放課後になり部活へと生徒たちが移動をし始めるころ材木座はまたも比企谷のクラスへ様子を見に行ってみると、教室の前で由比ヶ浜がウロウロしているのが見えた。
「中二、ヒッキー知らない?一緒に部活行こうって言ったのにどっかにいっちゃったの」
「し、知らぬな、むしろ我も探しているぐらいなのだが」
「先に部室に行ったわけでもないみたいだしメールしても電話しても出ないの、困ったな」
さては八幡の奴逃げたな?材木座はそう思い
「み、見つけたら部活にいくよう伝えておく」
そういって校内をぶらつくことにした。
「しまったな、逃げる可能性を失念していた」
「今日は川崎殿が奉仕部に行くであろう、見つけたら無理にでも連れていかねば奴のヘタレっぷりを観賞できないではないか、これでは面白くない」
飲み物でものもうと自販機の方に足を向け歩いていると、自販機の前に金髪のカップルいるのが見えた。
「リア充どもは我の一服の一時すら邪魔をするのか、破裂してしまえばいいのに」
そう呟き少し近づいてみるといるのは葉山と三浦だった。
「なにゆえこんなところに二人っきりでいるのだ?部活は?そもそも葉山殿はぞろぞろとトップカースト連中を引き連れているのが当たり前だと思っていたのだが?」
材木座はできるだけ近づき身を隠しながら二人の会話を盗み聞きする
「ゴメン優美子、今は誰とも付き合うつもりはないんだ」
「そんな…」
凄いところに居合わせてしまった。
どうやら葉山へ三浦が告白し振られてしまったようだ。
しばし無言の後、踵をかえした葉山がこちらに向かってくるので慌てて材木座はその場を離れ近くのトイレに身を隠す。
するとトイレには比企谷がいた
「八幡、おぬしここでなにをしておる?」
「材木座、助けてくれ、みんななんかおかしいんだよ。いきなり三人同時に告白されるし、誰を選んでも恨んだりしないとか、ふざけてるのか俺をからかってるのかと思ってたが度が過ぎる、しかも今日は川なんとかさんまで…みんなおかしい、こんなに俺をからかっていったい何のとくがあるって言うんだ…帰ろうと思ったら昇降口に見張りがいるし、どこにもいけないからこうやって隠れてるんだよ」
やはり逃げていたか、二度と逃げ出さないように釘を刺しておかねば
材木座はそう思い説得を始める。
「八幡よ、それは違う、彼女らは皆真剣なのであろう、それに向き合わないでどうする?ここで逃げるとおぬしのせいで一人残らず不幸になるがそれでもよいのか?」
「でもそんなこと...俺なんかが…」
「おぬしのような輩でも必要としてる人はいるのだよ、我や戸塚殿だってそうだ。おぬしの今までの活躍を目にしてきた雪ノ下殿達そうであろう、川崎殿もヌシなにやら恩義があるらしいではないか」
材木座はここまで言ってみたがだんだん面倒くさくなってきた。
何しろ相手は校内随一のひねくれものだ。
正攻法ではらちが明かないし、そもそもこんな説得は苦手だ。
ふと、先ほど振られた三浦のことを思い出した。
比企谷なら振られて意気消沈している女子を見捨てるだろうか?
いやこやつはそんなことは絶対にしない。
鉢合わせにするとまた面白い展開があるやもしれん。
「まーおぬしの好きなマックスコーヒーでものんで頭を冷やすとよかろう」
「それが今日は売り切れているようなんだ」
比企谷はガックリ肩を落とす。
「それならさっき業者が来て入れていったようだったが」
「本当か!やっぱマッ缶がないと始まらないよな!」
そう言いウキウキで自販機へ向かう比企谷
「嘘に決まっているだろ」
材木座はそう呟きこっそり後をつける
比企谷が自販機にいくと座り込んでいる三浦がいた
「ヒキオ?ここでなにやってんの?」
「俺はマッカンを買いに来ただけ…っておいやっぱり売り切れてるじゃねぇか!あいつ嘘つきやがったな!」
「あーし隼人に振られちゃったんだ…」
比企谷のことをガン無視して語りだす三浦
「いや、俺マッ缶買いに来ただけだから、しかも売り切れてた。俺帰る。OK?」
「あーし隼人と今までの関係じゃ我慢できなかった。結衣や一年の生徒会長があんたにグイグイ迫ってるのみてさ、あーしもああするべきだと思った」
「はぁ」
比企谷は諦めて話を聞いている。
「ヒキオちょっと胸かすし」
そう言い三浦は比企谷の胸元に顔をうずめ泣き始める
「あーしにとって隼人は特別だった。でも隼人にとってあーしは特別じゃなかった。これからどうしていけばいいんだろう…」
すすり泣く三浦にどうしたらいいか戸惑いながら比企谷は語りかける
「あのな三浦、一つ話をしてやろう、これは俺の友達の友達の話なんだがな」
「ヒキオ友達いないし」
「失敬な、いるぞ戸塚とか、いやまあいいその友達の友達がな…」
そういうと比企谷は中学の振られた時の話をする
「そして彼はナルが谷という屈辱的なあだ名をつけられ今に至るというわけだ」
「なにそれ結局ヒキオのことだし」
「あーそのだな、何が言いたいのかと言うと、振られたぐらいで落ち込むなよ、俺でよければいつでも相談に乗るから好きなだけ使え」
「ヒキオ…ありがとう」
「しかしこうなった以上あいつのグループにはいられないだろ、まあお前ならどこでもやっていけんじゃね?後な、俺そろそろ部活にいかなきゃなんねぇんだ、色々問題があってな、さっきその問題から逃げるなって発破かけられちまったからな」
比企谷は三浦の頭を撫でながら話す
「元気出せよ、このままだと俺も部活に行けねぇじゃねぇか、トップカーストの女王様が情けない面してたらしもじもの連中が不安がるだろうが」
「ヒキオ…」
三浦の顔が真っ赤になっているのが遠くからでもはっきりとわかった
「部活って結衣もいる奉仕部ってやつだっけ」
「ああそうだ、依頼があったら顧問の平塚先生経由で頼んでくれ」
「ふうん、平塚先生が顧問なんだ…」
「んじゃあな」
比企谷はそのまま奉仕部へ向かった。
その場に取り残された三浦は比企谷方をしばらく見送っていたが別な方へ向かっていった。
「フムウ、思った通りというかなんというか、でもまあ八幡が逃げ出さなくて良かったわい」
「しかし奴が開き直って現状を受け入れてしまうと余計に面白くない」
どうしたもんかと思いつつ材木座は先日書き上げたラノベを取りに一旦教室へ戻るのだった。