「吉井明久さん、試練が終わりました」
そう言ってきたのは僕をここに案内した案内人。
案内人は僕を引き上げて服を差し出した。
僕は差し出された服を受け取ってその服を着る。
その最中案内人が
「ハッキリ言って驚きました」
そう言ってきた。
僕は服を着ながら尋ねる。
「何がですか?」
「人間であるあなたがこの試練を乗り越えたことです」
案内人がそう言った時僕が服を着終えた為案内人は『ついて来てください』と言ってゆっくりと歩き出した。
そして先程の言葉をこう続けた。
「私が知る限り人間がこの試練を乗り越えたことはありません。
それなのに人間であるあなたは乗り越えた。
あなたには神の素質があります」
「そう言ってくれると嬉しいです」
そんなやり取りをしていると前方にある影が見えた。
肩まで伸びている黄色の綺麗な髪。
それだけでその影が誰のものか分かった。
クレアだ。
それが分かった瞬間思わず僕の表情は緩んだ。
それを見てか案内人がこんなことを言ってきた。
「それでは、私はこれにて失礼します。
ナニをしても構いませんよ?」
「え、ちょ!」
僕の制止の声も聞かず案内人は何処かへ消えて行った。
あの管理人め……!
いつかしばいてやる……!
そう思いながらゆっくりとクレアが居る方へと歩き出す。
するとクレアが僕に気付いたのか僕の方に走って来た。
「明久君!」
名前を呼ばれて僕は腕を広げる。
クレアも腕を広げながら駆け寄って来た。
そして――――
「「明久君/クレア!」」
僕達は抱き合った。
アテンの部屋
「「//////」」
再会した後僕達はアテンの部屋に来ていた。
僕の試練合格の打ち上げをするそうだ。
え?何で僕達は顔を赤らめてるのかって?
えっと……その……あの後若さが暴走して色々とやってしまったんだよ///
結局案内人が言ったナニもやっちゃったし……
あ~!思い出しただけでも顔から火が出そうだ!
「ふふっ、クレアも無事に思い人と結ばれたみたいですね」
後ろからそんな声が聞こえて後ろを見るとそこには黒い髪をポニーテールにした綺麗な少女が居た。
「「閻魔(さん)!」」
え、閻魔!?閻魔ってあの地獄の罪人を裁くって言うあの!?
「初めまして、吉井明久君。
私は冥界の総司の閻魔です。
ある人からあなたが試練を乗り越えたら盃を交す様にと言われていたので参上した次第です」
「ある人って誰ですか?」
「私達の友……いえ、兄弟と言っても良いかもしれませんね」
「へぇ~って、僕未成年だからお酒はちょっと……」
未成年で酒を飲むのは禁止されてるからね。
美人のお誘いでも断らないと。
でも、閻魔は
「神なんだから別に平気ですよ」
と言って譲らない。
こう言う人って絶対に譲らないからな……
しょうがない……誘いに乗るか。
「分かりました、飲みます」
過去に戻れるなら僕はどんな手を使ってでもこの誘いを断るだろう。
「あきひしゃくぅ~ん、もっとのもうよぉ~」
「あきひしゃしゃ~ん」
「うふふっ……」
何でこうなったんだろう?
皆、ただ楽しくお酒を飲んでいただけなのに……
いつの間にか飲み比べになってて……
僕が一番になってて……
皆酒癖が悪くて酔いつぶれちゃって……
もう誰も神様の威厳なんて全くないよ……
「………」
クレアが僕の顔をじっと見ていた。
「クレア、どうかしたの?」
「……明久君って髪の毛を黒く染めたらもっとかっこよくなるんじゃない?」
「へ?」
クレアの言っていることがいきなりすぎて意味が分からなかった。
すると
「じゃじゃ~ん!毛染め剤~!」
ドラ〇もんみたいなノリでクレアがどこからか出したのは髪染め剤(黒色)
あれ、何か僕拘束されてる?
「あきひしゃしゃ~ん、ごめんなさい~」
「私も見たいんですよ~」
二人共凄く良い笑顔だね~
でも……
「離して~!文月学園では髪を染めるのは禁止されてるんだから!」
鉄人の鉄拳が来る!
皆にからかわれる!
「大丈夫♪神の力で記憶操るから♪」
うわぁ~神様の力便利だね~♪
「ふふっ、覚悟してね~♪」
「い、いやぁぁぁぁぁっ!」
少しして
「こ、ここまでかっこよくなるなんて////」
「す、少し予想外でした////」
「い、イケメンですね////」
皆が顔を赤らめて僕を見ている。
かっこいいって言ってくれるのは嬉しいんだけどね……
何だか前の僕がかっこ良くなかったみたいで複雑だ……
「そ、そう言えば明久。ちょっと修行しない?」
「修行?どうして?」
「えっと……神にはそれに相応しい力が必要なんだよ」
クレアはそう言うとアテンと閻魔の方を向いて内緒話を始めた。
「(クレア、あなた何を考えているのですか?)」
「(二人共、明久が鍛練をしているところを想像してみなよ)」
「「(か、かっこいい!)」」
「(でしょ?それに明久が一生懸命頑張ってるところもかっこいいと思わない?)」
「「(思う!)」」
「(それに……私達神には敵も居るしね……私達がいくら強かろうとも明久を守りながらは戦えないよ)」
「(敵のことを明久君に説明しないんですか?)」
「(明久君にはまだ早いよ)」
ある程度話し終わったのかクレア達は僕の方を向いた。
「それじゃあ、明久君。ついてきて♪」
そう言ってクレアは僕の手を握って歩き出した。
宮殿
少し歩いて宮殿らしき所に着いた。
「明久君、ここが訓練場だよ」
そう言ってクレアが宮殿の扉を開ける。
そして、中に入るとそこは相当広い道場みたいな場所だった。
「明久君、ここで明久君を鍛えるの。
色々辛いことになるだろうけど良いかな?」
「良いよ、神様として相応しい強さになる為ならね」
それに……クレア達が隠していることを打ち明けられる位は強くなりたい。
そして、三人の役に立てるようになりたい。
その為ならどんなに辛くても、人が変わっても良いさ。
「それじゃ、始めようか」
こうして僕達の修行が始まった。