Family of Seven ~ハズされ者の幸せ2~   作:鶉野千歳

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7人家族

翌朝0600。

一日の始まりだ。

秦が起き出し、身支度を整えて、食堂へとやってきた。

食堂では既に朝食の準備が行われていた。

秦よりも早く起きていたのは鳳翔だ。

いつもの割烹着を着ている。

左手に指輪が光っている。

 

「おはよう、鳳翔。」

 

「おはようございます。 あなた。」

 

まだ誰も起きてこない、静かな食堂で、朝の口づけを交わす二人。

抱き合う二人。

しばしそのままでいたが、

 

「今日からは人数が増えるな。 また、迷惑を掛けるよ。」

 

「ふふふっ、お料理が出来るなら、何人でも、いいですよ。」

 

そうか、と言いながら、二人はテーブルについた。

ホカホカのご飯をよそい、二人の朝食が始まった。

 

「「いただきます。」」

 

朝は、ご飯とワカメ入り味噌汁、出汁巻き卵、アジの干物を焼いた焼き魚。

それに、秦の実家から貰ってきた、塩がふいた梅干し。

今日から忙しくなることを話しながら朝食が進む。

食べ終えると0645だった。

他の連中は、まだ起きてこない。

鳳翔が後片付けをしている間に、睦を起こすことにした。

いつものように、睦の部屋に来て・・・

 

(こちょこちょこちょ・・・・)

 

「ひぃっ、くっ、くわはははははは、ひぃぃぃぃぃ!!」

 

睦の悲鳴が部屋に響く。

 

「起きろ~!!」

 

「もう!! 毎日毎日! だから、起きるって!!」

 

プンプンと怒る睦だったが、その顔は笑っていた。

 

(へへへ、また、起こしてもらっちゃった。)

 

「じゃぁ、起きなさい。」

 

「はあぁい。」と身支度を始めた。

 

そして秦は、昨日到着した四人の部屋へと入って行った。

四人とも、睦以上に爆睡中だった。

卯月はベットから落ちている・・・

 

(どうやったらベットから落ちるんだ??)と思いながら、今日は落ちている卯月と決めた。

 

寝間着の上から、わき腹を・・・

 

(こちょこちょこちょ・・・っと。)

 

「! ひゃひゃひゃひゃひゃ! にゃ、にゃ、にゃんにゃ??」

 

猫語だ・・・

 

「にゃ? しれーかん?? な!!」

 

寝ぼけ眼の卯月の目だ覚めたようだ。

一瞬で顔が赤くなった。

飛び起きてベットに飛び込んで、布団をかぶって秦を見た。

その叫び声で他の三人が起き出した。

 

「な、なんなんよ?」

 

「ふわぁあああ、なによ?」

 

「・・・」

 

「ほら! 皆起きろ! 朝だぞ!!」

 

「まだねむぅい・・・」

 

そう言って、また寝ようとする朝霜だ。

 

「ったく、総員起床!! 朝飯だ!!」

 

「ふぁあああい・・」

 

まったくもって、だらけている。

 

「早く来いよ。 いいね?」

 

と言って部屋をでた。

 

「あら、あなた。 みんなはどうでしたか?」

 

「ああ。 ありゃ、ダメだな。 睦よりタチが悪いかもしれん。」

 

「そうなんですか? じゃ、明日は、私ですね。」

 

「ああ。 頼むよ。」

 

「おはよう。 父さん、お母さん。」

 

と睦が食堂にやってきた。

 

「やっと来たわね。 はい、朝ごはんよ。」

 

「はあい。 いただきまぁす。」

 

と食べ始めた。

そのうち、眠い目を擦りながら身支度を終えた四人が食堂へとやってきた。

 

「おはよう、ごじゃいますぅ。」

 

「こら! シャッキっとしなさい!」

 

と秦に怒られていた。

 

「さぁ、朝ご飯にしましょ。」

 

「いただきます。」

 

と言って四人が並んで食べ始めた。

食べながら気づいた。

テーブルの向かいに秦と鳳翔が座って、なぜか微笑んで見られている事に。

 

「ほら、卯月ちゃん、ほっぺにご飯粒ついてるわよ?」

 

「朝霜、ご飯のおかわりは?」

 

「あ、お、お願いするさ・・」

 

四人は、ちょっと恥ずかしい感じがしていた。

 

「お父さん、お母さんみたい・・・」

 

っと弥生がボソッと言った。

それを聞いていた朝霜が、

 

「父さん、母さん・・・・  そうだよ、それ! いいよ! いい!! しれーかんが父さんで、鳳翔さんが母さん。 そうしようよ、ね?」

 

他の三人はポカンとしていたが、

 

「それ、いい。」

 

と弥生がボソッと言った。

それを聞いた朝霜が残りの面々を見ると、大きく「うん!」と頷いていた。

言われた二人は、最初は驚いていたが、

 

「え? それでいいのか?」

 

と秦がいうと鳳翔の顔を見た。

 

「どうする、鳳翔?」

 

「あら。 私は、いいですよ。 何人増えようとも。 なんせ、”こども達”はたくさんいますから。」

 

秦は、なるほど、と思ってしまった。

鳳翔を”母”と呼ぶ奴らを知っていたし、一人や二人ではなかったから。

 

「俺たちは、四人も娘が増えるのか? じゃぁ、俺が父親で、鳳翔が母親っていう事だな。 ただし、父親としては厳しぞ! いいな?」

 

「う、厳しいのは遠慮したいぴょん・・・」

 

「あら、みんなで決めたのに、もう降りちゃうの?」

 

といたずらっぽく鳳翔が言って、笑いあった。

 

「じゃぁ、四人があたしの姉妹なんだね。」

 

と睦がいい、

 

「そうなるわね。」

 

と鳳翔が頷いていた。

しばらくの間ではあるが、7人家族と相成った瞬間だった。

 

 

朝食後、7人全員が執務室に来ていた。

 

「じゃあ、説明するね。」

 

と言って秦が話はじめた。

 

「横須賀から黙って出て行ったのは、療養のためなんだ。 これは、秋吉提督の指示によるものなんだ。」

 

「えっ? だ、だって、ワシはしらんぞって・・」

 

「うん、何度聞いても、知らんって・・」

 

「秋吉提督が、そう正直に言うと思うか?」

 

「ま、そうだよね・・」

 

「次だ。 2週間ほどで体力は回復したんだが、復帰しようとしたときに、提督から別命を受けたんだよ。」

 

「別命?」

 

と朝霜が聞く。

 

「ああ。 特別な命令だ。 具体的には、空母・鳳翔を対潜水艦用の護衛空母として再整備し、護衛空母の随伴として駆逐艦を配備し、特別任務用に整備する、とね。」

 

そこまで言って四人を見渡した。

 

「それを聞いて、ここ、相生に秘密裏に警備部が置かれたのさ。 その管理人として、おれと鳳翔が充てられた、っていうことなんだよ。 いままではここの民間会社との調整や漁協との調整やらといろいろあったんだ。 なかなか帰れなくてな。 結局、いままで掛かったって言う事なんだよ。」

 

へぇ~っと聞いている。

 

「今回の空母の整備目的は、対潜哨戒および対潜攻撃を行うための能力を向上させることなんだ。 それに伴い、対空を担う駆逐艦、対潜対処を行う駆逐艦を整備するんだ。 まず、朝霜を対空対処が出来るように兵装を増強・交換する。 卯月、皐月、弥生を潜水艦への攻撃武装の強化を行う。 爆雷だけではなくね。」

 

そう言って皐月たちを見渡す。 さらに、

 

「その為に、必要な艦体の改修も今回行うんだ。 だから、2ヶ月はここに居る事になる。」

 

「い、2ヶ月も? その間は出撃も無し?」

 

「ああ。 無しだ。」

 

その言葉に四人は驚いた。

 

「その間、やる事も無いだろうから、特別な配慮をしておいたからね。」

 

と言った秦の目が笑っていた。

 

「で、その配慮って?」

 

と皐月が聞く。

 

「フフフっ。 実はな・・・ 君ら四人に学校へ行ってもらう事にした。」

 

【は?】

 

【がっこう?】

 

「そうだよ。 学年は、みんな睦と同じ中学1年生としてね。」

 

【はぁああああ?】

 

「いや、いや、わけわかんないよ、しれーかん!!」

 

「なんでなのさ?」

 

「ん? なんでって、ヒマだろ? その間にでも、勉強しなさい。」

 

「鳳翔さん、なんとか言ってよ? 学校なんて、いけないでしょ?」

 

「あら、いいと思うわよ? みんな揃って学校なんて、いいわねぇ。」

 

(聞いちゃいねぇ・・・・)

 

「大丈夫。 お弁当はちゃんと作るから、安心して。」

 

とニコリとした顔で止めを刺された。

 

(鳳翔さん、そういう問題じゃあ、無いんだけど・・・)

 

(確かに、鳳翔さんのお弁当は、嬉しいかも・・・・)

 

「手続きはほぼ終わってるから。 あ、後で制服の試着、採寸でお店に行くからね。 覚えておいてよ。」

 

(いやいや、しれーかんも、そういう問題じゃないんだよ・・・)

 

「! じゃぁ、髪の色とかどうすんだよ! アタイは銀だし、皐月ちゃんは金だし。」

 

「大丈夫。 みんな帰国子女になってるから。 楠木家で預かってるってことにしてあるからね。 だから、問題な-し!」

 

【はああ??】

 

四人とも固まっていたが、秦と鳳翔は笑っている。

睦は、楽しそうに見ている。

 

「へへへっ、みんな、一緒に行くんだよ? いい?」

 

続けて秦が・・・

 

「いいよね? 父さんのいう事は聞くんだよね? ね?」

 

と凄んで皆を脅しに掛かるのだった。

 

(こ、こわい・・)

 

「う、うん・・」

 

四人に逃げ場と逆らう余地はなかったので、渋々、従う事にした。

 

「と、いうことで、午前中には、四隻ともドックに入れて固定するからね。」

 

そこまで言って、秦が弥生を見た。

 

「ところで、弥生? お前さんは、呉に居たから、鳳翔の事情は知ってるんだよな?」

 

「・・・・・うん。」

 

「弥生ちゃん・・・」

 

「あの司令官のときは、みんなおかしかったんだ・・・ 誰も司令官を信頼してなかったし・・・ 逃げ出して連れ戻された艦娘は一人や二人じゃなかったし・・・」

 

「そうか・・・ 一応、調査報告は聞いているが・・ ともかく、ここにいる鳳翔は、お前さんの知っている鳳翔だ。 今は、俺の妻でもある。 今まで通り、仲よくな。」

 

「うん、分かったよ。 それに、今は、今はみんな大丈夫。 最近、長門さんがいっつも言うんだ。 ”新しい提督を迎えるんだ”って。 名前までは聞いたことないけど・・」

 

秦が弥生を抱きしめた。

 

「弥生、辛かったな。 同じ提督として、謝罪させてくれ。 ごめんな。」

 

と。 そして、

 

「提督と艦娘の関係が悪いと、いいことは起こらないから。 これからは、そんなこと、ならないようにするからな。」

 

「うん。 皐月や卯月を見て、ちょっと安心してるんだ。 期待してる。」

 

そう言って、秦の胸に頬を摺り寄せていた。

 

 

7人は港に来た。

そこで秦からの指示が飛ぶ。

 

「まず、朝霜からだ。 次に卯月、皐月、弥生の順にドックに入れてくれ。」

 

【りょうかぁあい】

 

何とも緩い返事だ。

四隻がゆっくりとドックに入ってきた。

所定位置に付くと、ゲートが閉じられ、排水が始まった。

 

「ドック内排水開始!」

 

水位が下がっていく。

船台に正しく乗っているか、確認しながら、少しずつ排水する。

 

「位置よし、続けて排水!」

 

船台に乗っているようだった。

ドック内の水が全て排水された。

これで四隻は陸に上がった魚であった。

 

「では、後は、作業をよろしく。」

 

といって秦たちは執務室に戻って行った。

 

「でも、鳳翔さん、お母さんの船は?」

 

「ほぼ船体の改修は終わっていて、武装関係が残っているだけなんだ。 ほら、向こうに居るよ。」

 

と秦が指した先に、航空母艦・鳳翔がいた。

既に海上にいて、甲板上で作業が行われているようだった。

 

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