【完結】ハリー・ポッターと蒼黒の魔法戦士 作:Survivor
新学期がスタートする5日前。
ベルンカステル城のリビングに在るソファーに座って新聞を読んでいたフィールはテーブルにそれを放り投げ、深く腰掛けて身を委ねた。
ふぅ、と一息つき、目線だけを新聞に移す。
「マグルの子供が数人行方不明………か」
最近マグルの世界では、子供の行方不明が相次いでいる。それも全員がフィールより年下の6歳~10歳の童児童女だ。魔法族からすれば、大体その頃に魔力が発現する時期である。
無差別に幼い子供が誘拐されてることから、子持ちの保護者は常にピリピリしてる。消息不明の子供の親は「我が子を攫った犯人を早く捕まえてください!」と警察に泣き付き、懇願されてる警察も捜索範囲を広げ、子供の捜索と誘拐犯の逮捕に全身全霊を傾けているらしい。
「幼い子供を誘拐するなんて、そいつの神経どうかしてるわよね」
苛立った声音でそう言ったのは叔母のエミリーだ。現在クリミアはライアン達が住んでいるフランスの方に数日間泊まっており、誘いを断って此処に留まるフィールを心配したエミリーが代わりに泊まっている。
「そうだな。どうかしてるよな。………連れ去られた子供、早く見付かるといいな」
「ええ………早く見付かって欲しいわね」
行方不明の子供の家族は今頃凄く心配しているだろう。その人達のことを思うと、胸が締め付けられる。フィールとエミリーは暗い顔を見合わせて深くため息を吐いた。
二人の間で少し重苦しい空気が流れ―――そんな雰囲気を払拭しようと、エミリーはフィールにこう質問を投げ掛けた。
「ところでさ、フィール。フィールはもし、誰かに誘拐されて何処かに監禁されたら、どうやって脱出する?」
「私? そうだな………時と場合に合わせて多数の手段の中から最もベストなヤツを選ぶ」
「多数の手段? 例えばどんなの?」
「蹴破る、吹き飛ばす、破壊する、粉々にする」
「貴女『
「あ、その手もあったか」
「私達は魔女なんだから、そういうもっと効率的な仕様あるでしょう?」
「それはそうなんだけど………『
フィールらしい返答だな、と強引な手法で問題解決しようとする姪に、エミリーは苦笑いを浮かべた。
♦️
翌日の午前中。
たまには休息を取るのも大切だと言うのと、もう少しで新学期が始まるからその前に久し振りに二人で出掛けようとのことで、現在フィールはエミリーと共にロンドンの街中を歩いていた。街路は残り僅かな夏休みを全力で楽しもうとする学生や、イギリスの観光旅行に来た観光人でワイワイと賑わっている。
「相変わらずだな、ロンドンは。まあ、この国の首都だし、仕方ないって言えば仕方ないけど。とにかく、はぐれないように気を付けよう」
「ええ、そうしましょう。………フィール、自販機で何か飲み物買わない?」
「そうだな、買うか」
と言うことで、二人は近くに設置されている自販機の所まで人混みを掻き分けて向かい、自販機にて炭酸飲料を購入して缶を手にすると、タイミングよくハーマイオニーとばったり出会した。
「あ、フィールとエミリーさん」
「奇遇だな、こんな所で会うなんて」
「パパとママから『明日の朝食用に牛乳と卵を買ってきて』って電話が入って、今スーパーに行くところなのよ。貴女達は?」
「私達は御出掛けよ。久々に二人でね。あ、ハーマイオニーちゃん。何か飲みたいのある?」
ジュース奢るわよ、とエミリーが言い、ハーマイオニーは遠慮がちに断ろうとしたが、せっかくの厚意を台無しにするのも気が引けるので、御言葉に甘えることにした。そうして、三人は歩行者の邪魔にならぬよう比較的人通りの少ない場所まで移動し、プルタブを開けて渇いた喉を潤していると―――。
「あ、あのっ、すみません!」
歳は20代後半か30代前半といった感じの一人の若い女性が、切羽詰まった様子で声を掛けてきた。今まで休まず走ってたためか、髪は乱れてるし、肩で息をしている。
「どうしたんですか?」
怪訝な顔でエミリーが問うと、女性は一つ深呼吸して呼吸を整えてから、話し始める。
「怪しい者ではありません。私、マナ・ブライドンと言います。あの、この辺で、小さな男の子を見掛けませんでしたか? うちの息子なんですけど………ちょっと口喧嘩して、家を飛び出してしまったんです」
その質問に見覚えのないフィールとエミリーは「見てませんよ」と答え、ハーマイオニーも横に首を振ってから、「その男の子の特徴は?」と逆に質問した。
「えっと………貴女と、そこの黒髪の女の子より背が低くて、今日は緑色の半袖のパーカーを着てるわ」
「緑色のパーカーを着た男の子? それなら私、さっき見た気がするわ!」
「本当ですか!?」
「はい! ただ、本当に貴女の息子さんかどうかはわかりませんが………」
どうやらスーパーに向かう最中、女性の言う息子の特徴がピッタリ当て嵌まる少年を見掛けた覚えがあるらしい。女性は安堵の息を吐く。
「よかった。それで、何処で見たのですか?」
しかし、女性の問い掛けにハーマイオニーは何故か黙り込み―――程無くして、逆にこう訊き返した。
「あの………貴女の住所は何処ですか?」
「え………?」
「その、初対面の人間が何を言うんだって思うかもしれませんが………私、息子さんを探すのに力を貸します」
「え、でも―――」
初対面の人に迷惑は掛けられないと、女性は遠慮して断ろうとしたが、
「大丈夫です、私達も探しますから」
「もし見付けたら、家まで送り届けます。ですので、貴女は自宅で待機してください。もしかしたら、途中で引き返すかもしれませんし」
と、フィールとエミリーも協力を申し出―――最終的に女性の方が折れて「ありがとうございます」と深々と頭を下げ、三人に住所と息子の名前を告げると、踵を返して疾走した。
「フィール、エミリーさん。その、ありがとう。一緒に探すの手伝ってくれて」
「気にすんな。話を聞いた以上、もし見付かんなかったら、後で後悔するし」
「ハーマイオニーちゃん、早速案内してくれるかな?」
エミリーがそう言うと、ハーマイオニーは「わかりました」と頷いて空き缶をゴミ箱に捨ててから駆け出し、二人も空き缶をちゃんと捨ててから彼女の後を追って走り出す。
「そんなに時間は経ってないから、そう遠くには行ってないと思うけど………」
ハーマイオニーはそう呟き、どうか見付かりますようにと願いながら、三人は走り続ける。
数分後、ロンドン中心部のナイツブリッジ地区ブロンプトン・ロードに面するイギリス最大の老舗高級百貨店―――ハロッズが見えてきた。
「居たわ!」
立ち止まったハーマイオニーが指差した方向には、緑色の半袖のパーカーを着た少年がとぼとぼ歩いていた。
「アイツか。よかった、これであの人も安心するな」
フィールがホッとした時、少年の周りに三人の男が寄ってきた。彼等は少年を取り囲み、何やら話し掛けている。
「えっ、誰なの、あの人達―――」
ハーマイオニーが眼を見張った次の瞬間、男の一人が少年の手を握り、何処かへ連れて行こうとした。
傍から見れば、叔父もしくは伯父が甥っ子と偶然にも遭遇し、何処かへ移動しようとしている感じに見えるが、少年の表情は完全に恐怖で歪んでいる。
「ちょっ、あの人達………!」
咄嗟に走り出そうとするハーマイオニーに対して、エミリーは冷静に指示を出した。
「私があの連中を足止めするわ! フィールとハーマイオニーちゃんはその隙にあの子を!」
「止めるって、どうやっ―――」
ハーマイオニーが疑問に思っていると、エミリーは意識を集中させ始めた。
「マグルに対して魔法で攻撃するのは反則だろうけど………悠長なことは言ってらんないわ」
任せたわよ、とエミリーは持っていたボディーバッグを投げ出し、誤って飛ばしてしまったフリをして、腕を伸ばす。
(
対象を妨害し、その人物の動作を遅延・一時停止させる『妨害呪文』をエミリーは杖の非所持&無言呪文で発動。
すると床面スレスレに電光石火のスピードで一瞬閃光が迸り、マグルの通行人の足元を巧みに避けて、目的の三人のふくらはぎに命中した。
突然足をやられた男達は、ガクッとなる。
「うおっ!」
「な、なんだ!?」
彼等は何が起きたのかわからないまま、その場にへたり込んだ。すると、その隙を突いて子供が走り出し、デパートの中へと飛び込む。
「ちょっ、待てよ!」
少年を追い掛けようと体勢を立て直した三人にフィールが走りながらわざとぶつかる。フィールが時間稼ぎしてくれたのを駆けながら瞬時に理解したハーマイオニーは、先にデパートの中へと入った。
「わっ! とととっ、すいません、急いでて!」
フィールはただの通行人のフリをしてペコッと頭を下げると、建物の中へと走って行く。
男達は顔を真っ赤にして睨み付けるけれど、その時にはもうフィールの姿は建物の中に消えようとしていた。
「あの小娘………っ」
「おいっ、いいからガキを取っ捕まえるぞ」
「お、おう」
男達は更に追い掛けようとしたが、エミリーが再度、三人の足を狙い撃ちした。
「のわあああああ!?」
「ま、まただ!」
「くそっ、どうなってやがんだ?」
派手にぶっ転んだ大人三人に、付近に居た大勢の人々はウケる。
多数の人間に大笑いされ、先程ぶつかってきた黒髪の少女へ対する憤りがフツフツと込み上げてきてワナワナと震える彼等に、スーツ姿の大柄な男性が近付いてきた。
「お前ら、何やってんだ」
「それが………何かに足を叩かれて」
「何かって、なんだ? お前達を叩いたモノなどないだろうが! 早くガキを追い掛けろ!」
大柄な男が怒鳴ると、男三人はめんどくさそうに建物に向かった。
「全く使えないヤツらだ」
彼等を見送った巨漢は不機嫌そうに吐き捨て、踵を返す。彼が歩行する方向はフィール達を追う方向ではないので、きっと何処かで待機して男達からの連絡を待つつもりだろう。
2度目の『妨害呪文』を放った後、素早く物陰に隠れたエミリーはその男の顔をしっかりと眼に焼き付けていた。
(あの連中が何者かはわからないけど………もしかして、今マグル界で話題となってる事件の張本人? で、さっきの男達の中ではあの男が主犯格かしら?)
何にせよ、これは見過ごせぬ問題だ。
ただちに警察へ通報したいが………そもそも携帯電話と言う電化製品を持ってない以前に、まずはフィール達と合流しなければならない。冷静なフィールとハーマイオニーのことだ。きっと簡単には見付からない場所で隠れているだろう。
エミリーは走り出そうとしたが………くらっと眩暈がして、うっと額を押さえた。
(………ッ、私の実力はやっぱり、たいしたものじゃないわね………)
戦闘に特化した家系に生まれたが故にこの身体に流れている血と天質の才能―――。
無論エミリーもベルンカステル一族に相応しい才知を問題無く持ち合わせて生まれたが、実力はライアンやフィールに比べたら格段に弱い。
(兄さんは闇祓いだからまだわかるとして………学生の、それも今年2年生になる姪っ子よりも弱いなんて………大人として、母親代わりの叔母としてカッコ悪いわよね………)
以前、フィールは自分のことを「私の母親と言える」と言ってくれた。その時は、純粋に嬉しい気持ちだったが………こうして考えると、自分は母親気取りの弱者だなと自嘲してしまう。
「なんて、今は嘆いてる暇じゃなかったわね」
エミリーは自分が今すべきことを思い出し、気合いを入れて疾駆する。
店内は圧倒される高級感が漂い、天井や柱など内装もゴージャスだ。そしてやはりと言うかなんと言うか、数多の買い物客や観光客で混雑していた。これでは彼女らを探すのは至極困難である。
さてどうしようかと思った時、
「エミリー叔母さん」
と、雑踏に紛れてエミリーが来るのをウェイティングしていたフィールが近付いてきた。先程男達に顔を見られたのでバレないように対策したのか、目深に帽子を被ってサングラスを掛け、羽織っていた薄手のカーディガンも脱いでいる。
「ちょっ、フィール、サングラスって………だて眼鏡はどうしたのよ?」
「ああ………
フィールはハーマイオニーと少年が居る1階の食料品売り場を目指して、化粧品やジュエリーのコーナーを横目に群集を器用に避けながら進んでいき、エミリーは彼女を見失わないようについていく。
やがて二人は、巨大なフードホールが広がる館内中央部に辿り着いた。この中でも特に豪華絢爛なのは紅茶&チョコレート売り場だ。ハロッズオリジナルの紅茶やチョコレートが所狭しと並んでおり、紅茶好き・チョコレート好きには堪らない空間である。
食料品・御惣菜コーナーの一角に、ハーマイオニーと少年の姿があった。
「あら、思った以上に早かったわね」
「ハーマイオニー、サンキュ、助かった」
「どういたしまして。あ、エミリーさん、これ」
ハーマイオニーは二人が来る前に購入しておいたペットボトルをエミリーに手渡す。エミリーは「ありがとう」と微笑んでハーマイオニーに礼を言ったが、
「御礼はフィールに言ってください。買ったのは私ですが、お金はフィールのですから」
と、フィールを見ながらそう言った。
そこでエミリーはなんとなく察する。
先程の妨害工作は人混みの中での攻撃だったので、三人同時に怪我をしない程度に手加減しつつ無関係の歩行者に気を配っての攻撃は、かなりの体力を消耗した。
そのため、手軽に栄養補給出来るペットボトルの飲み物を用意するよう、フィールは事前にハーマイオニーに頼んでおいてくれたのだ。
姪の然り気無い気遣いに、エミリーは思わず胸が温かくなる。
(普段は無愛想な雰囲気纏ってるクセに、こういう時になると思いもよらない温情を見せるんだから、フィールの考えは掴めないわ………)
内心でそう思いつつ、食料品店を出たエミリーはペットボトルの蓋を開けて一気に飲む。幾分かは疲労感が軽くなり、ふーっ、と一息つく。
「あ、あの………」
おずおずとしたか細い声が聞こえる。
そちらを見てみると、少年がオドオドした様子で三人を見回していた。
「貴女達は、誰なんですか………?」
「ああ、そういえば、まだ名前教えてなかったわね。私、エミリー・ベルンカステルよ。そっちは姪のフィールで、それから―――」
「私はハーマイオニー・グレンジャー。フィールの同級生」
それぞれ簡単に自己紹介すると、
「それで、単刀直入に訊くけど、アンタ、カイ・ブライドンか?」
とストレートにフィールが問い掛けた。
少年―――カイ・ブライドンは眼を丸くする。
「え? うん、そうだけど………なんで、僕の名前を知ってるんですか?」
「アンタの母親に教えて貰ったんだ」
「え………」
「口喧嘩になって家出したって言うアンタを探してる最中、街中で偶然出会した私達に『息子を見掛けなかったか?』って訊いてきて、見た覚えがあるらしいハーマイオニーの案内で此処まで来たんだ。マナさん、凄く心配してたぞ。ほら、早く帰ろう。私達はアンタを探したら、家までアンタを送り届けるって自宅待機してるマナさんと約束してるからな」
「い、イヤだ! 家には帰りたくない!」
カイは顔面蒼白して駄々をこねる。
大方、帰宅後の出来事を恐れてるのだろう。
フィールは予想がつきつつ、一旦サングラスを外して背の低いカイと目線を合わせ、敢えて尋ねる。
「なんで、家に帰りたくないんだ?」
「だ、だって………帰ったら、僕、母さんに叱られる………だから………」
「だから、なんだ? 何処かへ行くにしたって、行く当てあるのか?」
「そ、それは………」
「帰宅を先延ばしにすればするほど、余計帰りづらくなるし、謝りづらくなるだけだ。それに、不審者が出没してる今、アンタみたいに幼い子供がそこら辺を一人でほっつき歩いてたら、さっきみたいな目に遭うぞ」
ポン、とフィールはカイの頭に手を置く。
「親御さんをこれ以上心配させないためにも、早く帰るぞ。私も一緒に謝ってやるから」
「………本当に?」
「ああ、約束する」
フィールは微かに微笑んで小さく頷く。
穏やかに和らぐ、蒼色の瞳。
その瞳を見ていると、自然と緊張や不安が解けていくのを感じてカイは微笑し………ようやく、こくん、と首を縦に振ってくれた。
黙って事の成り行きを見守っていたハーマイオニーとエミリーは顔を見合わせて安堵のため息を吐く。
「一時はどうなるかと思ったけど………よかったわ」
「ええ、そうね………」
エミリーは感慨深そうに金眼を細める。
なんだか、よく知ってるはずの血縁者なのに、自分の知らないフィールを見てるような、そんな不思議な感覚にエミリーは陥っていた。
(フィールのことは、よくわかってるつもりでいたけど………実際は、叔母の私ですら初めて知る意外な一面も持ってるのね………)
クールな姪の素の顔を見れたような気分を味わうエミリーのその表情は、どこか暗い。
(………お姉ちゃんなら、フィールの性格、全部見抜けたのかな………)
「エミリーさん? どうしたんですか?」
ハーマイオニーが心配そうな顔で見上げる。
エミリーはハーマイオニーの声にハッとし、慌てて「なんでもないわよ」と普段通りの笑顔を浮かべた。
「とにかく、無事に見付かったし、早めにカイ君を家まで送りましょう。マナさんも心配してるだろうし、さっきの連中が此処に居るって気付かない内に慎重に出るわよ」
エミリーは追手のリーダー格であろう巨漢がデパートの外で自分達が出てくるのを窺っているかもしれないとフィールとハーマイオニーに教え、来た時とは別の出入口から行こうと、三人はカイを両脇に挟むようにして雑踏に紛れ込んだ。
♦️
最初に入店したエントランスとは反対側から退店し、ハロッズを後にした四人はウェストミンスター宮殿(英国国会議事堂)に付属するエリザベス・タワー―――通称『ビッグ・ベン』と呼ばれる時計台が見える所まで来ると、一度立ち止まった。
時計の針を見てみると、あれから数十分が経過しているみたいだ。あと数分で正午になる。
「よし、じゃあカイを自宅まで送れば―――」
万事解決だな、とフィールが言おうとした、その矢先。
「やっとデパートから出てきたか、君達」
何処からか、行く手を阻むように背丈の高い高級スーツに身を包んだ男が現れた。巨漢の両隣には、先程カイを何処かへ連れ去ろうとした男三人も居る。彼等は鋭い眼光を四人に向けた。
「アンタら………さっきの連中か」
男四人の鋭い視線をモロともせず、フィールは怯えた表情になったカイを護るように片腕で抱える。彼はフィールが被っていた帽子を被り、上着も借りて羽織っていた。サイズが合わず、ちょっとブカブカだが。
「どうやら正体がバレないよう変装してるようだが、我々の眼は誤魔化されんぞ」
「そんなことより、お前ら、最近
フィールが低音の声音でそう問うと、スーツ姿の男は軽く肩を竦めた。
「さあ、どうだろうな?」
フッと口元に薄く刷く冷たい笑み。
フィール達は直感的に「やっぱりコイツらか」と確信めいたものを抱く。
「今まで攫った子供達は生きてるの?」
ハーマイオニーが思わずといった感じに訊く。
「ああ、ちゃんとな。本来であれば、そこのガキで最後にしようと我々は計画立ててたのに、君達が―――いや、貴様らが邪魔してくれたせいで、全てが台無しだ。それ相応の仕返しは受けて貰うぞ」
二人称を『君達』から『貴様ら』とガラリを変えてきて、そして『仕返し』と聞いて、ハーマイオニーは後ずさった。
(気を抜くと本当に殺られる………!)
さっきから軽い口調だが、男の眼は笑っていない。
相手は容赦なくこちらを仕留めにくるだろう。
それに加え、ハーマイオニーとフィールは未成年魔法使いだ。
魔法界では17歳で成人となるのがルールで、17歳未満の未成年魔法使いによる魔法使用は法律で制限されており、命が脅かされる状況下等の非常事態を除いては、学校外での呪文行使は認められていない。ちなみに就学前の幼い子供が魔法を使用した場合、通常は大事にされないので咎めは一切無用だ。
魔法省は未成年者の魔法使用を『17歳未満の者の周囲での魔法行為を嗅ぎ出す呪文』―――通称『臭い』と呼ばれる、未成年者にあらかじめ付いているこれで探知すると言う独自のやり方で発見するが、魔法の行使自体を探知するのみなので明確な実行者まで特定することは出来ない。
(この状況なら、魔法使っても法律違反にはならないと思うけど………)
如何せん場所が場所だ。
此処でのド派手な魔法行使は、まず間違いないなく混乱の渦を巻き起こすだろう。
しかし、だからと言ってこのまま何もしない訳にはいかない。大人しくやられるほど、こっちも無能ではない………はずだ。
必死に打開策を見出だそうと思考を回転させるハーマイオニーへ、フィールがこそっと小声で耳打ちする。
「ハーマイオニー。エミリー叔母さんと一緒にカイを連れて逃げろ。此処は私が囮になって、アイツらの注意を引く」
フィールの馬鹿とも無謀とも言える作戦に、ハーマイオニーは眼を剥く。
「フィール、それだと貴女が危険なのよ!?」
「そんなの言われなくてもわかってる。けど、仮にエミリー叔母さんが囮になって私達がカイを連れて逃げれば、それこそ万事休すだろ? 私達は『
万が一、どうしても魔法を使用しての対処を余儀なくされた場合は、子供である自分達よりも大人のエミリーの力が必要不可欠となるだろう。
運動が苦手なハーマイオニーと違って、フィールはパルクール(フリーラン)を体得してる。
何処まで距離を稼げるかはわからないが、カイの安全が最重要保証されたと思われる時間くらいまでなら、なんとか出来るとフィールは自分を信じる。
「と言うことで、エミリー叔母さん。カイとハーマイオニーを頼んだぞ」
「………ええ、わかったわ」
エミリーは小さく頷いて了承する。
本音を言うとハーマイオニーと同じでフィールの身が心配だが………現実を考えれば、今はこれしか他に方法は無い。
「カイ君とハーマイオニーちゃんを安全地帯まで避難させたらすぐ援護に向かうわ。だから、それまで逃げ切ってちょうだい」
「ああ、任せろ。これでも鬼ごっこは得意だからな」
昨年度、ホグワーツで逃走中したのを思い返しながら、フィールは自分を奮い立たせるように不敵な笑みを浮かべる。
すると何がそんなに面白いのか、男達はニヤニヤと下卑た笑いでフィールを見た。
「おいおい、そこのサングラスのお嬢ちゃん、まさか俺達から逃げられると思ってるのかい?」
「ああ、勿論。―――今だ、全力で走れ!」
フィールが鋭く叫ぶ。
その合図でエミリーはカイを抱き上げて走り出し、ハーマイオニーも全速力で走る。男三人は逃走した三人を追い掛けようとしたが、
「―――待てよ、クズ野郎共。あの人達を追い掛けんのは私を取っ捕まえてからにしろ。それともなんだ?
と、逃げたエミリー達から意識を逸らすためにフィールが挑発してきた。
クズ野郎、と言われた男達は顔を真っ赤にしてフィールを睨み付ける。
どうやらこの三下三人、感情の沸点は頗る低いようだ。
「んだと、このガキ!」
「まだ子供だからって、俺達が手加減すると思うなよ!」
「え? 手加減する? 手加減
「コイツ………!」
「お前ら、少しは頭を冷やせ。小娘の戯れ言になんぞ耳を傾けるでない。………貴様、本気で多勢に無勢の状況で私達から逃れられると思っているのか?」
「無駄口叩く暇あんなら、さっさと来いよ」
「そうか………では、存分に後悔して頂こう」
ダークグレーのスーツを着込んだリーダー格の巨漢が地面を蹴り、それに続くように部下三人もフィールとの距離を縮める。フィールは素早く踵を返し、エミリー達とは正反対の方向へとダッシュで駆け出す。
スーツの男性はがっしりした体格の持ち主でかっちりした服装をしているのに俊足だ。対して部下三人はそこまで足が速くなくて、懸命に追い縋ろうとするが、その差は一向に開く一方である。
しかもフィールは周囲の建物や障害物を持ち前のパルクールの技を利用して巧みにチェイスしてくる男達を翻弄するので、男達はちょこまかと動き回る彼女を捕らえるのは非常に厳しかった。中でも冷静沈着なあの大男でさえ驚愕に凍り付いたのは、ベンチを踏み台にして壁走りした驚異的なテクニックだろう。
「まさか、ガキ一人をこの私達が捕まえられないとは………!」
階段を手摺で華麗に滑り降りたフィールに、完全に侮っていた大男の顔に焦りの色が滲む。
フィールは無関係なマグルの人間を巻き込ませないために人通りの無い場所を選んで、援軍が来るまで延々と疾走し続ける。
「くそっ、こうなったら………!」
何を考えてるのか、男はスーツに隠し持っていた拳銃を取り出し―――フィールの足元狙って一発発砲した。幸い直撃はしなかったが、銃弾が足を掠めた。
「痛ッ………!」
思わぬ攻撃にフィールはハッと端正な顔を歪めながら、振り返る。
リーダー格の男が拳銃を構え、それに倣って他の男も次々と銃を取り出した。
どの銃にも発射音と閃光を軽減するために銃身の先端に取り付ける筒状の装置・サプレッサー(サイレンサー)が装着されている。
一般市民に危害を及ぼさぬよう自分から路地裏に引き連れたのが完全に裏目に出てしまった。
(最悪だ………よりにもよって拳銃で追い詰めてきたか。ナイフだったら、ポーチの中に常備品として所持してるのに………)
血が流れているのを感じつつ、この局面をどうやって乗り切ろうか頭を絞らせるフィールへ向かって、再び指に掛かった引き金が引かれる。
パシュッ! と微かに鳴り響く銃声。
続いて、パリンッ! と何かが割れる音が辺りに響き渡る。
「………ッ!」
サッと顔を避けたフィールは肝を冷やす。
鉛の弾丸が、サングラスを破壊したのだ。
バラバラと、粉々に砕け散った黒いきらびやかな破片が地面に落ちる。
危なかった………あと数㎝でもズレていたら、確実に御陀仏になるところだった………。
「ちっ………外したか。まあいい。私は少しばかり、あのガキの代わりに貴様を攫おうかとも考えたが、仕方あるまい。傷物にしてしまった以上は高く売れないからな。さてと………次の一発で今度こそ、この鬼ごっこに終止符を打とうではないか」
「―――ええ、そうね。終わりにしましょうか」
今まさに狙撃しようとした次の瞬間。
男達の背後で、凛とした女性が声が全員の耳を打った。
男達はバッと一斉に振り返る。
が、そこには誰も居なかった。
「な、なんだ、今の声は―――」
と、その時だ。
両側に居た部下三人が、急にバタバタと倒れ始めた。
「………なにっ?」
大男はゆっくりと後ろを振り向く。
そこには、謎の声の主―――エミリーが、片手に杖を握り締めていつの間にか立っていた。
ハーマイオニーとカイを避難させた後、『姿くらまし』で此処にやって来たのである。
「な、何故貴様が此処に居る………!?」
「わざわざ親切に教える義理なんてないわ。幼い子供を誘拐しようとし、挙げ句の果てに私の娘を殺そうとしたアンタなんかに」
「くっ………死ね!」
「
男は銃を構えるが、先に先手を打ったのはエミリーだ。
エミリーの前に半透明の銀盾が現れ、その中心に男が撃った鉛の弾丸が命中した。
が、その弾丸はすぐに盾に吸い込まれて―――男は誰が見てもわかるくらい愕然とした。
「う、ウソだろ………!?」
ダンディーな顔が台無しになるほどの恐怖の表情で歪んだ男は狂ったように撃ちまくるが、発砲したその弾は全て虚しく吸収される。
エミリーが展開したのは『盾の呪文』のアレンジだ。従来型と異なり、攻撃を『防御』するのではなく、『吸収』すると言う特殊な性質を有しているのである。そして、力量次第では吸収したエネルギーを倍にして返すことも可能で―――。
「アンタ、さっきこう言ったわよね? 『それ相応の仕返しは受けて貰うぞ』って。一般のマグルの人間に対して攻撃は法律違反になるでしょうけど………アンタらに対しては、そんなのどうでもよくなったわ」
「あ………あ……………」
無駄に弾薬を使い果たして弾切れを起こしてしまった男は何度も何度も引き金を引くが、銃口からは何も出ず、カチッカチッと、これまた虚しく音が発せられるだけで。
「その言葉、そっくりそのまま返してやるわ」
金色に輝く双眸の奥が妖しく光った瞬間。
銀白色のバリアの中心から、通常の弾丸の大きさを遥かに上回る巨大な銃弾が一斉に飛び出してきて、標的目掛けて空間を切り裂いた。
♦️
「―――本当にありがとうございます。貴女達のおかげで犯人を捕まえることが出来たし、子供も無事に救出出来ました」
男達の身柄を確保し終えた警察官達がエミリー達に向かって深々と頭を下げる。エミリー達は「いいえ」と首を振った。
エミリーがリーダー格の男にトドメを刺した後―――怪我をしたフィールの足を治療し、気絶した男達の記憶を必要最低限改竄したら、路地裏を出て近くに居たマグルに警察に連絡を頼んだ。
駆け付けた警察官には来る前に打ち合わせした、仕方なく辻褄の合う嘘を多少交えて事情を説明し、内容を伝えたら、離れた場所で待機していたハーマイオニーとカイと合流した。
驚くことに、駆け付けた警察官の中にはカイの父親も居たらしく、息子を助けてくれた彼女らへ何度も感謝した。
「貴女達には感謝してもしきれません。息子を助けてくださり、本当にありがとうございます」
カイの父親は大きな身体を曲げて礼を述べる。
「息子だけじゃありません。今まで行方不明だった子供達も貴女達の活躍で見付けられました」
ここ最近消息不明だった子供達の在処を自白させたら、すぐに他の警察がそこに向かい―――無事に全員保護することが出来て、保護者達は我が子の再会と誘拐犯の逮捕に歓喜した。
どうやらあの男達は幼い子供を外国へ売り飛ばそうとしていた連中で、危うく誘拐された子供達が人身売買されるところだったのを、まさかの魔法族のエミリー達が阻止したのだ。
けれど、エミリー達は今回の事件で自分達が関与したのを伏せて欲しいと警察に希望した。マグルのメディアから後々受けるだろう質問攻めやインタビュー等を避けるためである。ならせめて多大な報酬をと警察は言ったが、それもエミリー達は断った。
報酬無用、と普通の人間であれば喜んで受け取るような物を断固拒否した三人に警察は不思議に思うのと同時、「まるでマンガのヒーローみたいだな」と言う感想が浮かんだ。
と、そこへ―――カイの父親から連絡を受けて自宅待機していた妻のマナがやって来た。
「カイ! 大丈夫なの!?」
「母さん………っ」
緊張の糸がプツンと切れたカイは、わあっと涙ぐんで母親に抱きついた。マナは「とにかく無事でよかった」と息子の頭を撫でる。
それから、カイが落ち着いたタイミングを見計らったフィールは彼の肩に手を置いた。
「カイ。お母さんに言うことがあるだろ?」
「あ………そうだった」
恐怖から解放された安心感で一回頭からすっかり抜け落ちてしまったカイは母親から離れ、バツの悪そうな顔で視線を泳がせる。マナは何も言わず、息子が口を開くのを待ち―――やがてカイは真っ直ぐに母親の眼を見て、頭を下げた。一緒に謝る、と約束したフィールも、彼との約束を守って頭を下げる。
「母さん………家出して、ごめんなさい」
「私もごめんなさい。ちょっとキツく言い過ぎたわ」
謝ってきた息子に対し、母親も謝罪する。
そうして、お互いに仲直りしたところで………マナはフィール達に感謝の言葉を述べた。
「私達の息子を誘拐犯から救ってくださり、本当にありがとうございます。貴女方にはなんと御礼を申し上げればよいか………」
「礼は要りませんよ、マナさん」
「私達は当たり前のことをしただけですから」
「カイが無事なら、それでいいです」
エミリー、ハーマイオニー、フィールはこのように言い、最後にフィールが、
「それでは、私達はそろそろ失礼します。またいつか、何処かでお会いしましょう」
と決めセリフで締め括り、三人は颯爽とその場を立ち去るのであった。
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「ふぅ、これでようやく万事解決したな」
「ええ。それにしても今日はハラハラな1日だったわね。動き回ったからお腹空いたわ」
「じゃあ、もう一度ハロッズに寄ってランチにしましょうか………って、そういえばハーマイオニーちゃん。御使いは大丈夫なの?」
「あ! 御使いの事、すっかり忘れてたわ!」
「色々あったせいで帰宅時間も大幅に遅れたし、早いところ買い物済ませて帰るか?」
「今すぐじゃなくても大丈夫よ。パパとママは今日仕事で夜遅くまで帰って来ないから」
「そうなの? じゃあ―――」
「あ、あのっ! 待ってください!」
エミリーが言い掛けた瞬間、先程別れたはずのカイの声が聞こえ、三人は振り返る。
案の定カイだった。
相当走ったのか、カイは息を切らして肩を激しく上下させていた。
「カイ? どうしたんだ?」
「ハァ、ハァ………あの、お姉さん、これ」
言って両腕に抱えていたのを突き出してきたのは、フィールがカイに貸した帽子と上着だった。
「借りっぱなしだったの、思い出して………」
「なんだ、そんなことか。別にいい。カイにあげるよ」
「え、でも………」
「そうすれば、また今度何処かで会った時、すぐにカイだってわかるし」
「………うん、わかった」
カイはフィールの言葉に首肯し………思い切ったように、フィールに抱きついた。
「カイ?」
「………ありがとう、お姉さん。僕、お姉さんのこと、忘れないよ。だから、お姉さんも僕のこと、忘れないでね」
「………ああ、わかった。カイこそ忘れんなよ」
フィールは微笑して、カイを抱き締め返す。
カイは嬉しそうに笑い………もう一度、三人に向かって「ありがとうございます」と言ったら、踵を返して両親の元へと帰っていった。
「………………」
その背中を、フィールはどこか遠い眼差しで見えなくなるまで見送る。
カイが離れていく度、寂しさが胸を占めた。
「フィールとカイ、本当の姉弟みたいだったわ」
「そうね………私も同感だわ」
二人の言葉に、フィールはハッとする。
思えば、姉や兄のような関係者ばかりを持つフィールにとって、カイと言うのはどこか弟みたいな感じだった。
だから、こんな気持ちになるのだろうか。
なんとなく理解した自分の気持ちに、珍しくフィールは肯定する。
「まあ、確かにそうだな。言われてみれば、なんか、弟を持った気分だった」
名残惜しい感情を切り離すよう、フィールは踵を返す。
「よし、二人共。早くハロッズに行こう。私、お腹空いた」
「ええ、早く行きましょう」
「ついでに御使いも済ませるわ」
エミリーとハーマイオニーは微笑んで、一足先にハロッズへ向かうフィールの後を追って早足に歩き出した。
【施錠されたドアをどうやって開錠するか?】
フィール「蹴破る、吹き飛ばす、破壊する、粉々にする」
教師陣「あれどこで教え方間違えたんだろう?」
【ロンドンはデパートの発祥地】
ロンドンはデパートの発祥地として有名です。産業革命の時代から商品を大量生産したことがきっかけでデパートが流行ったとされます。
ちなみにロンドン最大級のデパート・ハロッズは実在します。と言うか、今回の#のネタとして調べてみたら、どうやら世界一有名なデパートらしいです。
イギリスに行ったら一度訪れたいですね。
【ターゲットにされたマグルの子供(少年)】
大抵の物語って男キャラが多数でハリポタも割りとそうなので、男女バランスも考えてこの作品のオリキャラは女が多い方ですが、今回出てきたマグルのキャラはどうせ一回限りなので思いきって少年にしました。
【エミリーのスキル】
杖の非所持で無言呪文可能。
と言っても、闇祓いのライアンや戦闘のプロのフィールに比べたら弱い方です。あの杖無し呪文使用もどちらかと言えば過半数気合いで行使したので、体力めっちゃ消費しました。
【演技でただの通行人のフリするフィール】
いざという時はかなりの演技派です。
【サングラス掛けるフィール】
だて眼鏡にしようかとも思ったが、面白そうだったのでサングラスに。
【パルクール大活躍】
教師陣「魔法なんて使わなくてもコイツは身体一つあればなんとかなんじゃないかな」
【銃やナイフのネタ】
バイオハザードに影響されたからですね。ちなみにゲームのバイオ4は10回以上クリアしました。
【プロテゴ・レスピラシオン(衝撃吸収バリア)】
『盾の呪文』をアレンジしたオリジナルスペル。
『死の呪文』以外の魔法・呪文・攻撃を全て吸収。術者の力量次第で受容したエネルギーを倍返しすることも可。
【『盾の呪文』のアレンジ】
我ながらよく生み出した原作既存呪文のアレンジまたもや登場。プロテゴ系の魔法はどれも個性的な防衛呪文。今回はそのディフェンスマジックに新たな要素を導入しました。色々考え抜き、従来の盾の役割『攻撃を跳ね返すバリア』から離れて着眼点を変えた結果、『攻撃を吸収するバリア』を思い付き、上記の通りに。
レスピラシオンはフランス語で『呼吸』の意味。
アレンジ内容は、吸って吐く、まさにあの動作そのものでしょう。
翻訳は『クルーシオ(ラテン語で拷問するの意):苦しめ』と同じように呪文の効果そのものを表現したと思ってください。
【まとめ】
と言うことで、今回は原作からかけ離れた一種のアクションストーリーとなりました。未成年者で学校外では魔法を使ってはならない状況下でマグルの人間による厄介な事件が起きた時、魔法無しでどうやって難局を乗り越えるかと言う話を一度作ってみたかったんですよね。ま、今回は運良くエミリーがいたので、彼女のサポートの大半が窮地を脱する要素となり、フィールとハーマイオニーは一切魔法使わなかったですけど。
原作の事件とはまた違ったハラハラ感、読者の皆様は感じたでしょうか?