え?沼を拡げるお仕事ですか?   作:トマボ

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え?ミシルシを持ってくるんですか?

 

3日目

 

さてさて、一晩中百騎兵さんが森を彷徨ってらっしゃったので、日付が変わりました。

 

 

初っ端からすまんのだが、一つだけ良いだろうか?

 

……森、広すぎないですかね?

 

 

迷子だよ!メタリカ様!!百騎兵さん(とついでに俺も)迷子だよ!?!?

 

ちゃんとナビゲートしてくださいませんかね(泣

 

 

偵察ぐらいはしてやろう(キリッ)とか言っといて、俺役立たずすぎて笑えないよもう。

 

 

だって、周りを見渡しても百騎兵の背丈の10倍はあるような巨木しか見えないんだもの。

 

こんなん誰でも迷子る(動詞)わボケェ!

 

 

 

俺の同様に対して呆れたように目を細めて、フキュゥ…(やれやれ的なジェスチャー)と鳴いた百騎兵さんがとても心に効いたよ。

 

 

そうそう。

 

魔物を倒して武器の使い方に慣れ、稀にドロップするアニマと呼ばれる魂の結晶を集めながら森を進軍していくうちに、ファセット(というらしい。百騎兵さん本来の能力と魔女様の力の融合によるスキルみたいなもの。兜がオシャレ)のレベルが上がったためか、百騎兵さんとのリンクも随分と安定してきたようだ。

 

昨日一昨日と比べたら驚くほどの進歩だと思う。会話のキャッチボールは相変わらず出来ないが、きちんと言葉が伝わってるこの感じがとても嬉しく感じる。

 

 

べ、別に、ぼぼぼ、ぼっちじゃねえし!?うるせーし!?

 

 

ただ、もしかしたら、無人島で長い間漂流していて久しぶりに人と話したらこんな気持ちになるのかもしれない。なぜか、そう思った。

 

ははっ。

 

ずっと薄暗い森だから気が滅入ったのかね?

 

きっと、こんな不安定な焚き火の煙のような透明な存在だから、アンニュイになっただけだろう。

 

俺は一体、誰で、何になってしまったのか、なんて、クサイことを思うぐらいには。

 

我ながら記憶もないくせになぜか、らしくない、とそう思った。

 

 

 

だから、慰めるという言葉など知らないであろう百騎兵さんの、ロドュッ!(頭んなかでピーピーうるせえ的な)といういつも変わらない声が、有り難いてぇ……。

 

【悲報】宿主が辛辣すぎる件

 

 

な、泣いてねえし。

 

 

 

気を取り直して、と。

 

 

それはそうと、たった1日程度であるが、俺の中での百騎兵さんへの心象はがらりと変わって固定された。

 

きっと、この先誰を斬ろうと、裏切ろうと、俺は百騎兵さんの味方でありたいと思う。

 

正体の不明さとか本性がバーサーカーとか悪食だとか巻き込まれた恨み(?)とかもはやどうでもいい。

 

 

なぜか?

 

 

 

だってさ、こいつ良い奴すぎるんだもの。

 

 

 

 

 

 

 

指令を受けてから直ぐに出発したあの後。

 

 

魔物を食べつつ、小ピラーを見つけては咲かせつつ、魔物が落としたクッキーや野草ガムなんかを食べて、カロリー補給しながらひたすら森を彷徨い続ける百騎兵。

 

 

時折思い出したように入る、メタリカ様のgdgdナビに従いつつ、出てきた魔女兵とやらを蹴散らしながら進軍。

 

 

魔女様の魔力に親和した沼と同じ魔力を内包しているピラー間ならば限定的な転移が可能な百騎兵は、それはもう頑張って探索した。

(メタリカ様は、格好良く箒に乗るためによく使っているが凄い術だったりするらしい。アルレッキーノが語っていた。)

 

 

これがゲームであれば怪力と引き換えのパラメータであろう、とても悪い燃費を補うために、出会う魔物はほぼ捕食。

 

メタリカ様は拠点で寝ているのに、土を掘ってはニンニクを生で齧って喜ぶ百騎兵。

 

ゴーランという強いゴーレムに吹っ飛ばされ、焼却炉から持ってきたという由緒正しきボロの剣の強度では耐えられないであろう攻撃をギリギリで避け、逃げ回るうちに襲ってきた魔女兵から奪ったハンマーや古塔で反撃。

 

かなりのダメージとカロリー消費により、トーチがきれかけ、フラフラになりつつもなんとか勝利。

 

仕切りなおすために、(戦闘においては不死身ではあるらしいが)フラフラな身体を引きずりながらピラーの元へ辿り着き、拠点へ回復しに行く。

 

 

途中に人間の集落を発見し村人に話を聞くも、マーリカ様の善行やらマーリカ様は凄いやら、村長が鍵を…やら、話を聞いていると、メタリカ様が激怒。

 

村を制圧せよというお達しに従い、一軒ずつ制圧していくが、村人の中にも腕自慢がいて強いのなんの。

 

いや、あいつら本当に人間なんですかねぇ…。

 

魔物からは逃げるくせに、百騎兵さんがいくら切っても効いてないし、反撃強すぎねぇ?

 

そんなこんなでぼこぼこにされつつも、マーリカ様から託された鍵が質にあるという情報を入手。

 

村長ェ……

 

 

そして、村で奪ったカビチーズやネバネバチーズ、虫のポワレなんかで体力を持たせつつも、質屋にカチコミをかける。

 

ここでも腕自慢に苦戦したが、燭台から火弾を飛ばして対応し、ヒットアンドアウェイ(基本そうだがな!)戦法で勝利。

 

森の門を開く鍵を入手し、ボロボロの身体を治しに一旦帰還。

 

メタリカ様はその間飽きて寝ていた。

 

 

そんな出撃を何度か繰り返して、やっと、ピラーの気配が一番強い、森の奥。

 

マーリカ様の拠点の手前まで行き、小ピラーを咲かせて、最後の往復。

 

拠点に帰ると地面に直で置かれた悪くなりかけの食料が置いてあった。

 

アルレッキーノ曰く、はいk…もとい、資源の有効活用らしい。

 

丁度起きてきて、美味そうなパンを齧りながら出てきたメタリカ様に、「遅い!!」という有り難いお説教をいただきつつ、沼の近くで自己治癒。

 

百騎兵さんは、その後、メタリカ様が食べ終わるとそのまま投げ捨てた鳥の骨も残さずにとても嬉しそうに召し上がっていた。

 

 

 

な?

 

こんなん間近で見ててみ?

 

 

 

百騎兵さん!あんた健気すぎるだろ!!?

 

意思表示できるんだから、怒ってもええんやで!?

 

逆らえるとは言わないけど、きっとメタリカ様も100年準備して呼び出したんだから、そんな簡単に百騎兵さんのことを放り出したりしないよ!?

 

 

……たぶん。

 

 

 

内心焦りつつ、謎の義憤に駆られた俺がなんとか百騎兵さんの待遇を良くしてもらおうとアルレッキーノやメタリカ様に伝えようと暴れまわっていたが……

 

 

(=゚ω゚)ノ?モキュ?(まあまあ、落ち着けよ)

 

 

百騎兵さんに諭される始末。

 

 

ああ…この魔神は実は天使なんじゃなかろうか。

 

 

そんな感じに即落ちだったよ。

 

 

 

 

 

 

そして、いよいよ、マーリカ様の拠点へ。

 

正直、話を聞く限りマーリカ様は普通に良い人だろう。いや、良い魔女?

 

魔女様っつーと、悪いイメージが浮かぶけど、そんなことは……(メタリカ様からは目をそらす)

 

確かに、人間たちからすれば、沼の魔女様が悪い魔女で、森の魔女様が良い魔女なのだ。

 

 

メタリカ様は、世界を滅ぼそうとしている。

 

マーリカ様は、森や住人たちを守っている。

 

 

 

どっちに付きたい?なんて質問は卑怯かね。

 

 

 

だが、百騎兵さんは、メタリカ様の使い魔だ。

 

 

ならば、マーリカ様と闘うだけである。

 

実に分かりやすい。

 

 

そして、俺も百騎兵さんの味方であろうと誓ったのだ。

 

 

 

……なんも役にたたないけどな!!

 

 

 

まあそこは置いといて、いつまでもこんな、良心の呵責(笑)に振り回される訳にも行かん。

 

腹を決めるか。

 

 

とりあえずは、メタリカ様の言葉を借りようかなぁ。

 

 

 

さあ、百騎兵さん。メタリカ様。

 

一緒におもしろいことを始めようじゃないか、みたいな?

 

 

 

 

 

 

似合わね〜…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___________________

 

 

 

 

 

 

緑が生い茂る深淵の森の最奥の地。ヒトでは辿り着けないであろう領域に聳え立つ神殿。

 

かの大魔女ウルカが居たとされるその神秘の間。

 

 

そこには今、

 

 

「ガハッ…グッ…ゲホッ」

 

「ククッ…キヒヒ…あーっはっはっはっは!!最高の気分だ!良くやったぞ百騎兵!この◯#¥☆*△なゲロクソ女をよくぞ倒した!」

 

 

腹を蹴られて蹲る森の魔女マーリカと、ピラーオブテンペランスを咲かせたことで転移してきた沼の魔女メタリカ。

 

 

そして、武器を収めた1匹の魔法生物が鎮座し、美しい石造りの庭園を真っ赤な血と粉塵、砕かれた岩、切り裂かれた樹木と食べ残しの魔物の死体が転がる凄惨な現場と化していた。

 

 

 

「それにしても百騎兵。無駄に防御だけは硬いこのゲロクソ女の結界をよく破ったなお前。カオスリバレーションでも決め手に欠けると分かった時は流石にヒヤヒヤしたぞ。」

 

「モキュ?」

 

「あー…いや、いい。お前に聞いても分からんということぐらいは分かる。…ま、いいか。理由はともあれお前がこいつをぶちのめしたことには変わらん。良くやったぞ、キッヒッヒ。」

 

 

百騎兵の奥の手を使用してもマーリカの硬い防御魔法を破れずにいたために、流石にメタリカも焦っていたのだが、マーリカの生やした樹木によって何度も吹っ飛ばされていた百騎兵が途中から、今までが嘘だったかのように、結界ごとマーリカを叩きのめし始めた。

 

何処からか、別の魔力が、しかも無尽蔵なソレが混ざったかのように力を増した百騎兵は、武具にまで混沌の力を滾らせて、立派な神殿ごとマーリカを吹き飛ばし、勝利したのだ。

 

千里眼によってずっと魔力を見ていたメタリカは、首を傾げている百騎兵からは今はそんな魔力の残滓も感じられないことを疑問に思いつつも、火事場の馬鹿力が発動でもしたのだろうと、思い込むことにした。

 

そう、経過がどうであれ、結果は見事。

 

森の魔女に勝利し、マーリカを守護者として力を与えていたピラーを壊すことにも成功した。

 

見た目は何も変わらない、百騎兵自身もそれを言葉にすることは出来ない。

 

ならば、何も起きていない。

 

 

例えば、誰にも認知されていない場所で、存在もあやふやな誰かが、開いてはいけない扉を開いたところで、誰もそれを認知せず、こちらの世界への影響も無いのならば、

 

それは、何にも起きてないのと変わらないだろう?

 

 

 

誰もそれを知らないし、誰もそれには気づかないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________________________

 

 

 

 

はっ!?

 

意識がとんでいた…。寝不足かな?

 

 

マーリカ様と話してた可愛い白っぽいカラーリングの魔女が消えて、百騎兵さんがお茶の誘いにホイホイ付いてって、メタリカ様に怒られて、闘い始めて……

 

 

 

いつの間にか終わってた。

 

 

気合い入れて臨んだのに、まさかの寝落ちである。

 

 

しまんねーな。ほんと…

 

 

いや、正確には寝落ちじゃなくて気絶なんだけども。

 

マーリカ様に百騎兵さんが吹っ飛ばされた時に俺も吹っ飛ばされた。

 

マーリカ様の攻撃って貫通タイプなんやね。

 

トーチの方に魔力弾が当たっても他の魔物だと俺とこの謎空間には何にも起きないのに、流石は偉い魔女様やで〜。

 

ついでに、俺のことにも気づいてくれたらもっと嬉しかったけどな。

 

 

 

まあ、いいや。

 

マーリカ様がネズミにされて、貞操の危機になってたのは良くないけど…。

 

 

ピラー咲いた直後に目を覚ました俺からすればワケワカメだったけど、命乞い的な感じだったのかな。

 

 

今明かされる衝撃の事実ゥ!!

 

マーリカ様、まさかのメタリカ様のお母様である。

 

DVはいかんよ…。だから、こんな捻くれた子に…おっとなんでもないですよ?

 

 

けれど、メタリカ様。まさかのスルー。

 

再度の足蹴である。

 

さらに、トドメとばかりに呪いをかけた雄ネズミを召喚。

えげつねぇ…メタリカ様に逆らうのはやめよう。

 

死ぬより酷い(確信

 

 

 

 

まあなんだかんだで一件落着だったんだけどさ。

 

結局、首は獲ってないので契約はまだ履行っつーね。

 

えー…。

 

 

あとさ、アルレッキーノさん?えーと、そのネズミ。違うよね?

 

…違うよね?

 

 

 

 

 

 

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