小さいころお父さんの仕事の薬草摘みについていって、誤って崖から落ちちゃったことがあるけどアリスちゃんに助けられた。
もう【ルーラ】で飛んできてヒーローみたいでカッコよかった。
アルス君も見習ってもらいたいね。
そう思ってたら次の日アルス君の友達だって知ってビックリ仰天だー。
「ねぇねぇねぇねぇアリスちゃんどこかおでかけ?」
「うん。ちょっと外の見回り」
アリスちゃんは朝と夕方に困っている人がいないか見回りをしているみたい。
アルス君が知ったら止めるだろうから私とアリスちゃんの秘密だ。
でも秘密って言いたくなっちゃうよね。
アリシアちゃんに話そうとしたらアリスちゃんにバックドロップされた。
「秘密って言ったよね~ニーナ」
「あ、あれアリスちゃんお出かけしてたんじゃ」
アリスちゃんは笑ってたけどとても怖かった。
「何よ秘密って。何か隠し事してる訳?」
「そうそうそうそう。実は私とアリスちゃんで夜な夜なアルス君の部屋に侵入して夜這いを~」
「しないから」
「痛い痛い痛い痛いよアリスちゃんっ! そんな事されたら私クララになってアルプスの草原じゃないと二度と立てない体になっちゃって感動の最終回はクララが飛んだーってロケット抱えて太陽まで飛ばないといけなくなっちゃうよっ!」
今度はコブラツイストを掛けられた。
普段は優しいけど少し怒ると107個の殺人技がすぐに飛んでくる。
ツッコミレベルまで手加減してもらえなかったら本当にクララになるかも。
だけど結局アリシアちゃんにも見回りしてることを話した。
アルス君に知られなければいいらしい。
あれ、それって私何のために技掛けられたんだろ。
「それにしても困った人がいないか見回りなんてアリスらしいわね。今日から私も手伝う」
「あ、それ賛成賛成大賛成! なんだか楽しそうだしアリシアちゃんの珍プレーやポロリが有ったり無かったりしてもう目が離せないね! という訳で今日はティナちゃんも混ぜてみんなでピクニックだー!」
「遊びじゃないんだけど……でも楽しそうだからいいかな」
さすがアリスちゃんだ。
少し溜息が混じってたけど笑顔で許可してくれた。
さっそく道具を袋に詰め込んでいざ出発。
ティナはお弁当を作って午後に来てくれるみたい。
「子供だけで外出るのって初めてだからわくわくするね。ドキドキするね。一体この先何が待ち構えているのか! うわ、危ないアリスちゃん! 足元にGのたくさん入った袋が! これは取ろうとしたら発動する魔物の罠に違いないね!」
「このふくろは『レーベ』の道具屋のふくろみたいだね。少し先に落としたのに気付いて道具屋のオジサンがふくろを探してるから届けてあげよう」
そう言ってアリスちゃんはふくろを拾って『レーベ』の方に歩き出した。
少し歩くと知らないオジサンが「ないない」言いながら草の根を別けて何かを探している。
「道具屋さん。落し物ですよ?」
「ん、ああ! それだよそれ! そうか、君が最近人助けをしてるっていう女の子か。ありがとう拾ってくれて」
オジサンは笑顔でふくろを受け取るとアリスちゃんも笑顔を返す。
「すごいわね。どうして道具屋のふくろだって分かったの? それよりもあそこからじゃ商人の姿も見えなかったでしょ」
「『鷹の目』に似た魔法を使ったの。この大陸にはもういくつもの目を配置してあるから大体の事はどこにいても分かるよ?」
「それって結構犯罪じゃないかな。ほらほらカップルが茂みでイチャイチャしてたりするのも見えちゃうんでしょ?」
「大丈夫。情報は映像じゃなくって文章を見ているみたいに起こった出来事が分かるだけだし、要らない情報は切り捨てて忘れているから大丈夫」
アリスちゃんだから信じられるけど、もしもアルス君がこの能力を持ってたらお嫁にいけなくなっちゃうね。
「そうだアリスちゃんアリスちゃんアリスちゃん。今アルス君が何やってるか分かるかな?」
「うん。要らない情報として切り捨ててたから覚えてないけど、今度は切り捨てないで視るね。アルス君は今……」
そこでアリスちゃんの言葉が止まった。
「私は何も見なかった。ニーナは何も聞かなかった。うん」
「ちょっとアリス。その言い方気になるじゃない」
「アリシア……聞いたらきっと後悔すると思うよ?」
アリスちゃんは声を出して笑うのを必死でこらえて目からは涙が出ている。
「爆笑話を黙ってるのは体に悪いぞー。もう穴を掘ってそこに秘密を叫ぶように話してくださいヨ」
「でもこれって言ってもいいのかな?」
アリスちゃんは少し迷っていたけど観念してくれた。
「ルイーダさんに女装させられてる」
すごく見てみたい光景だった。
勇者になるために色々なことをさせられてるって聞いたことあるけど、女装までさせるなんて思わなかった。
アルス君結構顔立ちが綺麗だし似合いそうなところがまた見てみたい。
「あいつも色々大変みたいね」
アリシアちゃんはそう言っているけど顔を少し赤めているから、本当はちょっぴり見てみたいんだろうな。
「みんな~。お弁当持ってきたよ~」
ティナが手を振ってやってきた。
お弁当は簡単なサンドイッチだけどティナの料理はなんだっておいしい。
みんなで食べると楽しい。
こんな楽しい毎日がいつまでも続けばいいと思っていた。
その日の最後にアリスちゃんが私に何かを言った。思い出せない。
いつの間にか私はアリスちゃんのことを忘れていたんだ。
皆の帰れる場所はアリスちゃんに「ただいま」って言ってほしくて作ったのかもしれない。
私の作った平和な街で姉御もステラちゃんもフィリアちゃんも皆皆楽しく暮らしていける理想郷が欲しかった。
「あー! あんたそれ私が目をつけてのに!」
「うるさい。大皿の料理は早い者勝ちだ」
「アルスもアリシアちゃんもまだまだあるんだから喧嘩しないで仲良く食べよう」
「あるすのお肉ゲットー」
「俺が、俺の肉が奪われただと!?」
「はっはっは、ぼやぼやしているとアルスの皿の上に何も残らないぞ?」
「マリアお前もか!?」
「はぅ~。私この食卓戦争について行けそうにないですよ~」
こんな夢を見なかった訳ではない。
「ほらほら―――ちゃんも早くお箸取って一緒に食べよ。早くしないとティナちゃんの料理みんななくなって空腹のあまりかゆうまになって路上をさまようことになっちゃうよ?」
「いや、さまよわないし」
顔が分からなくっても、名前が分からなくっても、幸せな光景に彼女は確かに居た。
私が望んだ夢。
皆一緒に幸せに暮らす夢。
今日ははっきりと顔が確認できる。
名前も思い出せる。
このまま夢から覚めなければずっと皆と笑い合える。
だけど――――――――
夢の中だけどアリスちゃんにそう言われた。
夢の中で笑っていても笑えるのは私だけだ。
実際にみんなが笑ってくれないと意味がない。
いつの間にかアリスちゃんは消えてて、私は蚊帳の外で何も知らない。
だけどアリスちゃんは私の友達だ。
また本当のアリスちゃんの笑顔を見たい。
夢ならいつでも見られるから私は目を覚ました。
今まで忘れていたアリスちゃんのことを急に思い出したんだ。
アリスちゃんの身に何かあったに違いない。
私は荷物をまとめて旅立ちの準備を整えた。
後はアルス君かアリシアちゃんが迎えに来るのを待つだけだ。
希望は捨てない。
だってまだアリスちゃんにまだ「ただいま」って言ってもらってないから。
魔王『バラモス』は強大な敵だ。だけど俺には仲間がいる。
復活させた『ラーミア』でアリスを助けに『バラモス城』に飛んだ。
今度はもう負けない。
あまり気張らずにアルスのペースで行け。行く手を阻むものは全て私が切り開いてやる。
私もアリスを助けたいんだから一人で勝手に突っ走らないこと。いいわね?
絶対にアリスちゃんを助けようね。 ティナより
またみんなで一緒にご飯食べたり騒いだりしようね。今のうちにみんなでアリスちゃんにする罰ゲームを考えよう♪
帰って来て欲しい人がいるから自分の手で作った理想郷。
ニーナはとても強い子だと思います。