首なしデュラハンとナザリック   作:首なしデュラハン

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第17話 竜王と拠点と真実

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─王城裏・元共同墓地─

 

【おおー!綺麗に整地されてる!】

 

アンデッド達の頑張りにより、共同墓地は平地に変わっていた。

墓石は撤去され、埋まっていた棺桶と遺骨は、屍収集家(コープスコレクター)腐肉漁り(ガスト)が処分してくれていた。

どう処分したのかは気になるが、考えても時間の無駄のような気がしたのでやめる事にした。

 

【さてさて、竜王(ドラゴンロード)達を呼び出すか。ティアマトの話だと、他の竜王(ドラゴンロード)達も人型形態に変身でるんだよね?】

 

「はい。私と同じように、人間と同じくらいの大きさの人型形態に変身できます。召喚時に『命令』すれば、人型形態で召喚できますよ。」

 

【それ…王都でお前らを召喚する前に聞いておきたかったよ…】

 

知っていたら、最初から人型形態で召喚していた。あわよくば、竜王(ドラゴンロード)達も冒険者登録させて、一緒に冒険者活動をさせていたかもしれない。

 

【よし。人型形態で来い!竜王(ドラゴンロード)達!】

 

いつものように超位魔法を唱え、竜王(ドラゴンロード)達を召喚する。

 

目の前に、ティアマト以外の竜王(ドラゴンロード)達が人型形態で召喚に応じて現れる。

 

が、勝ですら予想していなかった現象が起こる。

 

勝は今まで、ティアマト以外の竜王(ドラゴンロード)達は、全員()だと思っていたのだ。

何故なら、ティアマト以外は全員、男性のような声だったからだ。

しかし、召喚に応じて現れた人型形態の竜王(ドラゴンロード)達の内、何人かには()が交じっている。

 

雄雌(男女)の共通点として、

 

身長は約2㍍20㌢

手足の構造はブラック達やシャドウナイトとほぼ同じ。

 

しかし、肝心のボディ部分の衣装やカラーリングが違う。

 

勝は驚きつつも、雄雌(男女)に分けて自己紹介させる。

名前を確認し、人型形態の特徴を調べていく。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

まずは、(男性)側から。

 

共通点として、

肩、胸、太ももの衣装(鱗)が騎士を思わせる鎧のような形になっている。

それに、皆ムキムキボディであり、鍛え抜かれた腹筋を見せつけるかのように、腹筋部分が露出している。

そして何より、イケメンばかりである。

顔の部分は、セバスと同じように人間の顔つきであり、20代後半30代前半の年齢を思わせるイケメンである。

目の色が鱗と同じで、髪の長さは、皆短髪。

ブラック達と同じように頭に角がある。

が、本人達曰く、角や鱗などは隠せるとのこと。

簡単に言えば、セバスと同じように人間のフリができるらしい。

 

 

こんな騎士風のマッチョボディイケメン達がズラリと並ぶと、通り過ぎる女性達からの注目がヤバイ事になるだろうと、勝は思った。

 

アンデッドである自分ですら、、

こんなムキムキボディのイケメンに声を掛けられたら、『一瞬で惚れてコロッと堕ちちゃう』、

と『少し』思った。

そう、『少し』だけ。

 

 

 

①無の竜王・ファフニール

 

肌の色は、日本人風の肌色。

髪の色は、白髪。

鱗の色は、灰色。

 

②火の竜王・バハムート

 

肌の色は、日焼けしたような小麦色。

髪の色は、生え際が黄色。毛の先が真紅。

鱗の色は、真紅。

 

③土の竜王・ナーガ

 

肌の色は、黒人風。

髪の色は、茶髪。

鱗の色も、茶色。

 

④毒の竜王・リヴァイアサン

 

肌の色は、褐色。

髪の色は、黄緑。

鱗の色も、黄緑。

 

⑤雷の竜王・青龍&黄龍

 

双子で顔つきも瓜二つ。

肌の色は、日本人風の肌色。

髪の色は、金髪。

鱗の色は、青色。

 

⑥闇の竜王・ウロボロス

 

肌の色は、白人。

髪の色は、紫。

鱗の色も、紫。

 

計7名である。

 

 

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次に(女性)側。

 

基本的には、ブラック達とほぼ同じ格好である。

スク水のようなレオタードのような姿(鱗)をしている。

が、胸の大きさが少し違う。

 

後ろ姿が半端なくエロい。(主に尻。)

そして美人美女だらけである。

彼女達も人間のフリが可能らしい。

 

彼女達が冒険者組合に立ち並べば、スケベ野郎達が群がってくる事間違いなし!

と、自信を持って言える。

 

 

 

①水の竜王・ティアマト

 

肌の色は、日本人風の肌色。

髪の色は、水色の長髪。

鱗の色も、水色。

1番胸がデカい(Jカップ)

 

②光の竜王・神竜(ゴッドドラゴン)

 

肌の色は、白人。

髪の色は、金髪の長髪。

鱗の色は、白と金の入り交じった色。

2番目に胸がデカい(Hカップ)

 

③風の竜王・ヤマタノオロチ

 

肌の色は、日本人風の肌色。

髪の色は、緑のショートヘアにポニーテール。

鱗の色も、緑。

3番目に胸が大きい(Gカップ)

 

本人曰く、8人に分身可能。(頭のせい?)

 

④雪の竜王・白竜

 

肌の色は、白人。

髪の色は、白の長髪。

鱗の色も、白。

4番目(Fカップ※ブルーとレッドと同じ。)

 

⑤影の竜王・影夜竜(シャドウナイトドラゴン)

 

肌の色は、褐色。

髪の色は、黒の長髪。

鱗の色は、こげ茶色。

5番目(Eカップ)

 

計5名である。

 

 

 

(※オマケ)

 

身長も胸も1番小さい竜・ブラック

身長170cm。

肌の色は、日本人風の肌色。

髪の色は、黒の長髪でツインテール。

鱗の色は、黒。

胸の大きさは、

見事な最下位(Dカップ!)

 

「何故、私を紹介に交ぜたんですか!?」

【ノリで(笑)】

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

人型形態の竜王(ドラゴンロード)達の自己紹介と特徴を確認し終わった勝は、ファフニールに近づくと、ムキムキの腹筋を突っつく。

鍛え抜かれた筋肉は、なんとなく触りたくなる。

 

【うわぁ〜…すげー。】

 

「私の自慢の『ドラゴン筋』の触り心地はどうですか?我が主人よ。」

 

【ド、ドラゴン筋!?……あー、このムキムキボディは、ドラゴンの筋力を人間形態でわかりやすくした感じのやつなのか。】

 

「いかにも。まぁ、バハムートの方がもっと凄いかもしれませんが…」

 

ファフニールの言葉を聞いて、バハムートの方を見る。

チラッチラッと、バハムートがコチラを伺いながら、筋肉をピクピクさせてアピールしている。

 

他の()達も勝にピクピクアピールをさり気なくしている。

 

いや、バレバレだよ、お前ら!そんなに筋肉アピールしなくていいから!どんだけ自慢したいんだ!

 

【いや、まぁ、うん。みんな凄い筋肉だよ。私の身体よりも。】

 

仮初の身体、ゲームのアバターで作られたデュラハンの肉体である、自分の身体と見比べる。

 

【私の肉体なんて、お前達の筋肉の前では自慢にもならないなぁ…】

 

軍服の上着をめくって自分の身体を確認する。

腹筋こそ割れてはいるが、所詮は細マッチョ。

ゲーム世界で真剣に鍛えたわけでもない肉体は、ゲームを始めた時に作成した時の状態設定のままだ。

ドラゴン筋なるムキムキボディにはかなわない。

 

が…()達からすれば違うらしい。

 

「何をおっしゃいますか!ご主人様の身体こそ、最高の玉体です!」

「我が主人の引き締まったお体こそ、我らの好む肉体なのです。」

「あんな分厚いだけの筋肉なんぞ、飾りみたいなものですから。」

「暑苦しくない、冷たいアンデッドの主人の身体は、寒さを好む私にとって、最高の相性。」

「私をあっさりと殺せる御方の身体なのですから、見た目ではわからない凄い肉体なのだと、思っております!」

 

()の竜王達がベタ褒めしてくる。

人型形態になった彼女達の声は、ドラゴン時の男性声ではなくなり、ちゃんとした女性の声に変わっている。

 

最高の玉体!?

いやいやいやいや!そんなに褒められた肉体じゃないよ!?というか、ファフニール達が悲しい顔しながら筋肉アピール止め出したから!そんなに悪く言わないであげて!あれはアレで良い肉体だから!

 

【そ、そうか?まぁ、竜王達はみんな私より身体がデカいから、私の体が細く見えてるだけ…とかかもしれないな。】

 

くそぉぉぉ!

何故見栄を張った私ぃぃ!

そのままファフニール達の肉体を褒めてあげて、元気づける流れにするところだろう!

なんで、『同じ体格なら、自分の肉体も負けてない!』みたいな感じにしたんだ私ぃぃ!

いや、まだだ!まだフォローできる!

 

【いや、逆かな?私の身体が小さいから、ファフニール達の肉体が太く見えているのかもな。】

 

「いえ、我が主人の肉体が素晴らしいのは事実です。我々の肉体なんぞ、ただ太いだけの筋肉にすぎません。主人のような、しなやかで柔軟で…それでいて我らを組み伏せる筋力と、我らの鱗の装甲すら貫く剛力を発揮できる肉体を、我らは羨ましく思います!」

 

結局お前達も褒めるのかよー!

フォローするどころか、逆にフォローされちゃったよ!

というか、こんな褒め方されて、実際は大したことなかったらどうすんの!?

 

我らを組み伏せる筋力?

どう見てもお前達のほうが筋力上でしょ!?

 

我らの装甲すら貫く剛力?

そんなパワーねぇよ!ドラゴンと張り合える筋力持ったアンデッドとかいないから!

 

【いやいやw流石に褒めすぎだぞ、お前達。アンデッドである私が、私よりデカいお前達を持ち上げたりとかできないって。ほら、試しにファフニールを持ってみても、持ち上がらな──】

 

軽い気持ちで、ファフニールの腰に手を伸ばし、持ち上げてみたところ、あっさり持ち上がる。

 

「うおっ!?主人よ!凄い力ですね!私をあっさり持ち上げるとは!やはり、我が主人は凄い御方だ!」

 

え?嘘でしょ?普通に軽いんですけど…。

ファフニールさん、中身入ってます?

実は空洞?ハリボテかなんかですか?

 

「流石がご主人様!その力こそ、私達竜王(ドラゴンロード)を支配し従えさせ、私達の頂点に君臨するのにふさわしいという証拠にほかなりません!」

 

ヤバイ。何かすればするほど評価が上がっていく!

これは、さっさと話題を変えてしまわねば!

ひとまず、ファフニールを降ろそう。

 

【そ、そうか。お前達がそう言うなら、そうなのだろうな!ハハハ!おっと。すっかり夢中になってしまった。そろそろ、拠点製作の話に移らないか?暗くなる前に拠点を設置したいんだが。】

 

「そう言えば、そうでしたな。それで、どのような拠点にするのです?」

 

 

 

 

 

───────────────────

 

 

─王城内─

 

「ラナー様の機転により、寄付金の話がスムーズに済んで良かったです。あのドラゴン娘が怒って向かって来たときは焦りましたが…。」

 

「勝殿のドラゴン討伐と回収物である財宝の一件の報告を聞くなり、寄付金とアダマンタイトのプレートの授与式の立案をなさるとは…。」

 

「先に、プレートの話をふって様子を伺い、喜んでいるようなら寄付金の話をすれば、向こうも断ったりはしないでしょう…って言ってたけど、本当にラナーの言う通りになったわね。」

 

レエブン侯、ガゼフ、ラキュースが歩きながら会話している。

ラキュースは貴族令嬢の立場でもあり、ラナーとは友達なので、王城内を堂々と歩ける。

 

「王国はただでさえ、帝国との小競り合いで疲弊してますからね。我が国の穀物の収穫を帝国が邪魔するせいで、税は上がり国民達は苦しむ一方。それに対して、貴族派閥は私腹を肥やす政策ばかり…。噂では、王国の裏組織『八本指』も関わっているとか。おかげで王派閥の政策資金は貴族派閥の根回しで不足しがちです。今回の財宝を寄付していただけたのは、我々にとって非常に助かる事でした。予定していた額より多く貰えたのは予想外でしたが、ラナー様はお喜びになるでしょう。」

 

「勝殿は優しい御仁だからな。カルネ村とカルネ村の近隣の村々に援助金を送りたい、とまで言い出すとは。」

 

「正確には『義援金』と言うべきでしょうが、まさか辺境の村の事まで気にかける異形種がいるとは…私は思いもしませんでした。アインドラ様はどうでしたか?」

 

「私も驚いたし、驚かされっぱなしだったわ。」

 

「そう言えば、ラキュース殿は勝殿と一緒に依頼に同行したのだったな。ドラゴン討伐の様子を聞きたいのだが…。」

 

「難しい質問ね…。私達の常識を超える強さを持った人物、としか言えないわ。たぶんだけど、私達『蒼の薔薇』とあの異形種チームでは、比べものにならない程の差があるわ。」

 

「やはり、か。私も、陽光聖典との戦いの際には、同じ気持ちだった。勝殿に勝てる人物など…この世に存在しないのでは…とさえ思ってしまった。」

 

「そんなに凄いのですか!?あの異形種チームは。」

 

「私達のメンバーの1人、イビルアイが言っていたのだけれど、

『アレは、世界を滅ぼすか、あるいは世界を支配できる力を持っているにもかかわらす、肝心のデュラハンにはその気が全くない。』

という事を言っていたわ。実際、勝さんの様子を伺っていたけど、優しい異形種なのは間違いないわね。」

 

「その根拠は?」

 

「だって、王国戦士長様の説教は真面目に聞くし、私の仲間の説教だって真面目に聞くのよ。オマケに、一般の冒険者達にアンデッドと間違われてボコボコにされても反撃さえしないのよ。アンデッドは生者を憎むって聞くけど、ドラゴンに殺された冒険者達を生き返らせるし、財宝も分けてくれるし。アンデッドの法則から、良い意味で逸脱しすぎてるのよ。」

 

「生前が人間だったという情報もありますし、人間の心を持ったままアンデッドになった、という可能性もありえるのでしょうか?」

 

「勝さんはいろいろ秘密が多すぎるのよねー。聞き出そうにも、組織として活動している忍者のブラックちゃんが上手く隠しちゃうのよね。勝さん自身が話せる人物だったら、本人と個人的に話ができたのだけれど。」

 

「私もラキュース殿と同じ気持ちだ。…と、レエブン侯、そろそろ国王陛下に『例の書文』の件の話を…。」

 

「そうでしたな。では、アインドラ様。我々はこれで。」

 

「ええ。私も、ラナーに報告しなきゃいけないしね。じゃあ、また。」

 

 

───────────────────

 

 

【話し合いの結果、拠点は闘技場(コロッセウム)に決定しました!】

 

「「「「おおー!」」」」

 

竜王達とブラック達が拍手する。

 

全員の意見を参考に、条件に1番合うのが闘技場(コロッセウム)になった。

試合場は頑丈な作りなので、ドラゴン達が暴れても安心である。

それに、武器庫に食堂、会議室に来賓用の部屋まであるので、客人をもてなす事もできる。

 

ドラゴン達の勇姿を見ながら会食…実に良い!

(まぁ、頭がない私は食事ができないけどな!)

 

【では、設置するぞー。ソレ!】

 

ポイポイカプセルを投げ、元共同墓地だった場所に闘技場(コロッセウム)が設置される。

 

とは言っても、与えられた土地の面積はせいぜいそこそこ。設置された闘技場(コロッセウム)の大きさは、目の前の王城より圧倒的に小さい。

だが、闘技場(コロッセウム)内部は、魔法の効果で空間をいじることが可能であり、見た目よりもはるかに広くできる。

 

【よし。では、お前達はしばらく待っててくれないか ?】

 

「何故です?ご主人様。」

 

【今から、闘技場(コロッセウム)内部を

金銀財宝で埋め尽くす

からだ!】

 

「埋め尽くす…ですか!?」

 

【例えばだ。闘技場(コロッセウム)と言えば、どんな建物を想像する?】

 

「えーと…まず丸い形ですね。中央に砂が敷き詰められた試合場があって─」

 

「それを囲むように高い壁があり、壁の上に観客席がズラリと並ぶ感じが一般的ね。」

 

「試合場を囲む壁の向こうは、闘う戦士達の控え室や武器庫、猛獣の檻に奴隷部屋、あとは王族などが利用する豪華な部屋と観覧席じゃな。」

 

【そうそう!それそれ!まず始めに、試合場の砂を撤去し、砂金あるいは金貨を敷き詰める!宝石を交ぜるのもアリかな?】

 

「砂金や金貨の試合場…素晴らしいですね。」

 

ドラゴン達が頭の中で想像し、うっとりする。

 

【次に、試合場の壁周辺に、財宝の山を作り、観客席も宝石や財宝だらけにする!まるで、上から金貨や宝石達が零れ落ちてるかのように!】

 

「しかし、ご主人様!肝心の金貨や財宝はどうするのです?」

 

【そんなの、『貯金箱』を叩き割るに決まってるじゃん。】

 

「貯金箱!?」

 

【あ。そっか。『アレ』を『貯金箱』って呼んでるの、私だけか。まぁ、とりあえず待ってて!20分くらいすれば、敷き詰め作業終わるから。それまで、シャドウナイトの財宝の鑑定でもしてて。】

 

そう言うと、勝が闘技場(コロッセウム)の中に入っていく。

 

「ご主人が何をするか気になるが、待っていても仕方ない。言われた通り、鑑定をしておこう。」

 

ドラゴン達は、言われた通り、シャドウナイトの財宝の鑑定を始める。

竜王(ドラゴンロード)クラスともなれば、宝石等の財宝の価値を一瞬で見分ける事など容易である。

ましてや、強欲を極めたティアマトなどの竜王(ドラゴンロード)達の手に掛かれば、鑑定の魔法すら使わずに、本物偽物の区別を一瞬でやってのけれる。

 

全員が財宝の山を囲み、一つ一つ鑑定していく。

価値ある物、そうでない物に分けていく。

次に、必要な物か必要じゃない物か、判断して分けていく。

 

「ちょっと、シャドウナイト!コレ、アメジストの宝石かと思ったら、ただのガラス細工じゃない!」

「こっちのティアラのルビーも偽物じゃな。価値無しじゃ!」

「この高級そうな香水、入れ物のガラスに色が塗ってあるだけで、中身がただの水ですね…」

「このイヤリングの真珠、よく見たらただの白いビー玉だぞ!?」

「この金のインゴット、鉄のインゴットに金箔貼ったパチモンでした!」

「アンタ、どんな目してたら、こんなガラクタ拾ってくるのよ!?」

 

意外にも、シャドウナイトが集めていた硬貨以外の財宝は、偽物などのガラクタが多かった。

竜王達が次々に文句を言う。

 

「スミマセン!私、キラキラした物なら何でも良いという価値観でして…」

 

「「お前はカラスか!!」」

 

シャドウナイトの答えに、竜王(ドラゴンロード)達が一斉にツッコム。

シャドウナイトがしょぼん、とした顔になる。

 

「なるほど。ようやくわかったわ…」

 

「何がじゃ?ティアマト。」

 

「ご主人様が人間達に硬貨だけ先に渡した理由よ!おそらくだけど、ご主人様は硬貨以外の財宝のほとんどがガラクタだってわかっていたのよ!私とイチャつくフリをしながら、こっそり財宝を確認していたに違いないわ!」

 

「なんと!?そうなのか!?」

 

「たぶんね。だから、『安全か確かめる』とか言って鑑定を理由に引き渡しを遅らせたのよ!偽物を渡して、人間達から文句を言われるのを避けるために!」

 

「そう言えば、財宝に寝転がりながら、ご主人様がため息をついてましたね。アレは、財宝のほとんどが偽物とわかって落胆し、気分が乗らなくて退屈な状態で私達の帰りを待っていたのかもしれませんね。」

 

「やっぱりね!私とブラックちゃんが喧嘩してるときも、人間達がやって来るまでは黙って静かにしてたし。子作りの話を振ったときも、あんまり興奮してくれなかったし!」

 

「それは、単純にご主人様がアンデッドで性欲がなかっただけかと…。」

 

「「「うんうん。」」」

 

ティアマト以外の全員が頷く。

 

「それは…そうかもしれないけど──」

 

ティアマトが何か言おうとした時、勝が闘技場(コロッセウム)から出てくる。

 

【敷き詰め作業終わったよ〜。そっちはどう?鑑定終わった?】

 

「後少しで終わります。ご主人様。」

 

勝が、分別された財宝の状況を見る。

 

どれどれ〜?ふむふむ。

綺麗に置いてある物が、価値があるヤツか?

乱雑に置いてある物が、価値がないか、人間達に寄付しても良い物なのかな?

私には、財宝の目利き能力なんて、あんまりないからね。ドラゴン達に任せたほうが、早く済むし。

 

そんな事を考えながら見ていると、ファフニールが尋ねてくる。

 

「我が主人よ。主人から見て、何か気になる物はありますか?」

 

【気になる物〜?どれどれ。】

 

勝が、まだ未鑑定の財宝を見る。

勝自身は、宝石の種類を見分ける知識はあっても、その宝石の価値まで判断できる技量はない。王冠などのアクセサリーも同様だ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ユグドラシルでは、アイテムのランクを見て、そのアイテムの価値を判断するのが普通だった。

 

ランクは最下級から始まり、

下級、

中級、

上級、

最上級、

遺産級(レガシー)

聖遺物級(レリック)

伝説級(レジェンド)

神器級(ゴッズ)

 

と九つに区分される。

これらは、ダンジョン内での入手やイベントの報酬、敵からのドロップ品等で入手できる。

また、自分で作成する事でも入手可能である。

 

しかし、神器級(ゴッズ)アイテムだけは別格である。

神器級(ゴッズ)アイテムを作るとなると、ハイレアドロップ品と呼ばれるデータクリスタルが複数必要となる。さらに器を作るのに超がつくほどの希少金属が必要となる。そのために100レベルになっても神器級(ゴッズ)アイテムを一つも持っていないプレイヤーも珍しくはない。

 

 

余談ではあるが…

 

現状、ユグドラシル(ゲーム)を長期間プレイしていた勝自身も、神器級(ゴッズ)アイテムの『装備品』は片手で数える程度の数しか入手できてない。

 

しかも、それらを全て『身に着けていない』。

なぜなら、手にいれた神器級(ゴッズ)アイテムの装備品は、ほとんどブラック達に装備させているからだ。

大切な存在であるブラック達を守るために、装備品はできる限り高ランクの物にしておきたかったのだ。

 

イベントで入手した装備品のほとんどは伝説級(レジェンド)どまり。

神器級(ゴッズ)アイテムを入手するとなると、ガチャで当てるか、希少アイテムを使って作成するしかないというのが普通だった。

 

今着ている、お気に入りの『灰色のドイツ風軍服』は、モモンガことアインズからの貰い物であり、聖遺物級(レリック)を限界まで強化した一品だ。その防御力は、伝説級(レジェンド)に匹敵する。

他にも、種類や(カラー)違いの軍服をアインズから貰っているが、強化が中途半端で終わっている。

 

武器に関しても、アインズからプレゼントされた伝説級(レジェンド)武器が主武装であり、イベント等で入手した武器は、ナザリックの自室のアイテムボックスや宝物殿に保管してある。

 

しかし、今のはあくまで『装備品』の話であり、通常のアイテムに限っては、勝は神器級(ゴッズ)アイテムを大量に所持している。

 

が、それはまた別の機会にでも話としよう。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

勝は悩む。

ユグドラシルとは違って、メニュー画面が表示されない異世界では、鑑定の魔法無しではアイテムの価値がわからない。

財宝の山を漁り、自分でも判断できそうな物を探す。

 

【お?これは?】

 

すると、キラキラした物しかないと思っていた財宝の中から、『黒い大剣』と『金箔を水玉模様のように貼った黒い玉手箱』を発見する。

 

【この黒い大剣…蒼の薔薇のリーダー、ラキュースさんが持ってた大剣に似てるね。】

 

「そう言えば似てますね。同じ物でしょうか?」

 

【レッド〜。この黒い大剣と玉手箱、鑑定して。】

 

レッドに鑑定させると、黒い大剣の名前が、

 

『邪剣ヒューミリス』

 

という名前である事がわかった。

 

特殊効果があるようだが、使用するまではわからない、

と、レッドが言う。

 

玉手箱の方は、

 

夢と過去の現実(ドリーム・アンド・ペスト・リアリティ)

 

という名前の箱だと言う。

 

こちらも、何らかの特殊効果があるようで、24時間後に再び特殊効果が使用可能らしい。

しかも、特殊効果を消すには、再び24時間後に箱を開けないとダメという、めんどくさい仕様との事。

 

【黒い大剣はともかくとして、玉手箱はスゲー怪しい名前だなw玉手箱の中身の特殊効果はなんだ?ティアマト、何かわかる?】

 

「ん〜?私の知ってる玉手箱とは柄が違いますね。私が知ってるのは、トラップなどに使われる黒い玉手箱のヤツで、開けた者を一時的に老人にして、ステータスを弱体化させるデバフ効果ですが…」

 

【竜宮城に仕掛けてあるトラップか。懐かしいなぁw】

 

「シャドウナイト、貴方は知らないの?」

 

「残念ながら、そちらの黒い大剣も含め、この玉手箱自体に見覚えがありませんね…。かなり昔に集めた物かもしれませんが、記憶に無いです。」

 

【ふーん。よし。開けてみるか。トラップの可能性も考えて、皆は離れて。竜宮城のヤツと同じなら、老化のデバフはアンデッドの私には効かないからね。仮に違うヤツだったとしても、即死も毒も効かないし、他は耐性が整ってるから大丈夫なはず!】

 

皆が離れたのを確認し、玉手箱を閉めていた紐を解き、開いてみる。

 

その瞬間、玉手箱から爆発するかのように、白い煙が現れ、勝を包み込む。

 

「ご主人様!大丈夫ですか!?」

 

【うん。今のところ、なんにも──】

 

勝の言葉が途中で止まり、次の瞬間…

 

「─ゴホッゴホッ!?けむっ!?ゴホッケホッ!」

 

煙の中から、むせて咳き込む『声』が聞こえる。

 

「ご主人様…?」

 

ドラゴン達が不思議がる。

聞こえてくる声は主人の声。

だが、ありえない。

主人は声が出せないはずだ。

しかし、心の声ではなく、耳から聞こえる声は確実に主人の声なのだ。

 

煙が薄れて、勝の姿が見えるようになる。

 

「ご主人様!?そのお姿は…」

 

「ケホッ!えっと、何!?」

 

姿を現した主人は、首無しデュラハンの姿ではなかった。

 

「私とそっくりな…人間?」

 

ブラックが呆然とする。

 

「え?何?何か私に変化でも…え?え!?」

 

勝が自分の顔をペタペタ触る。

 

「あれ!?頭がある!?何がどうなんってんの!?」

 

自分の身体に起きた変化を確かめる。

 

「えっと…あった!手鏡!」

 

財宝の中にあった、キラキラした装飾の手鏡を取る。

そして、鏡を見た勝は驚愕する。

 

「嘘…私…人間の姿になってる!?」

 

そこに居たのは、ブラックと顔も身長も、胸のサイズも同じ、人間の女だった。

 

そう、彼こと彼女は、現実世界の自分の姿、しかも若い頃の姿になってしまっていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────

 

 

 

 

 

 

※ここまで読んで頂いた読者の方に、先にわかりやすく説明しておきましょう。

 

この作品の主人公である『勝』というプレイヤーは、

男性プレイヤーのフリをした人間の女性だったのだ。

 

 

[プロフィール紹介]

 

本名は、『竜之勝 (りゅうの かつ)』

 

両親のミスで、男っぽい名前になってしまった、声が出せない不幸な女。

 

ユグドラシルで、勝が女である事を知っているのは、親友であり幼馴染のアインズことモモンガこと、

 

本名『鈴木悟(すずき さとる)』

 

だけである。

 

二人は子供の頃から仲がよかった。

 

勝は、中学時代に男っぽい名前をからかわれないように、筆記で『俺』という一人称を使っており、声は出せずとも、男子生徒顔負けの活発差を発揮していた。服装や髪型も男っぽい感じにして、中学時代では普通に馴染めていた。

バレンタインデーに、勝の事をあまり知らなかった後輩の女子生徒からチョコを貰う事があったりするほど、男っぽい格好をした勝は美形だった。

 

が、高校時代に、『俺』という一人称を使わないように親から言われ、『私』という一人称に変える事になった。男っぽい服装も禁止され、本当に『女子』として生活する事になった。禁止の理由は、これから社会人になるのに、男っぽい事を続けるのは駄目だ、という両親の考えによるものだった。

 

気が合っていた男友達とは疎遠になり、唯一幼馴染で家が隣同士だった(さとる)とは、友好関係が続いていたが、高校を卒業した際に、それぞれ別の就職先になり、(さとる)が一人暮らしのため、遠くに移ったので会えなくなった。

 

社会人として生きていくも、声が出せないのが原因で友人は増えなかった。

寂しい気持ちを紛らわすため、就職先の動物園の動物達の世話を熱心に取り組んでいた。

そんな時に、(さとる)から、ユグドラシルというゲームに誘われた。

それが、主人公の始まりだった。

 

しかし、ユグドラシルのキャラ作成時に、喋れない事をアピールするため、頭がないデュラハンを選んだが、頭が無いバージョンが男性しかなかった。

 

仕方なく、男性バージョンで始めたが、男性アバターだった事をきっかけに、中学時代の性格のノリでプレイしたいと、(さとる)ことモモンガに打ち明け、了承を得る。

 

その結果、誰も勝が女性だとは思わなかった。

ペロロンチーノのエロゲ話にもノリノリで参加していた勝を、女性だと疑うものはいなかったのだ。

モモンガも、男性として振る舞う勝の方が、学生時代のノリで親しみやすかったので、ギルドメンバーに打ち明ける事はなかった。

 

もし、勝が声を出せていれば、誰もが女性だと気付いただろう。

 

NPC作成の際に、完成したブラックの姿が学生時代の勝に似せて作ってあった事も黙っていた。

周りの皆は、ペット系彼女を勝が作ったと勘違いしたが、勝自身は自分をモデルにして作っただけという。

 

ペロロンチーノやタブラが作成に加わっていなければ、

ブラックに竜人族性や変な設定を盛られずにすんでいたかもしれない。

 

それが主人公の過去である。

 

余談ではあるが、

 

ブラック達と混浴する事に躊躇いがなかったのも、勝自身が女性だったから。

 

また、異世界転移により、本当に男性デュラハンの肉体になってしまったため、男っぽい振る舞いがさらに固着してしまった。

 

そんな、なんかいろいろめんどくさい過去を持った主人公が、今更現実世界の姿になってしまった!

 

次回!『勝、モモンガに逢いに行く!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え?ネタバレじゃないのかって?

こういうのはノリが大事なんだよ!

な!(さとる)

 

うん。ソダネ。

 

 

[後書き報告]

 

この話の追加とともに、性転換タグを追加します。

一応、念のため。

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