士郎は厨房で料理を作っている。食堂の席にはジャンヌ·オルタが静かに座っている。心なしか、ジャンヌ·オルタの顔が赤い。
士郎はジャンヌ·オルタを見ると、
「なによ·······」
ジャンヌ·オルタは顔を赤らめながらもこちらを睨んでくる。ジャンヌ·オルタはずっと恥ずかしさに堪えていた。初対面であんなことを言って、それからずっと蔑んでいた相手にこんなことを頼むとは思わなかった。
それもこれもあの二人のせいだ。あの二人が士郎の料理はものすごくうまいと食堂でその料理が机にある状態で言ってきたからジャンヌ·オルタも食べたくなってしまった。士郎の料理は香りからしてものすごく美味しそうだったので、ジャンヌ·オルタは折れた。
「ほら、完成だ」
士郎は完成した料理をジャンヌ·オルタの前に置いた。
「ッ·······!!」
ジャンヌ·オルタはその料理に息を飲む。改めてみると、見ているだけで美味しそうだということがわかる。
加えて香りも合わさり、ジャンヌ·オルタの空腹間は増すばかりだった。
パク
ジャンヌ·オルタは一口食べた。すると、ジャンヌ·オルタは、無言で次々と口に運ぶ。
(·········悔しいけど美味しい)
美味しいのだ。その味はなんでか優しい味だった。ジャンヌ·オルタは完食し、無言で士郎にお皿を差し出す。
「·········」
「?」
ジャンヌ·オルタは無言を貫いているが、顔が赤い。そして一言、
「お、おかわり··········」
ジャンヌ·オルタは恥ずかしそうにそう言った。士郎はジャンヌ·オルタの意外な一面に驚いた。
「は、早くしなさいよ········」
「·······ハイハイ」
士郎は笑いながら皿を取って料理を作り出した。
結局ジャンヌ·オルタは5回もおかわりをした。ジャンヌ·オルタは終始顔を赤くさせていた。
「味はどうだった?」
士郎はジャンヌ·オルタにそう問いかける。
「·················」
ジャンヌ·オルタは黙りこむ。そして一言、
「そ、その、美味しかったわよ‼」
ジャンヌ·オルタは恥ずかしさのあまり半場ヤケクソになってそう言った。そして一言、
「ま、また作って」
ジャンヌ·オルタは小声でそう呟いた。
士郎はその声を聞き取った。
「あぁ·········また作るよ」
士郎は笑みを浮かべながらそう言った。その言葉がとどめになった。
「~~~~~~ッ!?」
ジャンヌ·オルタは顔から蒸気が出そうになるほど顔を赤くして走り去っていった。
士郎は満足感を感じながら後片付けをした。