第4話です。 長いです。 出だしはつまらないです。 すんません!
という事で、スキル習得とクエスト、カズマ御一行との会合の話しです。
ではでは!
エリス「それでは皆さん。 八幡さんに教えて頂けますか?」 ニコニコ
テイラー・ダスト・キース・リーン「「「「イエェス! マアム!!」」」」 ガクガク
エリス「八幡さんも真面目に教わるんですよ。 いいですか?」 ニコニコ
八幡「イ、イエス、マアム!!」 ガクガク
や、やべぇ... 普段は天使なのに、何時も女神なのに、こ、こんなに怒るなんて... 雪ノ下とエリスに『胸』の 「八幡さん!」ギロッ! ハイ、ナンデモナイデス... 超、怖えぇよ...
しかし何でこうなった? 最初はスキル習得の為にって事で、冒険者ギルドで屯している『テイラー・パーティー』にエリスが一声こえを掛けただけだよな?! それなのに、ダスト?とキース?とか言うお調子者の二人がエリスの事を弄るからこうなったんだろうが!! えっ、違う? ハイ。 オレノセイデス。 ゴメンナサイ。
そう、それは今を遡る事、一時間程前の出来事だ...
・・・ ・・ ・
朝からニーナの件でエリスからお説教を喰らった俺だが、何とかエリスの機嫌を取り直し、二人仲良く朝食を食べた後で地縛霊から浮遊霊に格上げ?になったニーナに家の警備を頼んで家を出て、先ずはとお金と言う事で大工ギルドに向かってお約束の24万Eを受け取りに行き、除霊は成功?(地縛霊はその場所に憑くので、俺が居なくなれば霊も居なくなるので、除霊は成功と言える、はず?!!)したと伝え、24万Eを受け取った。
貰ったお金でエリスに歩きながら食べられるクレープっぽい奴をご馳走して、機嫌を完全に直してから冒険者として必要な装備を買おうと言う話になったんだが、スキルを決めないと装備も決まらないだろうと言う事で、じゃあ、職業固有スキル以外のスキルについてはスキル保持者にスキルを見せて貰って覚える必要があるから、序でに相談場所もそこでいいだろうと言う事で冒険者ギルドに来た訳だ。
そして、長机の奥で二人頭を寄せ合いスキル構成について話し合いをした結果、以下のスキルを習得する事になった訳なんだが...
※()内は教わる相手と必要有無
盗賊(???):窃盗、宝感知、罠発見、罠解除、解錠、バインド、ワイヤートラップ
剣士(???):片手剣、武器防御、斬撃、受流し
弓兵(???):弓、狙撃、千里眼
魔法(???):火生、水生、土生、風生、氷結、スリープ、パラライズ、フラッシュ、ファイアボール、フリーズガスト
僧侶(エリス):ヒール、解毒
固有(不 要):心眼、隠形、気配察知
スキルポイントが多いお陰で色々と覚えられる様だが、何故低レベルなのに多くのスキルポイントを保持しているか謎だったのでエリスに聞いた所、女神トレスが転生者特典が他の転生者と比べて強力では無いので、不足分の補助として『固有スキル』と『スキルポイント』と『初期値+α』をしてくれたそうだ。
それで、何故そんな事をしてくれるかと言うと、前例の特典となった『水の女神アクア』が、特典どころか相手の冒険者の足を引っ張っていたらしく、他の転生者と比べた時に公平を欠いている様にしか見えなかったからだとか何とか... きっとあれだ。 特典に女神様を選んだから罰が当たったんだと思うんだがな...
まぁ、そんな事でスキルポイントの使い道を決めた俺達は、じゃあ、プリースト以外のスキルについて誰に教わろうかと考えてた時、一般的なパーティー構成なら一通り教わる事が出来ると言う事で、丁度俺達の席の近くにいたパーティーに声を掛けた所、そのパーティーが『テイラー・パーティー』だったと言う訳だ。
そして、そのパーティーに向かってエリスが声を掛けた時...
エリス「すいません。 少し宜しいですか?」
ダスト「何だい、お嬢ちゃん。 俺とデートがしたいのか?」
キース「お前をデートに誘う物好きなんていねえよ! デートするなら俺にしな!」
リーン「話しが出来ないから、あんた等二人黙ってなよ。 で、あんた名前は?」
エリス「私は『エリス』と申します。 それで、パーティーの皆さんにお願いしたい事があるのですが、この後予定とかありますか?」
テイラー「俺らはこの後何も予定は無い。 で、あんたのお願いってのは何だ?」
エリス「スキルを習得したいので、お願いできませんか? 1スキルにつき300E支払いますので」
テイラー「ほう。 金をちゃんと払ってくれるのか... どんなスキルを習いたいんだ? それによっちゃ教えられねぇかもしれねえから教えてくれ」
エリス「ソードマンとアーチャーと盗賊と魔法使いのスキルです」
テイラー「なら問題ねぇな... お前らどするよ?」
ダスト・キース・リーン「「「OK!」」」
テイラー「エリスって言ったか?! あんたの依頼受けるぞ」
エリス「ありがとうございます。 あ! 八幡さん。 OK貰えましたので、こっちに来て下さい」
ダスト「ところでアイツはあんたの彼氏か何か?」
キース「俺も気になってたんだ! で、どうなんだ?」
エリス「か、彼氏?! そ、そんなんじゃありません!! それに...」 フリフリ
ダスト「マジで? 俺だったらこんな美少女放っとかねえけどな!」
キース「マジそうな! それに、エリス様に瓜二つじゃねえか!! たまんねぇな!」
エリス「そんな...」 モジモジ
ダスト「それそれ! エリス様に似て... !!! まぁ、顔だけはな...」
キース「?! ジーーー !!! あ、あぁ~ そうだな...」
ダスト「残念だな...」
キース「そうだな...」
エリス「?? 何が残念なんですか?」
八幡「え、ええと、話しの最中に済まない。 エリス、この人達に教えて貰うって事でいいのか?」
エリス「はい! じゃあ、改めて自己紹介します」
その言葉を皮切りに、お互いの名前と職業を自己紹介して行く。 此奴等は四人でパーティーを組んでて、戦闘に特化したパーティーらしく、回復役のプリーストが居ない変わった編成ではあるものの、俺達二人が習得したいスキルは『プリースト』以外の職業なので、俺達の希望に沿う職業編成だと言える。
お互いの紹介が終わった所で、俺達が習いたいスキルを教えて、そのスキルの良し悪しを教えて貰い、習得するスキルの取捨を決めて行く。 そして取得するスキルを確認した所で、急に『ダスト』と言う奴が妙な事を言い出した。
ダスト「ホント、良く観れば見る程エリス様に似てんな。 けど... ハッキリしとした違いがあって間違う事は無ねぇなぁ~ 良かったな、エリスw」 ジーーー
エリス「?」
キース「ホントそれな! しっかし残念だな! エリスw」 ジーーー
エリス「??」
テイラー「お前ら何言ってんだ? ? ?! !! あぁ、確かに残念だな... まぁ、しょうがねえよ。 気にすんな、エリスw」 ジーーー
エリス「???」
リース「あんた等何言ってんのさ? それに、こんなにエリス様に似てるのに違いなんて... そうだね... まぁ、エリスって言ったっけ。 まだまだ伸びしろがあるから、きっと大丈夫さねw」 ジーーー
エリス「???? 私がどうかしかしました? それにエリス様との違いって... 八幡さん、何言ってるか分ります?」
八幡「ん? 何だよ違いって。 そんなの...」
俺はこの世界で崇められているエリスと目の前のエリスについての違いを見つけるべく、暖炉の上の額縁に飾られているエリス様の肖像画を見る。 ホントそっくりだよな... ん? 昨日も感じたこの違和感は... あぁ... もしかして...
エリスの方に振返り、違和感を感じた場所を確認するが... 減ってるな。 かなり減ってるな。 そりゃ、CとかDからÅとかBに減ってるな... もう、レベルが違うくらい差があるな。
そして、再度その違いを確認すべく、その部位を見比べてみる。 俺のそんな行動を見たテイラー一行も同様に、その部位を見比べては頭を縦に振りつつ『うんうん』と納得している。 さて、ファイナル・アンサーはどう答えればいい? 俺から答えるのは不味く無いか?! 今後のお互いの為にも... そんな事を考えている所で、
エリス「... 八幡さん。 ええと、私の体をそんなに見詰められても... その、私も恥ずかしいですし... それに、今は他の方もご一緒なので... そういうのはちょっと困ると言うか、何というか... 二人きりの時なら未だしも...」 モジモジ
え? エリスさん、エリスさん。 何を勘違いしてんだ? そんな言い方したら、変な誤解を生んじゃうだろ? だから、そんな勘違いしないでくれよな! それに今は何でエリス様の胸よりお前の胸がこんなにも小さいか確認してる最中だからな?!」
テイラー・ダスト・キース・リーン「あ!!」
エリス「え? ... ?! ... !!!」 ギロッ!
八幡「え? ... な、何だよ...」
エリス「皆さん。 スキルを習得する前に、私とお話しませんか? 特に『胸』の事について」 ニコ
テイラー・ダスト・キース・リーン「...」 ダラダラ クルッ! ギロッ!
八幡「!!!」 ビクッ!
やべえ... 皆で俺を睨んでやがる... それにエリスは笑顔なのに目が... どうするよこれ? ここは逃げの一手だが、何か切っ掛けが無きゃ駄目だろ... せめて、ギルドの人が近くに居れば... ソサクサ って、皆逃げんじゃねえ! どうすればいい? 考えるんだ俺! スタスタ 誰かこっちに来る?! あっ! 受付の巨乳なお姉さんじゃねえか! 多分、オーダーを取りに来たんだよな?! 他の席に行く前に早くしないとな! 先ずは、
八幡「ちょ、ちょっと、そこの巨乳のお姉さん!!」
ルナ「?! !! ハ~~イ!」 スタスタ
テイラー・ダスト・キース・リーン「馬鹿だな...」 コソコソ
エリス「#!!! 八幡さん!!! ギロリ!
八幡「ふぁい?!」
何だ? さっきよりも怒ってんぞ? 何でだよ、何でだよ! コツらか? ギロッ! ユビサシ え? 俺? 俺なの? マジ? ウンウン ええぇーーーー マジかよ?!
エリス「正座! 「え!」 正座!! 「ええ?!」 正座!!!」
八幡「はい...」 チョコン
エリス「いいですか! 最初に言って置きますが、私は別に胸の事を言われて怒ってるんじゃありませんからね! そもそもあなた達が真面に私の言う事だけを聞いていればいいのに、邪な考えで女性の体に厭らしい視線を向け、剰え他の女性や肖像画と『実物』の私の『胸』を批判するのは如何いう了見ですか? それにですね... 」
ガミガミ、ガミガミ
テイラー「俺らどうすっか?」
リーン「もう一杯飲んでよ。 どうせスキルを教えてたらお金貰えるし」
ダスト・キース「だな!」
あ~~、エリス。 足が痺れて痛いんだが... だめだ、我慢出来ん... もう、堪忍してつかぁさい...
・・・
・・
・
と言う事があって、多分と言うか今日一日エリスには逆らえない。 しかし、まだ足がジンジンして痛いんだが...
でもな、エリス。 俺は胸の大小なんて気にして無いし、そんな事を気にするなと言いたい。 何故なら、胸の大小でお前と言う存在が変わる訳では無いからだ。 そう、俺に取ってお前はこの世でたった『一人』だけの『本物』の『女神』様だから...
エリス「八幡さん。 私の言う事をちゃんと聞いてますか?」
目の前で怒りながら俺の名前を呼ぶエリス。 そんな彼女も可愛いと想えて仕方が無い、そんな事を思いながらエリスの説教を聞き流した後で、テイラー達と一緒にスキルの習得を始めた。
午前中一杯まで掛かって、テイラー一味?からスキルを習得した俺とエリスは、彼らに7千Eを支払った後で武器を買いに行く事にした。 因みに習得したスキルはこちらの予定していたスキルをテイラー達が取得していたので、略予定通りと言った所だ。 そんな事もあって、今の俺はスキルポイントがスッカラカンである。 まぁ、予定通りだし何ら問題は無いだろう。
スキルの次は装備という事で、普段着を兼ねた冒険者用の服装をそれぞれ二着と、俺の防具と剣、エリス用の杖、それと二人の防寒用の防寒着(防御も兼ねたもの)を購入しなければならない。 その為、今日の夕方に簡単なクエストを受けるつもりでいたのだが、午前がスキル習得で潰れたのでこのペースで行くと夕方のクエストは無理なので、明日クエストを受ける事にする。 但し、クエストの依頼は早い物勝ちなものも有るので、買い物が済んだらもう一度冒険者ギルドに戻って来て依頼を受ける事にした。
そこで防具専門店に来た訳だが、未だエリスの機嫌が悪い。 此処に来る途中で話をしていたが、普段通り質問に対して受け答えをしてくれるものの、少し拗ねた感じのままだ。 はぁ、仕方ない。 此処はエリスの機嫌を直すべく小町に叩き込まれた『デートの掟十二か条』を実践するしか無いな。 しかし、イケメンでも無い俺がやっても効果があるとは思えないんだが... 先ずは実戦あるのみだな。
タイミング良くこれからエリスが試着をするらしく、服を持って試着室に入って行くので、防寒と動きやすさとエリスに似合うと思う服装(小町が着ていた物)を想像し、イメージに合ったものを自分で選びに行く。 ぶっちゃけ、他の人の視線が気になって恥ずかしいなんてもんじゃ無いが、此処はこの後の俺の為に必要な事だからと頑張ってみる。 うん。 偉いぞ俺!
しかし、店員さんや。 俺が一人になったのを見計らって声を掛けて来るんじゃない。 行き成り声掛けられるとかボッチの心臓に悪いからな?! しかも、ニヤニヤしながら『彼女さんの服を選んであげてるんですか?』とか、馬鹿にした様に聞いて来るんじゃねえよ。
そんなこんなでエリスの為の服をある程度選び終わり、試着室の前に戻った所で丁度エリスが着替えを終えて出て来た。 そして、その恰好なんだが...
エリス「どうでしょうか?」 クルリ
今のエリスは白に青い縁取りと刺繍が施され、銀の装飾品が縫い付けられている修道服を着ている。 それにしても、何て言うか、それウエディングドレスっぽくないか? 下に穿いてるスカートと言うかドレスっぽいのがヒラヒラしてて... ちょっと、結婚式の花嫁みたいで綺麗だな... エリス、俺と... って、何言おうとしてんだ俺! 幾らエリスが綺麗でも、行き成りプロポーズとか無いわ! どうせ告っても直ぐに振られるし... って、
八幡「んっ! 何て言うか、あれだ。 似合ってると思うぞ」 ガシガシ
エリス「良かったです!」 ニコ
八幡「でも、それじゃ戦え無いし、普段からそれだと動き辛く無いか? だから、俺的にはコッチの方がいいと思うんだがどうだ?」
一応、俺が選んだ服をエリスに手渡す。 それは動きやすい服装を好む小町がよく着ていた服装で、小町曰くお洒落で寒さも凌げるだとか何とか言っていた。 まぁ俺には分らんが... ダークグレー色で厚手のタートルネックのセーターに長めのダークグレー色のキュロット、それに合わせてグレー色の厚手のレギンス。 落ちつた感じ且色気もあり、エリスの髪の色が映える感じだ。 因みに今のエリスの髪型は、エリス様と間違えられるからと言う事でプラチナブロンドの綺麗な髪をサイドポニーにして毛先を三つ編みに縒っている。 まぁ、好みである。 うん。 マジ、エリス女神だ。
いきなり俺から洋服を渡されたエリスだが、『えっ!』ってな感じで驚いた後に、満面の笑みで『嬉しいです!』と言いながら直ぐ様試着室に消えて行った。 まぁ、あの笑顔を見る限り小町の教えは正しかった様だ。 小町様様だな! そうして異世界三分クッキングとばかりに着替え終わったエリスが試着室から出て来たんだが...
エリス「は、八幡さん。 どうでしょうか?」 モジモジ
八幡「エリス。 俺と結婚してくれ...」
エリス「け、結婚って... もう! 揶揄わないで下さい!!」 プンプン
やべ! 何て事口走ってんだ、俺! まぁ、冗談だと思ってくれてるからいいが...
エリス「で! 八幡さん。 どうですか?」 ニコニコ
八幡「俺的にはそっちの方がいいと思うんだが... エリスの好きな方でいんじゃないか? それと、どうせさっきの奴は礼拝とかでも使えるからって選んだんだろ? どうせだから、両方買ってもいんじゃね?」
エリス「お金大丈夫ですか?」
八幡「大丈夫だろ。 それに明日からクエスト受けんだろ? なら、ちゃんとした装備にした方がいいからな。 だから、そんなの気にすんな」
エリス「... 分りました。 じゃあ、私はこれとさっきの服とこの白い革のマントにしますね」
八幡「おぅ。 なら、後は俺の服と武器か...」
エリス「八幡さんの服はもう決まってるんですか?」
八幡「まぁ、何となくではあるがな...」
俺は向こうの世界のゲームのイメージが出来上がってるから、そのままイメージ通りの装備にするつもりだ。 因みにエリスが修道服を選んでいる時に、既に決めてしまっていたりする。 で、イメージとしては所謂森の『レンジャー』な装備で、目立たない色にしている。 薄革のマントと胸当て、ロングブーツ、革の手袋、革の小手、革のベルト、薄革のシャツとズボン、黒のインナー、小物用のポーチという感じにしてみた。
そんな装備を試着室で着替えて見せて見たら...
エリス「カッコイイです! それに、レンジャーって言うより盗賊みたいです」
八幡「まぁ、そう見えるよな...」
あれだよな? 目の事を言ってんだな?! 腐った目だから盗賊に見えるって... 何か酷くねえか?
そんな感じで服を決め、後は俺の弓と矢筒、そこそこ良い片刃剣と、短剣。 エリスは革のポーチと短剣、プリースト用のスタッフで合計25万Eも掛かってしまった。 まぁ、残り22万Eもあるので、これでクエストを受ければ来月は何もしなくても生活は出来るくらいには金も残るので、何かあっても問題無いはずだ。
しかし何だ。 今はもう装備に着替え、冒険者ギルドに向かって街の中を歩いているんだが、正直コスプレをしている様で何とも恥ずかしいものがある。 これが、中学時代の俺や材木座なら喜んで着ていたが、今の俺には難易度が高すぎる。 とは言っても、自分で選んだがな... でも、まさか自分で言うのもあれだが、此処まで盗人みたいだとは思わなかった... はぁ... これで、こっちに来てから黒歴史を更新したのは3回目だ。
何だ。 俺ってばこの世界に馴染んでね? って日に1回黒歴史更新とか無いわ! っべー! ヒキタニ君、マジ来てるわ~! って俺は戸部かよ!
・・・
・・
・
冒険者ギルドに着いた俺達二人は、まるで碁石の様な白黒カラーとなって現れたので少し目立ってしまい、何だかんだと声を掛けられて鬱陶しくて敵わない。 そんな中を突き進み、ギルドで募集しているクエストボードの前まで来て案件を見ているんだが...
八幡「エリス。 ちょっといいか?」
エリス「何ですか?」
八幡「このクエスト票に髑髏マークが付いてるだろ? これって危険度を表すものなのか?」
エリス「はい。 そのマークが多いほど危険度が増しますが、その分、報酬も大きいですね」
八幡「そうか... それにてしても、誰もクエストを受けないみたいだが、何でなんだ?」
エリス「それは・・・ ・・ ・ あ! 少し前にこの街に魔王軍の幹部がやって来たんですけど、皆さんで返り討ちにしたので、その報酬で皆さん懐が潤ってるからじゃないですかね?」
八幡「分かった。 なら、冬眠前のジャイアント・トード討伐って奴にしないか? 3日間、5匹討伐で8万Eだし、どうだ?」
エリス「... 初心者向きのクエストですね... ちょっと、粘々に成りたくありませんけど、気を付ければ大丈夫でしょうし、これにしましょう」
八幡「なら、受付に言って来ればいいのか?」
エリス「はい。 此れからの為にもやり方を覚えて貰った方がいいので、私が教えますので一緒に行きましょう」
そうして俺とエリスの二人は、ジャイアント・トード討伐クエストを受け、その日は家に帰る事にした。
・・・
・・
・
そして、翌日。 昨日買った装備品に身を包み、回復用に買ったポーションや縄や点火用のオイル、そして腰にぶら下げられる水筒とエリスが作ってくれた弁当を持ってジャイアント・トードが多い川の近くの草原に来ているんだが...
八幡「なぁ、エリス。 あれってマジ、カエルなのか?」
エリス「はい。 あれがジャイアント・トードです! 思ったより小さかったです?」
八幡「イヤイヤ。 あれ、デカすぎだがら! 超デカいから! 俺の3倍もあるからな!!」
そう、討伐対象がジャイアント・トード、所謂『カエル』と言う事で、精々人の半分か同じ位の大きさだと思っていたんだが、そんな想像とは異なり超デカい。 ってか、デカすぎだろ... そう言えば、昨日の説明の時に言ってたな。 繁殖期やこの季節になると家畜や農家の人達が食べられるって... 確かに人ぐらい簡単に食うサイズだわ...
これ、討伐するのはいんだが、普通に剣で倒せるのか? 急所っぽい頭とか届かないぞ? 其処んとこ如何なんだよ? 盗賊姿でここでクエストを受けた経験もあるエリスにその事を聞いて見る。
八幡「エリスさん、エリスさん。 何時もはどうやって倒してたんだ?」
エリス「実は私。 盗賊だったので、主にダンジョンばっかりだったんですよ。 なので、ジャイアント・トードについては、人伝にしか聞いた事が無いんです... けど、皆さん簡単だって言ってたので、多分平気です! それに、八幡さんは頭がいいので、何かいい方法を思い付いてるんじゃないですか?」 キラキラ ジーーー
八幡「いや、お前。 そんな他人任せな考えでクエスト選んだ時にOKすんなよ...」
エリス「でも、何とかなると思いますよ?! それに、弓もありますし、一匹ずつ倒して行けばいいだけですから。 八幡さんなら大丈夫です!」 ニコニコ
その自信はどっから来んだよ... まぁ、今みたいに『隠形』スキルがあればカエルに知られる事なく近づけるから、そのまま奇襲を掛けてお終いなんだろうけどな。 そう、この『隠形』って固有スキルが俺にはある。 エリスの持ってる『女神の~』みたいな奴だ。
これは、おれの生前の特性から来たものらしく、盗賊の『潜伏』と同様だとか何とか。 ただ、『潜伏』の上位互換のスキルらしく、『敵感知』でも察知できず、隣り合わせる者についても同様の効果が発揮され、スキルを解除しない限り移動中も発動される様だ。
こういうスキルが付いちゃうって事は、生前は他人から一切認知されていないって事だよな?! 其処までボッチだったのかよ... 何か目から心の汗が出て来そうなんだが...
エリス「八幡さん。 何か悲しい事でもあったんですか?」
やべえ... エリスに心配までされちゃったよ、おい! それに、そんな心配そうな目で俺を見るんじゃねえよ。 何か、悲しくなって来ちゃうじゃねえか! ま、そんなのはいいとしてだな...
八幡「何でもねえから、心配しなくていい。 それよりもエリス。 あのカエルの弱点って脳とか脊髄とか喉でいいのか?」
エリス「はい。 大体合ってます。 それともう一つは心臓です」
八幡「所詮は『動物』って事か...」
なら話は簡単だ。 所謂生物でいう所の『急所』を攻撃すればいいってだけだ。 まぁ、見た目カエルそのままなんで、エリスの言う通りなんだが、なんせサイズが違う。 サイズが違うと言う事は肉が『厚』く刃物や矢が肝心の急所まで届かないかも知れない。 その点を確認出来れば、俺のスキル『隠形』で近づき一刺しするか、遠くから弓矢で狙撃すればいい。 まぁ、『狙撃』は『幸運度』に左右するらしく、素で弓の腕を上げないと駄目だろうな... でも、クリスから『女神の祝福』を受ける事で他では受けられない『運』の恩恵が得られるから、かなりレベルの高い相手で無ければ問題無いだろう。
そう言う事で、此れから数日間と言うかこのクエストを今月一杯までやって、お金と経験値を稼ぐのが優先だ。 さて、攻撃をしてみて一番効率のいい狩り方を見つけ出さないとな。
八幡「エリス。 俺に『強化』と『幸運』を掛けてくれ。 それで、一通り狩り方を試してみるから、寒くない場所で待機しててくれ」
エリス「分りました。 それでは... ブレッシング・ゴードレス... セイクリッド・パワード...」
八幡「サンキュな。 それじゃ行って来る」
エリス「無理はしないで下さいね!」
八幡「あぁ」
うん。 いいなエリスは... あの二人とは違って、戸塚みたいに素で俺の事を心配して声を掛けてくれる。 これだけ素直に声を掛けてくれるのは小町と戸塚とエリスだけだ。 それに、こう言う一言があると普段は働きたく無い俺でも素直に頑張ろうって気なる。
多分、俺一人でこの世界に来てたらここまで頑張っていないだろう... 半ば強制的とは言え、この世界に一緒に来てくれてありがとな、エリス。
そんな事を思いつつ、『隠形』スキルで身を隠しつつ、初めてカエル狩りをやってみる。
・・・
・・
・
で、色々試して狩りをした結果、以下の3つの方法が一番効率がいい訳だが...。
① 矢で斜め前から目を居抜き、脳に矢を直撃させる。 但し、成功の確率は腕と運による所が大きい
② 隠形で近づいて耳穴から顎元にかけて剣で大きく切り裂き、直ぐに離れる(暴れ出すので、血が抜けきって失血死するのを待つ)
③ 隠形で背後から一気に背に上り、首?の付け根の骨の部分に思い切り剣を突き立てる。 但し、カエルが仰け反るので、刺したら直ぐに剣を抜いて飛び降りないといけない
で、結局は①をやって失敗したら②を行う事にしたんだが、既にノルマの5匹を殺してしまった訳だが...
八幡「エリス。 何で殺したカエルの足に縄を着けてるんだ?」
エリス「八幡さん。 このカエル美味しいんですよ! なので、全部ギルドに持ち帰ってお金にして貰うのと、家で食べる分を切り分けて貰うんです!」
八幡「そ、そうなのか... ってか、持って帰れるのか?」
エリス「向うに居た時の八幡さんと違って、今の八幡さんなら引き摺っていけるくらいの力があると思いますし、3匹は私が引き摺って行きますから」 ニコニコ
八幡「お、おう。 そうか...」
エリスさんや。 力は俺よりあるんですね... あぁ、そう言やスキルカードに書いてた値は高かったよな... 納得だ。 しかし、一日で狩りが済んだが、かなり効率がいいクエストだな。 これで成功報酬8万E+カエルの肉代が4万5千Eで締めて12万5千E。 一人6万Eとして、約2週間分の稼ぎだな。 それで、残りはカエルの肉が10人前か... 明日にでも燻製器を買って越冬用に保存食にでもするか...
こうして俺の初クエストは何も問題無く終わった。 因みに、帰ってからエリスにカエルの肉のから揚げ(俺が好きなのでリクエストした)を作って貰ったが、とても美味かったとだけ付け加えて措く。
・・・
・・
・
あれから約2週間程経過し、暦はもう12月に入り季節はもう冬だ。 そんな事で、今はもうカエル討伐クエストは無い。 そこで、どのクエストを受けようかと言うんでクエストが張り出されている掲示板を二人で確認している。 因みにカエルには大分稼がせて貰った。 週2,3回程受けて今迄計5回クエストをこなし、所持金がついに55万Eになって多少余裕が出来た感じだ。
とは言っても、その内の5万Eを使って家の補修とリビングの床を改造して暖炉の熱を利用した掘り炬燵を作ったり、座椅子+座布団を作ったりして多少使ったりしている。 そんな中で意外だったのが、此方には炬燵と言う物が無いらしく、初めて炬燵を体験したエリスが大喜びしていた。
とまぁ、冬を越せる資金は貯まったものの、やはり稼げる内に稼いで置きたいし、春には家の小さな庭に野菜と香草を植えたいとエリスが言っていたので、その為にも頑張らなければと思ってしまう。 やべえな俺、自ら働くとか俺らしく無い気がするんだが...
それと、この世界に居たら専業主夫とか無理っぽくね? ってか、冒険者やるとか遠のいてねえか? はぁ... これが現実かよ... 最近の俺って色々働き過ぎだよな? 料理と洗濯以外の家事にクエストに休みは家庭大工(庭に燻製用のストーブも作った)とか、今迄の俺は何処に行った? これじゃ、両親と一緒で社畜じゃねえか! まぁ、会社じゃ無くて自営業だが...
って、待て待て! 自営って、自分が社長みたいなもんじゃねえか! はぁ~ やはり俺の異世界生活は間違っている気がする...
で、いいクエストと言うか二人きりのパーティーなんで、リスクが少ないクエストを探している途中で、少し離れた席に陣取っていた四人組のパーティーが騒ぎ始め、此方に向かって来る。 何だ此奴等? 男一人に女三人のパーティーとかリア充じゃねえか。 こういう奴等は自分勝手な理屈を押し付けて来るから、あんまり関わり会いたくないんでその場から立ち去ろうとするが...
エリス「何処に行くんですか?」 クイクイ
八幡「もうちょっと楽なクエストが無いか、受付に聞いてくるわ」
エリス「分りました。 私はもう少し此方を見てますね」
そう言って受付に行こうとした次の瞬間、
???「あれ?! ちょっとあんたエリスじゃない?」
エリス「え? クルリ あ、あ、アクア先輩?!」 ヒクヒク
如何やら騒がしい集団というのがエリスの知り合いらしい。 ってか、女神の知り合い? あれ? そう言や前例があるって言ってたな。 それにエリスも知り合いみたいに言ってた気もするが... 取り合えず聞いてみるか。
八幡「ん? エリス。 知り合いか?」
アクア「あんた、何でこんな所居んの? それに、そこの... 何でアンデットなんて連れてんのよ!!」
周り人達「アンデッド?!!」
は? 初対面の相手に何言ってんだ? お前は雪ノ下なのか? これだからリア充グループは... ったく... さてと、文句でも言ってやるか。
八幡「おいこら水色。 確かに俺の目は腐ってるが、行き成り人の事アンデットとか言ってんじゃねよ!」
エリス「アクア先輩! 八幡さんに何て事言うんですか! いくら先輩でも八幡さんを馬鹿にするなら許しませんよ!!」
アクア「は? アンタこそアンデットの味方なんかして何言ってんの! 今直ぐアンタも一緒に浄化してあげるから、そこに直りなさい!!」
エリス「!! また私の八幡さんをアンデット何て言って! もう許しませんからね!!」
あれ? エリスと二人で何熱くなってんだ?! こんなシュチュ、平塚先生か材木座しか喜ばねえぞ。 ったく... さて、どう収めるか... そんな事を考えていると...
???「おい、駄女神! 何、人様に迷惑掛けてんだ!」 チョップ
アクア「痛っ! カズマこそ何するのよ! あれはどう見てもアンデットじゃない!! なのにカズマまでアンデットの味方をするって言うの?!」
ダグネス「まぁまぁ、落ち着けアクア。 確かにその人の目はアレだけど、アンデットじゃ無いだろ。 それにしても... あんな目の男が居たなんて... あの目で罵倒されたら... アア...」
めぐみん「カズマの言う通りです、アクア。 いくら目が腐ってるからって、生きてる人間の事をアンデット呼ばわりはどうかと。 それにしても... 間違ってしまうのも分かる気がしますが...」
アクア「でしょ! なのにエリスまでこ「お前はもう黙ってろ!」 フゴフゴフゴ...」
カズマ「うちの駄女神が失礼な事言って済まない」 ペコリ
女神アクアにカズマか。 黒髪にイケメ... フツメンでひ弱な感じでやる気が無い感じが、如何にも秋葉に居そうな感じだな。 そうか、此奴も日本からの転生者だな... それと、例の転生者の足を引っ張る女神が『アクア』なのか。 しかし、此奴のパーティーは金髪巨乳美女に黒髪ロングの美少女ロリに水色髪の女神とか、リア充そのままじゃねえか。
にしても、エリスさん、エリスさん。 俺の事を所有物扱いするのは止めて貰えませんかね? 何か俺がエリスの彼氏とか旦那っぽくて、恥ずかしいんだが... まぁ、そんな事はいいとして、謝って来てるから早くケリを着けてサッサと此処から離れた方がいいな。 さて、
八幡「あぁ。 その水色が分かればそれでいい。 こっちもそんなに怒ってねえからこれで終わりにしてくれ」
エリス「八幡さん... 八幡さんがこう言っているのでこれ以上言いません。 ですが、今度同じような事を言ったら幾らアクア先輩でも絶対許しませんから! それだけは覚えておいて下さい!」 プンプン
カズマ「ほら、アクア。 向うもこう言ってくれてるから、ちゃんと謝れ!」
アクア「...」 ジーーー
ダグネス・めぐみん「「アクア...」」
アクア「あーーー! もう、分かったわよ! 謝ればいいんでしょ! ... さっきはごめんなさい!! これでいい?! それにエリスまでそんなにムキになっちゃって、それが先輩に対する態度な訳?!」
カズマ「ああ、もう! お前は何も言うな!! 二人とも本当にゴメンな」 ペコ
ダグネス「私からも謝って置く。 本当にうちのアクアが失礼な事を言って済まない。 今はこんなでも根はいい奴なんで、出来れば許してやって欲しい。 それと... ハア、ハア 出来ればその、私と... ハア、ハア んぐっ! 「お前はそれ以上何も言わなくていい!!」 ...」
ええと... 何でこの金髪巨乳美人は興奮しだしてんだ? しかもさっきから俺の事見過ぎだろ... 真面目な人だと思ってたが... 何か雰囲気がちょっと変態って言うか、ヤバい系的な...
めぐみん「... ええと、うちのアクアが変な事言ってすいません。 今はこんななので後でちゃんと挨拶させて下さい」
八幡「... あぁ。 分かった。 それと、何だ。 そんなに畏まらなくていいぞ」
エリス「分りました。 それとアクア先輩。 八幡さんの事は今度二人きりの時にでもキッチリ教えてあげるので、覚悟して下さいね♪」 ニコニコ
アクア「え、エリスったら、本当に怒ってる?!」
エリス「はい♪」 ニコニコ
やべえ... これは『胸』 「八幡さん?」 ... 相当怒ってんな... このままだと俺に被害が及ぶかもしれねえから、ここで機嫌を直しておかないとな...
八幡「その... エリス。 俺の為に怒ってくれて、ありがとな」 ガシガシ
エリス「そ、そんなお礼なんて要りません。 それに、誰だって大事なパートナーの事を変に言われたら怒りますし... こんなの当たり前です。 それとアクア先輩が失礼な事を言ってごめんなさい」 シュン
八幡「何度も言うが、もう気にして無いから別にいい。 それに俺の代わりにお前が怒ってくれたからな...」 ジーーー
エリス「八幡さん...」 ジーーー
カズマ一行「... 急にイチャイチャしやがって、此奴等はカップルかよ!」 ヒソヒソ
でもあれだな。 カズマとか言ったか? 此奴の事はリア充とか思ってたが、パーティーメンバーの見た目だけで全然リア充じゃ無いんだな。 一応此奴がリーダーらしいが、メンバーの統率が取れて無いし、頭もいい感じでは無い。 あ~~ エリスが俺の事を計画性があるとか何とか言ってたし、未だ馬小屋暮らしって事から大体の想像は着く。 それと、何んて言うかボッチ臭がするしな...
水色は残念なのは確定だとして、金髪巨乳さんもポンコツ臭いし、この中で一番真面なのは『めぐみん』とかいうロリっ子ぐらいか... でも、この子も服装といい眼帯といい、中二臭いんだよな... 一言で纏めるとポンコツパーティー? そんな感じだな... けど、此奴等意外と仲いいよな...
まぁ、正直、あんまり関わり合いに成りたくないパーティーだって事はハッキリしたな。 エリスはどう思ってるか知らんが...
そんな感じで俺は、日本から異世界に転生した先達とそのパーティーメンバーとなる『カズマ一行』とインパクトのある出会いを果たした。
・・・
・・
・
エリス「それでは、私から自己紹介しますね。 私の名前はエリス。 職業はアーク・プリーストで隣に居る八幡さんと一緒に冒険者をしています。 宜しくお願いします」 ペコ
八幡「ハチマン、ヒキガヤ。 職業は冒険者だ...」
カズマ一行「...」
カズマ「名前はサトウカズマ。 呼び方はサトウでもカズマでも好きに呼んでくれ。 それで、職業は冒険者で、隣の三人とパーティーを組んでる。 取り合えず宜しくな」
アクア「私はアクア。 アーク・プリーストをしてるわ。 回復魔法なら任せて!」
ダグネス「私の名前はダグネス。 職業はクルセイダーをしている。 攻撃は得意では無いが守りは任せてくれ。 今回に限らず、宜しく頼む」 ペコリ
めぐみん「我が名はめぐみん! アーク・ウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操るもの」 ドヤッ
八幡・エリス「...」
アクア「挨拶もういいから、さっさと雪精の討伐に行きましょう!」
そう、あの後にどのクエストを受けようか話をしていた所で、水色女神に声を掛けられ、強引に一緒に狩りに行こうと言う話になった訳だ。 勿論、俺としてはこんな奴と一緒に行きたくは無いが、水色とサトウの二人は魔王の幹部を倒したのに借金塗れになっており、お金を確実に稼ぐべく、報奨金の高いクエストを一緒に受けるたいとエリスに頼み込み、今の状況となっている。
しかし、本当に此奴は後先考えないで突っ走ろうとしているし、サトウも何だかんだ言いながらそれに従っている感じで、何も情報も対策も考えずに行動している事が不思議でならない。 何故なら、不足の事態や此方の戦力や攻撃方法が無効だった場合、即死に繋がるのにそれらのリスクを何も考えていない様にしか思えないからだ。
それに、こんな奴等の所為でエリスが傷ついたり、最悪死ぬ様な事が起こったら、俺はその事に耐えられないし自身を許せなくなる。
だから誰が何と言おうが、最低限の情報と対策と準備をすべく、先ずはこの水色を止めて情報を引き出すのが先って言うか、エリスに聞けばいいだけだな。
八幡「ええとアクアだったか。 悪いが少し待てくれ。 エリス、先ずは『雪精』について教えてくれ」
アクア「どうしてよ! 私達は早くお金を稼がないといけないの! だから、そんな時間なんて無いの!」
エリス「アクア先輩。 八幡さんは頭がいい方です。 きっと、効率のいいやり方を考えてくれるかも知れないので、少し待って貰えますか?」
アクア「ゾンビの癖に?」
エリス「アクア先輩!!」 ギロッ!
カズマ「アクアは少し黙ってろよ。 悪いけど俺にも教えて貰えないか?」
アクア「あーーーっ! 黙ってればいいんでしょ! 黙ってれば!! フン!」
水色も大人しくする様だし、今はいいか... 取り合ずエリスから色々聞くか...
エリス「はぁ... それではお教えしますね。 雪精と言うのは...」
・・・ ・・ ・
エリスに『雪精』について色々聞いた所、ふわふわと小さい雲みたいに手の届く場所を浮遊している『雪』の『精』で簡単に殺せる奴らしい。 しかし、そのふわふわと掴みどころが無い性質の所為で殺すのに意外と苦労するそうだが、此奴は一匹倒す毎に春の訪れが半日早くなると言うので、寒さの厳しい冬には結構討伐に赴くらしい。
ここまでの話だと、何だ簡単じゃねえかと思うが、問題はこの『雪精』を沢山殺すとその守り神と言える『冬将軍』がやって来るらしく、そいつがクエストの難易度と報奨金を上げているそうだ。
で、その冬将軍なんだが、背恰好が日本の侍の様な『将軍』と言った装備をしていて、何でも国から高額賞金が掛けられてる討伐指定モンスターだとかで、かなり強いと言うか、今迄討伐に成功していないだとか。
ってか、これダメじゃね? とは言え、何か方法があるはずだ... 冬将軍、冬将軍に雪精か... 雪? 雪雲、冬は北風、寒波... 寒波が冬将軍? って事は...
八幡「エリス。 もしかして、その冬将軍って奴は、北風が吹き付ける雪山にだけに現れるんじゃねえか?」
エリス「... そうかも知れません」
カズマ一行「...」
八幡「あとは... 雪精ってのは、捕まえて持って来れたりするのか? 例えば網とかで」
エリス「出来ますよ」
八幡「そうか...」
カズマ「何かいい方法でもあるのか?」
八幡「まぁ、何通りかは思い付くが... サトウのパーティーで範囲攻撃が出来る奴はいるか? 出来れば炎系とか爆発系のがいいんだが...」
めぐみん「それなら、最強の我が爆裂魔法に任せよ!」
八幡「それは、ファイヤーボールの何倍くらいなんだ?」
めぐみん「100倍から200倍くらい... ですね」
八幡「それなら... なんとか行けるか...」
エリス「何か思い付きました?」
八幡「あぁ... 多分これで行けるだろ... あ~~ めぐみんとか言ったか? その『爆裂魔法』って奴は連発出来るのか?」
めぐみん「我が魔法は強大故、一日に一回しか撃てないのだ!」
八幡「そうか... なら、今から俺の考えを説明するが、期待してないで聞いてくれ」
一同「うんうん」
俺は自分の考えを皆に説明して、その為の準備を今日するから、討伐は明日にしてくれとお願いした訳だが、勿論、そんな事を言っても金に困っている水色とカズマは中々了解しないので、薪と今晩の晩飯を奢ると言う事で納得してもらう事にした。 しかしあれだ。 薪も買えないとか、お前ら二人はどんだけ貧乏なんだよ...
そんな二人に呆れつつ、討伐地域の直ぐ側に罠を仕掛けるべく、カズマとめぐみんと俺とエリスの四人で出掛け、山道の真ん中に爆裂魔法で大穴を開けて貰い、その中に周りにある枯れ木を投げ込んで取り合えず罠を完成させて街に帰る事にした。 でも何だ。 爆裂魔法を撃って動けなくなるとか、全然ダメダメじゃねえか。 しかも、使える魔法がそれだけってどういう事だよ...
後は道具屋で大きな魚を取る為の目の細かい網と発火性の良い油を買ってその日は終わりにしてエリスと二人家に帰る事にした。
その途中、エリスに俺達二人が家を借りている事を何であの二人に言っては駄目だと言う事を聞かれたので、その説明をする。 まぁ、エリスからしたら、何だかんだ言っても水色の奴は先輩だからな。 寒い思いをしてるのなら、家に泊めてあげようと思うのは普通だろう。 けどな...
八幡「最初にあの二人に逢った時、お前はどう思った?」
エリス「そうですね... 何だかんだ言ってここの生活に馴染んでる様で、何だか楽しそうにしてるって思いましたけど...」
八幡「何の目的も無く周りに流され、状況に振り回され、目の前の目的も見失って惰性で過ごす。 自分自信で動く時は必要に迫られた時だけで、常に楽をしようって考えばかり。 しかも、そんな時だけはは頭を使う。 しかも、責任感も何も考え無しに自分の意思だけ押し通そうとする。 そんな奴らに一時でも家に住まわせてやったらどうなると思う?」
エリス「... そのままズルズルと住み始める... ですか?」
八幡「あぁ... これが持ち家で部屋も多ければ大して気にならんが、1LDKの狭い家で、これから二人で頑張って行こうって矢先にそんな奴らに居着かれたら、お前はどう思う?」
エリス「... 八幡さんの言いたい事はわかりました。 そうですね... あの二人には、もう少しちゃんと考えて行動して欲しいですね...」
八幡「そういう事だ... まぁ、流石に馬小屋で凍え死なれたら目覚めが悪くて敵わんから、このクエストが終わった時にでも、寒さに震えないで過ごす方法でも教えてみるわ」
エリス「何だかんだ言って、ちゃんと二人の事を考えてあげてるんですね」 ニコニコ
八幡「別にそんなんじゃ無ねえよ。 正直、俺はあの二人がどうなったって別に何とも思わん。 ただ、お前にだけは悲しい思いをして欲しくない。 それだけだ...」
エリス「八幡さん...」 ギュッ!
俺は今迄、本音で話す相手は小町か平塚先生だけだし、半年程の付き合いになる奉仕部の二人にさえ偶にしか言った事が無い。 それがどうだ? たった2週間一緒に居ただけのエリスに対してはこうやって正直に心の中の言葉を伝える事が多くなって来ている。
それはきっと知り合いの居ないこの異世界で、少しの間とは言え一緒に生きて行こうというと決めた初めての他人だからだと思う。
そして、今も横に並ぶ彼女によって握られた左手から伝わる温もりをもっと感じたいと思い、自然とその手を握り返してしまう。 そして、何時までもこうして居たいと思ってしまい、自然と彼女の碧い瞳を見詰めてしまう。
そんな事を考えさせる帰り道だった。
・・・
・・
・
カズマ「なあ。 これって本当に見つからないのか?」 コゴエ
八幡「大丈夫だって言ってんだろが。 ってか、少し静かにしろよ。 音は完全に遮断出来ねえんだからな...」 コゴエ
ダグネス「そうだぞカズマ。 それに... いきなり見つかってしまって、袋叩きに会うのも偶には良いんじゃ無いか... ムフフフ」 コゴエ
エリス「ダグネスってば...」 コゴエ
俺達四人は今、隠形スキルで身を隠しつつ、雪精が多く集まっていると言う雪山の奥地に来て、網を投げるタイミングを見計らっている。 それで、何故そんな事をしているかと言うと、昨日四人で受けると言っていた『雪精』討伐クエストの為に来ている訳なんだが、『隠形』スキルを信じ切っていないサトウが心配のあまり、先ほどから何度も平気かを聞いて来ているんだが、正直ウザい。
それで、何で面倒な事をしているかと言うと、冬将軍と雪精が一緒に居た場合、即殺される可能性。 雪精が俺達を見た途端に冬将軍に通報され、攻撃される可能性。 雪精に出会う前に冬将軍に出会う可能性。 これらの可能性を回避すべく、こんな方法で雪精を探しつつ、捕まえようとしている訳だ。
因みに、網で大量に捕まえた後、急いで此処を離脱して、山の裾野にある山道まで一気に駆け降りる算段だ。 其処にはキャンプファイヤーの様に炎を上げている焚き木が用意していて、一気に雪精を殺す用意がしてある。
これも、冬将軍が日本で言う所の冬将軍であるなら、冬将軍と言うのは『寒波』だと思う。 なら、寒冷前線の端に掛かる雪山の上の部分に冬将軍は現れるが、雪が殆ど無い裾野には出て来れないと踏んでこの作戦を立てた。 まぁ、事前にエリスから冬将軍は雪山にしか『出ない』と聞かされていたってのもあるんだが...
それに、万が一冬将軍が来てもいい様に2つ程対策を考えては居る。
まぁ、少し数えた感じで100匹近く居るから、取り合ずやってみるか...
八幡「そろそろやるが、準備はいいか?」 コゴエ
その他3人「いいです・いいぞ・OK」 コゴエ
八幡「エリス。 掛け声頼む」 コゴエ
エリス「はい。 3、2、1、はい!」 コゴエ
エリスの声と同時に俺とダグネスが網の両片端に付けた重りを、網が広がる様にそれぞれ反対方向の斜め上に投げる。
すると網は多少ダグネスの投げた方向に引っ張られるも、予想通り雪精全体の上に広がり切り、残った両端を掴んでいたカズマとエリスが網にテンションが掛かると同時に石が落ちた地点に向かい、雪精を丸ごと網に閉じ込める事に成功する。
さて、ここらかは時間が物を言うので、急いで網の端を合わせる様に集まり、持って来ている縄で雪精が逃げない様に集めた網の先を縛ってから、ダグネスがその網を肩に掛け、掛け声と共に勢い良く焚き木をしている場所に向かって走り出す。
ダグネス「先に行ってるぞ!」 ザザザザザ...
八幡「頼む! クリスとサトウも距離を取って、急いで山を下りてくれ! 俺はダグネスに付いてく!」
エリス・カズマ「はい・分かった!」
敏捷性に長け、筋力値も高いと言う事で捕まえた雪精を運ぶのをダグネスに頼んだ。 そして、冬将軍が来た場合に備えると同時にダグネスをフォローすべく、ダグネス以上の俊敏性を持った俺がダグネスに付いて行く。 無論、何か合った場合は、隠形でダグネスを隠して戦線離脱も可能だし、ヒールで回復も可能だと言う側面もある。
ダグネスの後ろに付き従う様に走りながら、後方から冬将軍が追って来ないか確認すべく、後ろに振返って見てみるが、何も追って来ない様だ。 まぁ、大体予想通りに進んでいるので、取り合えず足元に気を付けながら、時々後ろを振り返りつつダグネスと一緒に目的地まで走り続けた...
・・・ ・・ ・
漸く焚き木の傍に辿り着いた俺とダグネスの二人は、早速、雪精を処分すべく燃え盛る焚き木に近づいて行くと、今まで静かだった雪精達が急に騒ぎ出した。 多分だが、この後自分達がどうなるか感づいたのだろう...
それと同時に、雪山の上空の雲行きが怪しくなり、微かにだが、山の上から靄が此方に向かって来ている様に見える。 これってもしかしてあれか? 冬将軍が此処まで来ちまうのか?
その事を確認すべく、めぐみんに爆裂魔法の準備をお願いするのと同時に、ダグネスに雪精の処分を急がせながら、聞いて見る。
八幡「ダグネス! 早くそいつを燃やせ! あと、めぐみん?だっけか。 あれって、冬将軍が来る前触れか?」
ダグネス「はい!」 ワクワク
めぐみん「多分そうです!」
八幡「結局来ちまうのか... なら... ダグネスはそいつを燃やし終わったら俺の前に来てくれ! んで、めぐみんは俺の傍で爆裂魔法を直ぐに撃てる様にしてくれ! アクアも俺の傍に来て体の何処かを触れてくれ! 冬将軍が来たら隠形で隠すから声は出すな!」
アクア・めぐみん・ダグネス「はいはい・分りました!・遂にこの時が!!」
めぐみん「我が深紅の流出を以て、白き世界を紅蓮の炎に覆さん!」
俺の後ろでダグネスが網毎雪精を燃やしたのか、「キュー、キュー、キュー、キュー、キュー」と鳴き声の様な声が聞こえて来る中、詠唱の準備が終わっためぐみんの肩に手を乗せ、隠形スキルを使ってダグネス以外、この場から姿を隠す。
丁度、雪精の声が聞こえなくなったその時、目の前にダグネスが移動すると同時に此処まで白い靄が漂って来たので目の前を向くと... 其処には氷尽くめの体に同じく氷で出来た武者鎧を身に纏った体長3mはありそうな武士が10m程先に立っていて、輝く瞳で此方を睨みつける。
これが冬将軍か... 見た目が名前のまんまなんだな... そこで、何処まで強い冷気を纏っているか確認すべく将軍の足元を見る。 其処には足の裏が触れている地面の周りだけ氷ついているだけで、纏っている冷気が特段強いという訳では無い事が想像出来る... なら、予定通り行けるかもしれない。 だが、何で穴の手前で止まってんだ? やはり、目の前の浅い穴が罠だって気付いてるのか?
そう、雪精の主人の冬将軍が万が一出た場合を想定して、爆裂魔法で効率的にダメージを与える為の罠を用意した訳だ。 で、その罠と言うのが、爆裂魔法であけた窪地に油を撒いただけの窪み何だが、そこに爆裂魔法を撃った場合、平地に撃つのと違って指向性の強い衝撃波と熱線が窪地の歪曲した斜面に反射して、集光効果で中央に衝撃が集まる事で攻撃力のアップを狙った罠なんだが...
八幡「あんだけ不自然だと、やっぱ警戒するよな...」 コゴエ
なら、あそこに来るように挑発すればいい。 無論、挑発出来る奴は雪精を殺して冬将軍に睨まれている目の前の此奴な訳だが...
ダグネス「あの親の仇を睨む様な殺気の籠った目付き! あぁ、この後私はどんな過酷な攻めを受けるのだろうか? 想像しただけで、もう... 堪らない!」
ええと、何だ。 このまま置いて帰ろうかと一瞬思っちまったじゃねえか。 それに、チラッ 「はぁ...」 他の二人も呆れてんな... そんな事より先ずは彼奴を前に歩かせるのが先だ。
八幡「ダグネス! 剣を抜いてデコイを使え!」
ダグネス「!! シャキン! デコイ!!」
ダグネスが剣を抜きつつ囮のスキルを使うや否や、歩みを止めていた冬将軍が此方に向かって窪地を下り始める。 よし、そのまま真っ直ぐにこっちに来い。
そして、後2,3歩で略真ん中に差し掛かろうと言う所で、めぐみんが爆裂魔法の最後の詠唱を完成させる。
めぐみん「エクスプロ―ジョン!!」 ピカッ!
めぐみんの目の前に大きな魔方陣が現れ、その中心から膨大な光の束が発せられ、冬将軍に向かって行く。
ドッッオーーーーーーーーーーーン!!!
ブワッ!!
そして、目の前の窪地の真ん中で大きな爆炎が立ち上り、強烈な爆風に身を晒されながら、冬将軍の大きな悲鳴が辺り一帯に響き渡った...
・・・
・・
・
未だ炎が立ち上る中、急に水色が立ち上がりながら腰に手を宛て、さも自分が倒したとばかりに、声高々とお約束のフラグを立てる発言をしだした。
アクア「まぁ、流石の冬将軍も私達に掛かればこんなもんね!」
と、その発言と同時に燃え盛る炎の中から呻き声が聞こえ、擦り減った人間の影が揺れ動く。 そんな状況に合わせる様、エリスとサトウも此処に到着し、その様子を眺めながらどう対策するか頭の中で考えて始めたその時、
ダグネス「炎に晒されながら魔物の攻撃を受ける! 何て素晴らしい状況なんだ!! ムズムズ もう、我慢出来ない! 行ってくりゅ!!」
カズマ「ダグネス止めろ!!」
仲間の静止も聞かずに冬将軍に向かって走り出すダグネス。
くそ! 何なんだよ此奴等は! お前が何しようが俺には関係無ねえが、お前が死んだらエリスが悲しむのに何してやがる! ったく! どうすれば彼奴を助けつつ、冬将軍を倒せる? 考えろ俺!
そんな状況の中、水色とエリスがダグネスにヒールを掛け続けている。
めぐみんとサトウは使えない。 残りは俺とアーク・プリーストが二人。 炎の中に居る敵に近距離攻撃は無理だ。 なら遠距離攻撃だが、アーク・プリーストにその手段は無いから、必然と俺が攻撃する事になる。 だが、俺の中級の魔法攻撃では今目の前で燃え盛っている炎以上の攻撃にはならない。 出来るとしても同等レベルの『火』が使えるだけだ。
その他の武器として弓があるが、炎の所為もあって効果は無いだろう。 なら、残りの油を使って炎を増す位か... せめて、爆裂魔法がもう一撃出来れば止めを刺せるだろう。 そう、爆裂魔法を使えれば...
!!! そうか、爆発か!! なら...
八幡「エリス! 俺に強化を掛けろ! それと、俺がダグネスを連れ戻す時にヒールを掛けてくれ!」
エリス「!! 分りました!」
八幡「水色はそのままダグネスにヒールをしててくれ!」
アクア「私は水色じゃないって、何度言ったら分るの! ヒールはしててあげるから、あのバカを早く連れて来なさい!」
サトウ「お、俺は?」
八幡「俺に水を掛けてくれればいい!」
サトウ「分かった。 クリエイト・ウォーター」
サトウに水を掛けて貰った俺は、ダグネスを引き戻すべく全速力で炎の中に駆け込む。
俊敏性がダグネスの倍近い俺は、直ぐにダグネスに追着いたが、既に目の前に冬将軍が迫っていて、無理矢理ダグネスの腰を掴んで思いっきり後方に投げ飛ばすと同時に、冬将軍に向かって魔法で攻撃する。
八幡「ファイヤー・ボール!」
右手を突き出し魔法を放つと同時に腰にぶら下げている油の革袋も冬将軍に投げつける。
そんな攻撃に、枯れ木の様に細い体になった冬将軍は刀を使って革袋を切り裂き、その身に油を受けてその油が燃え上がり、氷の体を少しづつ溶かし始め、その身から水蒸気が漏れ出す。
それと同じくして、俺自身の体から焦げ臭い匂いが立ち昇り、マントの縁が燃え始め、此処にいる時間が残り少ない事を知らしめる。
八幡「ゴホッ!」
煙が気管に入り込み、呼吸が苦しくなる中。 此奴を倒す為に最後の仕込みを行う。 そう、俺がやろうとしている事にまだ火力と言うか温度が足りていない。 だから、更に温度を上げるべく、もう一度魔法を唱える。
八幡「ファイヤー・ボール! ゴフッ!」
その攻撃を受けた途端、冬将軍の周りにモクモクと水蒸気が立ち込め始め、仕込みが終わった事を俺に知らせるが、俺自身も高温に晒され呼吸が出来なくなる。
やべえ、此処で死ぬかも知れねえな...
そんな事を考えながら、最後の魔法を放つ。
八幡「フリーズ... ゴホ、ゴホッ! ガスト!!」
魔法の詠唱と共に冬将軍の周りに霧が現れた途端、
ボオッン!!!
焦げた匂いと咽る喉の痛みと呼吸困難な状態の体に、止めのばかりに強烈な衝撃波を受けて段々と意識が遠のく中、鳴き声で俺の名前を呼ぶエリスの声が聞こえて来る。
エリス「八幡さん!!!」
済まないエリス。 またお前の事を泣かせちまったな... だが、お前の友達はなんとか救えたぞ...
それで、許してくれ... な...
こうして俺は水蒸気爆発で冬将軍を倒し、雪精討伐のクエストを成功させた...
誤字脱字等、ご指摘頂ければ幸いです。
どもども!