垂れ流し文章尚且つ誤字脱字があるかもしれないので、大変読み辛いとは思いますが、そこはご容赦を。
ではでは!
八幡「ぐっ! マジ... かよ... んっ!!」
左脇腹から体の中に向けて冷たい棒を無理矢理差し込まれた様な酷い激痛が襲い、頭の中が痛みと恐怖で埋め尽くされる中、この激痛が向けられた二人から悲鳴にも似た声が発せられ、痛みで飛びそうになる意識を未だ繋ぎ止める。
由比ヶ浜「きゃああああああああ!!」
雪ノ下「ひっ!!」
俺は修学旅行先となる京都の地にて、これが青春ラブコメだといえる『告白』の場で、自分勝手な奴等の為に3年ぶりに『好きでは無い』人に向けて告白した。
それ自体は何ら問題では無い。 何時もの事だからな... だが、その後、奉仕部の二人に失望と否定の言葉を貰った事の方がキツかった。 そして、ここ最近京都近辺で発生している婦女殺傷事件の犯人と思しき人物が鋭利な刃物の様な物を持って現れ、由比ヶ浜と雪ノ下に向かって走り出した時には体が勝手に動き出し、こんな事になっていた。
何してんだよ俺... ばっかじゃね?
そんな事を思いつつ、俺を指した犯人に対するこれが最初で最後になるであろう反抗として、脇腹に走る激痛に耐えながら、犯人がその手に持つ刃物のその柄を震える左手で掴んだまま体を右回転させ、遠心力を乗せた右手の拳を相手に打ちつける。
犯人「ぐはっ!」
八幡「んぐっ!」
そんな事をすれば当然とばかりに左脇腹の痛みは激しさを増し、相手を殴った右手の痛みは感じないまま意識が遠のいて行く。
そんな俺の目に映る景色は段々と右に傾き、ついには右頬に枯れた笹と冷たい土の感触が感じられると同時に激痛は更に激しくなり、ドックン、ドックンと右脇腹から流れ出しているであろう血の脈動が周りの音を掻き消し耳の中で木霊する。
何かマジでヤバいな...
段々と意識が遠のく中、俺に近づき涙を流しながら驚きと疑念と悲しみと憐みを含んだ瞳で俺を見詰める二人の顔が見える。
雪ノ下『上手く説明出来なくてもどかしいのだけれど...... あなたのそのやり方、とても嫌い』
由比ヶ浜『何で色んな事解るのに、それが分かんないの? ... ああいうの、やだ』
その瞳が先ほどまで彼女達が溢した言葉を思い出させ、未だ俺の事を責めている様にしか見えない...
そうか... 俺が求めたものはこんな物だったのか...
ただ漠然と『そうか』と納得してしまう。 そう、欠けていた心の部品がストンと言った感じで自然と其処に収まるかの様に...
やがて、少しづつ簿やけ始めていた視界には既に何も映っておらず、体が冷えて来て先ほど感じた激痛も引き始め、手足の感覚が遠のく... そうか、俺はもう死ぬのか...
簡単に己が死を受け入れつつ、これまでの人生を顧みる。
両親からも愛されず
他人からも愛されず
動物さえ懐かず
辛うじて、友人と呼べる人様な奴は先生と戸塚だけ
本当に愛情と呼べるものを俺に向けてくれたのは小町だけ
何時も辛い事ばかりで
殆どの時間を一人で過ごしていた。
あぁ、楽しい事なんて何一つ無い17年だな...
それに、
本物なんて何処にも無かった...
そう、俺の人生には、
何の意味も無かったんだな...
そうして俺は生と意識を手放した。
・・・
・・
・
??「エリス様! ありがとう!!」
エリス「この先、あなたに祝福のあらん事を! それでは、さようなら」 ニコリ フリフリ
・・・
エリス「ふぅ~~ これで10人目ですね。 いくら臨時とは言え、いきなり地球のしかも日本を担当させられるなんて... 上の人達は向こうの世界の事をあんまり考えていないのでしょうか? それにしても、人が多いとこうも死ぬ人が多いのですね... 悲しい事です」
私は女神エリス。 この世界とは違う世界の『幸運の女神』と言われる存在で、天界に住む所謂神様です。 それで、女神様は何をしているかと言うと、悪人以外の死んだ人の道先案内人として『天国』か『同じ世界』か『異世界』の何れに『転生』したいか、死んだ方々と色々お話しをして、本人が希望する世界に『転生』するのが私達『女神』の仕事です。
それで先ほども言っていましたが、本来であれば私の担当は『地球の日本』では無く、全く別の異なる星の違う成長過程を得た世界が担当なんですが、ここの担当者が女神のライセンスの更新を忘れていて、急遽、ライセンスの更新に行くにあたり、その方の代理として死者の少ない世界を担当している私がこの世界に来て死者を導いております。
キラキラキラ ...
もう、次の人が来てしまいましたね。 しかし、日本と言う国は小さい島国なのにこうも人がいるだなんて... さて、今度の人はどんな人生を歩んで来たのでしょうか...
エリス「えっ!! ... 」
生まれた時から、可愛くない顔の男の子だからと両親から残念がられ...
直ぐに、育児所に預けられ、そこでもただの『もの』の様に扱われ...
保育園でも、可愛げが無いからと同じ園児や保育士にまで疎まれ...
妹が出来てからは、両親からも疎まれ...
そんな妹に請われ、自分の時間まで妹の為に使い...
小学生~中学生まで、友人の一人もおらず...
酷い非難中傷を受けながらも、誰にも文句も言わず...
苛めにもたった一人で耐え抜き...
他人に絶望しつつも、頼み事をされては嫌とは言わずにこなし...
他人の為に自己を顧みず、例え相手が動物でもその身でもって救い...
世の中の理不尽に心の中で文句を言いつつ、常に他人を思いやる優しい心を持っている...
そう、まるで捻くれた聖人の様な...
そんな、悲しいまでに心優しい少年。
今迄色々な人の人生を見て来たけど... 駄目! 涙が止まらない!! 今のまま彼に会っても嫌な思いをさせしまうかも知れないのに... でも...
フィーーーーーーーーン
キラキラキラキラキラ
私の目の前に現れたのは、全てを諦めた様な、そんな虚ろな瞳の少年だった。
・・・
・・
・
ん? 何かポカポカしてて... 気持ちがいいな...
微妙に明るい感じがするが、起きるには未だ早い時間なのか...
しかし何だ。 今は未だ寒い時期なんだが、意外と暖かいって言うか布団を被っていないし、背中が妙に痛いが... 今は... 椅子に座ってる感じ?
そういや俺、何処かに行っていた様な気がするが... ん? ?! 確か修学旅行先で連続婦女暴行魔に刺されて?!!!
八幡「はっ!! ... ?!!」
目を開けたその先には、青いベールハットと派手目な装飾の服に身を包んだ銀髪碧眼の美女が、俺に寂しげで悲しげで切なげな、そんな感情の入り混じった様な瞳を向けながら涙を流している。 そう、まるで大切な物を失ったかの様な、それでいて大切な人の事を心から心配している様な、そんな心優しい、まるで女神の様な優しそうな人が...
ズキッ!
そんな彼女を見ていると胸の中に痛みが走ると同時に、頭の中がクリアになるに連れて視界が明確になり、視野が広がってくるに従い止まっていた頭が回り出す。
其処はまるで映画に出て来る宇宙空間の様な場所に幾何学的な魔方陣らしきものが絵描かれており、そこに2つ俺が座っているものと女神の様に綺麗な女性が座っている木で出来た椅子が2つあるだけの、そんな不思議な空間だ。
そして、今の俺の体には傷はおろか、強姦魔に刺された傷も痛みも、あの時切れたはずの制服も普段通りで靴も汚れておらず綺麗なままだ。 そしてそれの意味する所は、今の俺が病院で治療されて此処に居ると言う事でも無く、あの時のままの状態と言う訳でも無く、まるで夢やアニメやマンガの様にここは死後の世界なのでは?、という思いが強くなる。 勿論、そこに最初から居るであろう目の前の人物は、当然神かそれに近い存在なのだろう。 だから思う。
やはり俺はあの時に死んだのだと...
そして、その事を理解しているであろう目の前の人が、未だ俺の事を涙ながらに見つめているのがその証拠とも言える。 だが、それは俺が勝手に想像している事であり、その事を確認すべく目の前の人に聞き質さねばならない。
そう、俺が何処から此処に来て、此処から何処に向かうかを。 しかしながら、先ずはその前に彼女の泣き止むの待たなければならない。 余りに悲し気に、そして美しく涙するその女性の心が落ち着くまで...
・・・
・・
・
彼女を意識してから、時間にしてどの位経ったのか分からないが、凡そ5分程だろうか。 漸く涙が止まり、思い遣りに溢れた優しい瞳を此方に向けつつ、彼女は先ほど俺が想像していた事を肯定する言葉を投げかけて来た。
エリス「比企谷八幡さん。 ようこそ死後の世界へ。 わたしは、あなたに新たな道を案内をする女神エリス。 この世界でのあなたの人生は... ポロリ 終わったん... です...」
やはりそうか... でも、何であんたは俺の為に泣いてるんだ? それこそ、日本では年間死亡者数は129万位で、一日約3500人も死んでるのにその度に涙を流すなんてする訳が無い。 やっぱ俺みたいな人生底辺しか歩いてない奴なんてそう居ないから哀れんで涙を流しているのか? もしそうなら、そんな同情は要らない。 それに、俺は自分自身でこうなる道を選んだんだ。 だから自分勝手な思いで人を哀れんでんじゃねよ... そう、普段ならそんな風に突き放すんだが、この人のこの目は... ズキッ でも俺は...
八幡「... あんた。 何で泣いてる分からねえが、俺を哀れんで泣いてるなら止めてくれ!」
エリス「っ!!」 ポロポロ
俺の言葉を聞いて俯いてしまった女神エリス。 これで彼女が多少なりとも俺の事を嫌ってくれれば泣き止んでくれるだろう。 それに... あんたの涙はもっと頑張ってんのに報われずに死んだ奴や、理不尽な目に遭って死んでしまった子供達の為に泣いてやれよ。 その方がお互い多少なりとも報われんだろ。
そんな事を考えながら彼女の言っていた『新たな道』について考える為、目を瞑った所で...
スタスタスタ ギュッ!
急に頭を抱き締められる。 仄かに甘い香りと柔らかく暖かい何かに... そう、知らず知らずに俺に近づいて来ていた女神エリスによって。 そして、彼女の流す涙の雫で俺の頭を濡らしながら、彼女は俺の心に自分の気持ちを伝えようと、小さく可愛いらしい口を俺の耳元寄せ、愛を呟く様に自分の想いを語りだした。
俺の過去の出来事とその時の俺の想い。 そして、そんな俺に対する彼女の思い遣りの言葉とその場で俺に取って欲しかった行動と、もし自分が居てあげられたらと言う、女神の考えとは思えないIFの話を...
保育園で一人で遊んで居た時
小学生でクラスから爪弾きにされていた時
中学の告白や痛い発言で軽い苛めにあっていた時
高校で、理不尽な依頼を解決する時
親に愛情を向けて貰えない時
誰にも心の内を相談出来ず、ひとり寂しく思い悩んでいた時
友達の居ない俺が友達を欲していた時
初めて本物を求めていた人生最後の時
俺が人生で苦しい時や悲しい時、悩んでいた時の俺の心の内を言葉にしつつ、俺を励まし、叱り、慰め、喜び、悲しむ。 そして、俺と一緒に居れたらなら俺と一緒に幸せになれただろうと言ってくれる。 言葉にしなくても、体に触れあわなくても、隣に居なくても、それでも解ってくれる。 俺の想いも全て... それは俺の求めた...
『本物』
そうか... いくら探してもあの世界で本物なんて見つかる訳が無いはずだ。 何故なら、本物は今目の前にあるから... だが、折角見つかった本物と想える人とも、ここでお別れだ..
やはり死ぬ間際で感じた通り、何も得られない俺の人生に意味は無い...
何時しかエリスの言葉は止んでおり、心が枯れたはずの俺も一緒に涙を流しながらエリスを抱き返していた。 初めて会った女の子?を泣きながら抱き締めるとか何してんだ俺! こんな時でも黒歴史更新とか、どんだけ恥さらしな事してんだよ...
恥ずかしさを紛らわすべく、エリスから手を離し、詫びの言葉を投げかける。
八幡「わ、わりゅい...」
噛んじまったよ... 何かもう恥ずかしくてダメだ...
エリス「え、ええと... わ、わたしも、急に抱き着いてしまってすみません...」 モジモジ
二人「・・・」
やべえ... この場は二人きりなのにこんな微妙な空気とか俺にはちょっと無理だわ。 頼むからコミュ力ありそうなお前が何とかしてくれ...
そんな期待を込めつつ、もう二度と訪れる事が無いであろうこの空間を眺めていると、次が支えているのか何か分らんが、エリスが口早に本来の目的について話掛けて来た。
エリス「コホンッ! ええとですね。 あなたには3つの選択枝があります」
①今迄住んでいた世界で人生を最初からやり直す。 但し、今迄の記憶は一切消えてしまう
②天国に行って、存在するだけのモノになる
③今の自分そのままに、異世界に行き魔王を倒す
... ええと、最後の③は何だ? ラノベの異世界転生ものなのか? もしそうなら、今迄死んだ人が何人もそこに行ってるとしたら、未だ魔王を倒せていないと言う事だよな... 多分、現地の人では無理で尚且つ人口が減っているからこんな事してんだな。 それと、②の天国って所は自我だけが存在出来る場所なのか、存在するだけの『モノ』になると言ってるから、精神が崩壊しそうでダメだ。 ①は... また同じ様な苦しみを味わないといけないのか? 記憶を引き継いでいるならそれも回避出来るが、それも出来ないなら①は無い。
それより俺は、初めて会った目の前にいる『本物』と言えるであろうエリスともう少し話をしていたいし、一緒に居たい。 もし、天国という場所とここで行き来が出来るのなら、天国もありかもしれないな。 なら、先ずは聞いてみるか。
八幡「ええと、天国って所は此処と行き来は出来るのか?」
エリス「それは出来ません...」 チラチラ モジモジ
何で上目使いで俺を見るんだ? ... そう言えば、俺の今迄の人生における俺の考えが全て分るんだったな... ?! まさか、今俺が考えてる事も分かるのか?
八幡「もしかして、今のあんたは俺の考えが分かるのか?」
エリス「それはその... あなたが今何を考えているか完全には分りませんが、顔を見れば大体は分ります。 それに、その、あなたの過去も見ているので、ある程度予想は出来きます...」
そうなんすね... でも、まぁ、そんな事、どうでもいいしな... それに、死んだと思った時に俺自身消えたもんだと思ってたから、そのまま消えてしまうのがいいな... 人生、記憶を消し去りリセットしてみた所で俺自身が消えた訳では無いから、この負のスパイラルは消えることは無い。 なら俺は...
八幡「ええと、俺自身の魂を消す事は出来ませんか?」
エリス「!!!! 何でそんな事を言うんですか? どうして... 何でですか?」
何であんたは其処まで俺に気を回すんだ? それは女神として必要無い事だろ? そこの所を聞きたいが、結局は俺の質問の意図を聞いて来る事は変わり無いから、このまま彼女の質問に答えた方がいいな。 俺の願いをちゃんと聞いて貰える様、姿勢を正しながら彼女の問いに答える。 頼むから、そんな悲しそうな目で俺を見ないでくれ...
八幡「あんた。 俺が死ぬ前までの考えとか記憶が解るんだろ? なら、俺が最後まで求めていた『本物』が何か分かるよな? それはあんたが示した転生先の何処にも無い。 何故ならそれは此処に...」
エリス「!!!!!」
大きく目を見開き、椅子から立ち上がりながら綺麗な碧い瞳でまっすぐ俺を見据えるエリス。 俺が求めた本物かもしれない人はこんなにも綺麗で美しく、思い遣りに溢れた女神だ。 だから頼む。 その綺麗な瞳を涙で濡らさないでくれ... これで最後になるなら、そんな顔で別れるなんて事はしたくないから...
エリス「... あなたの求めているものと身姿が違っていても、異世界に行けば必ず出会えます。 だから、消えるなんて... そんな悲しい事言わないで下さい!」
八幡「!!」
え?! エリス以外にも俺にとって本物と言える人が異世界に居るのか? 本当に? 嘘を言っていないか? 注意深くエリスを観て見るが... 嘘を言っている様には見えない。 だが、その想いを知る事は俺には出来ない。 けど、
八幡「あんたが嘘を言ってないと誰が証明できる?」
エリス「例え相手が誰であろうが、女神は嘘を付けません。 それは、私自身がそういう存在だから... だから、私を信じて下さい。 それに...」
両手を胸の前で重ね合わせ、涙で濡れるその瞳で俺を強く見つめながら、女神としてでは無く、彼女の胸の中の言葉を俺にぶつけて来る。 その想いが届く様にと...
エリス「女神たる私がこんな事を言うのは駄目なんですが... 私は、私はあなたに幸せになって欲しい。 だってあなたはあんなにも、あんなにも心優しい人だから... そして、あの世界で苦しむ人達に少しでもその優しさを伝えて欲しい。 それに、あの世界の人達も心優しい人が多いから、きっと心優しいあなたにその優しさを返してくれるだろうから... だからお願いします。 今のあなたのまま、あの世界行って下さい。 あの世界なら私の祈りも想いも全て届くから。 あなたの優しい心を守ってあげられるから。 あなたの求める本物もあの世界にあるから...」 ツーーーー
何だよ... 何でだよ... 何でそこまで俺の事を想ってくれるんだよ... 今迄こんな風に気持ちを伝えてくれる奴なんて誰も居なかった。 先生も、戸塚も、小町さえも、此処まで熱い想いで俺の心を想ってくれる人なんて...
ドックン!
胸の内が高鳴る。 あぁ、こんなのは本当に久々だ。 何時の頃から感じ無くなった? そうだな... 夕焼けの指す奉仕部の部室で雪ノ下を初めて見た時以来か...
奉仕部
俺は既に死んじまったが、未だ奉仕部の部員のままだよな? なら、こんなにも真摯に俺の事を想ってくれる女神様の為にもこの依頼を受けるしかない。 どうせ俺は一度は死んだ身だ。 今更異世界で死のうが問題無いだろう... それに、相談に来た依頼は殆ど受けていた様な気がするしな... それと、あの二人が問題を解決出来た事は一度も無かったから、別にいいだろう。
けどあれだ。 魔王討伐が依頼内容だとちょっと無理ゲーな気がするから、異世界転生が依頼でいいよな? 魔王討伐が出来たらって事でいいよな? なら、依頼主に再度確認するか。
八幡「まぁ、その、何だ。 あんたの依頼は異世界に行って貰いたいって事でいいか?」 ガシガシ
エリス「ふぇっ?!」
お? 何か偉いアホな顔が見れたな... さて、異世界に行くにあたって、聞きたい事が幾らかあるから、ちゃんとして貰わないとな...
しかし、何だ。 あんな告白紛いの事を平気で言うなんて、流石リア充は違うな。 いや、女神か... ちょっと、秋葉のコスプレみたいな恰好してるが、マジ可愛いよな... カア! 何か顔が熱いな...
エリス「はい! お願いします!!」
初めて見るエリスの笑顔。 そこで初めて彼女が『女神』だと実感する。 だって、そうだろ? こんなにも綺麗な笑顔なんて、あの世でしか見れないんだから...
・・・
・・
・
あの後、異世界に行くと決めた俺はエリスから今の異世界事情と生活レベル、言葉と読み書きの問題、お金の問題(無銭で行っても餓死して死ぬからな...)、魔王と魔獣、政治形態、冒険者、ギルド、冒険者の生活、貨幣価値と平均年収、今迄送り出された転生者とその末路(大まかに)などの情報を聞いた。
そして、聞いた情報を整理すると、皆さん中々異世界に転生しないらしい。 まぁ、即死ぬ様なものだし、幾ら強力な武器や魔法が使える様にと転生者特典があっても、実際に器用に使い回せるまでに時間が掛かったり、色々と制約があったり、そのもの自体の性質を熟知してないと、真面に使えないだろう事は想像だに出来る。
そもそも、異世界転生なんて、ラノベ好きな中二患者。 所謂材木座的な奴が選択するのだろう。 まぁ、エリスにお願いなんてされたら、殆どの童貞君は向こうに行くんだろうが、エリス自体、ここで女神の仕事をするのは今回だけで、普段は向こうの世界で女神をやっているらしい。 しかも...
チャリン、チャリン 30万エリス
ええと、エリスさん。 異世界で国教にもなっているご神体で、しかも国の貨幣の名前になってるなんてマジすげ~~って、30万エリスも持って行っていいのか? さっきの話だと、普通に2ヶ月は生活出来る金額だよな? まぁ、エリスの好意があっての金額だし、貰えるものは何でも貰っておかないとな。
しかし、エリスは本当に流れる様な銀髪と透き通る様に綺麗な碧い瞳で可愛いな...」
エリス「もう、冗談ばっかり...」
八幡「なんだ?」
エリス「何でもありません!」 プンプン
何故か微妙に機嫌が悪いが... まぁ、いいか。 さて、そろそろ転生特典を選ばないとな...
そんな感じで多少まったりしていると、急に周りの空間が騒がしくなり、急にエリスが落ち着かなくなる。 誰か転送されて来るのか? そんな事を考えていると、早く急げとエリスが俺を急かし始める。
エリス「私が代理をしていた女神が戻って来るとの事なので、すいませんが急いで下さい」
如何やら、本当に急がないといけないらしい。 なら、俺が異世界に持って行くものは... あの時エリスは異世界で本物に逢えると言ったが、俺が本物かもしれないと思っているのはエリス自身だ。 けど、エリスは女神でその住まいは天界というか、此処と同じ場所だ。 だから、俺が異世界で死ねば会えるが、それはたった1回だけって事になる。
けど、あの時のエリスの口ぶりからは、死んでまた会えると言う意味に聴こえなかったし、今迄のエリスとの会話で分かったのだが、エリスは何時も誠実に相手の事を思って、嘘偽りなく此方の質問に答えてくれる。 だから、そんなエリスを疑う事は間違っていると、俺自身の心の声が言ってはいるものの、自然と頭の中でそんなものはまやかしだという声も聞こえる。 それに俺は、幾度と無く人に騙されて来たから安易に人の言う事が信じられない。
だから、自然とこんな事を思ってしまった。
『俺は本物が欲しい』と...
その瞬間、俺とエリスの床にまるで魔方陣の様な円形を基本とした幾何学的な模様が描き出され、強く光り出しながら、頭上に回廊の様なものが伸び始める。 それと同時に、先ほど以上にエリスが慌て始める。
エリス「え?! 何で私まで転送されるんですか? 何で? どうして?!」
そんな慌てふためくエリスを宥める様に、斜め上の空間から先ほどと同じ様な魔方陣が描きだされ、そこからエリスに似た格好をした緑色の服と髪の毛をした、女神と思しき人が現れ、エリスに飛んでも無い一言を投げつけ、更にエリスを慌てさせる。
???「あらあら。 子弟仲良く転生特典で送られるなんて、やっぱりアクアと仲が良かったのね!」
エリス「!!!!!! 本当ですかトレスさん! 本当に私が特典に選ばれたんですか?! 八幡さん!」 ジロ
トレス「はい。 そこの目が腐りかけた人の願いが受理されたから、そうやって一緒に転生されるんですよ。 諦めてアクア先輩と一緒に頑張って下さいね! では~~~」 バイバイ
まさか、さっき思ったあれがそうなのか... 俺的には嬉しいが、エリスは嫌だったのか... なら、ちゃんと謝らないと。 嫌な思いをさせて済まないと...
八幡「エリス。 その、悪い。 だが、俺が望んだのは『本物』なんだが...」
エリス「八幡さんが望む... 本物が... 私... なんですね...」 モジモジ
顔を真っ赤にしたエリスが上目使いに此方をチラ見して来る。 おう... 何かすげえ怒ってるのは良く分るが、其処まで怒るのは... 当然か... なら、向うに着いたら先ずは土下座だな。 それより、まだ転送が完了してないから、キャンセルが効くか聞いてみるが...
八幡「トレスさんだっけか? これは取り消せないのか?」
トレス「システムで受理されたから、キャンセルは出来ません。 それに... アクアさんの時と違って、エリスも喜んでるから心配要らないですよ~ だから、心配しないで魔王討伐頑張って下さい。 では~~~~~~!」 フリフリ
天界までシステムなんだな... 俺の居た世界と一緒で天界もシステム化が進んでんのか... その内、天界と地上界がネットで繋がったりしそうな気がするな。
そんな事はいいとして、同じ異世界に転生されてもエリスと離れて離れになったら意味が無いから、頭の上の光の柱に吸い込まれて行く体をエリスに寄せるべく、両腕で宙を泳ぐ様にエリスに近寄り、同じ様に俺を求めるエリスの手と手を繋ぎ、お互いに相手の顔を見詰め合う。
そして、自分の左手に握る彼女の暖かい手を感しつつ、この先も決してこの手を離さないと強く心に誓いながら、俺の体と意識は光の中に消えて行った。
こんな感じの作品を不定期更新で上げて行きます。
どもども!