ミカベネ物語  ツウィッタウン事件簿   作:ミ景

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投稿は頑張って続けるつもりですので良ければ読んでくだちい



ファイル、1-9

「それで計画ってどうなってんだ?」

 食事を終えて一段落した空間。

 ファットマンの言葉に御景は持っていたUSBを差し出す。

「恐らくだがこれが鍵を握っていると思う」

 渡されたブツと失礼な来客二人の顔を見比べるファットマンはその真剣さに負けたのか、それとも早くこの関係を打ち切りたいのか作業を開始することにした。

 ごみ屋敷のリビングとは異なって少し先の作業部屋はデスクトップ型のPCだけでなく、ノート型なども数台備えられている本格的なものである。

「たくっ、神聖な俺の仕事場に野郎が押し掛けてくるなんてな」

「よく言うよ、ワイと組んでた時はどうなるんだよ」

 ノーカウント! と悲痛な叫びと共にキーボードを叩く。

 指が弾かれる度に画面上に展開される情報をファットマンは次々と処理を施し、問題のパスワードもあっという間に突破していた。

 ベネットは感心したように口笛を吹く。

「また腕を上げてたのか?」

 御景も少し驚いた素振りを見せる。

「当然、俺もただ部屋に籠るだけじゃねえのさ」

 自信満々の答えに茶々を入れるような真似はしない。

 少なくとも今は……。

 数分もしないうちに解凍されたデータを見る。

「こりゃ……見取り図か?」

 覗きこんだベネットが言う通り施設全体の地図とその上に引かれた線や書き込まれた文字が見えた。

「恐らく、計画書だ」

 御景の推測に『何の?』などという無粋なことを聞く者はいない。

「それで、これからどうする?」

 ベネットの問いは御景に向けられていたのか……それとも、いつの間にか喉元にナイフを突き付けているファットマンへのものなのか。

 一瞬の思考に言葉を詰まらせた探偵はハッカーに言った。

「観念しろ、フランクリン」

「俺はやっぱりお前らが嫌いだ」

 目に涙を溜めて、彼は了承した。

 

 

 それから二日後。

 

 

 三人は準備と計画を整え、作戦を決行する。

 現在は銀行近くに停車させたバンの中で最終確認を行っている。

 作戦は大胆に銀行が閉まった後の深夜に守衛の交代が裏口から入るらしく、その守衛とすり替わって堂々と中に侵入。

 だが、セキュリティは厳重で監視カメラはもちろん、虹彩認証や指紋認証が必要らしく、そこで用意した偽造信号を読み込ませ、一時的に誤魔化すというものだ。

 カメラなどの設備はファットマンの合図が送られてきて数分間ハッキングにより、麻痺させるとのこと。

 無事侵入してからは目的の金庫まで『ブツ』を取りに行って、あとは速やかに退去。

 これが作戦の全容である。

「俺は車から降りねえからな!!」

 ファットマンの怒声が車内に響き渡る。

 目元の下の隈が彼の疲労を感じさせた。

「それはわかってるが、本当にこのデータは信用できるのか?」

「あと、エンジン掛けとけよ! それと、勝手に逃げんなよ!?」

 二人の問いにウンザリするような声で後部座席の巨漢が答える。

「あのな、俺もここまで来ればプロだしなぁ──徹夜で仕上げてやったんだ──そこらへんは──信用しろ」

 欠伸を噛み殺しながら言葉を紡ぐハッカーの姿はなんとも緊張感にも欠けたものである。

 制服姿に着替えた御景とベネットは顔を見合わせると、肩を竦めそのまま車から降りた。

 速足で裏口を目指す中で御景は一度振り向く。

 運転席に座り直したファットマンは早速舟を漕ぎ出していた。

 

 

 そこから計画は順調に進んだ。

 守衛二人を捕まえ、失神させると人目の着かないところまで運び終えたと同時に携帯に合図のメールを受信。

 裏口へ向かい、用意していたコードを端末に差し込み難なくロックを解除。

 現在、廊下を歩く二人の表情は腑に落ちないといったもので、それは余りにも順調すぎるということから来ている。

 しかし、不測な事態でもない現状は少しでも速く金庫に辿り着くことを優先している二人は黙って廊下を進んだ。

 

 

 薄暗く地下に位置する金庫室前に到着して重苦しい空気を感じ取った。 二人は懐の拳銃に手を掛けると、同時に突入。

 その時、視界に飛び込んできたのは金庫室とは言い難い冷たく暗い部屋。

 壁はコンクリートで覆われ、天井に吊るされたいくつかの豆電球が隙間風に揺られているのか部屋の陰が動く。

 だが、そんなことよりも視線を釘付けにしたのは目深く帽子を被り血塗れの両刃剣を持つ青年と、頭に紙袋を被せられ床に広がる赤の海に沈んでいる人物だ。

 予想だにしない光景に行動が遅れた御景とベネットは拳銃を取り出そうとする──が。

「止めとけよ、撃てば殺すしかなくなる」

 青年の声は殺人を行ったものとしては静かなものだ。

 否、慣れているからこそ出せる声なのかもしれない。

 少なくとも二人はそのまま動きを止めた、反撃の隙はない。

「よし、余計な手間が省けたな。 あとはそのチャカを俺に渡しな」

 歩いてくる声に従うかどうか、アイコンタクトで決める。

 答えは即決。 静止こそが最良。 環境と力量差を見極める程度の実力も判断力も二人にはあった。

 しかし、青年は少し意外そうに拳銃を受けとる。

「へぇ、抵抗しないのか?」

 無言で不満というか、感心さを含んだ様子で二人の間を通り過ぎる瞬間。

 首元に衝撃。 ぐらりと歪んだ意識はすぐさま暗転し、床に倒れた。

「……2ndが俺に頼んでくるからどんな奴らかと思えば……いや、深入りはやめるか……どうせロクなことじゃないし俺は報酬さえもらえればな」

 そう言って、青年──路路有楽 魑祀は部屋を後にした。

 

 

 

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