ミカベネ物語  ツウィッタウン事件簿   作:ミ景

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遅くなって申し訳ありません


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 町に着いたワイは早速現場に足を延ばした。

 田舎でもデカい銀行とあって人の出入りは予想より多く、それは強盗が入ったにも関わらず普通通りに営業するのも精神にでも感心すればいいのか。

 反応に困りつつ、ワイは停車させるとミラーで今回のために久々に出したスーツの身嗜みを確認。

 片手にアタッシュケースを持って、銀行の正面玄関へ向かう。

「すいません!」

 玄関を跨ごうとした時、呼び止められる。

 青い制服と御揃いの帽子に腰にぶら下がった自動拳銃。

 左の胸ポケットに納まる無線機などから警察官というのは一目で分かった。

「なんでしょう?」

 遮光眼鏡越しで見えた姿は強面で体格の良い警官だ。

「申し訳ありませんがボディチェックと荷物の中身を改めさせてもらってもよろしいでしょうか? いえ、貴方が怪しいという訳ではなく全員にしていることなのです!!」

 慌てて訂正し、ビシッと敬礼するのは本人の気質から来るものだろう。

 協力はしてやりたいが、こちらも仕事だ。

「私は今回の事件で調査を担当することになった者ですが、本部から連絡は受けていないですかね?」

 懐から取り出した偽造のバッジを警官に見せる。

「え、存じ上げてませんが……?」

 目をパチクリさせながらそう答えた。

 俺はわざとらしく溜息をすると、狂咲から渡された端末を操作。

 コール音が鳴りだしたのを確認後、警官に端末を渡す。

「え? え?」

 困惑しながらも繋がった通話音へと慌てて応対。

「はい、はい……こちら入谷区の……はい──」

 ワイはその様子を見て、そのまま中へ入る。

 内装はシンプルで受付が四つでATMも確認。

 強盗が入ったのは数日前と言っても荒らされた形跡もなく、綺麗なものだった。

 受付の一つへ行き、本社から来たことを伝えると話が通っているらしくそのまま奥へ案内される。

 待合室にて用意されたお茶が運び込まれて数分後。

「いやぁ、わざわざこんな所まで申し訳ない!」

 頭部は禿上がり脂ぎった肥満体の中年、どうやら支店長の登場だ。

 席に座った後も片手にハンカチを持って、執拗に汗を拭うのは決して暑さから来るものではないだろう。

 男の目には恐怖が垣間見れ、それは如何にこの企業の教育が行き渡っているのかを証明している。

「そ、それで……調査とは銀行強盗のことで?」

 探るような気配に悪戯心が芽吹く。

「さあ、横領問題の調査かもしれませんね?」

 ワイの出鱈目にあからさまに顔を青くする銀行員。

「ままま、まさか!!」

 ダンッと机を叩いて身を乗り出す男を制す。

「今のは冗談ですがその反応だと変な噂が立つからやめとくのが賢明かと」

 その言葉にバツが悪そうに紅潮していく顔をハンカチで拭う。

「いやぁ、お人が悪い……それで……御用件は?」

「先日の強盗の件の詳細と良ければ現場検証を」

 明らかに安堵した表情に別の意味で心配するワイだった。

 

 

 

 現場の検証は支店長の立ち合いの元、速やかに行われた。

 当然、既に警察が捜査し終わったあとで目ぼしいものはない。

 しかし、報告書の通り現金や金品には手を付けた痕跡は見られず、『狂咲 定二』のコレクションのみが対象のようで殺された警備員も本社からその警護に回されてきた者たちらしい。

「銀行が閉まった後も警備はしていたんですか?」

「ええ、それも上からの指示で……あの警備員たちは我々とは違った管轄だったようで……死んだ人にこう言ってはなんですが、あまり愛想も良くなかったですしね」

 思い出すように語る支店長の横顔は苦笑。

 ワイはそれを無視して、破壊された形跡のあるカメラの場所を見てみるもカメラは既に新しいものへ変わっており、所々の弾痕がなければまるで何もなかったかのように思えるかもしれない。

 そこで質問。

「そういえば、何が預けられていたか知っています?」

 その問いに銀行員は首をブンブンと横に振る。

「滅相もございません! 若社長の趣味なんて!! それを見て狂った者なんて──」

 あ。 と慌てて口を手で覆う、支店長に笑みを向ける。

「知っていますね?」

 目を逸らす中年男の前でワザとらしく、懐から取り出した携帯電話を操作。

「だぁああああ、お願いしますよ!! 話しますから社長にはご勘弁を!!」

 足に泣きついてきた支店長を引き剥がすと、ワイは続きを促すした。

 辺りをキョロキョロと見渡し、カメラの存在が気になったのか映らない蔭に誘導すると、小さな声で話し出す。

「じ、実は──私自身が見たわけではないのですが、それを見たいう人物がこの近くに住んでらしいのですよ!」

 まるで怪談だなと思うがそのまま黙って聞く。

「その人物はどうやら先代の社長から知古の人物らしく、各施設の防犯強化を兼ねて視察していたらしいのですが、どうやら好奇心でその……見てしまったとか……それから幻聴や幻覚を始め、様々な奇行に走る姿も目撃されるようになったそうです」

 沈黙。 やり切ったような顔から終わりだと察するが肝心な情報を引き出せていない。

「で、その人物の名前と中身については?」

「……はい?」

 オロオロと困惑する中年を蹴り上げたくなる衝動をグッと抑えると、廊下の角から誰かがやってくる気配。

「お、ここにおられましたか!」

 姿を現したのは先程玄関であった警官で、歩くのも背筋を伸ばして軍隊の行進を見ているようだ。

「そ、それではこれで!」

 そう立ち去る支店長とすれ違う警官の目に疑問。

 同時に気まずそうな表情。

「も、もしかして捜査の邪魔でしたか?」

 見かけとは打って変わって小動物のような雰囲気に苦笑。

「いえ、ある意味ナイスタイミングです」

「ならよかったです! それと先程はご無礼を『警部』殿!」

 ニコニコと強面の顔で笑み浮かべ、手に持っていた端末を両手で差し出してくる。

 これはこれで威圧感があったがワイはそのまま受け取った。

「いえいえ、情報の行き違いのようですし……それで部長はなんと?」

 御景警部としての演技を続ける。

「はい、出来る範囲で協力してやってくれとのことでした」

 どうやら、狂咲は余計なことは言ってないようで安堵。

「しかし、本官は──あ、自分は【小暮 順一】と申します! 階級が巡査部長です」

 ご丁寧なお辞儀に返礼。

「本官はこのままボディチェックの担当から離れるわけにも行かず、それだと……あ」

 また思い出したのか、言葉を止める。

「どうしたんですか?」

「いえ、実はパトロールに出かけている者が一人いまして……」

 脳裏に心当たりが過り、受け取った端末が振動。

 液晶の画面はただ一人の連絡相手を映し出され、通話に応じようとする際に小暮と視線が合った。

 こちらの視線の意味を悟ると。

「あ、それでは玄関で待っているであります!」

 早口で敬礼。そのまま玄関へ向かった背中を見送ると近くの壁に寄りかかり通話ボタンを押した。

「やぁ、進展はどうだい?」

 呑気な声には黒い気配。

「なんだ、怒っているのか?」

「いいや、怒ってないよ? 寝起きからアドリブの演技させられて怒る人なんてそういないよ!?」

「ワイなら、怒るけどな……それで進展だったか? 順調──とは言えないな」

 へえ。 と興味深そうな返事。

「そう言えばアンタのコレクションってどんなのなんだ? 噂なら耳にしたんだが」

「どんな噂?」

 脳内で簡潔に整理。

「見たら狂って幻覚幻聴の症状が現れるってやつだ」

 電話先では鼻で笑った嘲笑。

「まあ、現物見てない人がそう思ってもしょうがないかもねぇ。 あ、どんなやつかって質問だったね……凄く綺麗な宝石みたいなもんだよ」

 そういうのにこそ曰く付きってあるんじゃ──という感想は呑み込み、先に進める。

「それでアンタの先代──狂咲零定の知り合いがその犠牲の一人だったらしいが──」

「あのさぁ。 そんなくだらない噂の真相掴むために君と条件交わしたわけじゃあないんだよね! それに、仮に! 仮にだよ? 二度もミスを犯した警備会社をボクが残しておくと思うのかい?」

 狂咲の口調に威圧感。 そのまま口を閉ざす。

「まあ、もう少し頑張ってねえ! 君たちには期待してるんだからさ」

 結局、そのまま通話は切られ、ワイは端末を懐にしまうとアタッシュケースを持って玄関へ向かった。

 

 

 

 玄関には小暮ともう一人の警官が立っている。

「あ、先程はどうも!」

 それは来る途中に出会った江戸門だった。

「警部は『先輩』と知り合いだったのですか?」

 小暮の口から出た単語にワイと江戸門が反応。

「先輩?」

「警部?」

 互いに顔を見合わせるワイと若手警官。

「ええ、警部。 この人は江戸門 妙窟『警部補』、自分の上司になります! 先輩! この人は本部から捜査にいらした御景警部です!」

 小暮が交互に紹介するとぎこちない礼でお互いに挨拶。

「それよりもなんか……意外ですね」

 ワイの率直な感想に小暮はがははと笑いながら答える。

「自分は確かに先輩より長くこの仕事に務めていますが、何分先輩は先日まで本部に務めておられたキャリア組なのですよ!」

 まるで自分のように鼻息を荒く語る小暮だが、それだと……

「そんな大層なもんじゃないですよ……逆を言えば今は左遷された落ちこぼれなんですから」

 影を落とす江戸門に悪意はなかった小暮が慌ててフォローする。

 そんなやり取りを見ていて、そういうのもいるだろうなとワイは留めておいた車へ向かった。

「あ、そうだ!!」

 大音量の声が背後から響く。

「先輩が警部の捜査を協力するというのはどうでしょうか?」

 江戸門の顔には当然の疑問。

 ワイは小暮とのやり取りを思い出すと、溜息。

 車に乗り込み、エンジンを掛けると二人の視線……主に巨漢の子犬のような視線が向けられていることに気付いた。

 エンジンを掛けるとクラクションを鳴らし、親指で助手席を指す。

 走り寄って来た江戸門が車に勢いよく乗り込むとワイはアクセルを踏み込んだ。

「よろしくお願いします警部!」

 隣の警部補の声にハンドルを握っていない片手で返事。

 バックミラーから手を振る巡査部長の姿を見て苦笑する。

 その心境は江戸門も同じようで、その光景はこちらが角を曲がるまで続いていた。

 

 決まった行先へと走らせながらワイは助手席を流し目で見る。

 車内での江戸門は少し落ち着きがなかった。

「あ、あの警部は捜査の為にこんな場所にいらしたんですよね?」

 その声音や視線には疑っている様子は見られない。

「潜入捜査ということもので……あまり正体をバラすわけにもいかないから先程の対応はすまなかった」

 ワイの言葉に大袈裟に首を振る江戸門。

「いいえ、とんでもないですよ! 自分、嬉しいんですよ……その、まだ本部にも事件の捜査に取り組む人がいるってことが──」

 なんとも真面目で熱心なのだろうか……何故この青年が左遷された理由も見当がついた。

「それは違うな……ワイはただの仕事だ。 君のように正義感やなんかで動く人間は少数で貴重だ」

 そうあの町では特に。

 江戸門の顔に影が落ちるとワイは懐のココアシガレットを取り出す。

「だが──」

 一本口に咥えながら、箱先を江戸門に差し出す。

「君のような青年は嫌いではないし、仕事だからこそキチンとはやるつもりだ」

 青年はおずおずと受けとり、それが煙草でないとわかると口に咥えた。

「それと君と私はしばらくは一緒にいるのだし、警部と呼ばれるのは個人的に少々堅苦しいし、もう少し砕けてもいいとは思うんだが?」

 察した江戸門は躊躇うように言葉を吐き出す。

「……御景さん」

「上出来だ、妙窟警部補」

「はい! それと自分は妙窟でいいですよ」

 空気は変わったが江戸門に落ち着きがないのは変わらなかった。

 

 

 

 実はまともに手掛かりがないことを伝え、支店長から聞いた狂った人物について話したのだが意外な答えが返ってきた。。

「……荒野の魔女」

「は?」

「いえ、自分の友人の友人が精神疾患で悩んでいたのを治療してもらったとか……」

 ワイは疑問をねじ込む。

「それで、その友人に会ったのか?」

「いえ……ただ、自分がこの入谷区に配属される以前からそういった噂はあったらしく、その魔女と呼ばれる老女もずっと昔から郊外のあばら家に住んでいるとか」

 ありきたりなFOAF……都市伝説の類だなと片付ける思考を先日読んだ『怪人』たちの記事を思い出す。

「行くぞ……」

「え?」

 江戸門の反応は最もかもしれないがワイは割り切りそこへ向かうことにした。

「それで本当に『魔女』の家に?」

 ウンザリした声で返答。

「ああ……手掛かりがない以上はな。 胡散臭い所ってそこともう一つくらいのものなんだろう?」

 もう一ヶ所は何でも『変態』が住んでいるらしい……極力関わらない方が吉と勘が告げているので魔女を優先したのだ。

 

 

 到着したワイら一行の前には今にも崩れそうなほど老朽化したコテージが立っていた。

 辺りには当然民家などはなく、何も無い場所だ。

 家の前には安楽椅子に座った一人の影。見るからに魔女といった容貌の枯れ木のような老婆のものだった。

 その脇で老婆に何かを囁く、黒人の長身痩躯の奇妙な男が立っている。

 不気味な雰囲気に困惑する江戸門を置いてワイは車から降りると、慌てて付いてきた。

「あのー、申し訳ありませんが貴女が【荒野の魔女】さんで?」

 話しかけると老婆は何も言わずに黒い男に少し待っていろと身振りで示す。

 そうすると黒い男は空気のように存在感をなくし、日陰に溶け込んで押し黙った。

 そうしてから、こちらに魔女の顔が向き直る。

「……何だいアンタたちは? そうともアタシが荒野の魔女さね。 最近は客が多いねえ、ヒッヒッヒ」

「おや、私たち以外にも来客があったんですか?」

 魔女はしわがれた声で肯定。

「ああ、そうともさ。 可愛らしいお嬢さんたちや狂っちまった中年なんかがね……どっちも、もう出て行ったがね」

「自分たちはその狂った人物の情報を探しているんですよ! 何か話してはいませんでしたか!?」

「まあまあ、立ち話も何だ。 中へお入り……」

 鼻息を荒くした江戸門の問いに魔女は笑いながら室内へ促す。

 腰の曲がった老婆はヨロヨロと家の中に入って行き、それに続く江戸門の腕を引きとめた。

「ワイは少し外を見てくる……それまで聞きこみは出来るか?」

 黙って力強く青年を見て、ワイは満足げにその背中を見送った。

 




 【第二回】

カルロ「あー、前回はこちらの不都合で中断してしまい申し訳ありませんでした。 あ、この青あざはお気になさらず……えー僕が担当しているのはこの物語に登場する出演者へのインタビューです……それでは今日のゲストは──」


【御景】

カルロ「……はい、良くいらっしゃいました」

御景「お、怪我してるけど大丈夫ですか?……というか生きてたのかよ」

カルロ「うーん、聞きたくな言葉聞こえましたが幻聴でしょう! それでは質問に移らせてもらいます!」

Q、何故、探偵事務所を営んでいるんですか?

御景「あー、ノリかな……正確には楽で便利と思ったから」

Q、なんで探偵続けるんですか? 収入は?

御景「本編では語れないところで収入あるんだよ(威圧)」

Q、定職に就く気は?

御景「今はない」

Q、戦闘技術とかあるんですか?

御景「あんな町で活動してたから嗜んではいるよ」

Q、冒涜的な神話生物に勝てます?

御景「マイダイスある? ワイの貸そうか?」


Q、11議席ってどう思ってます? あれ、下手すれば目立ってますよね?

御景「いや、ワイ的には特に何もないかな? でも、目立つのはしょうがないと思うよ、町仕切ってるわけでしょう? むしろ、探偵事務所なんていくらでもあるしさ。 しょうがないさ!」


カルロ「おっと、今日はここまで! 意外とまともな時間でしたね!」

御景「引っかかるし、質問偏っていた気がする……まあ、いいや! ギャラ振り込んでね!」

カルロ「あ、はい」




簡単な質問から複雑な質問まで受け付けております

よろしくお願いいたします!!
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