Family of Seven ~ハズされ者の幸せ2~ 作:鶉野千歳
そこで秦は、ある決意を伝える・・
ケーキと・・・
次の休日、警備部では朝からケーキ作りをすることになっていた。
作るのは、イチゴのケーキと、フォンダンショコラ。
材料は、鳳翔がお店に連絡して取り置きをしてもらっていたのを、前日に取りに行っていた。
ついでに、足りない食器も購入していた。
食堂に、ボウルなどの道具が用意され、材料も小麦粉、卵、グラニュー糖、ミルク&ビターの板チョコなどなどが揃えられていた。
まずは、イチゴケーキのスポンジつくりからだ。
卵を割り、卵黄と卵白に分ける。
そのうち、卵白に塩、グラニュー糖を入れて、混ぜる。
卵白を泡立てるのだ。
いわゆる、メレンゲだ。
「へぇーー」
って興味を持って見ている朝霜と睦にやってもらう事にした。
「よぉおし、見てて!」
と朝霜が意気込んでかき混ぜはじめる。
ボウルを睦が押さえている。
よっ、やっ、はっ、と声を発しながら。
残りの卵黄に同じくグラニュー糖を入れて混ぜる。
こちらは、皐月と弥生だ。
「行くよ、弥生ちゃん!」
「いいよ、皐月ちゃん。」
と言って混ぜはじめる。
「さあ、頑張って、4人とも!」
と、4人を見つめる鳳翔だ。
「ねぇ~、うーちゃんは? うーちゃんは?」
「大丈夫よ。 まだまだやることはあるから。」
朝霜・睦組のメレンゲは、角が立つくらいに。
皐月・弥生組の卵黄は、しっとりと。
卵黄にサラダ油、牛乳、ベーキングパウダーを入れ、混ぜる。
「じゃぁ、卯月ちゃん、こっちを混ぜてくれる?」
「了解ぴょん!!」
返事はいいが、混ぜてると、段々と重くなる。
「う、うう・・、だんだん重いぴょん・・」
そこへ、メレンゲを少しずつ加えていく。
メレンゲの泡を潰さないように。
ここまで来て、生地のタネが完了だ。
生地を型に流し入れる。
底や枠をたたいて、中の空気を抜く。
さぁ、ここからは生地の焼きだ。
180度ほどに温めたオーブンを使い、30から40分、焼く。
しっかりと焼く。
生焼けは厳禁だ。
焼き上がったら冷ます。冷えたら一旦、ラップに包んで置く。 こうするとスポンジを乾燥から防ぐことができる。
次に、生クリームだ。
市販の生クリームにグラニュー糖をボウルに入れ、泡立てる。
「じゃあ、これはあなたね。 お願いしますね。」
「よしきた!!」
よっ、ほっ、と声を漏らしながら泡立てていく。
「あ、それくらいで。 ちょっと緩めでいいですから。」
「はいはい。 緩めっと、・・・・・こんな感じでいいかな?」
「あ、はい。 上出来です。 さすが、料理上手なあなたですねぇ。 ほれぼれしちゃいますぅ。 ウフフフ。」
「そうかい? はははっ。」
こども達【はいはい】
(まったく、この二人わ!!)
(どこまでも、いちゃいちゃするかね?)
と、呆れる5人だ。
次は、スポンジにジャムを塗る。
スポンジを上下2つに切り分ける。
下、土台となるスポンジの上に、アプリコットジャムを2,3ミリの厚さで塗る。
その上に、5ミリほどにスライスしたイチゴを、隙間開く並べていく。
さらに、生クリームを2,3ミリほどの厚さで塗り、片方のスポンジを載せる。
その上から生クリームを塗るのだ。
今度は側面も。
厚さは3ミリ程を目安に。
ま、生クリームが好きなら、もっと分厚く塗ってもいい。
全体に塗れたら、イチゴを、花びらのように並べていく。
並べ終わったら、真ん中にクリームを絞って完成だ。
トッピングは、好みで、絞ったチョコレートを冷やして載せてもいい。
今回は、イチゴの上に粉砂糖を白く振りかけた。
これで出来上がり。
「さあ、イチゴのケーキの出来上がりよ。」
と鳳翔がニコリと皆に、ケーキを見せた。
【おおぉぉぉぉぉ!!】
「美味しそう!」
「綺麗にできたぴょん!!」
「今すぐ、食べたい!!」
「ふふふっ。 もうちょっと待っててね。 次はフォンダンショコラよ。」
ボウルにビターの板チョコを砕いていく。
粗方砕いたら、ミルクチョコレートの板チョコも砕いて混ぜていく。
ボウルごとお湯で、チョコが溶けるまで温めていく。
ここに、砂糖、卵を加え、混ぜる。
さらに小麦粉を少しずつ加えながら混ぜる。
混ざりきれば、カップ容器にカップシートをセットし、流し込む。
空気を抜いたら、予熱したオーブンを使って、180度で5から7分ほど焼く。
外がふんわりと焼ければ、ほぼ完成。
「なんと、簡単な!」
と朝霜。
「なんか、すっごい手抜きに見えるんだけど・・・ これでいいの?」
「ええ。 上から粉砂糖を、さっと振り掛けて、完成よ。」
◇
道具を片付けて、食堂に集まった。
食堂のテーブルに、イチゴのケーキとフォンダンショコラが並ぶ。
「へぇ。 白と黒の饗宴ってやつだね!」
そして、秦が紅茶をいれた。
ダージリンのいい香りが、ケーキに負けずに漂う。
「それじゃ、いただきましょ。」
【はぁーい】
イチゴのケーキを切り分けていく。
まさに、イチゴのショートケーキ。
我慢しきれない朝霜が真っ先に、口に運ぶ。
あ~ん。
「うん! 美味しいぃ。」
それを見て、
「じゃ、あたしも、いっただきまぁす!」
と皐月、睦が続いた。
「「美味しいね。」」
と顔が喜んでいる。
鳳翔と秦が5人を微笑んで見ていた。
「良かった。 美味しく出来たみたいで。」
「そうですね。 みんなにも手伝ってもらいましたし、楽しかったですね。」
そう言って二人は紅茶から始めた。
「いい香り。」
一口啜って、
「ふう。 いい紅茶だね。」
と。
「はい。 たまには、紅茶もいいですね。」
秦も一口食べて、
「これは、美味しいね。 あれだけ砂糖が入ったはずなのに、そんなに甘くないね。」
二口目、と行くところだが、フォークに白い粉砂糖のかかったイチゴを刺して・・・
「鳳翔、はい。」
秦の頬がちょっと朱い・・・。
「えっ?」
と鳳翔が、一瞬、固まったが・・・
イチゴを鳳翔の目の前に差し出していた。
「はい、あーーん。」
と。
(もう! 恥ずかしいったら! でも、たまには・・・)
ん、と鳳翔が真っ赤の顔になって口を開ける。
そして、イチゴが口に収まる。
「うん、このイチゴ、甘酸っぱくて、美味しいですね。」
右手で右頬を押さえて、顔を赤めている。
そして、今度は鳳翔が、イチゴケーキの一部をフォークに刺して、
「はい、あなた。」
と秦の目の前に差し出した。
鳳翔の頬は、ほんのり赤かった。
「お返しです。」
「えっ?」
今度は秦が一瞬、固まった。
次の瞬間に頬を赤めて口を開いていた。
あーん、と。
フォークのケーキが秦の口に収まる。
「ん、おいし。」
そう言って微笑みながらケーキを食べていた。
秦と鳳翔の視線が重なったまま、お互いを見つめていた。
その姿は、当然五人に見られていた。
「あちゃぁぁぁ。」
「あー! もう! 何やってんだよ!」
「やん! 父さん、お母さん、恥ずかし!!」
「ったく、甘いケーキよりも、甘々だわ。 砂糖吐きそう。」
そこまで言われて、鳳翔と秦はお互いを見あって、顔を赤めていた。
「ほ、ほら、まだチョコケーキもあるわよ。(汗)」
と話題を変えようとする。
「ま、食べるけどさ。」
と言って朝霜が、フォンダンショコラにフォークを差し込み、ケーキを二つに割ってみると・・
なかから、トロリとしたチョコが出てきた。
「わぉお!」
生地にチョコを纏わせ、口へと運ぶ。
「う~ん、チョコいっぱい、って感じ。 ほろ苦くて美味し。」
「イチゴのケーキとは違って、まじで、チョコだね。」
「この2つを同時に味わえるのは、面白いねぇ。」
フォンダンショコラのおかげで、秦と鳳翔の”あーーん”は、どうやら一瞬で消えたようだった。
「ははっ。 みんなで作ったケーキはどうだ? 2種類も食べると、どんな感じだい?」
「白も黒も、両方美味しい!」
「うん、両方美味しいよ。」
そうか、とほほ笑む秦と鳳翔。
だが、
「だからって、しれーかんとお母さんの、”あーーん”は忘れてないからね?」
と朝霜が話を振りかえす。
「「そうそう。」」
皆、大きく頷いて同意していた。
「まあ、昼間から、アツアツなのは、十分わかったから。 ね?」
というのは皐月で、
「うん。 父さんもお母さんも、仲が良くて、羨ましい。」
とは弥生だ。
「お前たち、そこまで言わなくてもいいだろうに。」
「そ、そうよ。」
と抗議するものの、そんな抗議などどこ吹く風、のごとくこども達はケーキを美味しそうに、顔を、頬を赤めながらケーキを食べていた。
ほっこりあったかな、おやつタイムとなった。
そして・・・
ケーキを美味しく7人で食べている時、秦が徐に切り出した。
「ねぇ、鳳翔? 一つ、提案なんだけど・・・ カッコカリを外さないか?」
「えっ??」