☆
アルス「さあ憎き魔物にとどめを刺すのだ!」
ティナ「そんなかわいそうな事できないよ!」
アルス「やれ、やるのだ! そして経験値に変えるのだ! アリシアよなんだその魔法は。そんな魔法で大魔王アルス様に勝てると思っておるのか!」
ニーナ「わー。アルス君悪役全開だね。アリシアちゃん人類の敵を倒さなければこの世界が闇に飲み込まれて人類が宇宙に移民するようになって新人類の戦争が幕を開けちゃうよ」
アリシア「あーもう! うるさいうるさいうるさい!」
アルス「ニーナよそんな剣筋では我は倒せぬぞ。ティナよまだスライムも倒せぬのか! アリシアよどこを狙っておる!」
ティナ「うぅ、こんなアルスは嫌~」
アルス「うははははははっ。はらわたをブチマケロ!」
さすが我が家に伝わるスパルタ特訓、効果覿面だった。
ティナのレベルは何とか上がってMPが奇跡的に増えた。
アリシアはまあ、命中率は無いもののまっすぐは飛ばせる。
ニーナは俺のネタをぐいぐい吸い取ってくれた。
でも丸一日疲れでみんな動けなくなったのは誤算だった。
さすがに女の子に丸一日特訓させたのは悪かったか。少し反省。
まあみんな強くなったし、全滅という最悪な事態は起きない筈だ。
次はロマリア目指して頑張るとしよう。
開幕ティナのとばっちり。
魔王討伐に人生を掛けられたアルスは強いです。
使える魔法から最低レベルを考察するのも面白いかもしれません。
なお、燃費は悪いもののメラを二重に合わせてメラミなど使用できない呪文も体の負荷を考えなければ使用できる模様。
どこの『ドラクエモンスターズ+』の竜王様な魔法のコントロールで俺つええな筈なのに仲間からの不意打ちで防御抜かれて棺桶になる不思議である。