ミカベネ物語  ツウィッタウン事件簿   作:ミ景

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久々の更新です


ファイル、2-5(+)

 ワイはバーを出てから如愚侘が言っていた郊外地域に向かった。

 そこは既に寂びれた工場地域で今では浮浪者や犯罪者なんかが隠れるには持って来いだ。

 しがない探偵がそんなことを知ってるのに警察は動かないのかって? 

 みんな命が惜しいのさ。

 いや、それよりも腐敗した上層部から差し止められてるのかもしれない。

 ワイは今は関係ないことを頭から追い出し、掴んだ情報を元に踏み込んだ。

 

 

「ここか」

 そこは元は自動車部品を製造していた工場で、当然今は稼働していない。

 取り壊そうにも金が掛かるし、元々の持ち主は蒸発なり、なんなりと行方が分からない状況が多い。

 それにこんな場所を買い取ろうなんて物好きもいないときた。

 自然とろくでなしの溜まり場になるわけだ。

「……まあ、ワイもそのうちここら辺に引っ越すことになるかもな」

 そう、家賃が払えず追い出されれば愉快な路上生活のスタートである。

「こりゃ、下見と考えれば一石二鳥かね?」

 腰と背中の得物を確認して、中へ入って行く。

 

 

 まず、感じたのが埃と錆びと油が混じった匂い。

 ……正直、我が事務所と大差ないという悲しさと、今度掃除しようと決意。

 工場と事務所が一緒になっているようで、正面の両開きの鉄扉と、左手には階段が見え事務所に繋がっているようだ。

 しかし、階段は封鎖されているようで、埃跡を見るにしばらくの間は誰も上がっていないようなのでワイはそのまま扉へ向かう。

 濁った窓を覗き見るも上手く確認出来ず、恐る恐る扉を開く。

 四人ほど入れるスペースで、両側の壁には規則正しく並んだ12個の穴。

 どうやら、ここはエアシャワー室のようでその先に工場内部に繋がっているらしい。

 早速、正面の扉に手を掛けるがノブは回らず、部屋を観察。

 扉の上部には赤く光るランプ。

「なるほど、腐っても衛生管理しましょうってか?」

 後方の扉を閉めて、左のボタンを押し、ワイは口元を右手で覆う。

 毒ガスなどを警戒したが、生温くカビの匂いを見き散らす風だけが全身へ向けられただけだ。

 杞憂に終わってよかったと、内心思うと腰の銃を引き抜き抜いた。

 準備が整うと、左肘でノブを下し、肩で扉を押し開く。

 そこで意表を突かれたのが音だ。

 今までほぼ無音だった世界に高速で回るタービンの回転音と、鉄を溶接、叩きつけるような轟音が鳴り響く。

「ああ、くそが!」

 頭を振るって、耳鳴りを追い出す。

 工場内は熱気に包まれ、コートを羽織ってきたことを後悔。

 額から零れる汗を拭いながら、ワイは先へ進む。

 警戒度を最大に進んでいたが、ふと違和感を感じた。

 それは工場内に置かれた空中通路を歩いて確信。

「もしかして、無人か?」

 これでも経験はあるほうだと自負している。

 潜んでいるのか、いないかくらいは気配を感じて分かる程度には。

 それでも、これはあまりに人気がなさ過ぎた。

<おやおや、また侵入者ですか?>

 機械から放たれた男の声。

 その声は工場内のスピーカーから発せられており、複数の声が輪唱する。

 聞き覚えのある声に反応。

「……その声は」

 ワイに気付いたのか、スピーカーの男は間を空ける。

<──ああ、昨晩の>

 そう、この声は昨日ワイを襲ってきた一味の一人だ。

「まさか、こんなに早く再会するとはな」

<──あれだけの傷を負っていたというのに、もう動けるのですか?>

「あんなの掠り傷だろ」

 いや、本当は結構痛かったし、今でも少し痛む。

<これは掠り傷の定義を見直さなければ……それはそうと何しにここへ? まさか、先日の男と知り合いですか?>

「さあな、とりあえずワイはお前らが盗んだものを取り返しに来ただけだ」

<……なんのことやら、むしろ我々も探し物があるので貴方には用はないのですが>

「じゃあ、テメエらにやられた分を返しに来たってことでもいい」

 男は再びを間を空けると、何を思ってか笑い出した。

<なるほど、情報通り貴方は仕返しにくるという訳ですね>

「あ?」

 男の笑い声と、意味不明な言葉に困惑。

<おやおや、本人が忘れているとは……いやむしろ本人だからこそ忘れたいのかもしれませんね>

 一人納得するような声で話す男。

「……」

 ワイはとりあえず、無言のままそれを聞くことにする。

 

 

 

 

 

 

 昔々、とある田舎町に住む少年【ジョン=アキッド】はただの少年でした。 普通の両親や友人にも囲まれ、学生時代には恋人も出来、将来は結婚も約束しました。

 

 

 しかし、悲劇は突然訪れます。 いつもの学校の帰り道、ジョン何者かに攫われてしまいます。

 

 

 そして、何日か監禁されたのちに彼の前には親しい間柄の人間が次々と連れてこられました。

 

 

 彼と同様監禁かと思いきや、犯人は次々と人々も拷問に掛け、殺していきます。

 

 

 中でも、壮絶だったのが恋人だったらしく、生きたまま解体されたようで彼女の死体は少年ジョンの前に置いて何日も放置したのだとか。

 

 

 犯人は逃走し、無事保護されたジョン。

 

 

 しかし、彼の周りには親しい人間は誰もいなくなり、施設に預けられたそうで、成人した彼はどこぞへ消えてしまった。

 

 

 そして、その悲劇を引き起こした容疑者は五年ほど前にとあるアパートの一室でジョンの恋人に行った凶行と同じような死に方をしていたそうだ。

 

 

 その残虐な行いを知っている者はこの世でもう一人しかおらず、その犯人を殺害したのはきっと──

 

 

 

 

 

「うるせぇ」

 

 

 そこで乾いた銃声。

 一発でスピーカーを撃ち落とすと、ワイは歩き出した。

「テメエが人様の過去を詮索してるんじゃねえよ」

 

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