次の日の体育の授業、二人組の号令とともに珍しく比企谷と組む材木座、しかし比企谷はやけに憔悴しきった顔になっている。
「どうした八幡、やけに疲れた顔をしてるではないか?」
「ああ、お前も知っての通り最近部活が大変でな、昨日小町にも言われたよ。家に帰っても小町と顔を会わせても疲れがとれない」
ふうむ、ちとやり過ぎてしまったか、反省する材木座
「八幡よ、では気分転換にゲーセンに行くのはどうであろう?我と戸塚殿と三人でな、たしか駅前のゲーセンが改装したとかで週末オープンするはずだ」
「済まない材木座、こんな俺のために気分転換まで考えてくれるなんて…お前が友達でいてくれて今日ほど嬉しい日はないよ」
比企谷は感動のあまり泣きそうな顔になっている。
今までの八幡ならこんなこと絶対に言わなかったはずだ。
大分弱っているようだが、礼まで言われると素直に嬉しい。
「うむ!週末が楽しみだな!八幡!」
少しだけ元気を取り戻した比企谷と無事体育を終わらせてそれぞれの教室に帰る。
「うーむ大分やり過ぎてしまったか、しかし八幡にはっきり友達と言われるとは、嬉しい反面ちょっと罪悪感があるな」
昼休みにまたも様子を見に行くと案の定由比ヶ浜、川崎、三浦に囲まれてどこかに連行されていくところだった。
「声をかけたいが怖くてできぬ、八幡、頑張れ」
とそのまま見送っていたら比企谷と目が合ってしまった。
「材木座!」
物凄く助けてほしそうな顔で名前を呼ばれる。
因みに女子三人からはジャマをするなという視線を浴びる
猛烈に怖かったが目があった上に名前を呼ばれては放置するわけもいくまいと思い話しかける。
「あー八幡よ、どこへ行こうというのかね?」
「これからみんなで奉仕部の部室でお昼ごはんなんだ」
由比ヶ浜が代わりに答える。
「ああ、日替わりでみんなが弁当作ってきてくれてるから逃げられねぇ」
比企谷が絶望的な表情で言う
「しかも俺は箸を使ってはいけないらしい」
「…箸を使わないと食えぬではないか?」
「それは…俺は使ってはいけないだけで周りが…」
「ほう、いわゆる『あーん』というやつか?」
そういうと女子全員の顔が真っ赤になる
「ほら!ヒキオ行くよ!」
三浦が比企谷の腕をつかみそのまま引っ張っていく、ちなみにもう片方の手は川崎が握っている
「貴殿のベストプレイスは我が死守しておくが故、心置きなく昼食を取るがよい」
そういって材木座はその場を逃げるようにはなれる。
比企谷がよくベストプレイスと言っていた場所につき購買で買ったパンを頬張る。
「八幡は我と友達だと再認識してくれたし嬉しい限りではあるが、よく考えるとアレだけの美貌を持つ女子に囲まれているうえに手作り弁当だと?しかも全部食わせてもらってるってアレか八幡はガチョウか何かか?フォアグラにされて後で美味しくいただかれてしまうのだろうか?」
あ、今うまいこと言ったと自分で自分に感心する材木座
「美味しくいただかれるのか、あの女子共に…ありうるな…あれ?するとこのままいくと八幡は我より先に童貞を捨てるということか?おかしいな、普通にうらやましい状況になってるぞ?」
計画が斜め方向にずれてしまったのを感じた材木座はとりあえず比企谷の童貞喪失を阻止する案が無いか考えてみる
「うーむ、修学旅行の時にちらっと見たが八幡は大蛇のような巨根で、見るだけで「らめー壊れちゃうー」と女子共に言わせるぐらい並みの女性には到底受け入れられない凶悪極まりないイチモツだったとかそういうのはどうだろうな」
頭に浮かんだ独り言を言ったとたん後ろからガタッと音がしたので振り向いたが誰もいない
誰かに聞かれたらまたあいつ変態なこと言ってると噂されるどころかせっかく友達だと再認識してくれた比企谷にも嫌われるレベルの下品なアイディアだったと反省し
「いやこんなこと言ったら雪ノ下殿や三浦殿にすり潰されてしまうな、八幡にも嫌われてしまう、最も我はリア充どもと違って女子相手に下ネタなぞ言えるわけもないがな」
「それにあやつはヘタレだし、手を出せるわけもなかろう、あの女子共も大層な美貌を持っているが中身は残らず残念だから我から見ればあまり羨ましくもないな、やはり二次元こそが至高」
パンをムシャムシャと咀嚼しジュースで喉の奥に流し込む。
「そういえば三浦殿は葉山殿のグループだったはずだ、あのグループは葉山殿と三浦殿で持っているように見えたのだが今はどうなっているのだろうか?」
ちょっとだけ興味が湧いたので戸塚に週末の予定伝えるついでに様子を伺いに行くことにした。
教室で戸塚を呼び出し葉山達の様子を伺う
「材木座君、さっきからチラチラ葉山君の方を見てどうしたの?」
「うむ、あのグループは三浦殿と由比ヶ浜殿がいたであろう、しかし最近はずっと八幡達のところにいるから今どうなってるのか少しだけ興味があってな」
「それなんだけど、最近は戸部くん達ともあまり話さなくなっているみたい、海老名さんも休み時間になるとどっかにいっちゃって葉山君は一人でいることが多くなってるみたい」
「ふうむ、まるで八幡と立場が逆転してるみたいだな」
と、戸塚と話をしていると後ろから
「愚腐腐腐腐、このカップリングは珍しい」
「あ、噂をすればだね」
突然背後に現れた海老名に材木座は戦慄する
「ざい×とつ?とつ×ざい?いやこれでは全く萌えない!やはりはち×はや!ヒキタニ君が隼人君にへたれ攻め!これこそ正義!でも最近の状況はざい×はちじゃないのかな?材木座君」
そう言い海老名はニヤっとした笑みを材木座に向ける
「な、なんのことやらさっぱりわからぬが…」
「ヒキタニ君が女性に迫られて醜態を晒しているときに君よく近くで笑って見ているよね?」
この女子はどこまで知っているんだろうか?
材木座は不安になる。
「みんなヒキタニ君に取られちゃった、彼はやっぱ凄いよ。隼人君も大分変わっちゃったし…」
「変わったとは?葉山殿は学年中の男女の羨望の的であろう」
「ちょっと前まではね…ほらヒキタニ君が雪ノ下さんと結衣を侍らせて初めて登校した日、あの日から決定的にいろんな人と距離を置くようになったみたい」
焦る材木座、自分が原因だと知られたらどんな目に会わされるのか、逃げた方がいいのか?いや、トップカーストからは逃げられない!
ぐるぐると頭のなかで思案していると
「私知ってるよ、今の状況作ったの材木座君だってこと」
「材木座君どう言うこと?」
戸塚が驚いた顔で材木座を見る
ヤバい、背中に嫌な汗が吹き出る
「といっても隼人君から聞いただけなんだけどね」
え?何故に?由比ヶ浜殿が話したのだろうか?
「隼人君ね放課後一人で教室に残ってたときがあって『ヒキタニ君はいい友人をもって幸せな奴だ、俺にはそんな友人は一人もいない、皆うわべだけだ…本物の友人なんて一人もいない…』ってしわくちゃになった紙?をみて愚痴っててさ、私が何を見てるのって聞いたら『材木座君って知らないかな?彼がヒキタニ君と周囲の人がこのままいったらこんなことになるって警告の為の小説を書いてそれを雪ノ下さんや結衣、いろはに読ませたみたいなんだ、ここまでしてくれる友人を持つ彼が羨ましい、俺にはそこまでしてくれる友人はいない、そもそも友人を持つ資格なんてないのかもしれない』って落ち込んじゃっててね…」
んなばかな!アレは丸めてゴミ箱に入れたはず。何故葉山殿が?というか何故アレを雪ノ下殿達に見せたのを知っている?
「そして隼人君はみんなと距離を置くようになったみたい」
何がどうしてこうなったのかはわからぬが誤解されてるようならそれでよし。
材木座はそう思い二人にお願いする
「海老名殿、スマヌがその件は黙っていてもらえぬだろうか?戸塚殿も頼む」
「材木座君ってそんなに八幡のこと…凄いや!尊敬するよ、僕なんてなんにもできないからさ」
「何しろ我と八幡は精神の深いところで繋がっているからな!」
「やっぱざい×はち?でもはち×ざいの方がいいかも!」
「一人で盛り上がってるとこスマヌが海老名殿はこれからどうするのだ?あのグループは無くなってしまったのだろう?」
腐女子が盛り上がっているところにはあまりいたくないので早々に切り上げようと聞いてみる。
「うーんじつは私もヒキタニ君は気に入っているんだよね、素の私を受け入れてくれる数少ない男子だし」
「海老名殿がそうしたいなら我に止める権利もなし、好きにすればよかろう。雪ノ下殿達も喜んで迎えてくれると思うぞ?」
海老名に見られているとどうも尻の辺りがむずむずして落ち着かないので逃げの体制にはいる。
「後悔先に立たずというしな!では我はこれで!」
自宅へ帰る道中
「八幡を陥れるためだけに作成したパクリラノベがこんな影響を及ぼすとは。もう知らぬ、行き着くとこまでいけばよい!」
そう無理矢理思うことにして家路に急ぐのだった。