【完結】ハリー・ポッターと蒼黒の魔法戦士   作:Survivor

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【アンケート調査の結果】
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第3位:グリフィンドール(16票)
第4位:ハッフルパフ(6票)

毎度の事ながら投票してくださった読者の皆様、ありがとうございます(*´ω`*)。


#111.追走劇

 魔法大臣ルーファス・スクリムジョール死亡。

 魔法法執行部部長パイアス・シックネス、魔法大臣に就任。

 そして―――イギリス魔法省陥落。

 

 絶望的としか言い様が無いこれ等の凶報は、イギリス魔法界がヴォルデモートの手に堕ちたと言っても最早過言ではない。

 遂に英国魔法界に住む住民全員が恐れていた最悪のシナリオが完成してしまったのだ。これで絶望視するなと言う方が無理な話である。

 公式には辞任とされたスクリムジョールの後任シックネスは魔法省陥落前に死喰い人のヤックスリーに『服従の呪文』を掛けられ、ハリー・ポッターの指名手配やマグル生まれ登録委員会を設立するなど、今でもヴォルデモートの傀儡に利用されていた。

 ヴォルデモートを筆頭に闇の陣営がイギリス魔法省を掌握して以降、事態は以前にも増して猖獗を極める一方だ。

 

 街の至る所に死喰い人や吸魂鬼、人攫いがうじゃうじゃと蔓延り、今日も何処かで恐怖に凍てつく悲鳴と血飛沫が上がる。

 人攫いとは、マグル生まれの魔法使いを捕らえて魔法省に差し出し報酬を受け取る更生不可能な輩達の事だ。これまで人攫いに身柄を確保されたマグル生まれの者達は皆「魔法使いではなく、魔法使いから杖を奪うなどした人々」と言う実際とは食い違う意味不明なレッテルを貼られ、理不尽過ぎる不当な裁判を受けて最後には吸魂鬼の餌食にされる末路を辿ったり、場合によってはアズカバンに投獄された。

 その負の連鎖は連日連夜延々と続き、留まる事をまるで知らないかのようだ。

 

 平和と安寧からの闇と死と恐怖のドン底。

 あちこちで発生する惨殺事件に拉致。

 心休まる時間は1分1秒も与えられない。

 安全な場所はもう何処も存在しない。

 情勢が刻一刻と変化していく度、日に日にストレスばかりが解消も発散もされず蓄積していく人々の一部、特にホグワーツに通う子供を持つ保護者はどうしようもない不条理への怒りをぶつけるように、今年の下校中、愛する我が子が乗っていた特急が奇襲される要因となった2人―――ハリー・ポッターとフィール・ベルンカステルに対し敵意を抱くようになった。

 

 この2人さえ居なければ、乗っていなければ、自分の大切な子供はあんな目に遭う必要はなかったのに。怪我をして聖マンゴに入院する事も、またそのせいで再び襲撃される事もなかったのに。

 全てアイツらのせいで、我が子は………!

 自分の子供が第一な親にとって、その子供が襲われる原因となった元凶を許せるはずがない。

 

 例えそれが、この未曾有の脅威に脅かされている魔法界を救う希望だったとしても。

 親の立場に立つ彼等からすると『生き残った男の子』や『蒼黒の魔法戦士』より子宝こそが、他に代え難い一条の光なのだ。

 周りが何と言おうと、我が子が1番である事に変わりはない。

 これ以上2人の存在が無関係の我々に危害を及ぼすと言うのなら、どんな手段を使ってでも取っ捕まえて闇の陣営か魔法省に引き渡し、自分達には一切手を出さないよう約束して貰おう。

 四六時中戦慄する日々なんて、もう沢山だ。

 度を越した恐怖や不安のあまり助けを熱望する住人は1人、また1人と、盲目から来る狂気に頭も心も染まっていく。

 闇の帝王打倒に意気込む少年少女の身に、乱心者の牙が人知れず剥こうとしていた。

 

♦️

 

 数多の吸魂鬼が吐き出す冷気によって充満した冷たい濃霧に覆われる市街。

 暗雲が立ち込める高層ビルの屋上に、1人の魔女が立っていた。

 つい最近までロングだった黒髪はさっぱりとした印象のショートカットになっており、女の子であると言われなければワイルドな少年と見間違えそうになる容姿だ。

 彼女は白いワイシャツの上に黒のジャケットを羽織っていて、ジャケットと同色のスカートを着用し、黒のネクタイを絞めていた。靴は移動しやすいキャンバスシューズを履いている。

 猛々しい叔父の面影を感じさせる精悍な顔付きと目付きをした黒髪蒼眼の魔女―――フィール・ベルンカステルは眼下に広がる凄惨な光景に嘆息し、どんよりとした空模様を仰ぎ見た。

 

(これで、一体何人目なんだ………?)

 

 マグル生まれ狩りを楽しむ人攫いを成敗したのは。

 もう両手の指では数えられない程征伐した。それこそ両足の指も含めて、マグル生まれや純血じゃない魔法使いを連行・殺戮する闇の魔法使い達を撃攘してきた。

 しかし、ムーディ達はこれ以上に敵を打ち倒してきたのだろう。

 終わりが見えない『逆狩り』に、フィールはどうしてコイツらはこんな目先の欲望の為だけに同じ人間を平気で苦しめられるのかと、この世界に失望したかのような瞳で灰色の空に問う。

 クラウチとの激戦で負った深傷は完治した。

 記憶喪失の影響で一時期魔法を一切使用してこなかったフィールは錆び付いた腕を元通りにするべく、時折ライアンやシリウスが組み手に付き合ってくれた事もあり、猛スピードで鍛え直した彼女は思ったよりも早く主戦力として現在大活躍していた。

 それでもまだまだ全盛期の力や感覚は完全には回復していないと本人は猛省し、実戦の勘を1日でも早く取り戻す為にも、こうして自ら戦場に出て危険と隣り合わせな争闘を繰り広げ、レスキューを続けている。

 が、被害は一向に収まらない。むしろ拡大していくばかりだ。

 いつになれば世界は平穏無事になるのだろうとフィールが半ば疑心を抱いた時、

 

「? なんだ?」

 

 スカートのポケットの中に仕舞っている『両面鏡』が相手からの連絡を報知して反応した。

 フィールはポケットから両面鏡を取り出す。

 切羽詰まった様子のクリミアの顔が鏡に映り、フィールは怪訝な表情を浮かべた。

 

「クリミア? どうしたんだ?」

『手短に言うわ。フィール、ハリーを匿っていた隠れ穴が襲撃されたのよ』

「なんだって!? それで、ハリー達は無事なのか!?」

『ええ、ちょうど私の近くに居たから、襲撃者を撃退しつつベルンカステル城まで「付き添い姿現し」して避難させたわ。勿論、ハーマイオニー達も無事よ。今は鎮圧し終えて後片付けに取り掛かっているらしいわ』

「そうか………で、襲撃してきた死喰い人の連中はどうしたんだ?」

『………………』

「………クリミア?」

『………フィール。残念な報告だけれど、今回襲撃してきたのは死喰い人じゃないわ』

「は? 死喰い人じゃない? じゃあ誰が? まさかヴォルデモートか?」

『いえ………ヴォルデモートでもないわ』

 

 益々フィールは訳が分からない表情になる。

 隠れ穴を奇襲したのは死喰い人でもなくヴォルデモートでもない? じゃあ他に一体誰が襲来したと言うのか?

 謎が謎を呼ぶ今回の襲撃事件の犯人は誰なのかとフィールが問うと、「落ち着いて聞きなさい」と前置きして、クリミアは答えた。

 

『イギリスに住む魔法使いの集団よ。誰かがこんな事を叫んでたわ。「ハリー・ポッターとフィール・ベルンカステルは何処だ? 居たら取っ捕まえて魔法省か闇の陣営に受け渡してやる! そうすれば俺達は安全だ!」と。連中は頭のネジが外れて錯乱した様子だったわ。フィール、今すぐ任務は中断して城に戻って来なさい。アイツらに捕まったら何されるか分かったものじゃないわ』

「………分かった。今からそっちに向かうから、もう少し待っててくれ―――ッ!?」

 

 予想の斜め上に飛んだ衝撃的な返答に思考が停止し掛けたフィールは混乱しつつも即座に状況を把握し、ベルンカステル城に帰還しようとした直後、背後から感じた魔法の気配にサッと伏せる。

 塔屋に穴が幾つもの穿たれ、破壊された破片が頭やジャケットの背中のに降り掛かってきた。顔を上げたフィールは閃光の発進場所に眼を走らせる。

 知らぬ間にビルの屋上に居た数人の魔法使いが凄まじい形相で杖先をこちらに向けているのが見えた。まるで長年追い求めた犯罪者を前にした警察のような相貌で、フィールを睨め付ける。

 

「見ず知らずの他人に魔法を撃ってくるなんて何のつもりだ?」

 

 コイツらがクリミアの言ってたグループかとフィールは警戒しながら、確認の為杖を前に構えながら不意討ちを狙った彼等に訊く。

 

「貴様は俺達の事を知らないだろうが、俺達は知っている。フィール・ベルンカステルだろ?」

「だったら何だって言うんだ? お前らが私を知っていようがその逆だろうが、こんな真似する意味が分からないんだけど」

「白々しい事を! 貴様らのせいで俺達は毎日地獄を味わってるのだぞ!」

「は? それこそ意味分かんないんだけど。私がいつ、お前らを苦しめたって言うんだ?」

「今年ホグワーツ特急が死喰い人に襲撃されたのは知ってるよな? その汽車の中には俺達の子供も乗っていたんだぞ! 万が一殺されたらどう責任を取るつもりだ!」

 

 鼓膜を震わせる程の大声で糾弾する男にフィールは「ああ、そういう事か………」と自分やハリーに執着する理由をなんとなく察した。しかし、理解したところでこのような行為を許容出来るかと言われれば、言うまでもなくNOだ。

 

「お前らの言いたい事は大体分かった。だけど、だからと言って私やハリーをアイツらに受け渡す理由にはならないと思うけど? 私達のゴールは同じ、ヴォルデモートと闇の陣営の撲滅だ。目先の事に囚われて討つべき敵を見誤らないで貰いたい」

 

 フィールはなるべく穏便に済ませようと努めて物腰柔らかく言ったが、悲しいかな、激昂する男達の耳には全く届かない。

 

「貴様の忠告など興味無い! 貴様は我々の討つべき敵だ!」

 

 その言葉が合図で、男達の攻撃が開始した。

 

アバダ・ケダブラ(息絶えよ)!」

クルーシオ(苦しめ)!」

 

 ヒトに対して使用が禁じられている『死の呪文』と『磔の呪文』がフィールに襲い掛かる。

 アズカバンで終身刑を受ける事になる―――現状を考えれば投獄したところで最早無意味に終わるだけだが―――許されざる呪文を何の躊躇も無く唱えてきたヤツらに話し合いは到底無理だと判断したフィールは、咄嗟に黒ジャケットを翻して避けた。

 ジャケットの裏面に穴が開き、それを投げ捨てたフィールはスカートのポケットからインスタント煙幕を出してそれを投げ付けると、ダッシュしてビルから飛び降り、高速で『姿現し』して次から次へと建物の屋上を飛び移る。

 

「くそっ! ………クリミア、言ってる傍からこっちも奇襲された! 今は全力で逃走してる!」

『なんですって!? それは本当なの!?』

「ああ、マジだ。クリミアはこの事をダンブルドアに報告してくれ! こればかりは私も手に負えない! あの人が収拾を図ってくれなきゃ、甚大な内戦が勃発する!」

『分かったわ! どうにかして貰えないか、ダンブルドア校長に相談してみるわ! 貴女は気を付けて、早く戻って来なさいよ!』

「言われなくても分かってる!」

 

 両面鏡をポケットに仕舞ったフィールはチラッと背後を振り返り、煙幕の効果が切れた途端、ハイスピードで『姿現し』を繰り返し絶え間無く呪文を発射しながら接近してくる襲撃犯共に舌打ちする。気持ちを切り替えたフィールは片流れ屋根の傾斜を利用して身体を滑らせ、宙に放り投げ出された瞬間、即座に魔法を用いて巧みに躱わし翻弄させる。

 それでも追跡は止まらない。

 身体に触れるか触れないかギリギリなところで呪いを帯びた光線がスレスレで飛来して来る。

 煮えを切らしたフィールはイラッと振り向き、背面に気を配りながら杖を振るって追っ手を次々と撃ち落とした。

 念のため墜落していく魔法使いが死亡しないよう『クッション呪文』を落下地点に掛けてやる。

 最後の1人を撃墜させたフィールはニヤリと笑い、他に追っ手が居ない事を確認するとすぐさま『姿現し』でベルンカステル城に生還した。

 城内のリビングにダイレクトに現れた為、クリミアと一緒に避難したハリー達は少々ビックリしたが、現れたのがフィールだと知ると、ホッと胸を撫で下ろした。

 

「………どうやら皆無事みたいだな」

「貴女の方も、見た感じ無傷ね」

「結構危なかったけどな………」

 

 ソファーに腰掛けたフィールは背もたれに身体を預け、眼を閉じる。

 すると、彼女の前のテーブルにミルクティーが入ったグラスが置かれた。クリミアが淹れてくれたものだ。

 瞼を開いたフィールは「ありがとう」と言い、ミルクティーを一口飲んで一息つくと、先程の追走劇を語り始めた。

 一連の出来事を聞き及んだハリー達はしかめっ面になる。

 

「フィールに言われた通り、ダンブルドア校長には全て伝えといたわ」

「校長はなんて言ってたんだ?」

「分かった、ではこちらの方で対処するから、ハリーとフィールは下手に外には出ず城で待機してろ―――って応答が来たわ。ダンブルドア校長の指示に従って、貴女とハリーは暫く此処に居なさい。いいわね?」

 

 フィールとハリーは素直に頷く。今回の2件の襲撃が2人を確保する事であるならば、下手に街をうろちょろする訳にはいかない。それだけ捕まるリスクが高くなるし、その分騎士団の負担が大きくなるからだ。

 

「全く………正直、襲撃してきたヤツらが死喰い人だったら、迷う事無く殺ったけど、相手がそうじゃないんじゃ、殺ろうにも殺れないな。後々批判受けんのもヤダし。ま、次襲撃してきたらでいいか、ヤツらの息の根を止めるのは」

「フィールって、たまに物騒な事さらっと言うよね………」

「本音を言って何が悪い。言っとくけど私は相手が先に手を出してきたら一切の遠慮はしないタイプだからな。あっちが最初に殺そうとしたんだ。だったらそうなる前に殺る。そうでもしないと今のご時世生き残れるかっての」

 

 肩を竦めたフィールは何て事無さげに言う。

 なんだろう、最近フィールがだんだん容赦と言うものを覚えなくなってきたと感じるのは。

 とてもではないが、入学当初では言わなそうなセリフが飛び出してくるのが当たり前になっている気がする。

 それだけ現状が厳しいと言う意味だろうか?

 どちららにしろ、あまりフィールらしいとは思えないなと本人の手前、口には出さなかったがハリー達の思考が見事にシンクロした時、

 

「まあ………そういう荒々しい気分も、アンタ達の顔見てたら自然と鎮静化されるのだけどね。ありがとう」

 

 フィールがふわりと笑った。

 ついさっきまでの不機嫌そうだった面持ちからは想像がつかない程の穏やかな微笑みで、口調もそれに合わせて柔らかくなっている。

 ハリー達はその変わり様に眼を点にしたが、程無くして、「前言撤回」と心の中で呟き、やっぱりフィールはフィールだったと、これまた見事に意見がシンクロしたのだった。

 

 その後は暇潰しと気分転換を兼ねて、皆で遊ぶ事にした。フィールが居ない間に粗方敷地内の案内や説明は済んでいたらしく、最初こそ驚嘆していたハリー達だったが、今はそれほど一驚せず、自家用庭園に完備されているプールやクィディッチコートで遊興に耽る。

 一定の範囲内には紫外線防止の結界やありとあらゆる強力な防衛呪文・安全対策が幾重にも重なって張られており、更には現当主であるフィールが秘密の守人で追加の保護策を講じている。

 よってフィールとその彼女に認められて尚且つ居場所を教えて貰った者以外、位置探知は不可能で立ち入りも一切出来ない。ハリー達が此処に居るのもフィールが出入りを許可している人物の1人であるクリミアだから連れて来られたのだ。フィール自身が認めているのもあり、今日からハリー達も新たにこの城の訪問を容認された。

 暫くは皆で遊び呆けていると、不意に今にも雨が降り出しそうな空の彼方に僅かな光が見えた。

 よく見るとそれはペガサスで、イーサンの守護霊は物凄い速さで近付き、城の周囲を覆う防護魔法を通り抜けると、ペガサスはフィール達の周囲に降り立ち、伝言を伝える。

 伝言の内容は隠れ穴の後片付けが終了したとの事だった。襲撃前と何ら変わらず普通に生活出来るくらい建て直したと言ったので、ウィーズリー兄妹は特に安堵した様子だ。

 伝言を伝え終えたペガサスはフッと消える。

 白い残像を残しながら消滅した守護霊に、ハリーはふと、フィールに訊いた。

 

「あのさ、フィール。フィール達は『守護霊の呪文』で連絡を取り合ってるんだよね?」

「ああ、そうだが」

 

 不死鳥の騎士団のメンバーは守護霊を用いて連絡を取り合っており、このような使い方を知っているのは彼等だけだ。守護霊を使う理由は、闇の魔法使いの影響に対する抵抗力が強い事、物理的な防壁に邪魔されない事、そしてそれぞれの守護霊は他の守護霊とは全く異なっているので、騎士団の誰が送ってきたのか一目で分かり、しかも他人の守護霊を召喚する事は誰にも出来ないので、メンバー間に偽りのメッセージが紛れ込む心配が無いからだ。

 術者によって形状が相違する高位呪文だからこそ可能なこのコンタクトの取り方は、大いに役立っている。

 上記の通り創り出す魔法使い次第で守護霊のフォームはまちまちで、ダンブルドアは不死鳥、弟のアバーフォース・ダンブルドアは山羊、ミネルバ・マクゴナガルは動物もどきと同じ眼の周りが縞模様の猫、セブルス・スネイプは雌鹿、キングズリー・シャックボルトはオオヤマネコ、シリウスはマクゴナガル同様自身の動物もどきと同じ大きな犬、ルーピンは狼、アーサーはイタチ、モリーは馬だ。補足として、『守護霊の呪文』は精神的な動揺や強い衝撃で形が変わる事がある為、ルーピンを愛したニンファドーラ・トンクスの守護霊はジャックウサギから彼と同じ狼に変化した。

 

「前にフィールが熟練者になれば伝言の伝達も可能だって言ってたのを思い出してさ。僕達と同い年のフィールがあの人達とそこまで出来るのは、やっぱりスゴいなって。それにさ、フィールは『守護霊の呪文』のアレンジも編み出したんでしょ? えーと、確か『破滅(アグレッシブ)守護霊』だっけ? 吸魂鬼も殺傷してしまうって言う」

「あと『破魔(ディフェンシブ)守護霊』があるのも忘れるなよ」

「『破魔守護霊』は守護霊が衣になってありとあらゆる攻撃から身を護ってくれるんだっけ?」

「ああ、そうだよ。『破魔守護霊』は『破滅守護霊』と違って身体に掛かる負担が激減するから、通常時のバトルではこっちの方が便利で有利かもな。『破滅守護霊』はここぞと言う時の隠し球として取っておいた方がいいと開発者の私はそう考えてる」

「じゃあさ、身体に掛かる負担って軽くする事は出来ないの?」

「更々無い訳ではない。誰でも負担を軽くする方法は死ぬ程鍛練して身体が慣れる事だな。地味で時間も掛かるが、まあこれも1つの手だ。でも1番最善なのは、魔力を上げる事かもな」

「魔力を上げる?」

「そうだ。魔力の量や質は上がれば上がる程、その分高度な魔法も容易に扱える。ヴォルデモートやダンブルドアを見れば一目瞭然だろ?」

「で、でもあの2人は特別なんだ。平凡な僕達には、とても無理だよ………」

「ところがどっこい、それが可能なんだよな」

 

 ニヤッと笑って見せたフィールは、「どういう事?」と首を傾げるハリーに説明した。

 

「世の中には患者に気を送り込んで治療する気功師が存在する。それと同じ原理で、私達魔法使いも人から人に魔力を送り込む事が出来るんだ。そうすれば、例え平凡な魔力の持ち主であっても強大な力を瞬時に得られる。とは言え、説明するよりかは実際にやって実感した方がアンタも分かりやすいだろ」

 

 そう言ってフィールは杖をハリーに向けると、ハリーに自分の魔力を送り込んだ。

 瞬間、ハリーは自分の中に流れ込んでくるパワーを感じ取る。身体中に力がみなぎり、充実感と満足感に全身が満たされた。

 

「こういう事だ。分かっただろ?」

「うん。なんと言うか、こう、今の杖を初めて手に取った時と似た感覚だった」

 

 頷いたハリーは、閃いたようた顔になる。

 

「あれ? でもさフィール、だったらなんで、皆はあまりやらないの?」

「アンタも送る側になれば分かるけど………これがかなり疲れるんだよ。魔力を他者に送り込むのは送る側の人間が体力や気力をそれだけ消耗するからな。代償は当然ある。それにいくら絶大な威力を誇る力を得たとしても、その力をコントロール出来なければ意味は無いし、下手すると周囲を破壊し尽くしかねない。だから、束になって掛かっても勝てない時やどうしようもない時にのみ、1人の魔法使いに他の魔法使いが魔力を託し、その一撃に全てを賭ける―――と、私は考えてる。人間何事もムダで終わらせたくはないからな。そう考えるのも仕方ないかもしれないけど、まあどう思うかは好きにしてくれ。人の価値観なんて押し付けられないからな」

 

 ハリーの肩に手を置いたフィールは彼の横を通り過ぎる。

 手を置かれた感触とその重みに思わず左肩に触れたハリーは後ろに振り向く。

 『守護霊の呪文』を唱えたフィールが白銀の狼とじゃれ合う、年相応の面を覗かせる姿がハリーの視界に映った。




【没シーン:皆でかくれんぼ】
クリミア(鬼)「フィール見付けた」
フィール「うっそもう見付かったの!?」
クリミア(鬼)「あ、ハリーも見っけ」
ハリー「見付けるの早くない!?」
クリミア(鬼)「そりゃこの城に住んでるんだもの、城内は全て把握してるわ」
ハリー「さ、流石クリミア………」
ハーミー&ウィーズリー兄妹(((なんかスゴい盛り上がってるな………)))

【我が子の為ならば魔法界の希望も敵と見なす】
それが逆に自分達をDeadに導くとは知らない。

【許されざる呪文】
魔法省が陥落した今そんな法律は成立してない。

【魔法使いの戦闘】
早い話シューティングゲーム。

【追跡者全員撃墜】
フィール「フッ(笑)」

【自発的には手を出さないタイプ】
フィールは基本自分から暴力はしない。
相手が先制攻撃してきたところを倍返しする。
これぞまさしく『正当防衛』。

【シリウスの守護霊】
シリウスの守護霊は明記されてませんが、まあ優秀なシリウスなら守護霊くらい有体で創れるだろうと彼の守護霊は動物もどきと同じ大きな犬。
そういえば1回さらっと出しましたね。確か7章1話目で。

【魔力を他者に送り込む】
この世界なら普通に出来るんじゃないかな。
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