「……これは教室か?」
二年生の頃はほとんど足を踏み入れなかった三階に足を踏み入れると通常の教室の五倍の広さはあろうかという教室が俺達のことを出迎えた。この世界の本来の世界の道筋の知識によればこれがAクラスの教室らしいが……
「豪華過ぎますよね……」
アテンの言うとおり豪華過ぎる。
ぱっと見ノートパソコンや個人エアコン、冷蔵庫まである。
更に見渡してみると壁には格調高い絵画や観葉植物、地面には高級そうな真っ赤な絨毯等があり高級ホテルのロビーのようだ。
「ここでヒルデちゃんとは一回お別れだね」
「……ん」
少し残念そうな顔をしてヒルデはAクラスの教室へと入った。
それを見届け俺達はFクラスへと向かう。
その途中
『ああ、篠井さん、おはようございます。
クラス代表として挨拶をお願いします』
そんな声が聞こえた。
ヒルデがAクラスの代表か……
大変そうだ……
Fクラス教室前
「……ここは本当に教室か?」
「まるで山小屋の様ですね……」
Fクラスの教室の前まで来たが……Fクラスの教室は閻魔の言うとおりまるで山小屋の様。
この世界の本来の道筋の知識で知っていたとはいえこれは酷い……
「と、とりあえず入るぞ」
と言って思い出す。
確かこの世界の本来の道筋ならばここで俺はクラス代表の雄二に罵倒される。
罵倒されると恐らくクレア達は黙っていないだろう。
雄二はクレア達の逆鱗に触れて……
「まぁ、その時は何とかするか」
自惚れる気はないが今の俺は全力の五人と戦っても余裕で勝てる位の実力をつけている。
もしもの時は固有結界を張って五人を止めれば良い。
そんなことを思いながらゆっくりと扉を開く。
「遅刻してすいませんでした」
そう言って固有結界を張る準備をする。
すると
「いえ、別に大丈夫ですよ」
そんな少女の声が聞こえた。
俺はその声の主を見る。
その少女は美しい紅い髪のストレートにでかいm……げふん!
とにかくスタイル抜群で美しかった。
「自己紹介が遅れましたね。私は坂本美子。このクラスに居る坂本雄二の妹でこのクラス代表です」
学園生活三日目。
俺達はいきなり転生者を発見した。
坂本美子―――神無月中学校。この世界の本来の道筋に出てくる人物『坂本雄二』の妹。
成績は坂本雄二とほとんど同じで今回はたまたま坂本美子の方が坂本雄二よりも点数が高かった。
俺の頭の中にそんなデータが流れてくる。
そう言えば誰かが言っていた。
神はその者が転生者であるということを認識すると頭の中に転生者のデータが流れてくると。
「坂本美子……だったな。俺は吉井明久だ。
席は決まっているのか?」
「え……あ、適当だそうです」
「は?どこまで適当なんだよ……」
そう言いながら俺は呆れた演技をする。
先程の反応から見てこいつは間違いなく転生者だろう。
それ以外にもこのクラスには二人程居るか……
その内邪な心を持っているのは……一人か。
俺はそんなことを考えながら空いていた席に座る。
すると、クレア達全員が俺の近くに固まった。
図に表すとこんな感じだ。
| アテン アテナ デメテル
|
窓 閻魔 明久 クレア
|
| 転生者 モブ モブ
|
―――――――――壁――――――
一応言っておくが席の数は横が5、縦が10だ。
と、先生が入ってきたから説明は終了だ。
「え~、皆さん、おはようございます、二年Fクラスの担任の福原慎です」
先生は俺達を見渡しながらそう言ってから黒板に名前を書こうとして……やめた。
うわっ、チョークすら完備されてないのかよ……
「皆さん全員に卓袱台と座布団は支給されてますか?不備があれば申し出てください」
いや、不備だけだと思うんだが……
「せんせー、俺の座布団に綿が入ってません」
「我慢してください」
「せんせー、俺の卓袱台の脚が折れてます」
「木工用ボンドが支給されてますので直してください」
「せんせー、窓が割れてて寒いです」
「分かりました。ビニール袋とセロハンテープの支給を要請しておきます。
必要な物があれば極力自分で調達してください」
流石Fクラス……
「では、自己紹介をしてもらいましょうか。
廊下側の人からよろしくお願いします」
福原先生の指名を受けて廊下側の生徒の一人が立ち上がり自己紹介を始める。
「木下秀吉じゃ。演劇部に所属しておる」
おお、秀吉か懐かしいな……
相変わらず女と間違われそうな顔だ。
「……土屋康太」
っと、こっちも懐かしい奴だ。
相変わらず無口だな。
「―――――です、海外育ちで日本語は会話はできるけど読み書きが苦手です。趣味は――――」
お、この声は……
「吉井明久を殴ることです♪」
やっぱり、島田か。
相変わらずピンポイントかつバイオレンスな趣味だな。
はいはい、クレア達、島田を睨むな。
島田が震えてるだろうが。
「こほん、吉井デメテルだ。
明久の婚約者だ」
『『『吉井を殺『うるせえんだよ、このバカ共が!』がはぁっ!』』』
今起こったことを簡単に説明しよう。
1.デメテルが自己紹介した瞬間にFFF団が俺に襲いかかろうとする。
2.転生者(1)がFFF団を殴り飛ばした。
それだけだ。
「ふぅ……原崎哲也だ。
特技は喧嘩とゲーム。よろしく」
こいつ転生者か。
さて、データは……来た来た。
原崎哲也―――神無月中学校出身。よく坂本雄二とつるんでいる、不良。
『死神』と呼ばれ闇社会では恐れられている。
成績はBクラス代表並だが試験当日に不良達に絡まれ試験を受けられなかった。
口は悪いが好青年。
なるほど、敵対することはなさそうだな。
問題はもう一人の転生者か。
そんなことを思っている間にもクレア、アテナの自己紹介が終わり俺に順番が回ってきた。
俺はゆっくりと立ち上がり自己紹介を始める。
「吉井明久だ。クレア、閻魔、アテン、アテナ、デメテル、今挙げた五人は俺の女だから手を出しやがったら……コロシテヤルカラナ?」
『『『い、イエッサー!』』』
俺の言葉に原崎ともう一人の転生者を含める男子全員が敬礼して答える。
クレア達、そんな目で見ないでくれよ……怖いから……
俺はそんなことを思いながらゆっくりと座る。
さて、残るはまだ来ていない姫路ともう一人の転生者のみか……
そんなことを思っているともう一人の転生者が立ち上がり自己紹介を始めた。
「中岡信也です。よろしく」
『『『美形は帰れ!』』』
うおっ!?FFF団が復活した!?
まぁ、こいつらの生命力はゴ〇〇リ以上だからしょうがないか。
さて、データは……よし、来た。
中岡信也―――今に至るまで様々な女子を強姦し籠絡させてきた男。
簡単なデータだが……クズだな。
クレア達も俺と同じことを思っているのか顔を顰めている。
特に中岡の前に居る閻魔は辛そうだ。
今日帰ったらたっぷりと慰めてやろう。
そうだ、こいつには監視術をかけておくか。
あ?監視術って何だってか?
監視術って言うのは名前の通り監視する術だ。
術にかかった相手を好きな時に監視することができる。
同時に監視できる人数は力の強さで決まり、今の俺は同時に十五人ほど監視することが出来る。
ゼウス様は二十人位だそうだ。
と、そんなことを説明していると教室の扉が開き、一人の女子生徒が入ってきた。
「あの、遅れて、すいま、せん……」
『えっ?』
その女子生徒とは姫路瑞希のことだった。