翌日の朝、キンジとアリアが何やら早朝に出ていったのを見送り新品の家具を1人で楽しんでいると机の上に置いてあった携帯が鳴る。着信音ごとに誰から来たのか分かるように設定していて、この時間に電話をかけてくる非常識な奴は普段であれば面倒なのでスルーなのだが今回はワンコールで直ぐに応答した。
「はい、もしもし。泊ですが何か御用でしょうか」
「ん〜、30分後に
「はい、分かりました!では、失礼します」
電話を切り、カップに残っているコーヒーを飲み干す。電話の相手は
仕方なく優雅なモーニングを打ち切り、ソファーに投げ捨ててある鞄を手に取って登校準備は完了。男子寮から教務科までは車で向かえばすぐだが、30分後と言いながらその5分前には着いておかないと遅いと言われ何をされるか分からない。
シフトブレスも装着して、外の駐車場に止めてあるトライドロンへと乗り込む。今日は珍しくベルトさんはいないようだった。多分地下の基地にでもいるのだろう。
△△△
教務科定刻よりも早く教務科には到着できた。綴に呼び出されたので簡単に中へと入ることができる。武偵校生でここにアポ無し、無断で入ってくる=死を意味している事はほとんどの生徒が理解しているような場所だ。
ノックして中へ入れば綴だけでなく、なんと対キンジ専用爆弾こと
何か共通して呼ばれるような事があっただろうか?男子寮のことであれば日常茶飯事、それに内々で済ませているためバレても無いだろう。学業の方では、赤点スレスレの俺と学年トップの白雪さんでは天と地の差がある。同時に呼ばれはしないはずだ。となると、俺に問題が発生したのか白雪さんに問題が発生したと考えるべきだろう。何せ直々の呼び出しだ。
「星伽ぃ、アンタの
違法なんだか合法なんだか分からないタバコを吸いながら綴はとんでもない事を言い出した。白雪さんにストーカーがいると言うのだ。なんとも恐ろしいことである。こんな大和撫子のような柔らかい見た目をした淑女を脅かしている奴がいること、そしてそいつが刀の錆にならないかと心配でならない。主に後者が。
この事については白雪さんも認知していたらしく俯き沈黙を守る。何も言わないという事はつまり不承不承ではあるが肯定しているという事だ。
「誰がやってるか分かってるかぁ?
「……はい」
「
「えぇ、俺ですか!?」
唐突な振りで思わず驚いてしまう。
これが良くなかった。綴はため息を吐くように俺に副流煙を浴びせてくる。
「何のためにアンタを呼んだと思ってんのォ?」
「ゴホッ、ゴホッゴホッ。わからないです、すいません」
「この娘の護衛、やってやんな。お前、警察志望なんだろ〜?SPも仕事のうちだし、できるよなぁ?」
いや、まぁ確かに俺の進路志望は1年の時から警視庁だと言っている。だけど、俺の目指しているのは
返事を躊躇っていると、何やらゴソゴソと音が聞こえ始める。少し前から聞こえてはいたが、一度止んだ為どこからか音が響いているのだと思っていた。また鳴り始め、しかも方向は上からだ。壁とダクトしかないここで聞こえるにしてはおかしい音がしている。
なんだろうと上を覗いた瞬間、通気口から人が落ちてきた。それも見知った顔が2人。
「その話、私達が受けてあげる!」
スマートに着地したアリアは頭から落ちてきたキンジを指さして胸を張っていた。
流石の綴も一瞬目を見開いていたが、直ぐにこちらを向いてまたため息のように煙を俺に吹きかけてくる。アゴでアリア達を指すと「なぁに、あれ」といった顔をしていた。俺にも分からない。なんなのだろうか、あの2人組は。何を考えてこんな所に来たと言うのか。
「はぁ……それでぇ?受けてあげるってのはどういう意味?」
「その護衛、アタシと
人様に向かって腑抜けとはなんと失礼な事だろうか。キンジがバカなのはその通りだが、少なくとも俺は腑抜けてはいないはずだ。多分、きっと、Maybe、そう信じたい。
「なんだか知らないけどSランク武偵様御一行が
「キ、キンちゃん様が!?」
何か魂のようなものが抜けた抜け殻のキンジと、何かを察してニヤニヤと悪い顔をしている綴、リンゴよりも真っ赤な白雪さんにドヤ顔が止まらないアリアとカオスな空間に俺は浴びせられた煙よりも大きなため息が出ていた。
△△△
都心部の繁華街にあるこのバーは、ビルの地下に作られており、隠れ家的なバーとして運営されていた。一見さんお断りと扉のプレートにも書かれており、そのため客が入ってくる心配もない。そんな密室に男女数人が各々の方法でくつろいでいた。1人はカウンターの中に、もう1人はカウンターの席に座り、残りの1人はソファーに座っている。
そこに扉が開かれカランコロンとベルが鳴った。全員の視線が来客に集まる。
「おぉ、帰ったのですね
カウンターの中にいるメガネの男の言葉に見向きもせず、カウンターの席へと座った。カウンターに座るのは赤いレザーコートを羽織った男で、どこかカリスマを感じさせる出で立ちをしている。彼の隣に座った
「どうだった、俺の友となる男は」
「腑抜けだ、アレは。簡単に誘いには乗るし、人を疑わない。気配すら感じ取れない雑魚だ」
「ふふふ、でもあの方の子なのでしょう?」
ソファーに座ってコートの男に微笑むのは純白のドレスのような服を着た女性で、彼女をの容姿を一言で表すのであれば偶像の女神だろう。メガネの男も、コートの男も、ドレスの女も話に出てきた男に対して好意的であった。そんな3人とは対照的に、透き通るような銀髪をした
「まだ、ギアが入ってないのさ。楽しくなるのはこれからだ」
「そうだといいんだがな」
捨て台詞と共に少女はバーを後にする。彼女のいたテーブルの上には写真が数枚置かれていた。写っているのは1人の男子高校生。赤いスポーツカーのような車に乗っている姿や、着替えている瞬間に家でコーヒーを飲んでいる場面もある。そして最後の1枚には赤く鋭角なフォルムをしたフルフェイスの軽鎧を纏った姿だった。
「なぁ、そうだろう?──泊エイジ」
皆さん、緋弾のアリアのaudiobook出たの知ってますか?3巻まで出てるので是非お手に取ってみてください。
あと、物語としてはGⅢの話までは構想ができているのでそこまではエタるつもりは毛頭ないので首を長くして待って頂けると幸いです。
また、当サイトのちゃん丸様にてラブライブの企画小説が連載されてました(過去形)。寄稿していますので、よければご覧下さい。
良ければ評価や感想を頂けると幸いです。モチベーションに繋がりますのでよろしくお願い致します。