【完結】ハリー・ポッターと蒼黒の魔法戦士   作:Survivor

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ホグワーツ特急内での出来事。

タグにもありますが、この作品は結構オリキャラ登場します。それでもEverythingOKって方のみ読み進めるのを推奨します。


#2.9と3/4番線からの征路

 9月1日、新学期初日。

 大勢のマグルが行き交うキングス・クロス駅の人混みの中で、黒髪蒼眼の少女と水色髪紫眼の少女はある場所へと制服や教科書等を詰め込んだトランクを載せたカートを押しながら歩いていた。

 向かう先は『キングス・クロス駅の9と3/4番線』。

 これをマグルの駅員に訊いたら、「何言ってんだコイツ」と疑問顔になるのは当たり前である。

 何故ならこのホームに行けるのは、何処に存在するのか正確な場所を知っている魔法使いのみだからだ。魔法を一切扱えないマグルの人間に、その言葉の意味が理解出来るはずがない。

 現在彼女達が立っている場所は、9番線と10番線の間にある柵の前。

 念のため、マグルの人間の視界から完全に消えているのを確認し、先にクリミアがカートを押しながら柵に向かって走った。

 激突するかと思いきや、次の瞬間、9と3/4番線の鉄のアーチを潜り抜けた。無事に目的地へと辿り着いたのだろう。

 少しして、フィールも一度辺りを見渡しから先程のクリミアに倣い、カートを押して一気に走り抜けた。鉄のアーチを潜り抜けると、紅色の蒸気機関車が蒸気を出しながら停車しており、ホームの上には『ホグワーツ行特急11時発』と書いてある。

 プラットホームは生徒だと思われる少年少女や見送りに来た家族、ペットであろう色とりどりのフクロウや猫で賑わいを見せていた。

 

「ちゃんと来れたみたいね」

「うん」

 

 先に向かって待っていてくれたクリミアに軽く相槌を打つ。すると、

 

「クリミア~!」

 

 と、前方のプラットホーム方向から誰かの声が聞こえ、そちらを見てみると、セミロングの桃色の髪に青の瞳を持つ、可愛いというのがピッタリな顔立ちの女の人が、笑顔で手を振りながらこちらまで小走りで来た。

 

「あ、ソフィア。久し振りね」

「久し振り。………ん? その娘は?」

「私の妹よ」

「妹? ………あ、もしかして『噂の義妹』?」

「ええ。紹介は汽車に乗ってからにしましょう」

 

 クリミアは現時刻を見て、二人を促す。

 三人は人混みの間を縫って自分のトランクを運び、汽車に乗り込んだ。

 何処も満員だったが、最後尾で運良く空いていたコンパートメントを見つけ、その中に入る。

 クリミアの隣に座った桃色髪青眼の少女は籠を開け、中に入れていたペットのニーズル(猫種の魔法生物。猫に似ていて、耳が大きく、ライオンのような尾が特徴的で、毛並みは斑点や斑など様々。知性や判断力が高く、悪人や不審者を見分けて攻撃することもあり、番犬のような役割も果たす)を解放する。毛並みが黒くて金色の瞳を持つニーズルは元気よく飛び出し、主人の膝の上で甘えるようにゴロゴロ寝転がる。青眼の少女は微笑んでニーズルを優しく撫でた。

 その光景を横目に窓際に腰掛けたフィールはふと、車窓に眼を向ける。

 燃えるような赤毛の少女が涙ぐんで手を振り、母親であろう赤毛の女性も微笑みながら手を振っているのが見え、チクリと胸が少し傷んだ。

 両親は、既にどちらとも他界している。

 だから………もしも生きていたら、あんな風に見送ってくれたんじゃないかと思い、フィールは込み上げてきた黒い感情を圧し殺した。

 叶わないものは、叶わない。

 なら、それにいつまでもすがる訳にはいかないと見切りをつけたその時、ある光景がフラッシュバックした。

 

 

 ―――凍えた、白い皮膚の感触。

 

 ―――生気を失った、紫色の瞳。

 

 ―――治る見込みがなかった母親へ交わした、一つの約束。

 

 

 そこまで思考が及んだ瞬間、込み上げてきた感情が一気に爆発しそうになり、強い自制心を掛け、圧し殺した。

 ………大丈夫。抑制は、出来ている。

 今は、激情に駆られる暇なんてない。

 来るべき時に備え、力と、心を得る。

 約束を果たすべく、この身を投じる。

 それが私に出来る―――唯一の償い。

 

「そういえば、自己紹介がまだだったわね。私、ソフィア・アクロイドよ。この子はシェフティ。雌のニーズル。貴女は?」

 

 思考の海に沈んでいたフィールは桃色髪の少女―――ソフィアに名前を問われたのをきっかけに急速に意識が引き上げられた。

 

「フィール・ベルンカステル」

「フィールね。私のことはソフィアでいいわ。敬語もいらないから、気軽に話し掛けてね」

 

 ソフィアは手を差し出した。

 フィールはそれを見て、戸惑った。

 何のわだかまりもなく接してくれる人が居たとは………と、頭が追い付かないのだ。

 チラリと、ソフィアの眼を見る。

 その青眼に、邪心や虚偽はない。

 

「………私のことも、フィールでいい」

 

 フィールはクールに言い、手を伸ばして、ソフィアの手を握った。握った手は温かく、その人の性格を表しているようだった。

 

(もう、フィール。少しは笑いなさいよ)

 

 クリミアは、フィールが表情を変えることなく握手しているのを見て、肩を竦めた。元々感情を表に出すのが少ないというのもあるが、少しくらい表情に変化を見せてもいいのではと、内心でため息ついた。

 だが、ソフィアは気分を害することなく、フィールの背丈を見てこう言った。

 

「それにしても、フィール、背高いわね」

 

 3歳年上のソフィアは年齢相応の身長でフィールよりも高いが、それでも同年代の女子に比べると高身長の類に入るだろう。

 

「お父さんとお母さんも高かったから、その関係だと思う」

「なるほど。年齢の割に大人びてるのが、なんか悔しいわね」

 

 年上なのに年下の方がクールなことに、ソフィアはちょっと嫉妬混じりの眼差しをフィールに向ける。しかし、当の本人はそれに気付かず窓に視線を移らせた。

 窓外の景色は発車直後の田園風景ではなく、小川や森など、自然溢れるものへいつの間にか移り変わっている。

 等間隔に流れていく窓外の景色を見るとはなしに眺めていたら、コンパートメントの扉が開き、赤毛の少年が入ってきた。

 

「此処空いてる? あともう一人いるんだけど、もう何処もいっぱいでさ」

「ええ、いいわよ」

 

 クリミアが答え、残りの二人も頷いたため、赤毛の少年は安堵しているみたいだ。

 

「おーい、ハリー! 席見つけた!」

 

 「ハリー?」とクリミアとソフィアは首を傾げたが、フィールは別に気にしなかった。

 数秒後、赤毛の少年と共に入ってきたのは紛れもなくハリー・ポッターで、彼はまだ席に座っていない二人の内、黒髪の少女の顔を見て「あっ」という顔になる。

 

「あれ、フィール?」

「………また会ったな」

「え、マジでハリー・ポッター!? あの!?」

 

 青眼を大きく見開いたソフィアは魔法界の英雄として崇められているハリー・ポッターをよく見てみようと、一旦シェフティをクリミアに預けて勢いよく立ち上がり、彼にグッと顔を近付ける。

 至近距離に少女………それも美少女というのもあり、ハリーは僅かに顔を赤くした。数秒後、落ち着きを取り戻したソフィアはクリミアの隣に座り、同時にシェフティも彼女の膝の上に戻る。

 

「なんか、今日という今日が凄い日になったわ。っていうか、フィールとクリミアは、なんでそんな普通なのよ?」

「私は一度会ってるし」

「私はそれを聞いたからね」

 

 ハリーはフィールの隣、赤毛の少年はその隣に座った。

 

「助かったよ、ありがとう。僕、ロン。ロン・ウィーズリー」

「ウィーズリー? ってことは、フレッドやジョージの弟?」

「そうだけど………え? なんでそれを?」

「私とクリミア、あの二人の1学年上。寮は違うけど」

「じゃあ、二人は先輩!?」

 

 赤毛の少年―――ロンは向かい席に腰掛けている水色髪と桃色髪の美少女二人をまじまじと見つめた。

 

「え、じゃあハリーの隣に座っている人は?」

「フィールは貴方達と同じ新入生よ」

「そ、そうなんだ。よかったぁ。僕、てっきり年上かと思ったよ」

 

 ロンは同い年とは思えない雰囲気を漂わせるフィールを見ながら、少し安心したように安堵の息を吐く。

 その後、マグルに育てられたがために魔法界のことを何一つ知らないハリーに四人は様々なことを教えた。

 

(前にフィールが『魔法界のことはつい最近知った感があった』と言ってたけど………本当にそうだったわ)

「ハグリッドが教えてくれるまでは僕、自分が魔法使いだってことも全然知らなかったし、両親のことも、ヴォルデモートのことも………」

 

 今ハリーがさらっと『闇の帝王』や『名前を言ってはいけないあの人』と呼ばれているヴォルデモート卿の名前を口にした瞬間、ロンとソフィアは息を呑んだ。

 

「え………二人共、どうしたの?」

「貴方が『闇の帝王』の名前を口にしたからよ。その名前を言うのは魔法界で禁句とされているから―――」

「人前では、言わない方がいい」

 

 ヴォルデモート、と聞いても平然といられるクリミアとフィールは、わかりやすくハリーに説明した。

 

「あ、そっか。ごめん………」

 

 以前ハグリッドにも同じことを言われたのを思い出したハリーは申し訳ない顔になりながら謝罪し、少ししてからロンとソフィアはショックから立ち直った。

 昼頃になると車内販売の販売員がやって来たため、ハリーは余程空腹だったのか、勢いよく立ち上がって通路に出ていった。フィール達三人も車内販売で何か買おうとしたが、フィールは一人席を立たないロンに気付き、

 

「………買いに行かなくていいのか?」

 

 と尋ねると、ロンは耳元を赤らめて「サンドイッチを持ってきたから」と口ごもり、デコボコの包みを取り出してそれを開いた。

 小遣いをまだ貰っていないため、買いたくても買えないのだろうとなんとなく思ったフィールは刹那の思考の末、大量に買い込んだハリーよりは少ないが、クリミアとソフィアよりは多めに菓子類を購入した。

 

「………?」

 

 クリミアは何故かフィールがハリーには及ばないものの結構な数を買ったことに首を傾げたが、次の行動で理解した。

 ロンに菓子類を分けたのだ。彼はパッと見ても他人に無関心そうな雰囲気を漂わせるフィールの意外な行動を見てビックリしていたが、「ありがとう」と嬉しそうに礼をした。ハリーもそれを見て、購入したお菓子を分け与えた。

 

(フィールって意外と優しいのね)

(ええ。クールな仮面の下は、ね)

 

 眼と眼の一言会話をしたソフィアとクリミアは無表情でカボチャパイを頬張るフィールを見て、微笑んだ。

 ホグワーツ特急が発進してから暫くの間は何事も無く時間だけが刻一刻と過ぎていったが、不意にコンパートメントの扉を、コンコン、とノックする音が響き渡り、フィール以外の四人がそちらに眼を向けると、ボサボサの栗色髪の少女と少しぽっちゃりとした丸顔の少年が入ってきた。二人は既に制服とローブに身を包んでいる。

 

「失礼するわね。ネビルのヒキガエルを見なかったかしら?」

「いえ、見てないわよ」

「うん。見てないよね」

 

 ハリーとロンも「見てないよ」と頷くと、

 

「そう………貴女は?」

 

 栗色髪の少女は、さっきから窓に眼を向けてこちらに見向きもしない黒髪の少女に苛立った声音で問うと、

 

「見てないけど?」

 

 と、若干めんどくさそうに返してきた。

 その態度が気に食わなかったのか、

 

「なによ、その態度は!」

 

 栗色髪の少女は怒鳴り声を上げ、その大声はコンパートメント内に大きく響いた。四人は褐色眼の女の子の凄まじい剣幕に眼を丸くしたが、フィールは動じることなくしれっとし、

 

「アンタも、その態度はなんだ?」

 

 と、冷たい声音でストレートに返した。

 栗色髪の少女はその返答に「うっ」と面食らった顔になるが、すぐに気持ちを切り替える。

 

「そうね、悪かったわね。でも、なんなのよ、その嫌な態度は!」

「おい、そこの少年」

「え、な、なに?」

「さっき、そこの少女がヒキガエルを探してるとか言ってたけど、なんて名前だ?」

 

 栗色髪の少女とやり合うとキリがないと判断したフィールは華麗にスルーし、オドオドしている少年に行方不明のペットの名前を訊いた。

 

「えと………トレバー」

「トレバー、か」

 

 フィールはヒップホルスターからアカシアの杖を抜くと、スッと立ち上がって『呼び寄せ呪文』を詠唱した。

 

アクシオ・トレバー(トレバーよ、来い)

 

 いきなり呪文を唱えたフィールに同年代の少年少女はキョトン。対し先輩二人の内一人は「え? フィールも!?」と親友とフィールを見たり来たりした。

 

「………呪文、それで本当に合ってるの?」

「見てればわかる」

 

 栗色髪の少女が怪訝そうに言った直後、こちら側にヒキガエルが飛んできた。

 

「トレバー!」

 

 少年は大喜びし、少女は呆然とした。

 フィールは杖を仕舞い、椅子にストンと座る。

 

「ほら、言っただろ」

「へ、へえ………中々やるじゃない。でもそれ、1年生の教科書にあったかしら?」

「1年生じゃなく、4年生で習う呪文」

「! そ、そうなの、4年生で習う呪文ね! それなら1年生の教科書に載ってなくて納得だわ。でも………私の方が上手くやれるわよ」

「あ、そう」

 

 さらりと嫌味を受け流したフィールに、丸顔の少年はたじたじになりながらも礼をした。

 

「そ、その、ありがと。君、なんて言うの?」

「フィール・ベルンカステル」

「フィール、ありがとう。……自己紹介が遅れたけど、僕はネビル・ロングボトム」

 

 丸顔の少年―――ネビルは最後にもう一度「ありがとう」と礼を述べ、ヒキガエルのトレバーを大事そうに抱えながら、自分の荷物を置いているコンパートメントへと帰っていった。

 それを見届けた栗色髪の少女は窓際に腰掛けているフィールの前に立つ。

 

「………私、ハーマイオニー・グレンジャーよ。またね、フィール」

 

 栗色髪の少女―――ハーマイオニーは高飛車に自己紹介すると、ツンツンした態度を崩さないまま、この場から立ち去った。

 

「はぁ………疲れた」

「なんだかんだで優しいわねえ」

「別に。………あれは多分、ホグワーツで衝突するな」

「なら、そうならないように努力しなさいよ?」

「面倒だ」

 

 少しばかりの希望を込めた言葉を何の躊躇いもなく一刀両断したフィールの言葉にクリミアは軽く肩を竦める。

 確かに衝突するかもしれないと、一連の出来事を見てそう感じつつ、妹が早くも同い年の友達を作れたんじゃないかと、クリミアは少し残念そうにした。

 一方、ハリーとロンはまだ入学していない今年の新1年生になるフィールが既に呪文を、それも4年生で習う魔法を扱えることに唖然とした。

 

(凄っ………フィールって、クリミアと同じ?)

 

 そしてソフィアは今隣に居る親友も同じように学年外で習うはずの呪文を駆使していたのを思い出し、「フィールはきっと学年トップになる」と何処からか、確信とも言える予感を抱いた。

 驚きを露にする三人にフィールは肩を竦める。

 4年生で習う呪文など、長年魔法の勉強や鍛練を積み重ねてきたフィールからすると朝飯前だ。

 今ではオリジナルスペルを開発するまでに達したのは、ベルンカステル城の大図書館にある大量の蔵書のおかげだ。光の魔術は勿論、闇の魔術に関する呪文や知識を記載した魔導書も当たり前のように沢山あり、フィールはそれらを会得するのが異常に早かった。

 

「そろそろ制服に着替えましょう」

「そうね。それじゃ、ハリーとロン、一旦外に出てちょうだい」

 

 ソフィアに言われた通り、ハリーとロンの男子組は外に出、女子三人組は扉のカーテンを閉めると、制服に着替えた。数分後、男子組と女子組が入れ替わり、全員が制服に着替える。

 

「あ、クリミアとソフィアはハッフルパフなんだね」

 

 二人のレジメンタルのネクタイのカラーはカナリア・イエローと黒。カナリア・イエローと黒はハッフルパフのシンボルカラーだ。因みにグリフィンドールは真紅と黄金、レイブンクローは青とブロンズ、そしてスリザリンは緑と銀だ。

 

「そういえば、君のお兄さん達って何処の寮なの?」

 

 ハリーが二人のネクタイを見ながら、ロンに尋ねた。

 

「グリフィンドール。パパもママもそうだったんだ。もし、僕がそうじゃなかったら、なんて言われるか。レイブンクローなら悪くないけど、スリザリンだったらそれこそ最悪だよ」

 

 ロンの聞き捨てならないセリフに、女子二人はピクッと反応した。

 ソフィアはハッフルパフ生なのだが、なにやらカチンときているようだった。

 

「スリザリンだからって、全員が全員悪い人ばかりじゃないわよ。私の父親、純血でスリザリン生だったけど、マグル生まれでハッフルパフ生だった母親に恋して、こうして私が生まれたんだし」

 

 今の言葉を聞いて、ソフィアは半純血の魔女だというのが判明した。尤も、この中で唯一彼女と同い年で同僚同輩のクリミアは最初から知っていたが。

 

「………私も同感かな。私の母親はスリザリン生で父親はグリフィンドール生だったし」

 

 フィールの発言に、ロンは愕然とした。

 両親がそれぞれ違う寮の生徒だったというのは別に珍しくないのだが、グリフィンドールとスリザリンの寮生だった者の結婚は極稀なケースだ。

 無条件の敵意を持つのがこの2つの寮生徒なのに何故結ばれたのかと、一言で言えば信じられないというような表情だった。

 車内が気まずい沈黙と空気に包まれる中、またしても扉が開き、三人の少年が入ってきた。

 

「このコンパートメントにハリー・ポッターが居ると聞いたんだけどね。君かい?」

 

 その後ネチネチと嫌味を言ってくる青白い顔の少年―――ドラコ・マルフォイと、ハリー、ロンが口論になり、次第にヒートアップしていく。

 先程の件でイライラしていたソフィアは一触即発の雰囲気に憤りを忘れてハラハラし、クリミアはなんとかしてストップさせようと立ち上がりかけたが、その前にマルフォイが「ん?」とここでようやく、三人の少女が乗っていることに気付いたらしい。

 

「君達は?」

「クリミア・メモリアルよ」

「私、ソフィア・アクロイド」

 

 マルフォイは顔付きや身長からクリミアとソフィアが年上だと察したが、二人のネクタイの色を見て劣等生が多いハッフルパフの生徒かと、先輩に対する礼儀がまるで伴っていない嫌味な笑みを浮かべた。

 

「ところで、君は?」

「フィール・ベルンカステル」

 

 マルフォイはフィールの姓を聞くと、驚愕に薄青い眼を大きく見張った。

 

「ベルンカステル………だと? まさか、数十年前に闇の帝王に真っ先に歯向かったと言われてるエルシー・ベルンカステルの孫か?」

 

 その言葉に、ロンはハッと何かを思い出したようにフィールをまじまじと見つめた。

 フィールは相変わらず無表情であったが、「ああ」と小さく頷く。

 

「………そうか」

 

 マルフォイは瞳に敵意を帯びて、フィールの瞳を見据えた。

 

「だったら、僕と君では反りが合わなそうだな」

「と言うか私自身、血筋や家柄で人の優劣を決めるようなヤツと仲良くする気は殊更ない。ほら、さっさと出てけよ。反りが合わないヤツが居る場所になんて、いつまでも居たくないだろ?」

 

 キッパリと冷たく言い放つフィールにマルフォイは面食らいながらも、彼は取り巻きの二人を連れてコンパートメントから立ち去った。

 フィールはその背中を一瞥することなく、腕を組み直す。

 ハリーとロンは嫌味なヤツだったマルフォイがたった数回の発言で言い負かされたのを見て「ナイスだ、フィール!」と笑顔を取り戻したら、車内にアナウンスが流れた。

 

『あと5分でホグワーツに到着します。荷物は別に学校に届けますので、車内に置いていってください』

 

 ハリーとロンはコンパートメントを出ると、「フィールも行くよ!」と彼女も連れて、出口へと並ぶ生徒達の列に加わった。

 

「さて、私達も行きましょう」

「そうね」

 

 ホグズミード駅に到着し、大男―――ハグリッドが新入生を集めていた。新入生と上級生は別ルートなので、フィール達はクリミアとソフィアと別れた。ハグリッドの1年生集結の声に新入生は従い、後を追い掛けた。木々は鬱蒼と生い茂り、左右は真っ暗であった。

 

「皆、ホグワーツが間もなく見えるぞ。この角を曲がったらだ」

 

 狭い道が開け、大きな湖の畔に出ると、向こう岸に聳え立つ壮大な古城のシルエットが姿を現した。

 あれが、これから7年間過ごす魔法学校―――ホグワーツ魔法魔術学校だ。

 

「「「「「「「おおーっ!」」」」」」」

 

 皆は思い思いに感嘆の声を上げる。

 だが、その中で冷静な生徒が一人居た。

 

(アレがホグワーツ城………ベルンカステル城とどっちがデカイんだろ?)

 

 と、フィールは自分の城とホグワーツ城、どちらの規模が上なのかを疑問に思いながらも個人的には楽しみ、ハリーとロンと共に、四人一組のボートに乗ってホグワーツ魔法魔術学校へと向かった。




【ソフィア・アクロイド】
桃色髪青眼。ハッフルパフ生。クリミアの同僚同輩の友人の学年次席。父親がスリザリン出身、母親がマグル生まれのハッフルパフ出身なので半純血。
毎回思うんですが、クリミアやソフィアのヘアカラーって1990年代の時代にしては結構奇抜………。あ、でもトンクスさんの七変化でも奇抜なカラーあったし、割りと大丈夫かな?

【フォイフォイと衝突するフィール】
さて、初っぱなからフォイフォイと衝突。
うん、やっぱりこの二人反り合わないな。
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