【くろうにん】の書(完結)   作:へたペン

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低レベル時のトラウマ、まほうつかいがいきなり襲い掛かって来た。


第七話「目指せロマリア」

 『いざないの洞窟』に『魔法の玉』を投げ込んだら中ですごい爆発がしてじいさんが出てきた。

 

 人がいるかいないか確認してから小一時間説教された。

 ここまでくれば見当がつくだろうが当然投げたのはニーナだ。

 ついでに怒られたのは俺一人だ。

 

 皆は俺が怒られている間にお弁当タイムなんて……アルスが来るまで待ってあげようと言ってくれるのはティナだけだ。

 

「お前ら後で覚えてろよ」

「よるなケダモノ」

 

 説教も終わったから輪に加わろうとしたら笑顔でアリシアにそう言われた。

 まだスパルタ特訓を根に持っているらしい。

 俺はただ模擬戦をやっただけだぞ。

 

「アルス君アルス君アルスく~ん。やっぱりティナちゃんのお弁当最高だね。もうほっぺがとろけてそれが独立して『スライム』になりそうだよ」

「ニーナのほっぺはモンスター製造工場なの?」

 

 それでもアリシアはいつもと変わらず突っ込みを入れている。

 この分ならすぐに機嫌も戻るだろう。

 とりあえずアリシアの横に腰を下ろして俺も休憩タイムに入った。

 

「ちょ、ちょっとくっつきすぎっ」

 

 殴られた。

 そこまで機嫌が悪くないと思った俺の読みは甘かったようだ。

 う~む、やはり女の子とは複雑な生き物だ。

 

「アルス。お茶いる?」

 ティナは相変わらず気が利いていていい。

 これで【ホイミ】が使えれば本当に完璧だよな。

 麦茶が冷たくて美味い。

 

 

 さて、そろそろロマリアに向けて出発だ。

 壊した壁を抜けて洞窟内部に侵入。

 この辺りならまだ俺一人でも充分攻略できるダンジョンだからアリシアの誤射が少なくなった今、やられることは無い。

 

「うむ、快適だ」

 仲間の攻撃で死なないのってこんなに嬉しいことなんて始めて知った。

「あんた、今すごく失礼なこと思ったでしょ」

「いや、ただみんな強くなったな、っと思っただけだ」

「そ、そう。まあ私って結構覚えるの速いからね」

 アリシアのご機嫌が戻ったようだ。覚えるのが速いならもっと魔法の命中率を上げてほしい。

 

「わ、今の見た見た見た? 紙一重で交わしてぶすって! なんだかモノを何でも殺せる殺人貴みたいでカッコよかったよね。これはもうナイフを極めるしかないかー」

 メガネかけて落ち着け。

 

 まあ“アルミラージ”や『蠍蜂』や『人面蝶』相手なら騒ぎながらも難なく倒せるレベルだからいいものの、ここには奴らが出るんだからあまり騒がないでほしい。

 正直俺がここで一番怖いのはやつらに不意打ちを食らうことだ。

 

「って、出ちゃったよ」

 通路を曲がると“魔法使い”の群れが俺達に手を向けていた。

 完全な不意打ちでまだみんな戦闘体勢に入ってない中やつらは【メラ】を連発してくる。

 

 『皮の盾』が【メラ】3発を防いだあたりで吹き飛んで残り2発は俺に直撃。

 マジいてぇ。

 そこでようやくみんなが敵襲に気付いてくれた。

 

 だけど敵は5体。

 なんだかいつもより1体多い気がするが、【すばやさ】はアリシアの方が上だから、【ギラ】で牽制しつつニーナと俺が切り込んでティナが“薬草”で手当てしてくれれば完璧だ。

 

「アルスが……アルスがっ」

 突然の出来事にティナは混乱しておどおどしている。

 やっぱりティナは実戦にはまだ早かったか。

 

「わー、皮の盾が粉々に。これは直撃を受けたら爆発して「クリリンのことかー」になってこの星が崩壊する中ラストバトルが勃発っ。この星はどうなってしまうんだー」

 

 騒ぎながらももニーナは既に相手に切り込みに行っている。

 俺のスパルタ特訓で身体の方が先に反応するようになってくれて助かった。

 

「ティナはアルスを盾にしててっ」

 アリシアは指示が非人道的だけどマニュアルどおりに動いて【ギラ】を放っててくれている。

 流石に命中精度は悪いがこの狭い洞窟なら仲間に当たらなければ敵グループに当たってくれる。

 

 ニーナが切り込む前に【メラ】第2射がきた。

 これで敵『魔法使い』達の【MP】は0。

 こいつを防いでしまえば問題ない。

 

「っ」

 

 5発の内2発は剣で弾けた。

 1発はアリシアの方に向かい2発は直撃。

 一発ならアリシアは大丈夫だ。

 あいつの連射制度と弾速は当てにできる。

 

「【メラ】」

 ほら相殺してくれた。

 

 その間にニーナが俺の脇をすり抜けて魔法使い1体にトドメ。

 そのまま全員やれる……と思った。

 

「あれれ?」

 

 ニーナの情けない声に目を向けると『魔法使い』達は撤退していた。

 その後ろにはさらに5体の『魔法使い』が【メラ】を構えている。

 

 火縄銃の三段射ちかよ。

 

「くそっ」

 次は耐え切れるか分からないが、やるだけやってみるさ。

 【メラ】が放たれる前に1体を切り伏せる。

 2体目は……間に合わないか。

 4発の“メラ”の狙いは完全に俺。

 俺さえ落とせば勝てると思ったんだろう。

 モンスターのくせに良い判断だ。

 

 3発なら避けられそうだけど、避けたら後ろのニーナに当たるから弾くしかないか。

 1発目は直撃。

 幸先悪いなまったく。

 

「アルス君っ!」

 これはニーナの叫び声だな。

 相変わらずうるさい奴だ。

 2発目も直撃。やべ、カッコわる。

 

「アルスっ!」

 これはアリシアの声だな。

 お前に心配されるってどんだけよ俺。次は弾かないとやばいよな。

 ついでに魔法使いを1体減らしたいところだ。

 

 

 

 ……手が動かない。

 

 

 

 3発目。

 よく持ちこたえたな俺。

 平均10ダメージとして70くらいか。さすが【くろうにん】体力あるな、俺。

 

 流石にこれ以上は無理だ。

 またティナが泣くだろうな。

 そういえば真っ先に泣き叫ぶはずのティナの声が聞こえない。

 ショックのあまり声も出ないのか。

 あるいは俺の聴覚がダメになったのか。

 

 やばい、次も直撃コースだ。

 アリシアもこのくらいの命中率あればいいのにな。

 

 でも今回は誰も悪くない。

 皆仕事をした。

 ティナも仕事をこなしていたとしても前線にいる俺に後方にいるティナが薬草を使うことは出来ない。

 

 

 

だから

      誰も悪くない。

 ああ、意識が

                              ゆっくりと

 

 

 

 

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

 

 

 

 

 

 回復した。

 

「――――――――――――――――――――――――――――――」

 

 泣いているのか、ティナの声だ。

 意識が覚醒する。

 

「【ホイミ】」

 そう言っていた。

 焼け石に水って感じの回復量。

 

「【ホイミ】っ」

 でも何度も何度も祈りながら、泣きながらもまっすぐ俺を見て叫んだたった一回の回復魔法。

 

「【ホイミ】っ!」

 掛かったのは一回だけだ。

 ティナの【MP】は5なんだから撃てるのは一発限り。

 

 だから無駄にしない。

 一回で充分だ。

 アリシアは間抜けなことに気付いていないがニーナは気付いて動いてくれている。

 

 俺は4発目の【メラ】を剣で弾き、5発目をかわす。後ろにはもうニーナはいない。

 俺が1体、2体と続けて倒してニーナが3体目を倒す。

 やばい、無理しすぎて膝ついた。

 最後の1体が俺の目の前にいて掌を向けている。

 

「【ギラ】」

 俺の前に炎が走った。

 すれすれで一瞬アリシアに殺されると思ったが【ギラ】は『魔法使い』だけを射抜いた。

 

「集中すればいけるじゃんか……」

 身体中が痛いがティナが覚醒してくれたのは大きい。

 このままのテンションをたもつために【リレミト】は使わず『薬草』付けで『ロマリア』を目指すことにした。

 

「アルス君の薬草付けは『ロマリア』で美味しくいただこー」

 せいぜいニーナに頭をかじりつかれて死なないように気をつけよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冒険の書5―――アルスの日記―――

☆みんなのにっき☆

 今日はみんな頑張ったけどアルスは頑張りすぎだよ。

 私アルスが死んじゃうんじゃないかって心配で無我夢中で叫んだら【ホイミ】を使えてたから良かったけどあまり無理しないでね。

(←その後泣き出したティナちゃんを慰める方が大変そうだったけどね(笑))

 

 ロマリアについたらアルスが倒れた。倒れるんなら棺おけになってくれた方が時間掛からなくって良かったんだけどね。

(←そういうアリシアちゃんもティナちゃんと同じくらい取り乱して大変でしたヨ(笑))

 

 最後は私の感想文。こういうのって何書いたらいいのかまようねー。毎日日記をつけてたアルス君に関心関心。とりあえず今日はアルス君起きそうに無いから私達で日記つけたけどどうだったかな。二人には秘密で私のコメントつきだから分かりやすかったよね。え、日記でも騒がしいって?

 私から元気取ったら何にも残りませんヨ(笑)

 まあこれはみんなが言ってる事だけどこれからも無理せず頑張ってね♪

性格「【くろうにん】」をたたえよう~

 

 




ようやく全員が頑張ることでダンジョンを突破した話。
火縄銃という単語が出てくるのはドラクエで大砲という火器が船に搭載されていることから出していたと思いますが、スペシューム弾頭弾などの単語を使う小説なので細かいことは気にしない。
この辺りを手直ししていきたいところではありますが、今は黒歴史ほぼそのままの文章でお楽しみいただけたら幸いです。
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