加速していく緋弾のアリア   作:あんじ

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久しぶりになりました


第一章:赫色の嚆矢(アンファング)
第1話:始まりは突然なのか


車を走らせて少し過ぎた頃、早朝の東京を余裕でスピード違反の速度超過で駆けていくと一生懸命に自転車を漕ぐキンジとそれを追いかけているセグウェイ、そしてビルの上から飛び降りる少女がいた。

つくづく運のないやつだと思ってはいたがまさかキンジが武偵殺しの模倣犯に捕まるとは思ってもみなかった。

横につけてようと寄せていくが、途中ビルから落ちてきた少女はパラシュートを開き何やらキンジに加勢をする様子だ。

 

「キンジ、大丈夫か?」

「だ、大丈夫にみえるなら車に乗せてくれ!」

 

かなりの速度で進む自転車とキンジに並走するように進む俺だが、後ろにいるUZI付きのセグウェイと、徐々にビルからのパラシュート少女が近づいてきる。なかなか車内に入れるのは難しい。そしてパラシュートの少女が特徴的な声で叫び始める。

 

「頭伏せなさい、風穴開けるわよ!」

「おい、マジかよ」

「くっそ、このチャリには爆弾が付いてるんだよ!来るな!」

 

少女と車と正面衝突の危険性があるため仕方なく離れていく。服装は武偵校のセーラー服であるから少なくとも同業者であることが見て取れる。まぁ年齢が幾つかは分からないが。

まぁ彼女も武偵な訳だが、世の中の武偵にもできる武偵と無能な武偵とがいる。が、この少女はできる武偵だというのが一連の行動から見て取れた。

風に揺られ不安定の中ホルスターから取り出した二丁拳銃でセグウェイに付いたUZIを撃ち抜くという妙技を見せ、さらに頭と足の向きを逆にして、キンジだけを抱いて自転車を飛ばそうとしている。ただ、耳をすませば外からは爆弾のチクタクという典型的な音がしていた。

 

「『あっ』」

 

謎の声さんと俺は同時に声をあげる。抱き上げる所までは上手くいっていた。そのため爆弾の付いた自転車はその先にある武偵校の校庭で爆発。そこまでは良かったのだが、高度が下がりすぎたのか彼女達は爆風に煽られて、そのまま体育倉庫に激突していった。

さすがに様子を見ようと思い車で校庭に乗り入れて、現場の体育倉庫に向かおうとする。

 

『止めるんだ!エイジ、今出ては君の身が危ない!』

 

しかし、謎の声さんがそれを静止する。その声は先程のように焦った声で、何か緊張を孕んでもいた。しかし中にいるキンジ達の安否確認と救助をしないわけにもいかないため、車の外に出る。

 

『これは……!?』

 

そう謎の声さんが叫んだ瞬間、UZIを積んだセグウェイが7台が現れた。

 

──そして、その時は訪れた

 

波のようなものにあてられかと思うと、意識だけは今まで通りに働いているのに身体が思うように動かなくなったてしまった。最近発生しているとされる"どんより"という報告にあった現象によく似ている。

 

「どうしちまったんだこれ!?」

『くっ、重加速か!Come on、シフトカー!』

「えっ?」

 

ベルトさんの一言により空中から小さな道路と共に現さんの所にもいたミニカー達がその道を走って来る。シフトカーと呼ばれたミニカー達は勝手に開いた車のドアをくぐり、運転席と助手席の間から何かを抜き出してきた。それは──

 

「ベ、ベルト?」

 

その正面に何かが付いたベルトが腰に巻かれ、ポケットの所にあるこれまた何かにそのミニカーの1つが収まると身体が通常の速度で動き出す。

そして謎の声がベルトから聞こえるようになる。

 

「喋ってたのはこのベルトだったんだな。それにしてもどこに付いてたんだ?」

『呼び捨てとは失礼な。だが、今はそれどころでは無いぞ、エイジ』

「悪い悪い、ベルト"さん"。それで、重加速って何だよ?」

『……んんっ、報告にあった"どんより"という怪現象の別称だ。まさかもう復活を果たしていたとは思わなかったがね』

 

復活という言葉に首を傾げながらも何とか内容に理解を示す。しかし、ベルトだとダメだからさんを付けてベルトさんと読んだら何も言われないとは随分と単純なものだ。

体育倉庫の壁際でそのようなやり取りをしていると例のセグウェイがこちらを向き、照準を合わせてきた。

 

『危ない!』

「ッ!?」

 

人間には反応できない速度、音速で鉛の弾が飛んでくる。はずだったのだか、車が勝手に動き出し間に入るように弾丸を防いでくれた。

よく見ればベルトの中央にあるディスプレイのような所にやれやれといった表情が映し出されていた。

 

『全く、危ない所だった。せっかちなのは良くないぞ』

「ふぅ、助かったぜベルトさん。でもこれじゃあどうにもならないぞ」

『フム、それなら助っ人を呼ぼうじゃないか。どうやら彼らも動けるようになったようだしね』

「え?」

 

気が付けば"どんより"は消えており、俺以外の周りも普段通りに動けるようになっている。

数発の弾丸が体育倉庫の中から発せられ、しばらくして止んだかと思うとアニメのような声で「ヘンタイ!」なんて聞こえる。そして次に見えたのは何やらいつもと感じの違うキンジだった。

その手には彼が愛用しているベレッタM92がある。UZIが全てキンジの方を向くと一斉に掃射する。しかし、キンジは躱すこともせず微動だにしない。だが、不思議と弾丸はどれも当たらずに壁へと激突した。

 

「それじゃあ俺には当たらない。仔猫ちゃん、これはオレを驚かせたほんのお返しだ」

 

7発、たった7回ベレッタの銃声が鳴るとUZIは全て壊れ、唐突に訪れを告げた非日常が消えて、数十分前までそこにあったであろう日常が再開された。

 

『Excellent!なんて腕前だ。まさかここまでとは』

「俺も驚きだぜ。元Sランクだって話は聞いてたけど、いままで眉唾ものだったからな」

『さて、残りは彼ら自身の問題だ。あとの事は任せて私達はあのセグウェイの元へ行こう』

「……なんのことだ?まぁいいけど」

 

普通こういうのは鑑識課(レピア)の役割だが今は始業式中だから仕方ない。何だか他の事が心配になるが他所は他所、ウチはウチ。キンジたち(アイツら)の事は今は放っておこう。

いつもとは違うキンジは置いておき、壊れたセグウェイの元へ向かう。少し時間が経てば警察か武偵校から誰かがやってくるだろうから、ベルトさんの指示に従い手早く目ぼしい物に手を伸ばす。ベルトのディスプレイはモニターにもなっているらしく、どうやら見えているらしい。パーツを拾って眺めてみるが、UZIは見る限り市販のもので今の時代なら誰でも手に入れられる物だ。セグウェイも同様。しかし1つだけおかしな部品らしき物が見つかる。

 

「何だコレ。壊れたミニカー……?」

『まさか!?……ムム、もうここまで辿り着いていたか。コチラも急がねば』

「だから何なんだよベルトさん。コイツの正体が分かってるのか?」

『詳しくは後で話そう。その半壊しているのはバイラルコア。世界の危機が迫っているという証拠さ』

 

そもそも世界の危機なんて言われてもピンと来ない。しかし、言っていることが世界の危機だったり、バイラルコアなんてヘンテコな奴がある時点で知らない所で現状がマズい方向に進んでいる事は流石に分かる。それに、このバイラルコアというのは形や根本的なデザインなどが今俺の腰にあるシフトカーなんて名前のに似ている。何やら関係があると見ても間違いないだろう。

それにあのベルトさんだって秘密だらけだ。どんよりを消せるこのシフトカーに関しても知らないことばかり。一体何が起こっていのか、突き詰めなければならない。それは追っている武偵殺し(ヤマ)とも関わりのある事だと確信もしている。

 

「で、武偵校の輩が来る前にさっさとトンズラしたい所なんだけど……アイツらどうしようか」

『それを私に聞くのかね?君がどうにかしたまえよ』

「……学校行こ」

『それには賛成だ。まぁ彼らの事はシフトカー達にでも任せておこう』

 

そういうと2台のミニカー、正確にはシフトカー達が意識を持っているかのように自立稼働して、倉庫の中へと入っていった。

同じタイミングで腰横にある板らしき何かにシフトカーが2台追加され、オレンジと緑と紫の3つになった。それと赤色がポケットに1つ入っている。

 

『何にせよ始業式は間に合わない。1度鑑識科(レピア)に寄っていこう』

「え?でも始業式だからいないんじゃ……」

『心配しなくても1人心当たりがある。まぁ、いなくても置いてくれば良いさ』

「まぁ、そうか」

 

倉庫の中が少々騒がしいが無視して自動車──トライドロンに乗り込んで、鑑識科へと向かうのだった。

 

 

 

△△△

 

結局、鑑識科のある所まで行ってみたが空振り。預けるような形で置いてきてしまった。時間的にも始業式には出席せず、現在は武偵校でHRの時間なのだが──

 

「神崎アリアよ」

 

遅れてきたキンジ曰く、助けに来たのは神崎アリアという見た目がインターンか中坊に見える高校生。 それに加え、アニメで聞くような声を持っているという特徴があるらしい。そして何よりも血気が盛んな性格だという。

ちなみにクラスの席順としてキンジを中央に右側に悪友の武藤、左側は俺という感じなのだが、指名するようにキンジを指差し衝撃の一言を放った。

 

「先生、私アイツの隣が良いわ」

「「……!?」」

 

俺と武藤はキンジを挟むようにして見つめあってしまう。当事者のキンジは額に汗を浮かびあがらせアタフタしはじめた。

武藤が自ら志願するように席を退くと宣言し席が決まる。そして彼女はづかづかとやってくると黒のズボン用のベルトをキンジに返すように机の上に置いた。すると先生含め1度収まった喧騒がクラス中に蘇る。

 

「理子気付いちゃった!気付いちゃったよ!」

 

クラス中がザワザワしている中、その中でも飛びっきりにうるさいのが騒ぎはじめた。(みね) 理子(りこ)という金髪少女はフリフリのヒラヒラに改造された服を揺らしキンジと神崎の近くまでやってくるとドヤ顔で自分の推理を話した。

 

「遅れてきたキーくん、渡されたベルト!これはもうそういう事をしたのでは!キーくん恋の予感なのdッ!?」

 

理子は途中で喋るのをやめる。それは神崎から銃声と共に2発の弾丸が放たれたからだ。いつの間にか大腿部のホルスターから二丁の銃が取り出されていた。

2ーAの視線が全てそこに集まる。その的である彼女の顔は燃えるほど真っ赤になっており、小さな体がプルプルと震えてみえた。

 

「れ、恋愛なんてくだらない……」

 

そして、力を込めて喉まできている言葉を吐き出した。

 

「全員覚えておきなさい!そんな馬鹿なことを言う奴は──」

 

今後幾度ともなく聞くこととなる決めゼリフを発した。

 

「──風穴開けるわよ!」




新環境が落ち着いたのでちょっとずつ再開していきます
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