着任して一年と数カ月経ったある暑い夏の日、横須賀鎮守府提督高浜典明は悩んでいた。その悩みの種とは……。
「うう……。」
執務室の中で、典明はうなっていた。その部屋の中には、第一艦隊の面々もいた。
「またか……。」
典明は苦しそうに口を開いた。第一艦隊の面々も「ハァ。」とため息をついた。典明は続ける。
「べつに君らが悪いと言ってるわけではないんだが……ここまで来ると心が折れるなあ……。」
「テートク、Don't worryネー……。」
いつも元気がある金剛も、こんな調子である。
「提督もそんなに自分を責めない方が良い。ノイローゼになってしまうぞ。」
「そうよそうよ、元気出していきましょう。」
長門や陸奥も励ましてくれた。
「きっといつか突破できますから。」
と大和。
「とりあえず、私たちがドッグ入りしたあとでなんかおいしい物でも食べませんか?」
と赤城。
「私もそれを勧めます。腹が減ってはなんとやらよ、提督。」
そう言われて、典明はこう言った。
「そうするか。じゃあ、君たちは交代でドッグ入りしてきてくれ。終わったら全員ここに来てくれ。」
そして、第一艦隊の面々はドッグへと向かって行った。
彼の悩みの種、それは沖ノ島周辺の海域である。艦隊を派遣すれば数隻中破や小破はするし、かといって練度を上げてまた行っても、今度は羅針盤に振り回される。どうしたら良いのか、と典明は彼女らがドッグ入りしている間に考えた。そして、ある案が思いついた。
そのことを加賀に伝えた時、彼女はひどく驚いた。
「共に出撃するですって……!?」
「ああ。もう私が直接行く。君らと共に。敵情視察もかねてな。」
「駄目です。断じて。危険じゃないですか。」
加賀は必死に止める。
「死ぬ危険も、あるんですよ!?」
しかし、典明は聞こうとしない。
「躍進には犠牲がつきものだ。俺にはその犠牲になって良い、覚悟がある。」
「でも、貴方がいなくなってはここの鎮守府は総崩れです。」
「その時はその時さ。」
加賀は典明にこう言った。
「……やめて下さい。本当に。」
「……わかった。やめよう。俺はどうやら変だったようだな。」
「わかったなら良いんです。私はこれで。」
加賀は自分の部屋に帰って行った。
加賀が執務室から出た後、典明はこうつぶやいた。
「元ギャングをなめるなよ、
そうこうしているうちに、沖ノ島海域攻略がまた始まった。こちらも強化されていたが、敵艦隊もそれをしのぐぐらいに強化されていた。なんとかボスまでにはたどり着いたが、戦況は悪化の一途をたどっていた。ほぼ全員が中破、小破の状態で、かろうじて小破を免れているのは大和だけであった。
典明の艦隊にトドメを刺すがごとく、旗艦である加賀に戦艦ル級が砲を向けた。加賀はそのとき、大破轟沈を覚悟した。その時!
タタタタタタタタタタ
銃声が聞こえた。加賀を砲撃しようとしていたル級に、その銃弾は命中した。まるでタイプライターを打っているような音だが、それが完全に銃声であることは分かりきっていた。タイプライターを打つ音のような銃声。シカゴタプライター。トンプソン短機関銃!その銃声の聞こえた方を向くと、やはりというべきか、高浜典明がいた。それも、小さな舟の上に立って!
「久しぶりだな。深海棲艦!」
典明はそう言った。
加賀さんってLOVE勢、なんですよね?ですよねえ!?間違っていたらコワイ!