一匹狼 二重スパイ生活   作:花粉症の人

8 / 10
本編…に入る前にこの場を借りてお詫びをしたいと思います。
活動報告で週二更新をすると以前報告致しましたが、先週 今週共に一回しか更新ができていませんでした。主な理由としてはリアルで休日がほぼ無い、という事です。休日がちゃんととれるようになるのがいつになるのかまだ分からないので、取り敢えずは今後も週一更新になってしまうと思います。
その分文字数、クオリティを上げていきたいと思っているので今後ともよろしくお願いします。

追記

週二更新が出来なかったもう一つの理由は、別のハリポタ二次の設定を思い付いて細かい部分を練っていたからというのもあります(笑) だいぶ短いものになる予定ですので、夏休み特別企画としてやるかもしれません。何にしろ今のところメインはこちらなので頑張って執筆していきます。


一匹狼 怒る

 

「貴方は馬鹿ですか?」

「……すまん」

 

現在僕の目の前には土下座で謝罪するブラックがいた。現在時刻は6時21分

こんな時間に僕らは何をしているのだろう。こんな事ならブラックなんぞ気にせずベッドの中で眠っていればよかった。

 

「すまん?」

「……すみません。許して下さい」

「許しません」

 

さて、改めて言おう。なんでこんな状況になったのだろうか。それは約二十分前に遡る。

 

 

 

 

 

僕は前日に作り置きしておいたサンドイッチを持ち、叫びの屋敷へ向かった。最初に行った時以後、何故か僕は暴れ柳に顔パスを使えるようになったらしい。僕が近付くとやたら荒ぶっていた暴れ柳は静かになり、僕を通路に通してくれた。そして僕が通路を抜け、居間に入るとブラックが真剣な表情で何か手紙を書いていた。僕は何を書いているのか気になり、足音を立てないよう注意してブラックの背後に回ったのだ。そして彼の背中越しから見えた手紙の内容がコレだ。

 

『親愛なるMr.ウッドへ

お久し振りです。私は今から十数年程前、貴方に「ホワイト」と名乗り仕事を頼んだ者です。

現在私はとある事情により大変困っています。お恥ずかしい限りでございますが、金欠なのです。幸いな事に金庫にはまだ残っているのですが、事情により私は家の外に出れないのです。ですので貴方がまだ仕事をしているのならば、久し振りに仕事を頼みたいと考えております。仕事内容は私が梟に持たせた鍵でグリンゴッツから650ガリオンを引き出しそれをグリンゴッツの前にいるであろう黒犬に渡す事、でございます。

 

約束事は三つ。

一つは今回の仕事に関して決して誰にも言わない事。

次に決して何も質問しない事。

最後に金庫に入った後は私が頼んだもの以上の者には手をつけない事。呪いの物品もありますのでお気をつけ下さい。

 

以上をお約束していただけるのでしたら、650ガリオンの内150ガリオンを差し上げたいと思います。もしこの手紙を見て断りたいと思ったのならすぐに燃やし、全てを忘れる事をお勧めいたします。また、仕事内容を完遂しない、もしくは約束を守らなかったのならばすぐさま報復に向かう事をお忘れなく。

 

追記

もしこの』

僕が読んでいる間にもシリウスは手紙を書き進めており、僕がこうやって考えている間も眼前のアルファベット達は増えていくが内容は理解できた。今僕が言いたいことは一つ。

 

ふざけんな。馬鹿かお前は。

この人が昔から馬鹿やってたのは知ってるし、懲りないのも知ってる。だが、これは余りにも酷い。幾らまだ動物擬きの件が世間に知られていないとはいえ、グリンゴッツに自分から行くとか頭おかしい。

僕は無言で手紙を奪い取り、慌てて振り返ったブラックを尻目にそれをビリビリ破る。

 

「ちょ、ちょっと待ってk「インセンディオ《燃えろ》!!!」

 

魔法によってあっという間に燃え尽きて行く手紙を眺めながら、僕はブラックを懲らしめる手段を考え始めた。ブラックが灰となった手紙と、僕の顔を交互に見て顔を青くしているが知ったこっちゃない。今度という今度は僕もキレた。

 

「Mr.ブラック……遺書は書きましたか?」

 

僕の遺書発言にブラックの顔色は更に悪くなる。

 

「あ、あのな…いや、悪いとは思ってたんだ。悪いとは」

「じゃあ何で僕に何も言わずに手紙書いたんですか?」

「……」

 

無言になってしまったブラックに僕はため息を吐いて彼に背を向ける。

 

「ちょっと頭冷やしてきます。そうしないとあなたの死体が校門前で発見されそうなので」

 

そして僕は一度叫びの屋敷から外に出た。

 

 

 

 

 

そして戻ってきたらこれだ。本当にこの人と関わってからロクなことがない。僕は仕方ない、とため息をつきもう二度とこんな事をしないようブラックに誓わせてからブラックに立ち上がるよう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰

 

「では各自伝達することは終わりましたね?」

「あ、そうだ。そうだ。すみません。一つ言い忘れてました。グリフィンドールのポッター君にファイアボルトをプレゼントするので許可下さい」

 

マクゴナガル教授の確認に対しての僕の言葉に、一瞬僕を含めて四人しかいない職員室の空気が固まる。

 

「は?」

「へ?」

「ふぇ?」

 

皆んな揃ってハ行の文字で驚きを表現するとは…仲がいいのだな。と僕が全く関係のないことを考えるとフリーズから復帰したセブルスが僕を睨んでくる。いや、別に僕もハリーにファイアボルトを渡したいと思っているわけでは無いのだ、といっても彼は信じないだろうが。全て悪いのはブラックだと言ってしまいたいがそれを言ったら僕の今までの苦労が丸潰れなので、絶対に口には出さない。

 

「あー、スネイプ先生? 教師として一人の生徒に肩入れすることは許されません」

「肩入れ、とかじゃないです。これは教師としてやらなくてはならないことですから」

 

未だに僕をファーストネームで読んでくれないマクゴナガル教授は残念そうな顔で反論するが彼女もきっとハリーにファイアボルトを渡したいのだろう。厳格な彼女だが、何だかんだでグリフィンドール生には甘いところがあるらしい。

 

「それはどういうことかな?」

「簡単な話です。彼の箒が折れた、折られてしまったのは我々の所為だからです。確かに実質的な原因は暴れ柳、間接的な原因は吸魂鬼にありましたが、そもそも彼は一切の過失が無いのに殺されかけ、挙句愛用の箒を破壊された。我々教師は学校内であるにもかかわらず彼を守ることが出来なかった。学校内で彼が危害を加えられた場合悪いのは全て教師にあります。生徒を守るのが教師の役目、ですから。よって我々は責任を取らなくてはなりません。だから彼に今回失くしてしまった箒をプレゼントするんです」

「しかしファイアボルトにする必要はあるのですか?」

 

マクゴナガル教授はマグル生まれなので凝り固まった魔法族思想には染まっていないと思っていたが…どうやら間違いだったらしい。

 

「一つ言わせて頂けるのなら…これでも足りないくらいです」

「…ファイアボルトの値段を知っていますよね…?」

「えぇ。言い方は酷いですが、彼に両親がいないのは“学校”としては幸いだったかもしれませんね」

 

文字通り空気が固まる。寮監三人からの殺気は流石に息苦しい。とっとと弁解してしまおう。

 

「まずはその殺気をしまって下さい。学校としては、であって僕個人としてはそんなことは思っていません。

 

もしこれがマグルの学校なら子供を殺されかけた親は怒り狂って学校に押しかけます。結果その話を聞いた他の親は子供を別の学校に行かせます。イギリス魔法界にはここしか学校と呼べるものがありませんからそんことは起きませんが、もし他にあればあっという間にこの学校廃校に追い詰められてましたよ?」

 

まず最初に殺気を抑えてもらった僕は、少し間を空けてから話を続けた。三人は何も言えなくなったようで押し黙る。

 

「幸い商売話で成功したので今結構持ってるんです。話を出したのは僕ですし、代金は全額僕負担で学校からといって彼に渡しておきます」

「…分かりました。では職員会議を終わりましょうか」

 

結局スプラウト教授とセブルスはほとんど喋らないまま職員介護は終了して、解散となった。僕は相変わらず睨んでくるセブルスの視線を無視して自室へ向かう。そんなに自分の寮生を勝たせたいのだろうか?

僕は正直学生レベルのクィディッチに魅力を感じないのでどうでもいいのだが…。

 

 

 

無事自室に辿り着いた僕は箒会社のカタログを眺める。ハリーにプレゼントするのはファイアボルトの二型でいいだろう。二型は通常サイズより少々小さめなものだが彼の体型からして余り大きな物だと箒に振り回されてしまう。

カタログの一番後ろに挟まっている紙に金庫の番号、氏名などの必須項目を書いた僕は明日は早めに起きて、梟小屋に行ってからブラックに戦果を報告しようと、決めてベッドの中に入る。顔を左に傾けると、窓の向こうから綺麗な月が見えていた。

 

 

 




書いているとシリウスが勝手に馬鹿をやっている。うちのシリウスは原作より子供っぽいかもしれません(笑)

お気に入り・評価ありがとうございました!


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