【完結】ハリー・ポッターと蒼黒の魔法戦士 作:Survivor
それと、次の金曜日から学年末テストが始まり、休日挟んでそれからまた数日間に渡るテストがあるので、更新遅れます。学年末テスト終了後は、バンバン更新出来たらいいなあ………。
『日刊予言者新聞』にはほぼ毎日のように失踪事件や奇妙な事故、その上死亡事件も絶えず報道され、時にはアーサーとウィーズリー家の長男・ビルが新聞よりも早く不吉なニュースを持ち帰ることがあった。
このような事件が無ければ、平穏無事で楽しい夏休みを送れたのにと、遊び盛りな魔法使い・魔女の学生達の意見はきっと一致してるだろう。
子供だけでなく、大人達もそうだ。
闇の陣営があちこちで拉致したり襲撃したりして来るこの現状、心休まる時間が1分1秒たりとも無くてストレスが溜まりに溜まった。
「吸魂鬼の襲撃事件がまた数件あった」
ハリーの16歳の誕生日パーティーの日。
ルーピンは身の毛も弥立つ知らせを持ち込んできた。貴重なエンジョイムードが一瞬で綺麗さっぱりレダクトされ、誕生日祝いが台無しになってモリーは不機嫌極まりない様子だ。
ルーピンはげっそり窶れた深刻な顔付きでまだまだ若いのに鳶色の髪には無数の白髪が混じり、着ている服装は以前にも増してボロボロで継ぎ接ぎだらけである。彼は去年6月にヴォルデモートが復活すると、騎士団のメンバーとして地下に潜伏し、ヴォルデモート側に属する人狼達と一緒に生活して闇の陣営の情報を収集すると言う辛い任務に就いていたので、その時からローブの継ぎ接ぎや白髪が増えていった。
現在、長らく魔法省の統制下でアズカバンの看守を務めてきた吸魂鬼は、ヴォルデモート復活と同時に闇の陣営に加担。多数の死喰い人を脱獄させ、今年にはアズカバンを完全放棄して手当たり次第に人を襲い始め、ゾッとするような冷気をあちこちで発し、絶望や失望を撒き散らして国中を冷たい霧で覆った。
「このまま吸魂鬼の大群がイギリス国内を侵略していけば、いずれは絶望と恐怖が支配する国へと変化を遂げるだろう。なんとしてでも、そうなる前に闇の陣営を壊滅しなければならない」
「ええ………でも、今は何か別なことを話した方が―――」
ルーピンの隣に居たシリウスが言った直後、モリーは顔をしかめながら強引に話題変更しようとしたが、
「フローリアン・フォーテスキューのことを聞きましたか?」
と、ビルが誰にともなく問い掛けたせいで、遮られてしまった。
「あの店は―――」
「―――ダイアゴン横丁のアイスクリーム店?」
ハリーは眼を剥きながら、思わず口を挟んだ。
「僕に、いつもタダでアイスクリームをくれた人だ。あの人に何かあったんですか?」
「拉致された。現場の様子では」
「どうして?」
今度はロンが訊いた。モリーは長男を睨み付けた。
「さあな。きっと、何か連中の気に入らないことをしたんだろう。フローリアンは気のいいヤツだったのに」
「ダイアゴン横丁と言えば………オリバンダーも居なくなったようだ」
「杖作りの?」
ダイアゴン横丁、と聞いて思い出したアーサーの言葉に、ジニーは驚いて眼を丸くする。
「そうなんだ。店内が空っぽでね。争った跡が無い。自分で出ていったか誘拐されたのか、誰にもわからない」
「でも、杖は………今年の新入生とか杖の欲しい人とかはどうなるの?」
「他のメーカーで間に合わせるだろう。しかし、オリバンダーは最高だった。もし敵がオリバンダーを手中したとなると、我々にとってはあまり好ましくない状況だ」
ハア、とルーピンは重いため息を吐き出す。
息苦しくなるほどのどんよりとした重苦しい空気が漂い、しばらくは奇妙な沈黙が流れる。
程無くして、険悪な感じに陥り掛けた暗い雰囲気を払拭しようと嫌な静寂を最初に切り破ったのは、意外や意外、フィールだった。
「そういや、杖と聞いて思い出したんだけど。どうやら前以て購入しておいて正解だったみたいだな」
「どういう意味だい?」
ルーピンが尋ね、他の面々も首を傾げる。
フィールはベルトに装着してるポーチを開き、中から沢山の杖を取り出してテーブルの上に並べた。ざっと見る限り、10本以上は余裕である。
「それは………」
「隠れ穴に来る前、一足先に成績表や教科書リストが届けられてダイアゴン横丁で買い揃えた際にオリバンダーの杖店に寄って購入しました。武器の数は戦闘においても重要視されますから、今後の事態を想定して、それで」
まあ、フィールは1年の時から全ての教科オールパーフェクトの学年首席を務めるほどの優秀な生徒なので、教師達はあっさりと採点が終了して「彼女は非の打ち所がない」と揃って達観したのだが。
「ああ、それと」
続いてフィールは3種類のホルスターをズラリと並べる。腰の周囲に装着するヒップタイプ、太腿側面に装着するレッグタイプ、脇の下に吊るすショルダータイプのホルスターだ。
「アンタ達、杖を収納するホルスターを持ってないからポケットとかに入れてるだろ? そんな所に仕舞ってたら、いつ何処で失くすかわかったもんじゃない。闇の陣営が勢力を拡大させてる今、杖の紛失は『どうぞ殺してください』と言ってるようなものだぞ。これからはちゃんとしたケースに収納して肌身離さず携帯しろ」
どうやらこれが、フィールからのプレゼントらしい。ハリーの誕生日パーティーの日に皆に渡すつもりだったとか。フィールなりにこの場を取り繕ってくれたのがわかり、ハリー達は「ありがとう」と笑顔で礼を言うと、早速どれにしようかと多種多様な杖とホルスターを選び始めるのに夢中になる。
ウキウキ気分で選び始めたけれど、これが思ったより時間が掛かってしまった。
種類が沢山あるので、中々決まらないのだ。
が、それはそれで楽しいらしく、ウィーズリー夫妻やルーピンは、微笑ましそうにその光景を見ている。
色々吟味して悩んだ末、男子のハリーとロンはベルトタイプのヒップホルスターの両側ケースに所有物の杖と予備の杖を、ハーマイオニーはショルダーホルスターの両脇にそれぞれ所有品と代用品の杖を、そして身軽なジニーはレッグホルスターに私物とスペアの杖を格納する。
すっかりワイワイ賑やかになった頃には、憂鬱な雰囲気は何処かへ吹き飛んでいた。
♦️
誕生日祝いの夕食会の翌日。
ホグワーツからの手紙と教科書リストが届けられた。ハリーの手紙にはグリフィンドールのクィディッチチームのキャプテンになったことを証明するバッジが同封されていて、彼を驚かせた。
「これで貴方は監督生と同じ待遇よ! 私達と同じ特別なバスルームが使えるとか」
「チャーリーがこんなのを着けてたこと、覚えてるよ。ハリー、カッコいいぜ」
あの一件から少しずつ元気になってきたハーマイオニーは嬉しそうに叫び、ロンは大喜びでキャプテン・バッジを眺め回した。
「さあ、これが届いたからにはダイアゴン横丁行きをあんまり先延ばしには出来ないでしょうね。土曜日に出掛けましょう。お父様がまた仕事にお出掛けになる必要が無ければだけど。お父様無しでは、私は彼処へ行きませんよ」
「ママ、『例のあの人』がフローリシュ・アンド・ブロッツ書店の本棚の陰に隠れてるなんて、マジでそう思ってるの? 大丈夫だよ、僕達にはフィールが居るんだから」
親友としてもガーディアンとしても彼女に全幅の信頼を置いているロンはそう言ったのだが、次の瞬間、まるでモリーは言語道断と言いたげな鬼の形相でたちまち燃え上がった。
「フォーテスキューもオリバンダーも休暇で出掛けた訳じゃないでしょ? 安全措置なんて笑止千万だと思うんでしたら、此処に残りなさい。私が貴方の買い物を―――」
すると、ロンが慌てて言葉を遮った。
「イヤだよ、僕、行きたい。フレッドとジョージの店が見たいよ!」
「それなら、態度に気を付けることね。一緒に連れて行くには幼過ぎるって、私に思われないように。―――それに、ホグワーツに戻る時も同じことですからね!」
『命が危ない』を指し続けている家族の居場所を知らせる大きな柱時計を洗濯したばかりのタオルの山の上にバランスを取って載せたモリーは、プリプリしながら危なっかしげに揺れる時計を載せた洗濯物籠を両腕に抱え、荒々しく部屋を出て行った。
「おいおい………もう此処じゃ冗談も言えないのかよ………」
母親が退室したのを見届けたロンは、信じられないと言う顔でハリーを見る。唖然とする兄を見上げ、それからドアを一瞥したジニーは肩を竦めた。
「ロン、これからママの前では『例のあの人』に関する軽口を叩かないようにしてちょうだい。あの様子じゃ、いつ、癇癪玉が破裂するかわかったものじゃないわ」
「ああ………時と場合を弁えるよ………」
「それに………ダイアゴン横丁に行く日に、いつも通りフィールが護衛とは限らないし」
「えっ………どういう意味だよ?」
「見てわからないの?」
またまた肩を竦めたジニーは視線を走らせる。
静寂に包まれた部屋の中で、規則正しい寝息を立てている音が微かに聞こえてきた。
ソファーで疲れたフィールが寝ているためだ。
隠れ穴に来てからフィールはロクに睡眠を取っておらず、また多忙な騎士団がハリーの護衛をほとんど彼女に押し付けていたことから、これまでは寝る暇も惜しんでピリピリしながら警備していたのだが、つい先程、体力的に限界を迎えて深い眠りに落ちたのだ。
それでロンはようやく、ジニーの言わんとすることを察する。
「あ………そうだったな」
わかっていたし、心配もしていたのに、つい疑問に感じてしまった。
そのことをロンは反省し、
(ごめんな、フィール………)
ソファーの背もたれに掛かっていたブランケットを広げ、フィールにそっと掛けてあげた。
すやすやと眠る穏やかな寝顔に、ロンは目尻を下げたのだが………一瞬、フッと真剣な顔付きになった彼はじっとその顔を見つめた。
「ロン、どうしたの?」
ハーマイオニーが首を傾げながら尋ねる。
ハリーとジニーも首を捻っていた。
ロンは彼女らを見て、静かに口を開く。
「あ、いや………僕達がこうして安心して夏休みを過ごせてるのって、フィールのおかげだよなって。勿論、騎士団の人達やダンブルドアも頼もしい存在だけどさ………気心の知れた仲の人が近くに居てくれると、やっぱり、無条件に安心出来るんだよな」
グリフィンドールの友人二人と妹から視線を再びソファーの肘掛けを枕にして熟睡中のスリザリンの友人に移したロンは、真顔から一変、沈んだ表情を浮かべる。
「フィールもそうだけどさ………ベルンカステル家の人間って自己犠牲するクセがあるよな」
ロンの言う通り、ベルンカステル家の者は皆自己犠牲を厭わない。
ヴォルデモートを初めとする闇の陣営から魔法界のために真っ先に反抗したエルシー然り、神秘部で自分の身を投じてハーマイオニー達を護ったエミリー然り。そんな祖母と叔母を持つフィールの母親もまた、娘の彼女を庇って吸魂鬼に魂を喰われて一時期廃人となった。
エルシーが最初に家訓を脱するまでベルンカステル家は反マグル・純血至高の思想が強くて全員が酷いレベルの戦闘本能に汚染されていたが、自らが大切だと思った人間に対する愛情は本物で、その人に命の危機が襲い掛かってきたら自身の身を犠牲にしてでも護ろうと覚悟を決めている強い心の有り様は、今も昔も変わらない。他人に対しては無関心でどうでもいいと考えていても、そうじゃない人に対する想いは、身内には優しいスリザリンそのものである。
「誰かのために命を投げ出せるのって、結構スゴいことだよな。ピンチの時に他人より自分を優先するのは、人間だから仕方ないけど………僕達が今この世で生きてるのって、そういう人がいたからこそなんだよな」
暗にエミリーのことを言っているのは明らかだった。ジニーは最近PTSD(心的外傷後ストレス障害)で倒れたハーマイオニーの前でエミリーに関する話題を出すなと、目くじらを立てて文句を言おうとしたが、
「ええ、そうね。だからこそ、もう二度とあんなことが起きないよう、強くなりましょう」
と、肩に手を置いてジニーを制したハーマイオニーは決然とした様子でそう言った。それで、ジニーも兄に非難の言葉は掛けられなくて、渋々ではあるが、喉の奥に引っ込めた。
♦️
どんより曇った陰気な土曜日。
その日ハリー達は待ちに待った
此処に来る途中、マダム・マルキンの店でマルフォイ母子と口論になるちょっとしたトラブルはあったが、今となっては些細な問題に過ぎない。
因みにフィールは来なかった。
数日前にジニーが言った通り、一気にどっと溢れた疲労から身体がまだ完全には回復しておらず、ウィーズリー家で休息及び待機している。
寝込んでいるフィールを一人で置いていくのは心配なので、ビルが自宅待機するのと同時に彼女を見守ってくれているから問題は無い。
アーサーから、ハリーは第一級セキュリティーの資格が与えられ更には追加の警護員が護衛してくれると言われたが、闇祓いの大部隊に囲まれて買い物をするのは気が進まなかった。
そのため、WWWに入店して陰鬱だった気持ちが払拭されたハリーは自然と笑顔になる。
それから、パンチ望遠鏡(小さな望遠鏡のような物で握り締めると眼にパンチを食らい、眼の周りに紫色の痣が作られるハーマイオニーが命名したフレッドとジョージの発明品)で作られた痣を取るための痣消し軟膏を塗り付けているハーマイオニーを残して、フレッドとジョージに店内を案内された。どれも興味深い品物なので、ハリーは感心してしまう。
そんな彼に、双子はおとり爆弾(自転車につけるラッパホーンのような形をした黒い物で、これを落とすとスタコラ勝手に逃げて行き、見えない所で一発景気よく音を出す、相手の注意を逸らす必要のある時に使用する、WWWの中でも大人気の商品)をタダでプレゼントすると言った。
「そんなこと出来ないよ!」
思わずハリーは声を上げる。
既に彼は『おとり爆弾』の支払いをしようと巾着を取り出していた。
硬貨に関しては問題無い。
グリンゴッツ銀行に就職しているビルがハリーの金庫から取り出してきてくれたのだ。
何でもこの頃は金を下ろそうとすると一般客は5時間は掛かるらしい。2日前もアーキー・フィルポットが闇検知器の一種『潔白検査棒』を突っ込まれたとビルは言っていた。
「此処で君は金を払わなくていい。それは君達が来るずっと前に、僕らの店に来たフィールもそうだ」
「君とアイツが僕達に起業資金を出してくれたんだ。その恩義は忘れちゃいない。だから好きな物を何でも持っていってくれ。ただし、誰かに聞かれたら、何処で手に入れたかを忘れずに言ってくれよ」
フレッドとジョージはキッパリと言った。
どうやら、開業資金を提供してくれたハリーとフィールは何処で入手したかを宣伝すると言う条件付きで、無料で好きな商品を譲って貰えるらしい。
優待されたハリーは少々躊躇いつつも、御言葉に甘えることにした。
そうして、窓の側のワンダーウィッチ製品が置かれている商品売り場でジニーがピグミーパフ(双子が繁殖させた
真っ直ぐに窓の外を見ることが出来たハリー達一行は、先程顔を見合わせたマルフォイが一人で何処かへ行こうとしているのをバッチリと目撃した。
♦️
ボージン・アンド・バークス。
其処は、闇の魔術に関する品物しか売ってないような店が軒を連ねている
マルフォイを尾行したハリー達は『透明マント』を被り、前にハリーが来たことのある一軒の店の前に居た。髑髏や古い瓶類のショーケースの間に、こちらに背を向けてマルフォイが立っている。ハリーがマルフォイ父子を避けて隠れた、黒くて大きなキャビネット棚の向こう側にようやく見える程度の姿ではあるが。
脂っこい髪に猫背の鼻眼鏡を掛けたボージンは憤りと恐れの入り交じった奇妙な表情でマルフォイと向き合っている。
三人はこれまた大活躍のウィーズリーツインズが発明した盗聴器『伸び耳』を使って、店主のボージンとマルフォイの会話をこっそり盗み聞きしていた。『邪魔避け呪文』の掛かった扉では盗聴出来ないのだが、すぐ側で聞くようにハッキリ聞こえる感じ、掛かってないみたいである。
『―――直し方を知っているのか?』
『かもしれません。拝見いたしませんと何とも。店の方にお持ち頂けませんか?』
『出来ない。動かす訳にはいかない。どうやるのかを教えて欲しいだけだ』
『さあ………拝見しませんと。なにしろ大変難しい仕事でして、もしかしたら不可能かと。何もお約束は出来ない次第で』
『そうかな? もしかしたら、これで自信を持てるようになるだろう。―――誰かに話してみろ。痛い目に遭うぞ。フェンリール・グレイバックを知っているな? 僕の家族と親しい。時々此処に寄って、お前がこの問題に十分に取り組んでいるかどうかを確かめるぞ』
『そんな必要は―――』
『それは僕が決める。―――さあ、もう行かなければ。それで、
『今お持ちになってはいかがです?』
『そんなことはしないに決まっているだろう。バカめが。そんな物を持って通りを歩いたらどういう眼で見られると思うんだ? とにかく、絶対に売るな』
『勿論ですとも………若様』
『わかればいい。では、僕は行く。くれぐれも誰かに言うなよ。母上も含めて、だ』
『勿論です、勿論です』
しばらく、マルフォイとボージンは平行線の会話を交わし合っていたが、最終的にマルフォイの脅迫に圧されたボージンが深々と御辞儀をすると、何らかの約束を店主に取り付けた彼は満足げに意気揚々と退店した。
「一体何のことだ?」
マルフォイの後ろ姿が見えなくなるのを見届けたロンは伸び耳を巻き取りながら小声で呟く。
「アイツは何かを直したがっていた。………それに、何かを店に取り置きしたがっていた。『あっちを』って言った時、何を指差してたか見えたか?」
「いや………アイツ、キャビネット棚の陰になってたから―――」
と、その時だ。
「―――君達、こんな所に居たのか!」
場所柄を配慮したからだろうか。
外に居る三人にだけ聞こえる声の大きさだが、その声音には確かな怒気を孕んでいる。
透明マントに隠れていた三人はビクッとした。
声の主はフィールの叔父・ライアンだった。
警護員の一人である彼は三人が居なくなったことに気が付き、急いで魔力を察知して追跡したのである。
怒った表情のライアンは「早く来なさい!」と店の中のボージンからは死角の場所で三人を手招きしている。
姿は見えてないようだが、成長と共に三人揃って隠れるのが難しくなったせいで三人の踝辺りがマントからはみ出ているのと、気配で位置を把握しているのだろう。
三人はサッと顔面蒼白し、ビクビクしながらも大人しくライアンの方へ行き―――人通りが少ない所まで来ると、案の定こっぴどく叱られてしまった。
「君達が居なくなったのに気付いて、魔力を感じ取ってそちらに行ってみれば、『夜の闇横丁』に繋がっていたのだから、冗談抜きで本当にビックリしたぞ! これからは黙って居なくならないことだ! わかったな!?」
「「「ご、ごめんなさい………」」」
三人は肩を縮めて謝罪する。
無断で危険な場所に行った子供達を説教したライアンは深く息を吐くと、
「………まあ、君達が余程の理由でない限り『夜の闇横丁』に入らないことはわかっている。帰ったら理由を全て話しなさい。いいね?」
「はい」
真っ先にハリーは大きく頷く。
ライアンは闇祓いでアーサー同様ルシウス・マルフォイに激しい敵対心を燃やしている。事情をちゃんと話せば彼はきっと力になってくれるだろうと、ハリーはそう思った。
厳しい顔だったライアンは僅かに表情を崩す。
「モリーやハグリッドもとても心配していた。今回だけは特別に黙っててあげるが、次は無いと思いなさい」
「わかりました………ありがとうございます」
代表してハーマイオニーは頭を下げた。
ハリーとロンも「助かった………」とホッと胸を撫で下ろす。
そうして、急いでWWWに戻った三人は心配顔のモリーとルビウス・ハグリッドを上手く躱して二人に気取らないように通り抜け、一旦店に入ってからハリーはサッと透明マントをバックパックに仕舞い、モリーの詰問に答える二人と一緒になって、「自分達は店の奥にずっと居た」「おばさんはちゃんと探さなかったのだろう」と内心バレないかをヒヤヒヤしながら、二人に言い張った。