─午後二時頃・各チームの状況─
①モモンチーム
ンフィーレア・バレアレの薬草採取に同行。
カルネ村近くのトブの大森林にて、『森の賢王』と呼ばれていたジャンガリアンハムスターを捕獲、従えさせる。
今日はカルネ村に宿泊予定。
②ヘロヘロチーム(貴族チーム)
城塞都市エ・ランテルの最高級宿『黄金の輝き亭』に宿泊。
今日の夕方、王都に出発予定。
③勝チーム
王都の冒険者組合建物上空に竜王10体召喚。
王都の住民が一時的なパニック状態に。
王国兵緊急出動。
ガゼフ戦士長、現場に急行。
勝、土下座しながら戦士長の説教を聞く。
その間に、ブラック達が蒼の薔薇から冒険者の基本知識と依頼の受注の仕方を教わる。
ブラック、ミスリル級の最高難易度の依頼を受注。
勝、ガゼフ戦士長の説教から解放される。
ブラック達に乗って依頼先に急行。
現地に着く。(←今ココ)
──────────────────
「ここが依頼場所だ。」
勝達が訪れたのは、王都から北東に位置する金鉱山である。
鉱山のさらに北東には、
六大貴族の1人、ブルムラシュー侯が治める
大都市リ・ブルムラシュールがある。
この鉱山も、ブルムラシュー侯の所有地である。
今回の依頼内容は、
数日前、採掘中に発見された、複数の未知の洞窟内の調査である。
最初は、カッパーやアイアンの冒険者チームに依頼したのだが、
などの、大量のモンスターに行く手を阻まれ、進行不可能だったらしい。
また、
オリハルコン以上の冒険者でないと倒せないモンスターまで目撃されている。
なので、ランクの高い冒険者チームに調査依頼するように変更されたのだ。
「私達の担当は、この洞窟らしいぞ。」
「既に他の洞窟には、別の冒険者チームが調査しに行ってるらしいぜ。」
今回の依頼は、別の冒険者チームも複数引き受けているらしく、あちこちで他の冒険者チームを見かける。
皆、ミスリル級やオリハルコン級の冒険者ばかりである。
【よし!私達の最初の仕事だ。皆、頑張るぞ!】
「はい!張り切って行きましょう。ご主人様!」
「「
洞窟は半径5㍍ほどの高さと幅があり、奥に行くほど暗闇が濃くなっている。
「
レッドが暗闇を照らすための魔法を唱える。
青白く光る小さな球体が複数現れ、勝達の周りを照らす。
「あら!綺麗な明かりね。」
「おお!自動で付いてくるとは!助かるぜ!」
先頭は勝とブルー、
その後ろに、ブラックとレッドが続く。
さらに後ろから、蒼の薔薇のメンバーがついてくる。
「
「
レッドが2つの魔法を唱える。
小さな妖精と三足鳥が現れる。
「レッド、この魔法はなんだ!?教えてくれ!」
イビルアイが、自分の知らない魔法に興味を示す。
レッドがブラックに向かって魔法の説明を言う。
「えーと…まず、妖精の方の魔法は、危険なルートを避け、安全なルートに導いてくれる魔法らしい。」
「三足鳥の方は、ダンジョンの心臓部への最短ルートを教えてくれるらしいぞ。」
「それは便利な魔法だな。階位は?」
「第9位階だ。」
「ぐっ…!そんなに高位の魔法なのか…。低い階位魔法なら教えてもらおうと思ったのだが…」
残念がるイビルアイを尻目に、ガガーランが、とある疑問をぶつける。
「なぁ、なんでレッドは、魔法を唱える時だけ普通に喋れるんだ?」
「基本的に、ブルーとレッドは人語を話さない。が、どんなスキルや魔法を唱えたか、『味方に知らせる』 必要があるため、わざわざ言えるように特訓したのだ。」
「へぇ~。」
本当は、勝の考えた設定によるものなのだが、蒼の薔薇の人達にNPCの設定の話をしても通じないだろう。
それっぽい言い訳で乗り切るしかない。
しばらく進むと、分かれ道がチラホラでてくるようになってくる。
レッドの魔法のおかげで道に迷う事はないが、探索してないルートも気になってしまう。
寄り道すると、アイテムや宝箱があったりするのがRPGゲームのお決まりだからだ。
【そうだ!アンデッド達に探索させよう!
自分達が行けないなら、他の人員に行かせればいい。
その発想に到った勝は、
「なっ、なんだ!?こりゃ…」
「召喚魔法か!?」
蒼の薔薇のメンバーが警戒する。
「安心しろ。ご主人様が召喚したアンデッド、
[
防御能力に長けた35レベルのアンデッドモンスターである。
どんな攻撃でもHP1で耐えるスキルを持っているため、アインズ愛用の盾役モンスターでもある。
外見は、身長2.3メートルのアンデッドの騎士。
右手に 赤黒いオーラを纏わせた1.3メートルのフランベルジュ。左手には体の3/4を覆えそうなタワーシールドを持つ。
黒色の全身鎧には、血管のような真紅の紋様があちこちにあり、鋭いトゲが所々から突き出しており、ボロボロの漆黒のマントをたなびかせている。
顔の部分が開いた兜は悪魔の角を生やし、顔は腐り落ちた人間の顔で、ぽっかり開いた眼窩の中には、生者への憎しみと殺戮への期待が煌々と赤く灯っている。
意外と臭くなく「墓場に漂う大地の匂い」をしている模様。ただ、マントは少しツーンとするらしい。
「この
「ひ、人は襲わないのか?」
「ご主人様が、『他の冒険者や人間は襲うな』と指示を出した。だから大丈夫だ。」
「そ、そうか。なら、一応大丈夫か…。」
【よし。
勝が
ドシン!ドシン!と、
【ひとまず、これでいいかな。じゃぁ、先に進むか。】
その後、分かれ道に遭遇する度に
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
─とあるミスリル冒険者チーム─
「ちっ…また行き止まりか…」
「さっきの分岐地点まで戻ろう!あっちが先に続いてるかも。」
「先に進んで大丈夫なの?私、帰り道のルートがわからなくなったんだけど?」
「私も。さっきのモンスター達から逃げるとき、がむしゃらに逃げたから…」
戦士、レンジャー、
洞窟内を探索しながら、かなり奥深くまでやって来たのだが、遭遇したモンスターの群れから逃げている内に道に迷ったのだ。
「ひとまず、さっきの分岐地点まで戻るぞ!行き止まりでモンスターの群れに囲まれたら終わりだからな。」
来た道を引き返す。
カーブ状の長い一本道を歩くと、分岐地点のY字路に戻ってくる。
すると、先頭を歩いていた男性レンジャーが何かに気付く。
「…!。ちょっと待って。何かいる…。明かりを消して、暗視の魔法をかけてくれ!」
壁に身体を引っ付け、暗視の魔法をかけた状態でコッソリと覗き込む。
先程のモンスターの群れがY字路の中心に陣取っている。
「クソッ!アイツら、俺らを待ち伏せてやがった!」
「私達の逃げた道が行き止まりってわかってたのかしら?」
「いや…俺達がどっちに逃げたか探ってるんだろうな…。逃げる時に一応、臭い消しのアイテムを使ったから、俺達の臭いは消えてるはず…。」
よく見ると、ウルフ達が地面に鼻を擦りつけ、必死に臭いを嗅ぎまわっている。
「どうする?アイツらが別の道に行くまで待つか?」
「コッチに来たら…覚悟を決めるしかないな…」
「暗闇でも、近くに来たら臭いで位置がバレる。倒すか、強行突破して逃げるか、だな。」
チーム皆で戦略を練る。
メンバーの健康状態、所持している武装と回復アイテムの数、逃げるタイミングや順番の打ち合わせを手早く済ませる。
「よし…3、2、1で行くぞ。皆、準備はいいか?」
チームメンバーが頷く。
「行くぞ…3!」
武器を構え、息を整える。
「2!」
全員が走り出す構えをとる。
「い─」
「グオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!」
突然、洞窟内に大きな雄叫びが響き渡る。
ミスリル冒険者チームとモンスター達が慌て始める。
「な、なんだ!?なんなんだ!?」
「…!見て、アレ!」
Y字路の中心に陣取っていたモンスター達に、ミスリル冒険者チームがまだ探索していないルートから
暗闇からの突然の奇襲に、モンスター達がパニックになる。
「なんだ!?アレは!?」
「アンデッド…かしら?でも、あんな巨体の…恐ろしいアンデッドは見た事ないわ!」
「あんなのに襲われたら、俺…怖くて逃げれねぇよ…」
「あ!モンスター達が逃げて行くわ!」
ミスリル冒険者チームが居るルートとは違う方へと、モンスター達が逃げて行く。
1匹のウルフが、ミスリル冒険者チームの横を通り抜けて、奥へと逃げていく。
三体の内、二体の
残った1体が、ミスリル冒険者チームが隠れているルートにやってくる。
「ウソッ!?コッチに来るわよ!」
「奥に逃げろ!見つかるぞ!」
慌てて奥に逃げるが、すぐに行き止まりの壁にたどり着く。
1匹のウルフが、ビクビク震えながら縮こまっている。
ドシン!ドシン!と、
「どうするのよ!もう逃げ場がないわ!」
「殺される!私達も殺されるんだわ!」
「嫌だ!そんなの嫌だぁぁぁ!」
ミスリル冒険者チームの戦士以外のメンバーが恐怖に駆られる。
ウルフと同じく壁側に張り付き、ビクビク震える。
「…くっ来るなら来い!俺が相手になってやる!」
戦士が盾と片手剣を構えて、メンバー達の前に出る。
その巨体に、冒険者達が息を呑む。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
戦士が雄叫びを上げながら
「無茶だ!殺されるぞ!」
「ダメよ!逃げて!」
戦士が
が、
そのまま、行き止まりの方にいる仲間達に向かって走って行く。
「なっ!?待て!やめろォォォ!」
完全に無視された驚きと、仲間達のピンチに戦士が焦る。
その瞬間、ミスリル冒険者達の暗視の魔法の効果がなくなり、視界が真っ暗になる。
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「神様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
真っ暗な世界で、仲間達の悲鳴と、ザシュッ!ザシュッ!と、何かを切る音が聞こえる。
「み、みんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
戦士が必死に呼びかける。
が、返事が返ってこない。
ドシン!ドシン!と、近くを何かが通り抜け、離れていく。
足音がなくなり、静寂が訪れる。
「お、おい…皆、無事なのか…?」
仲間達が殺されているかもしれない最悪な光景を思いながら、それでも一途の希望を持って、仲間達に呼びかける。
「……無事よ…」
「……俺、生きてる?死んでない?」
「……た、助かった…の?」
仲間達全員の声がする。
戦士がホッとする。
「良かった、皆無事なんだな。すまんが、暗視の魔法を唱えてくれ。暗くてランプに火が灯せない。」
「う、うん。ちょっと待って。今、暗視の魔法をかけるわ。」
視界が明るくなったとたん、目の前に血だらけの壁が現れる。
「ひっ!?」
「なによ…これ!?」
壁の下の床に、血溜まりと肉片が散らばっている。
「たぶん、ウルフの血…だと思う。」
「もう嫌だ!早く外に出よう!ここに居たら、またアイツらに襲われるかもしれない!」
「お、落ち着けって!とにかく、来た道を戻るのは危険だ。逃げたモンスター達を、あの化け物達が追っていったからな。」
「そうね。そうしましょう。ほら、皆立って!先に進むわよ!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
─とあるオリハルコン冒険者チーム─
「大丈夫か!?歩けるか?」
「歩くぐらいならなんとか…でも、走るのは…無理ね…。」
「無理しないで。ほら、肩貸してあげる。」
「くそ!
男の戦士四人、女の神官二人、計六人で構成された冒険者チームが、洞窟の奥深くのT字路で休憩していた。
洞窟に入ってから、何度もモンスター達の奇襲を喰らい、怪我を負いつつも回復アイテムや回復魔法を使用して洞窟内の調査を行っていた。
が、連戦に次ぐ連戦で、回復アイテムは全て使い切り、神官二人の魔力も底をついた状態になってしまったのだ。
流石に、これ以上の調査は危険だと判断し、出口へと引き返そうとしたのだが、その状況を狙ったかのように、
「もしもの時は…私を囮にして、皆は逃げて…。」
「何言ってるの!そんな事、できるわけないじゃない!」
「そうだぞ。俺達みんな、そうやって今まで頑張ってきたじゃないか!」
「それにな、俺達はお前の回復魔法に何度も助けられてきたんだ。こんな時くらい、俺達に頼れよ。」
「皆の言う通りだ!それに…君が死んじまったら、俺らみんな泣いちまうぞ。」
「みんな…ありがとう。」
怪我をした女性神官が涙を流す。
「もう少し休憩したら出口のルートに向かおう。」
「それまでゆっくり休んでな。」
出口までのルートは長い。
できる限りチームの被害を少なくし、移動速度が落ちないようにするのがベストだと判断する。
「
「正面のルートだ。あっちは洞窟の奥に進むルートだからな。出口に向かうなら、鉢会う事はないだろう。」
「また背後から奇襲されるかもしれないぞ!ヤツはウルフ種の中でも足が速い。油断はするな。」
「なら、俺が後ろを守るよ。」
「油断して、ケツ噛まれんなよ?」
「ば、バカやろう。そんなミスしねぇよ!ったく。」
「あはは。悪ぃってwそんな怒んなよw」
「うるせっ!お前は豹に顔でも引っ掻かれてろ!」
「こ~ら~、真面目にしなさい、アンタ達!こんな状況で悪ふざけはやめてよね。モンスター達が集まって来たらどうす──」
「グオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!」
突然の雄叫びに、戦士達が一斉に武器を手に取り、臨戦態勢をとる。
女性神官二人が慌てて立ち上がる。
「今のは何だ!?」
「近かったな…魔獣でもいるのか?」
「わからねぇ…でも、虎や熊の鳴き声ではないな!」
「皆静かに!松明の明かりを照らして周囲を警戒!何処から来るかわからないぞ!」
ドシン!ドシン!と、T字路の左右から足音が響いてくる。
戦士四人が二手に別れる。
すると、暗闇からモンスターの群れがやってくる。
「モンスターの群れ!?」
「いや…違う!何かから逃げてるんだ!見ろ、俺達を無視して、洞窟の奥に逃げていくぞ!」
モンスター達は冒険者達に目もくれずに逃亡していく。
ドシン!ドシン!という足音がさらに近くなる。
「左右から何かくるぞ…。」
「俺達がモンスターの注意を引く。ヤバいモンスターだったら、神官二人は正面のルートに走れ!」
「でも!コッチのルートは洞窟の奥に向かう道よ!
「
「でも!私達だけじぁ──」
「来たぞ!」
暗闇から、巨体な恐ろしいアンデッドが姿を現す。
それを見た瞬間、オリハルコンの冒険者達は自覚する。
あのモンスターはヤバイ。
確実に自分達より強い存在だと。
神官二人の女性は、その恐ろしいアンデッドを見て恐怖に怯える。
戦士達が、仲間を助ける為ならば、せめて足止めくらいには!と、
勇気を振り絞り、剣を構える。
いざ、アンデッドに向かって走り出そうとした瞬間だった。
目の前のアンデッドの後ろから、同じアンデッドがさらに現れ始めた。
数がどんどん増し、軽く10体を超え始める。
反対側のルートも同じ状況だった。
その光景を見た瞬間、怪我をしていた女性神官の心が砕けた。
自分が怪我をしている事、
戦闘能力が1番低い事、
そして何より、逃げきれずに殺される事がハッキリと予想できた事が原因だったのかも知れない。
「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
怪我の事も忘れ、甲高い悲鳴を上げながら、女性神官が味方を置き去りにして走り出した。
「あ!ちょっと!」
「マズイ!皆、走れ!このモンスターはヤバイ!みんな逃げるぞ!」
全員が洞窟の奥に向かって走り出す。
怪我をしていた神官女性が信じられない速度で走ってチームメンバーを置いてけぼりにし、走り去っていく。
「なんで怪我してるあの子が1番速いのよ!?」
「恐怖で痛みがなくなったんだろ。それに、アイツは『元戦士職』だったんだ!あの足の速さは元からだぞ!」
「ヤバイ!後ろから、あの恐ろしいアンデッド達が追いかけてくる!」
「逃げろぉぉぉ!全速力だぁぁぁ!」
ドシン!ドシン!ドシン!ドシン!と、
「見ろ!横道からも来るぞ!」
「あっちからも来る!どうなってんだ!?この洞窟はぁぁぁ!?」
あちこちの探索を終えた
「奥だ!奥からは来ない!全力で奥に逃げろぉぉぉ!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
─洞窟最深部近く─
[
俺の名は
この洞窟で1番足が速く、強い!
今日も間抜けな人間達を襲って、腹を満たすつもりだ!
しかも、今日はいい獲物が来ている!
若くて、肉の締まりがいい人間の女だ!
さっき噛み付いて味見したが、中々の食感だった!
今頃、俺の部下達が挟み撃ちにして、コチラのルートに追い込んでる頃だろう。
他の人間達は、自分の命欲しさに、怪我をした人間を見捨てるだろう。
それを俺達が美味しく頂く!
なんて素晴らしい作戦だ!
あー…楽しみだ。
まず、あの人間の女の身体を舐め回して、人間の女の汗の味を堪能する。
特に脇下!
後、足裏!
へそ回りも中々いい味が出るんだよなー…
そうやって舐め回していると、人間の女ってヤツは、股の間からさらに美味しい『蜜』をだすんだよなぁ~…。
俺はアレを密かに『聖水』と呼んでいる!
アレだけは俺の物だ!絶対に部下達には飲ません!
「嫌ぁぁぁ─」
…と、噂をすれば、獲物が来たか!
しかも俺が目をつけた女の声だ!
恐らく、他の人間達が先に怪我した女を逃がしたのだろう。
…好都合だ。
モンスターの群れから逃げて来たら、先に逃げた女がモンスターに囲まれている。
そんな状況を見れば、大抵の人間はソイツを囮にして逃げて行く。
残された人間を、俺達が好きにシャブれる!
ってわけだ!
ヒャッハー!ヨダレがとまらねぇ!
…って、あれ?
何故、部下達が先に逃げてくるんだ?
しかも一目散に逃げていく。何故だ?
まぁいい。俺が女を捕まえればいいだけの話だ。
俺に1度噛まれた人間は、俺を見てビビるはずだ。
その一瞬をガブリ!
完璧じゃないか!
さあ!俺の女!俺の姿に目を奪われ──
[
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「どけえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
女のステッキが
怪我した神官女性が再び猛スピードで逃げて行く。
その後を冒険者仲間達が追う。
冒険者チーム、ひたすら奥に逃げる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
─再び勝チーム─
勝達は、洞窟の最深部の十字路まで来ていた。
レッドの魔法のおかげで、迷うことなく安全に来れた。
妖精と三足鳥は正面のルートに導こうとしている。
【そろそろ最深部か。時間は…なんだ、そんなに経ってないな。割と早かったね。】
「そうですね、ご主人様。もっと時間がかかると思いましたが、簡単な依頼でしたね。」
腕時計を見る。時刻は4時半過ぎを表示している。
「まぁ、ミスリル級でも受けれる依頼なんて、お前達には楽勝だろう。」
「ここまでの道中、襲いかかって来たモンスター達をアッサリ倒してたもんな。」
アンデッドである勝は、暗闇でもハッキリ見えるパッシブスキル、『
なので、近づいて来るモンスター達が丸見えなのだ。
しかも、音をあまり出さないサプレッサー付きの拳銃で処理しているので、他のモンスター達にバレずに一方的に狙撃する事ができた。
モンスターの数が多い時は、ブルーが格闘技で手早く処理し、他のメンバーが後方から援護する、という感じで進んで来た。
「そろそろ洞窟の最深部だ。何事も無く、終わればいいが…」
イビルアイがそう言った瞬間、右側の暗い通路から声がする。
「誰か居るのか!?冒険者なら返事をしてくれ!」
「居るぞ!我々はアダマンタイト級冒険者チームの蒼の薔薇だ。」
「蒼の薔薇だって!?本当か!助けて下さい!俺達、ミスリル級の冒険者チームなんですが、道に迷って帰り道がわからず困ってるんです!」
声がする右側のルートの両壁に、イビルアイとガガーランが立つ。
「おい!お前ら、明かりはどうした?」
「あ、私達、暗視の魔法かけてるんです。」
「コチラからじゃ姿が見えん。明かりを点けてくれ。」
「待って下さい、すぐに明かりを点けます!」
本当はイビルアイも
が、仲間達を安心させるために、わざと嘘をつく。
【他の冒険者チームか…私達の事も教えておくべきかな?】
そうブラックに呟きながら、勝がイビルアイとガガーランの間に立った時だった。
「そうですね。我々の事も教えてあげ──」
「死ねぇぇぇぇ!アンデッドォォォォォォ!!」
突如、左側のルートから猛スピードで走って来た女性神官に、背後からドロップキックを喰らい、勝がぶっ飛ばされる。
【ごはぁぁぁぁ!?】
完全な不意打ちに対処できなかった勝が、ミスリル級冒険者チームの目の前までぶっ飛ぶ。
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁ!?アンデッドだぁぁぁ!?」
「首なし!?デュラハンよ!殴打武器が無い人は足で踏み殺して!」
「くたばれ!アンデッドぉぉぉ!」
ミスリル級冒険者チームに、足やステッキで殴られ始める勝。
【いだっ!?待って!?私はモンスターじゃない!だから攻撃しな、ゴフッ!?】
「あ!待て、お前ら!そのデュラハンはモンスターじゃないぞ!?」
「「「「え?」」」」
ミスリル級冒険者チームがポカンとした顔になる。
「そっちの人も!あのデュラハンは味方だから、落ち着いて。」
「ゼー…ハー…ゼー…ハー…。ごめんなさい!私、アンデッドのモンスターに追いかけ回されて、気が動転してて…」
ラキュースが、神官女性を落ち着かせている。
すると、左側のルートから神官女性の仲間達がやってくる。
「あ!貴方達はアダマンタイト級の冒険者チーム、蒼の薔薇ですよね!?助けて下さい!俺達、オリハルコン級の冒険者チームなんですが、みんな危ない状況で…」
「わかったわ!わかったから、みんな一旦落ち着いて!」
「ご主人様!大丈夫ですか!?」
【身体のあちこちが痛い…】
勝がヨロヨロと起き上がる。
「皆、何があったのか、詳しく説明してくれる?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「オメーの召喚したアンデッドが原因じゃねーか!」
【す"み"ま"せ"ん…】
「他の冒険者チームの人達を怖がらせるとはな。まったく…恥をしれ!デュラハン。」
【申し訳ございません…】
今度は蒼の薔薇から説教を喰らう勝。
当然正座だ。
「まぁまぁ。勝さんが召喚したアンデッド達のおかげで、洞窟内のモンスター達はだいたい処理できたみたいだし、本人も悪気はなかったみたいだから、許してもらえないかしら?」
「まぁ…結果的に私達は助かりましたし…」
「俺達も、
ラキュースの説得のおかげで、他の冒険者達も許してくれた。
「でも、同行はさせて下さい。あんな怖い思いをした後だと、俺達だけでは怖くて…」
「私達もです。お願いします。」
「私達は大丈夫よ。勝さん、それでいい?」
Goodポーズで返す勝。
「じゃ、皆で行きましょう。」
一気に賑やかになった状態で、洞窟の最深部に到達する。
「広い空間だな。レッドの明かりでも、天井や部屋の奥まで明かりが届いてないな。」
竜王をたくさん召喚出来そうな広い空間にでる。
全員が部屋に入った瞬間、部屋全体に声が響く。
「よく来た、人間達よ。我がねぐらに足を踏み入れるとは…死にに来たのか?」
「誰だ!?」
イビルアイが尋ねる。
すると、通ってきた通路が真っ黒な壁で塞がれる。
「出口が!?」
「逃がすものか。よく聞け人間達よ。我が名は…」
全員が身構える。
まだ見えぬ敵に、警戒する。
「影の竜王!シャドウナイトドラゴンである!」
最後がちょっと早足過ぎた感が(笑)
眠気に耐えながら執筆するのツラい。
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