【くろうにん】の書(完結)   作:へたペン

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決戦前の静けさがしばらく続きます。


第十章「バラモス編」
プロローグ


 不死鳥『ラーミア』の背中は心地よい。

 これで『バラモス城』に着くまでゆっくり休めるだろう。

 

 状況が状況だからニーナもマリアも静かだ。

 今のうちに眠って失った体力を回復させるのが一番だが、アリスのことが気になってなかなか眠れない。

 

 俺達の船まで【ルーラ】で飛んでもいいが、それで結界が張られていて【ルーラ】だと進入できなかったらシャレにならない。

 この移動手段が一番確実で安全だ。

 

 

 不死鳥だけあって何か加護がついているのか『ラーミア』は速度を感じさせない乗り心地だ。

 安定していて実感がわかないが『ラーミア』の移動速度は船よりもずっと早いのだ。

 すぐに『ネクロゴンド』まで辿り着ける速さだろう。

 

 

 

 

 休む時間なんて限られている。

 それがわかっていても眠れない。

 

 

 

 

 ふと横目でアリシアを見てみると、どこから取ってきたのか新しい魔道書に目を通している。

 

 ティナは皆の武器防具の手入れをしている。

 

 マリアは無駄な体力を使わないように目を閉じて瞑想していた。

 

 ニーナは道具の整理をしているようだ。

 

 皆それぞれ戦闘に備えて準備をしてくれている。

 まだ未熟だった俺の【ギガデイン】による反動は回復魔法だと回復しないんだ。

 今俺に出来ることは休むことだけだ。

 

 

 

「……【ラリホー】しとく?」

 

 

 

 ティナが『稲妻の剣』の手入れをしながら訊ねてきた。

 そうしてもらえるとありがたい。

 

「頼む」

 

 俺はティナの【ラリホー】に頼ることにした。

 ティナは整備していた道具をしまうと、俺の頭を持ち上げて自分の膝の上に乗せる。

 

「ティナ?」

「うなされないように。大丈夫、絶対に間に合うから。皆、アルスに力を貸してくれるから」

 

 髪を手串するように優しく撫でられた。

 温かい温もりに温かい言葉が心にしみて、思わず涙が出そうになるがぐっと我慢する。

 

 

 一人で戦っていたアリスはあんなにも強かったのだ。

 時間稼ぎに徹すれば持ちこたえてくれている筈である。

 ティナの言う通りアリスは絶対に助ける。

 間に合うに決まっている。

 

 

「【ラリホー】……。お休み、アルス。皆で迎えに行ってあげようね」

 

 

 ティナの【ラリホー】で、ゆっくりとまぶたが重くなっていく。

 今まで受けた中で一番優しく安らぐ【ラリホー】で俺はようやく眠りにつくことが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冒険の書45―アルスの日記―

 魔王『バラモス』は強大な敵だ。だけど俺には仲間がいる。

 復活させた『ラーミア』でアリスを助けに『バラモス城』に飛んだ。

 今度はもう負けない。

 

 あまり気張らずにアルスのペースで行け。行く手を阻むものは全て私が切り開いてやる。

 

 




一日一章という電撃投稿もいよいよ最終日。
一人でも楽しんでくれる人がいるならと投稿し出した黒歴史。
残り僅かを少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
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