窓から数えきれない星と月の光が差し込むある一室のベッドの上に二人の男女が居る。
今は情事の後でお互い軽い口づけをしたり頭を撫でたりと慈し合う時間。
「にゃぁ~」
そんな猫の様な声を出したのは女の方。
男に撫でられる度に本物の猫の様に目を細めて猫の様な鳴き声を出す。
一応明記しておくがこれは男の趣味ではなく女の方が勝手にしていることだ。
「ふっ、やれやれ……甘えん坊な猫だな」
「にゃぁ~」
女は良く鍛えられた男の胸板に顔を埋め、幸せな顔をしている。
男にとってもそれが苦痛だという訳ではない。
むしろ、幸せだと言えるだろう。
「あのね、明久君」
女……クレアが男の名を呼ぶ。
明久は『猫口調やめたんだな』とクレアをからかおうとしたがクレアの顔が真剣なものだったからやめた。
「どうした、クレア」
「多分、明日から閻魔達が告白してくると思うの」
「はぁ?」
「その告白を受けてあげて?」
明久は『こいつは何を言ってるんだ?』と言う顔をしている。
それもそうだろう。明久にはクレアと言う恋人が居る。
その恋人が他人の告白を受けてあげてと言っているのだ。
「あのね、閻魔達も私と同じなの」
「俺の生き方を見てたってとこか?」
「うん。それで明久君に惚れてるの。
私は明久君に一番早く会って告白して成功した。
運が良かったんだよ。だから、お願い」
明久はクレアにそう言われてクレアの頭を撫でながら考え始める。
少しそうしているとクレアの頭から手を離して
「これから二人っきりになる時間は減るかもしれないから覚悟しとけよ」
そう言った。
クレアは笑顔で明久に感謝した。
俺は今閻魔達に呼び出され天界のある山に立っている木の下に居た。
何でもこの木は天界の絶好の告白スポットらしい。
「やっぱり告白されるのかねえ……」
俺は昨夜クレアに言われたことを思い出しながら木を見上げる。
この木は百億年という長い時間天界を見下ろしてきたそうだ。
その威厳は百億年と言う長い時間に恥じない物だった。
「……やっぱり百億年って言う長い時間を過ごせばこれくらいの威厳ができるのかねえ……」
そう言って百億年後の自分を想像してみる。
百億年後……多分俺はクレア達と一緒に笑い合ったり怒り合ったり時には泣き合ったり……
色々なことをして幸せに暮らしているんだろうな……
「って、あんまり今と変わってねえし……」
まぁ、実際何年経っても変わってないんだろうな……
俺達にとってそう言う光景が一番の幸せだろうから……
「あら?明久君、早いですね」
閻魔の声が聞こえて声のした方を向くとそこには俺を呼び出した閻魔達が居た。
「ちょっと早く起きてな。お前等こそ約束の時間よりも三十分は早いじゃないか」
「私達も明久さんと同じです」
「お前等も言えないじゃないか」
アテンの言葉に苦笑して答える。
なるほど……アテン達も緊張して早く起きたのか。
よく見ると四人共そわそわしてるしな。
「それで用って何だ?」
何の用事かは知っているけど知らないふりをする。
告白かどうかは最後まで分からないからな。
「えっと……その……」
用事を尋ねると四人が顔を赤くした。
やっぱり告白なのか?
そんなことを思いながら四人を観察していると閻魔が覚悟を決めた表情をして一歩前に出た。
「明久君、好きです!私と付き合ってください!」
それを見て三人も便乗する。
「私も明久さんのこと好きなんです!付き合ってください!」
「私も明久君のことが好きなの!だから付き合って!」
「私も明久のことが好きだ!付き合ってくれ!」
「「「「お願いします!」」」」
「………」
分かってたことだけど実際告白されてみると反応ができなくなるな……
そりゃ、美女四人に告白されて冷静を保てる奴なんてこの世に居ないだろ。
「えっと……明久さん、クレアさんから付き合う許可はもらったから大丈夫です。
だから、私達と……」
「ああ、悪い。つい呆然となっちまった。
そんなことより本当に俺で良いのか?」
「「「「はい/うん!」」」」
即答か……
こんな美女達に好かれて俺は幸せ者だな……
「良いぜ、全員幸せにしてやるさ!」
「「「「明久君/明久さん/明久!」」」」
全員が綺麗な涙で顔を濡らし一斉に俺に抱き着いてくる。
俺は両腕を広げて全員を受け入れる準備をする……って
「おい!流石に四人同時は無理だ!待て!」
「「「「もう待てない!」」」」
「ちょ、うわぁぁぁぁぁっ!」
その後俺は受け身を取れず地面に頭をぶつけてしまい三時間後に目が覚めた。