復讐するは『我』にあり   作:もよぶ

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最終話

次の日、材木座が登校すると校門のところに人だかりが出来てる、覗いてみると、比企谷が先日の女子全員を連れて登校していた。

なんか吹っ切れた顔をしている。

 

「八幡…昨日はその、すまなかった」

「いいんだ、材木座、逃げていた俺も悪かったんだ」

やけに爽やかに返事されて驚く

 

「こんなに皆俺のことを思ってくれて俺は幸福者だということ気がつかされたよ」

そう言いニコッと笑う比企谷の目は前ほどは腐ってはいなかった。

「八幡、まさか…お主…あのあと学校で…」

「いや、雪ノ下のとこに場所を移してな、さすがに皆初めてだったし、人数多いし相手するのも手探りで大変だったがなんとかなった。でもやった以上全員分責任取らなきゃって思った」

 

全員とだと?あの後?絶倫過ぎるだろ!絶句する材木座

 

「それでも皆誰を選んでもいいと言ってくれる。俺は本物の幸福者だ、全部材木座のお陰だ。ありがとう」

「あ、ああそうか、よかったな八幡」

「おう!そうだ!昨日持ってきたラノベ今日絶対持ってこいよ!遅くまで起きてたんでちょっと眠いけどちゃんと読んで感想言ってやるからな!」

「わ、わかった、必ず持っていく」

なんということだ、嫌がらせのために始めた計画が暴走して奴をハーレム王にしてしまった。

 

「復讐のつもりだったのにおかしげな方向へ行ってしまったな。なんか奴から出るリア充オーラーが半端ないんだが…まあ結果的に奴との絆は深まったしもうぞんざいな扱いをされることもあるまい」

 

その後、材木座は比企谷と親友のように付き合いつつ受験期間へと突入する。

比企谷達は同じ大学へ進むようで女子達と勉強会をよく開いていているようだった。

材木座と戸塚は別々の大学へ進学を希望していたため受験勉強期間中は余り顔を会わせることはなかったがたまに遊びにいってたりはしていた。

 

ある日材木座が自販機にいくと葉山が誰かを待っているのか一人で立っていた。

 

「やあ材木座くん」

「葉山殿か、この様なところで誰かと待ち合わせであるか?」

「相変わらずその話し方なんだね、君は変な方向でぶれないな」

ちょっと恥ずかしくなる材木座

「君を待っていたんだよ」

 

「我を?何故に?」

学校屈指のイケメンがカースト底辺の我に何の用だろうか?

疑問に思っていると

 

「比企谷くんは元気でやってるかい?」

「ああ、毎日美女を侍らし青春しつつ受験勉強に励んでいるようだが」

「そっか、君は比企谷くん達と同じ大学には行かないのかい?」

「我にはやりたいことがあるのでな、まあ別な大学になったからと言って我々の友情にヒビが入ることはあり得んし、進学したら住むところを近場にする予定でな、だからいつでも会いに行ける」

 

「友達か…俺には無縁の言葉だな」

葉山は寂しそうに言う

「実は材木座くんの小説を勝手に読ませてもらったことに対してまだお詫びをしてなかったと思ってね」

 

小説と聞いて前に海老名から聞いたこと思い出す。

「その件は海老名殿から聞いておるし、過ぎたことだから別にかまわん、しかし何故に我が捨てたものをわざわざ拾うようなことを?」

 

「君が大声で独り言を言っていたからさ、思惑通りにとか三人の女子とか聞こえてね、比企谷くんの名前も言ってたから初めは君が雪ノ下さん達に悪さしようとしてるのかと思っていたからね」

 

まあ実際問題比企谷に悪さをしようとしてたわけだが。

 

「まず証拠をと思って捨てたものを回収したのさ、問題があったら君につき出すためにね、そしたら雪ノ下さん結衣といろはのあの行動だ、拾ったときに軽くしか目を通して無かったからちゃんと読んだのさ、そしたら内容が比企谷くんと雪ノ下さん達の関係そのままだったから驚いてね、君はアレを読ませてあの三人を説得したのだろう?」

 

「あ、ああその通りであるが…」

なんだろう、なんか物凄く好意的に解釈されている。

というか下手に転んだら葉山から糾弾されていたわけか、今更ながら冷や汗が出てきた。

 

「君は比企谷くんからあまり良く扱われてなかったみたいだけどそれでも魂で繋がってると信じて彼と彼の周囲の人の関係を憂いて小説まで書くなんて」

 

「ま、まあ我と八幡はいわゆる相棒であるからな」

 

「俺にも今まで仲がいい奴は沢山いたけど、そこまで信じてやってくれる奴はいなかった、俺もやろうとは思わなかった。きっと俺のやり方が間違っていたんだろうと思ってさ、自分を見直すいいきっかけになったよ、みんなとも距離をおくようにしたしね」

 

「何故皆と距離をおくようなことを?」

「ああ、女の子達は比企谷くん方にいっちゃったしね、戸部達もむしろ俺がいることで逆にあいつらに迷惑をかけていたみたいだったし、今ではボッチって奴だよ」

 

俺がいることで迷惑?アレ?なんか聞いたことあるぞこの台詞

「体育の時彼が似たようなことを言ってたと思う。彼の場合謙虚になりすぎてたみたいだけど俺の場合は傲慢になりすぎてたんだろうね」

 

「それと俺が優美子振ったとき、比企谷くんを慰めに行かせたのも君だろ?」

「なぜそこまで知っているのだ?あのときトイレには我と八幡以外誰もいなかったはずだが」

 

「君は声が大きい、もう少し小さな声でしゃべるべきだと思うよ」

というかアレは八幡をおちょくる材料にするために…いやいやこれは言うべきではないだろう

 

「君がどういうつもりだったかは知らない、でも結果的に優美子もすぐ元気になったしね、姫菜も結衣も今まで見たこと無いような笑顔でいることが多くなってたし、やっぱり彼には敵わなかった。俺はグループを維持することしか考えてなかったから…」

 

「でも葉山殿はイケメンであるし女子からも人気がすごいではないか、わざわざボッチになる必要もないではないか」

 

「本当は好きな人がいたんだけどその人の心は俺の手の届かないところにいっちゃってね、その人以外誰とも付き合うつもりは無かったしさ、自信をなくしてね、人間関係も一度リセットしようと思って実は進学先を誰にも教えてない」

 

そういえば自分のクラスの女子も葉山と同じ大学へ行きたいからどこにいくか教えてくれって聞き回ってたな、結局分からなかったみたいだが

 

「大学は遠くところを選んだんだ、ここだけの話場所は…」

「ずいぶんと遠いな、確かにこれでは仮に知られたりしても気軽に会いに行ける距離ではないな」

 

「誰にも言わないでくれよ、あとこれは話に付き合ってくれたお礼だ」

そう言ってマックスコーヒーを手渡す、材木座が顔をしかめると

「人生は苦い、だからコーヒーぐらいは甘いぐらいでちょうどいいだったかな?」

「確かに奴はそのようなふざけたことを言ってたな」

 

「もう気軽に飲めるような所ではないだろうし、多分俺のこれからの人生は苦くなりそうなんでね」

 

葉山は一気に飲み干すと

「じゃあね、材木座くん、比企谷くんと…雪ノ下さんを頼んだよ…」

そう言って葉山は校舎に姿を消した。

 

葉山殿は好きな人がいたとか言ってたがまさか?

そういえばたまに廊下で比企谷と会うときがあるが横にはほぼ雪ノ下がいたことに気がついた。

 

「とうとう選んだのだろうか、このままズルズルと全員と関係を続けるのかと思っていたが」

マックスコーヒーを飲みながら思う

 

「それにしても奇しくも葉山殿と八幡、光と影の立場は逆転してしまったようだな、しかしながら根っこの部分では彼らは似た者同士だったのかもしれぬ、八幡は人間関係を進展せず現状維持を貫こうとしてたし、葉山殿も話を聞く限りではそのような感じだったようだしな」

 

「もしかすると違う出会い方をしたら奴等は親友になれていたのかもな」

材木座は空になったマックスコーヒーの缶を見つめこれから彼らはどうなるのだろうと柄にもなく考える

 

その時携帯にメールが来る、相手は比企谷だ

「ふん、息抜きにカラオケに行こうだと?このリア充め、爆発すればいいのに」

律儀にOKのメールを返して空き缶をゴミ箱へ放り込む

 

「まあ奴ら二人とも今の境遇に納得しておるのだ、我が気に病む必要も無し、真実は墓まで持っていくとするかのう!、しかし八幡の奴、我に内緒で選ぶとは、なにがしか言ってやらぬと気が収まらん、でも雪ノ下殿も同時に相手にすることになるな、勝てる未来が見えない」

 

また携帯がなり場所と時間が書かれたメールが届く

「まあよかろう!また八幡とアニソンを一緒に熱唱するか!雪ノ下殿とデュエットなぞ絶対にさせんからな!首を洗って待っておれ!」

 

そういえば我の復讐はいつからおかしくなってしまったんだろう?

復讐するは我にありなんて言った覚えもあるが、ぶっちゃけ誤用だしな、それにたしかこの続きがあったような…スマホで調べて吹き出す、我のやったことは葉山殿から見ると正にこれか、神とやらが見ているのなら八幡、葉山殿両者にそれ相応の報いを与えたということであろう、どのみち我に復讐なんて柄じゃなかったってことであろうな。

今更ながらどうでもいいことを思いつつ材木座は皆が待つ待ち合わせ場所へ向かうのだった。

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