ファンファン編なども書いてたりして、リアルも中々忙しくて……
頑張ります!!
トレジャーハンターなんてやってると大抵の奴が金が欲しいのかって聞かれるが実はそんなことはない。
いや、金はあって困るもんでもねえし、あればあるほどいい。
だが、俺は一昔前にそれなりに稼いでたお蔭か今は金に困ってねえ。
金目当てじゃないなら、古代のお宝や謎に興味があるのかって?
……どうだろうな、多分それはないと思う。
俺はきっと無くしちまった何か探してんだろうよ。
俺は自分で言うのもおかしいが昔に比べて丸くなったと思う。
赤の他人がいくら道端の真ん中で餓死しかけても見ぬふりして通り過ぎてたろうよ、下手すれば追剥もしたこともあった。
それが今じゃ、行き倒れのガキに近場の店で飯をご馳走してやるなんて……俺も老いたな。
対面の席で運ばれた料理を次々とかき込んでいくガキを見ながら、俺は食後の口欲しさを湯気が立つ珈琲で誤魔化す。
舌に残る安っぽい苦さがいい塩梅だ。
すると、目の前のガキは自身の食事を終えたのか満足気な表情。
予めに注文しておいた食後のお茶が運ばれ、それを飲むとホッと息を吐いた。
俺の視線に気づいたのか、少し悪そうに顔を下に向ける。
「あ、あの……ありがとうございます」
倒れてたガキ……いや、少女はそう言うと先程までの姿とは一転して大人しくなる。
「俺が飯を食うついでだ」
珈琲を飲み干すと問いかけた。
「それで、なんで行き倒れになってたんだ?」
少女の見た目は俺の推測からして14~16歳前後。
恐らく、中学生か高校生の未成年。
その歳でこの状況になるということは家出か、虐待の類……と考えるのが有力なんどろうが。
俺の質問に狼狽える彼女が振り絞った答えは──
「じ、実は修行の一環で……断食したあとだったので……その……」
予想外の答えに返答に詰まるが、俺は別の質問をすることにした。
「お前さん、保護者はどうした?」
「えっと、母は私が幼い頃に事故で亡くして、父は病で床に伏しておりまして……」
「あー、それとお前の修行って関係あるのか?」
「はい、詳しく話すと長くなるのですが、我が家の流派を継ぐためのものというか、下積み……と言えばいいのでしょうか?」
どうやら、確かに入り組んだ事情があるようだ。
「そうかい、とりあえず頑張れよ」
俺は深く他人の事情に入り込むとろくなことにはならないと知っているからな。
「代金は俺が払ってやるから今度から行き倒れには気をつけろよ」
急いで席を立とうとした時だ。
「まあ、待ちなよ」
両肩に力がのしかかる。
振り向いた先には上下黒ジャージの男。
「あ、”御坊”」
御坊……坊さんなのか? こんな見た目で?
「ったく、犬も歩けばなんとやらって言うが、お前の場合は他人に集るかよ」
そう言って男はガキの隣に座る。
席に座ると見た目とは裏腹にビシッとした姿勢でこちらを見据え、話し出した。
「この度は家の者がお世話になりました。 私は『物教・蓮の一派』の頭目を務めております【間計 トキ】と申します」
丁寧に礼を述べ、頭を下げる。
それに合わせ隣の少女も礼を述べる。
「私は『物教・蓮の一派』所属の【涼蔵 乾】と申します。 改めてお礼を申し上げます」
俺は二人に頭を上げさせると、軽く自己紹介をした。
「あー、俺はベネットだ。 職業は──想像に任せる」
経験からしてトレジャーハンターは駄目だと察した。
「そういえば、ブッキョウって言ったが真言宗とかの類じゃねのか?」
俺の質問に間計は解説。
「ああ、やはりそう勘違いなさいますよね。 確かに読みは一緒ですが、こちらは物質の物に教えと書いて、物教です。 あちらは御仏の教えですがこちらは太古に眠る大いなる意思に準ずるもの……いえ、簡単に言えば別物ということです」
「それは面白そうだな、良ければ今度話を聞かせてもらうかな」
純粋な興味は湧いてきた。
「おお、それは是非。 皆喜びますよ。 それに貴方には──」
こちらを品定めような視線。
「中々の素質がありそうですからね」
「そうかい、ありがとうよ」
俺は世辞を受け流し、今度こそ席を立つことにした。
それに二人ともついてくると、俺は会計を済ませ仕事に戻ろうとしたが、手掛かりがないことも同時に思い出す。
「そういえば、お仕事っていうのは何かを探すというものであったりしますか?」
間計の問いに俺は殺気を纏わせるが、それも一瞬で霧散。
「……だったらどうした?」
「いえ、それだと私の知り合いに打ってつけの相談相手がいましてね、普段なら時間と料金も掛かりますがこの紹介状があれば、それも問題ないと思います」
簡易的な封筒を差し出してきた間計の表情は微笑んでいるが慣れていないのか、頬が僅かに痙攣しているのは無視。
「何が目的だ?」
「お礼ですよ、私の戒律でもあるので『受けたものは返せ』とね」
俺はとりあえず受け取ると、間計から住所を聞く。
「それじゃあ、お嬢さんも修行とやら頑張れよ」
「はい!! ありがとうございます!!!」
お互い反対方向へ向かいながら、こちらに手を振る彼女と、その先を歩く間計のジャージの背中には白い蓮が描かれていた。
傍から見れば兄弟にも見える二人組と別れると早速、その場所へ向かうことにした。
「さあて、神様に縋りにいきますかね」
封筒の端に書かれた文字には『御目代』とあったがこれが目的地の手掛かりらしい。
「本当にお前は何やってんだよ、犬!」
「だって、御坊が私を置いてどっかに行っちゃうからじゃないですか!」
ベネットと別れた間計と乾は歩道を歩きながら、他愛のない会話を続ける。
「そもそも、お前の修行が長引いたせいだろうが! 意地張って一週間断食に付き合わされた俺の身にもなれよ!!」
「だって御坊が──」
後半は聞き取れないが間計は先を歩く。
「それより、用事は済んだんですか?」
「ああ、まあな。 あっちも悲惨だったようだな……はあ、宣伝目当てとはいえ組織に入るっての失敗だったか?」
「まあ、最近家の門下生増えましたからね……お蔭であのクソ猫が入ってきましたが」
純真そうな表情が一瞬暗くなるが、すぐに戻る。
「流れてきた門下生には覚えがあるが、しょうがないとも思えるんだよな……姐さんも何やってんだか」
「というか、さっきの御坊の話し方ってやはり慣れませんね」
乾は何とも複雑な表情で浮かべる。
「あ? うるせえな。 あれは演技って言うより俺なりの割切りなんだよ。 お前が入門する前から一応ああなんだ!」
はあ、と疑問符を浮かべる彼女を無視して間計は歩き続ける。
「法師との約束もあるしな」
二人組はそのまま昼過ぎの街中に消えて行った。