朝起きると『ポルトガ王』から俺宛に手紙が届いていた。
内容は『ポルトガ』にもモンスターが大臣に化けて潜入していたらしい。
『ポルトガ』の方はほぼ王の単独行動によりモンスターを退けたようだ。
正直『ポルトが王』がここまで強いとは思わなかった。
で、『ランシール』にもモンスターの群れが現れたらしいので、『アリアハン』にもモンスターが現れるかもしれないとのこと。
うむ、今までの努力のおかげでこうして他国から知らせが来てくれるのは嬉しい限りだ。
だけど『アリアハン』は既に親父の留守中の襲撃の大軍隊を返り討ちにしてるし、俺は火口に『ガイアの剣』を使ったという足跡を残しているから自分の城の警備を手薄にはしない筈だ。
このまま『ネクロゴンド』に向かっても問題ないだろう。
という訳で王に一応モンスターが来るかもしれないということと、『バラモス城』の視察に行くことを報告してから船を出した。
着くとまだ灰は降っていて火山性のガスも噴出している。
【トラマナ】で突破できるだろうか。
試しに深呼吸してみると普通の空気だ。
なんだかアリシアの【トラマナ】は海の底でも呼吸できるような気がしてきたぞ。
干上がった瘴気の川を渡っていくと洞窟が見えてきた。
噂の『バラモス城』に続く洞窟だろう。
洞窟に入ると祭壇のようなところで巨大な魔物の骨がまるで銅像のように並べられている。
噂では過去に攻めて来た異界の魔王やら魔人やらの亡骸をここで清めているらしい。
『バラモス』の出現のせいかここの聖域は嫌な空気がただよっている。
そしてモンスターも入ってこられるようだ。
『トロル』の群れが俺達を取り囲む。
流石に攻撃力と体力に特化した『トロル』の大群とまともにやりあうのは辛い。
「道を空けろ【ニフラム】!」
俺は『トロル』の大群を光の彼方に消し去った。
それと同時に『ミニデーモン』が岩陰から飛び出してくる。数は三体。
「【ヒャダルコ】と【バギマ】」
「まかせて!」
「頑張ってみるね」
アリシアの【ヒャダルコ】とティナの【バギマ】で攻撃を受ける前に倒して、次のモンスターが出る前に奥にある階段まで走って駆け上がった。
倒すのは早いが向こうの攻撃も強い。
油断したらこっちがやられてしまいそうだ。
階段を上がり終わると『地獄の騎士』が一体待ち構えていた。
六本の腕の攻撃を俺は上手くさばききる事が出来たが【焼け付く息】の直撃を受けてしまった。
体がしびれて動かない。
だがすぐにティナが【キアリク】で治してくれたおかげで、【火炎切り】で『地獄の騎士』を倒せた。
アリシアとティナにも【焼け付く息】が当たっていたらいきなり全滅していただろう。
いや、確実にここで俺達を全滅させる気か。
『ホロゴースト』の群れの不意打ち【ザラキ】連発で俺の意識は消えた。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
「おおアルスよ。死んでしまうとは情けない」
王の目の前にいた。
後ろに二つの棺おけがある。
守れなかった以前にアリスに助けられたのか。
初めての全滅って結構ショック大きいな。
教会でティナとアリシアを復活させてからめげずに『ネクロゴンド』に挑む。
また『ホロゴースト』が出てきたけど、ティナに【マホトーン】を使ってもらってリベンジ出来た。
更に奥に進んでいくと宝箱の中に『稲妻の剣』が入っていた。
【攻撃力】が高いいい剣だ。
使えば【イオラ】効果があるので【MP】節約できそうだ。
【草薙の剣】と合わせて持っておこう。
「ねぇアルス。なんか痛々しい鎧みつけたんだけど」
アリシアが『刃の鎧』を見つけてきた。
『魔法の鎧』より守備力が上がるようだ。
「まさかそれ装備するつもり?」
「ああ、呪われてなさそうだしいいだろ」
「でもなんか近付くだけで怪我しそうなんだけど」
「相手が殴ってきたら大ダメージだな。お下がりの『魔法の鎧』はティナが付けてくれ」
「うん」
これでしばらく装備を変える必要はないだろう。
っと、しまった。
「まだ汗臭いだろうから洗ってからでいいぞ」
「大丈夫だよ。毎日磨いてるもん」
ティナはそう言って笑っていた。
船の中で姿を見かけない時に何をやっているかと思えば皆の装備の手入れをしていてくれた訳か。
相変わらず目立たないところで頑張る奴だ。
「あ、そうだ。アルスおめでとう」
「なんだよティナ急に」
「え? 日記に恋人が出来たって……」
いや、好きな人が出来たって書いただけだぞ。
さらにアリスに線で消されたし。
よく塗りつぶされた文章を読む気になったものだ。
おっと『はぐれメタル』出てきた。
「恋人って……」
アリシアが『はぐれメタル』そっちのけで日記を取り出して見始めた。
『はぐれメタル』はしつこく【ギラ】で攻撃してくれてたのに、後一発というところで逃げられる。
「なんんだ……好きな子か。ねぇアルス。好きな子ってやっぱりマリアさん?」
「いや、というかなんでマリアが出てくる」
「だってよく二人っきりになってたし。いつの間にか名前で呼び合ってたし……」
そういえばよく二人っきりになってたな。
「外れだ。それに読めたんなら後でちゃんと話すって書いてたの知ってるだろ」
「だって……気になるじゃない」
らしい。
まあアリシアも恋沙汰に興味を持つ年頃ど真ん中だもんな。
「そうだそうだ。俺もお前に渡す物渡しそこねてた」
「え」
「ほれ」
俺は『祈りの指輪』をアリシアに渡した。
これは使用者の【MP】を回復させるものだからちゃんと持たせてやらないとな。
「これって……その……」
「ティナもほれ。使うと【MP】が回復するぞ。ただし使いすぎると壊れるから注意しろよ」
『祈りの指輪』を渡したらアリシアの機嫌が悪くなった。
ティナみたいに贈り物は素直に喜んでもらいたいところだ。
「鈍感」
アリスに耳元でそう呟かれた。
『ネクロゴンド』の洞窟を抜けるともう日が暮れていた。
近くに祠があるからあそこで今日は野宿するとしよう。
祠に入ると聖域は健在で神官までいる。
俺達はここに来るまで苦労したのにこの神官は平気な顔してここに住んでいるのだろうか。
「おぬし……オルテガに似ておるな。もしや噂の勇者アルスか! 私はオルテガより『シルバーオーブ』を預かりし者。オルテガが死んだなど信じられずにこの地に来たのだが……すまぬ、なんの手がかりも見つけることが出来なかった」
オーブをもっているということは親父の仲間か。
こんな地獄のような場所で今までずっと親父のことを探してくれていたらしい。
親父も仲間に恵まれていたんだな。
これで『聖なるオーブ』が全てそろった。
親父がたどり着けなかった『ラーミア』までたどり着くことが出来たのだ。
今日は休まれてい枯れよと神官に食事と寝床を提供してもらえた。
「時に勇者よ。『最後の鍵』は『渇きの壺』で手に入れたのかね?」
「親父みたいに潜って取れる人間なんていないだろ、普通」
「それもそうだな。少しの間『渇きの壺』を貸してはくれぬか?」
俺にはもう必要ないものだし親父の友人なら悪用はしないだろう。
今晩は泊めてもらえたしそのお礼で俺は『渇きの壺』を神官に渡した。
後は明日に備えてゆっくり寝るだけだ。
折角オーブも揃ったから山を越えるなんてバカな考えは止めて、船に戻って明日は『レイアムランドの祠』に向かおう。
だけどなかなか寝付けない。
この周りは聖域でモンスターは近づけないから俺は冷たい夜風の中ギターを引いて少し気晴らしをすることにした。
親父は化け物じみた武勇伝をもっていたから、もしかしたらひょっこり生きていたなんてべたな展開は少し考えていた。
でも親父が火口に落ちてから十年間ずっと探していた人がいて、それでも遺品さえ見つかっていない。
「眠れないよね、やっぱり」
アリスが俺の前に姿を現してちょこんと俺の横に座る。
「ただギターが弾きたかった……だけだ」
「大丈夫、私がいる限り誰も死なせない。絶対に復活させるから。それに本当にダメなときは私が守ってあげるから……アルスはもっと肩の力を抜いてていいよ」
「バカ言うな。俺は守る側。アリスは守られる側。OK?」
「まったく……わがままなんだから」
アリスがそっと俺の肩に頭を乗せた。
もうすぐ『バラモス』を倒しにいけるんだ。
そうしたらもうアリスは寂しい思いをしなくてすむ。
親父が出来なかったこと、やってみよう。
『ネクロゴンド』の敵は強敵で苦戦したけど祠にいる親父の知り合いから『シルバーオーブ』をもらった。神官はどうやらずっとここで親父を探してくれていたらしい。
川を挟んだ先に壊れた建物が見えたから何かと聞いてみると『ギアガの大穴』と呼ばれている場所であそこから『バラモス』がやってきたと噂されているようだ。
さしずめ地獄へ続く大穴といったところか。
オーブが全部そろったから明日はいよいよ『ラーミア』復活だ。
『バラモス城』まであと少しだから明日も気合を入れていくとしよう。
棺桶になることは多くても初の全滅を体験しました。
不安も多い中、それでもアルスは恐れずに前へ前へと進んでいきます。
フラグが立ちました。