次の日の放課後、材木座はまた戸塚にお願いして比企谷を連れ出してもらう
二日連続のお誘いに比企谷は浮かれ調子で昼休み様子を見に行ったら明らかにウキウキしているようだった。
「その気分も今日までだぞ八幡、今のうちに楽しむがよい!ヌァーハッハッハッハ!」
周囲から奇異の目で見られながら廊下で高笑いをする材木座であった。
放課後、奉仕部部室にて
「さて、感想を述べてもらおうか」
材木座は雪ノ下に向かって言う
「文法とかいろいろあるのだけれど、そもそもこの話は酷すぎないかしら?」
「そうだよ中二、この主人公ありえなさすぎだよ」
「そうですね、雪ノ下先輩と結衣先輩の言うとおりだと思います」
かかったな、思った通りだ、材木座は心の中でにやりと笑う
「ふむ、ど、どの辺がであろうか」
「こんなにモーションかけてるのになんで主人公はそれに気が付いてあげれらないの?ここまでやったら好きってわかるじゃん」
「そうですよ、それで主人公だって好意持ってる女の子いるのになんでこの主人公告白もせず日和見の態度取り続けてるんです?」
「一番ありえないのは最後ね、みんなの好意に気が付いていたけど結局誰も選ばずみんなの前から姿を消すっていうのが酷すぎるわ」
三人から矢継ぎ早に意見を言われる
「きで、いや貴女らがそういうのは当然であるやもしれん、でもこの主人公は優しいのだ、自分から誰かを選んでしまうと角が立つと思ってできないのだよ」
「でも…」
三人はものすごく不満そうだ
「それにだ、肝心なのはハーレムエンドからのスタートではあるが、誰も主人公に対して具体的に好きだと告白してはいない、思わせぶりな態度ばかりで具体的な行動に出ていないであろう?、だから主人公は余計に戸惑ってしまうのだ、本当にこいつらは俺に好意を抱いてるのか、俺がそばにいても良いのかと」
「でも…こんなのおかしいですよ」
「もし自分から告白して、OKをもらったとしても周りとの関係がおかしくなるのは目に見えている、この場合女子たちも互いに仲良しで主人公もその関係がいいと思っているからな、選ばれなかった女子とわだかまりが出来てしまうであろう、それに実は告白された女子から見たら恋愛対象じゃなかった、友達として好きだったとか言われてしまった場合が一番最悪だな、だから女子たちの関係を壊さないように姿を消すわけだ」
「………」
三人とも下を向き黙ってしまった
「でもだ、我は一人の男として思うのだが、これを打開する方法があると思うだ」
三人ともぱっと顔を上げる
「それで…その方法はどんな方法なのかしら?知っているのなら早く言ってほしいのだけれど」
雪ノ下が急がせるように問いかける
「うむ、この場合誰を選んでも自分たちの友人関係、信頼関係には亀裂は生じないと主人公の前で明言することと、自分たちの気持ちをはっきり伝えること、行動で示すことだな、女子からすると男の方から告白してほしいという気持ちがあるのは恋愛に疎い我にもわかるが、こういう場合は特殊すぎる、男から行動したら下手したらそれこそ先日雪ノ下殿が言ったように血みどろの争いになりかねんからな、ちなみにわれわれの言葉ではNice boatと言う」
「Nice boat?どうでもいいわ、それよりこういうのは男としてどうなのかしら?これは逃げともとらえられるけど」
「そもそも我には恋愛の実体験がないし無論複数の女子から好意を向けられたことも無いのでな、故にこれは客観的な意見だ、最もソースはアニメとラノベだが」
三人とも下を向いて何やら考えているようだ、ここで前に体育の時間比企谷から聞いたとっておきの話をダメ押しで言うことにする
「そういえばモテモテの葉山殿が彼女を作らないのもこういうのが理由ではないのかと八幡が言ってたような気がするな」
三人ともはっとした顔になる。
たしかにそうなのかもしれない、思い当たる節が多すぎた、しかも恋愛知らずの材木座ではなく複数の女性から言い寄られている葉山がそれに当てはまるなら、自分たちの想い人にも当てはまるのではと思ってしまうと考えるのは当然の成り行きだろう。
「たしかに…そうかもしれないわね…」
そろそろ潮時だ
「ふむ、もうこんな時間か、我は撮りためていたアニメを見なくてはならないのでこれにて失礼する」
そう言い証拠隠滅の為配っていたラノベのコピーを素早く回収し奉仕部を後にする。
後にする直前、三人が固まってなにやら話し込んでいたようだ。
外に出て廊下を歩きながら独り言をつぶやく
「クククク、ミッションコンプリート、思惑通りに事が進みそうだ」
材木座はまたしてもにやりとする
「しかしあの三人の誰かがラノベに詳しくなくて良かった、なにしろ有名どころのハーレム系のラノベを切り貼りして無理矢理繋ぎ落ちを付け加えただけだからな」
「あの女子共、八幡と仲良くなりたいようだが我は八幡と魂でつながっておるのだ、我の方が八幡の性格から何から詳しいに決まっておる、我をあんまりなめないことだな!ファーハッハッハハ!」
材木座は大声で独り言を言うとゴミ箱にコピーをぶち込みニヤニヤしながら次の日を待ったのだった。