ミカベネ物語  ツウィッタウン事件簿   作:ミ景

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章自体はまだ始まりのほうですが、一区切りということでファイルは更新された。

その章の進行度でファイルも更新って感じで書こうと思います。


ファイル2、灯台下暗し、頭上に注意(+)

 目覚めは訪問を知らせるチャイム音だった。

 訪問者は速達を持った宅配業者で受け取りのサインをするとすぐに退散する。

 ワイは差出人を確認。

 ロックカンパニーと銘打ったロゴ入りの封筒で察した。

 有言実行とはよく言ったものだと、封を切りながら溜息が漏れる。

 中にはいくつかの資料と連絡を取るためであろう最新の携帯端末が同封されていた。

 無視しようにも届いたら連絡するようにと指示が明記された資料を見た後だとそうもいかない。

 端末を操作して、登録されていた連絡先も一つでそれが誰なのかも見当はつく。

 ダイヤルを発信して耳に当てた端末から聞こえたコール音は一回。

「もすもす、ひねもす! 早速掛けてくれたん──」

 寝起きのテンションでは受け付けない温度差に反射的に通話を切る。

 すぐにあちらから掛かるリダイヤルに嫌々出ると

「待ってよ、掛けておいてそれはないよね!?」

「あー、すいません。 寝起きなものでして、つい」

「なんだいなんだい、こちとら徹夜明けのハイテンションなんだよ!!」

 なるほど。 それは必然的に差が出来るわけだ。

「まあ、その番号で掛かってきたということは無事に速達は届いたんだね」

「ああ、ワイはこれから仕事に取り掛かるわけで……それでここからは相談なんだが、集めた情報次第では資金援助……なんてのは駄目だろうか?」

「んー、要は君の家賃滞納で部屋から追い出されるまでのタイムリミットが近いせいで捜査に集中出来ないからそこをまず解決したいと?」

 ここまで自分の状態を把握されていると思うと気持ち悪さというか改めて相手の強大さを思い知る。

「あ、気持ち悪いって思った? ごめんね、こっちも相手の手の内は知っておかないとねぇ……まあ、御褒美ということでなら少しだけ考えてあげるよ」

「そうか、そうして貰えるなら助かる」

「そうだとしてもそれなりの進展ないとねえ。 まあ、君たちになら先行投資くらいは考えてもいいけどね」

 期待はされているらしいが、応えられなかった時が怖くなるな……。

「……善処しますよ」

「そうしてちょーだい! んじゃ、眠いから寝るよ、お休み!!」

 通話はそこで途切れる。

「……もしかして、電話来るの待ってた……とかないよな」

 それは考え過ぎだと乾いた笑いで誤魔化し、ワイは資料へざっと目を通す。

 襲撃にあったのは山一つ越えた先の田舎の銀行らしい。

 確かにこういう場所ならまさか大手企業の社長が貴重なコレクションを保管してるとは思わないだろう。

 交通機関はないこともないが、自由の利く足が欲しいし、準備も整えるという意味でもワイは自身の携帯電話に手を伸ばす。

 折り畳み式の画面を開き、ボタンを操作。 登録した連絡先は少なくすぐに相手を見つけることが出来た。

 まず一人目に連絡すると、相変わらずマメな性格らしくすぐに出た。

「──なんだ」

「やぁ、久々だね瀬内先生!」

「先生はやめろ! なんだ、金ならないぞ?」

 開幕からそれとはワイの経営難はそんなに知れ渡っているのか?

「ワイが君からにお金借りたことあったか?」

「いいや、ただアンタのやり方知ってるとそういう風に思われてもしかたないさ」

 一応、冗談のつもりらしいが正直笑えない。

 通話先の【瀬内 夏影】は同じ私立探偵をしている同業者だがワイのようなところは大違いで先代から続く二代目で職員もそこそこいる。

 色々あったが今では若いのに事務所を運営しているようだ。

「ところで、わざわざ電話なんて珍しいな」

「別に深い意味はないさ。 まあ、用と言えば一つ頼まれてくれないか?」

「構わんよ、アンタには世話になったしな」

 ワイはそこで用件を伝えると、夏影からは疑問が返ってくる。

「そんなこといったい何に──おい、また変なのに首突っ込んでるのか?」

 勘が鋭くなっていることに感心。

「根拠は?」

「いつもそうだろ、大体──……いや、止めとく。 爺ちゃんみたいに説教臭くなりそうで怖え」

「血は争えないな」

 瀬内事務所の先代所長【瀬内 庵理】のことを思い出す。

「……まあ、湿っぽい話はなしだ。 とりあえず、了解した。 結果はメールで送ればいいか?」

「ああ、頼む」

 通話を切り、次の相手に連絡した。

 

 

 

 砂塵の舞う辺境の道を旧型の四輪自動車が疾駆する。

 ベネットは恐らく二日酔いにでもなって戦力外だろうし、そもそも連絡先を知らないので自然と今回の調査には除外していた。

 道路は荒野のを横断するかのように作られて、大海原を切り開いたどこかの聖人の逸話を思い出す。

 ハンドルを握るワイは整備されていた愛車との遠出に少しご機嫌だった、が。

「風景が変わらないのも飽きてきたな」

 煙草は吸わないが雰囲気を味わうためにココアシガレットを口に咥え、晴天の日光を遮光眼鏡で遮っている。

 カーステレオからはラジオが最新のトレンド音楽を流していた。

 あまり好みではないが他の局では似たようなニュースしか流れていないのでこれで妥協。

 開けていた窓から吹き込んでくる風が心地よかった。

 少しだけ思考を追いやっていると地平線に何かが見えて来る。

 近づいて行くとそれは一台のパトカーと警官でこちらに止まるようにとのことだった。

「どうかされたんですか?」

 脇に寄せて停車させたワイは窓から警官に問いかける。

「はい、先日ここいらで強盗事件が発生して、許せないことに死傷者も出た上に犯人は未だに逃亡中なんです」

 若い警察官だ。

 物腰の低さや真面目そうな雰囲気からして色んな意味で若さを感じ取れる。

「はあ、こんなところで検問ですか? ご苦労様です」

 とりあえず、疑問に思いながら社交辞令を言うと、警官のほうは少し困ったように頬を掻いた。

「いや、実は……パトロール中に……そのガス欠で……」

 どんどん語気が小さく、最後は顔を真っ赤に言葉を紡いでいた。

「はあ……」

 まあ、こんなところで立ち往生とは気の毒な話だ。

「その申し訳ないのですが、この先の町にある署に本官がここにいるということをお伝いしてもらえませんでしょうか? 無線は調子が悪いみたいで使えない状況で」

「えっと、お名前は?」

「ああ、申し訳ない。 私は【江戸門 妙窟】というものです」

 別にやましいこともないので警察署に行くのは問題ないが、このような場所で長時間待っていると思うと少し気重くなってしまう。

「あの良ければ、ワイの積んでる予備のガソリン使います?」

 その言葉に一瞬目を輝かせるが、すぐに首を振り申し出を拒否。

「いや、有り難いのですが流石にそこまでして頂くのは……」

 少し大げさに前方と後方を見た後にワイは言った。

「えっと、今まで街から走って来たんですが、車って通りました?」

「……いいえ」

「それってワイがもし警察署に行かなかったら結構マズいって思わなかったんですか?」

「で、ですが元はと言えば、本官が──」

 前に進まない押し問答に嫌気がさしたワイは車から降りるとトランクから携帯式の燃料タンクとペットボトルの水を道路脇に置くと運転席に戻る。

 その様子を見ていた江戸門は呆気に取られていた。

「ワイはあれ捨てたからな! 捨てたもんがどうなろうが知ったことじゃねえ! 拾わねぇと勿体ねぇな! ついでに喉が渇いてるなら水分補給しねえと干上がっちまう!」

 棒読みでわざとらしく阿保みたいなことを大声で叫ぶ。

 その言葉で意味を察した警官が何かを言い出す前にアクセルを一気に踏んだ。

 バックミラーに映り込んだ江戸門が何かを叫んでいる様子だったが、無視してそのまま町へ向かう。

 その場所はツウィッタウン西部に位置する辺境の入谷区だった。




・後書きコーナー【第一回 カルロとMrコルドのナゼナニ】

カルロ「本日から始まりましたこのコーナーを担当させて頂きます。私、カルロと──」

Mrコルド「小生、とあるギャング団の長をしています。 Mrコルドです……テロップのMrは抜かしてもいいですよ」

カルロ「いやぁ、まさか我々が抜擢されるなんて思いもしませんでしたよ」

コルド「小生もビックリです。 まあ、籤というか投票なので仕方ないんですがね」

カルロ「ちなみに落選したお二人の声は──」



如愚侘「残念ですが、クォれは仕方ないですねぇ……それでは取材に行きますね」

ラビット「正直、仕事が減ってほっとしている」



コルド「んー、小生たちって貧乏籤引きました?」

カルロ「まあ、後書きですし気楽にやっていきましょう……それでは記念すべき一つの質問は……」

Q.【主人公の御景ってなんて読むんですか?」

カルロ「彼の名前は作中上【ミカゲ】という読みでいいらしいです。 作者が何故そう混乱を招くような形で書いているのかは不明です」

コルド「あー、B級映画などにありがちな『一工夫』って奴ですかな?」

カルロ「はあ、そんなことだからあの探偵事務所だって────」






 し ば ら く お 待 ち く だ さ い 




(続く?)
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