Family of Seven ~ハズされ者の幸せ2~ 作:鶉野千歳
訓練も佳境に入ってきたが、そこで新たな訓練を考えていた秦。
そこに睦たちの委員長がやってくる・・
委員長
「おっはよー!」
皐月が五人のうち、一番最初にクラスに入ってきた。
その後ろに四人が続く。
【おはよーー】
クラスに居た女子から返事が。
男子からも返事が、聞こえる事もある。
六月になって、制服は夏服に替わっていた。
セーラー服は、長袖から白の半袖に替わっていた。
セーラー衿は、紺に白三本ラインのままであった。
スカーフも白から水色に替わっていた。
今年からスカーフは水色なのだそうだ・・・
当然、夏仕様なので、生地は比較的薄い。
また、スカートも冬用から夏用に替わった。 よーく見ると、透けて見えるかな?という程度に透けている。
上衣もスカートも、各個人の名前入りだ。
名前の刺繍を入れるのは大変だ、と鳳翔が嘆いていたが・・・
そうそう。 スカートの丈は、既製品より10cm、短くなっていた。
朝霜と皐月が、5cmでは足りない!と抗議したことに始まる。
「ねぇねぇ、やっぱり、短い方がいいよお・・ お母さん、なんとかならないかな??」
「そんなに短くして、どうすんだよ? 他の子たちは、短くしてないだろ?」
「そうよ、そこまで短くしなくてもいいんじゃないの?」
「それはそうだけどさ・・ やっぱ、ファッションだし。 ねぇねぇ・・・」
とおねだりが収まらなかったため、相談した結果、+5cmの10cmと相成ったのだが。
スクール用のプリーツスカートは、動きやすい事が第一だから、足の動きに制約を与えない。
それこそ、スカートを穿いたまま、開脚だって出来てしまう。
それでも、スカートを穿いて、クルリと1回転するとふわりとスカートがひろがる。
夏用は冬用よりも軽いから、余計だ。
「わおっ。 ちょっと、見えちゃう?」
と平然と言う。
「これ! 慎みを持ちなさいって常々言ってるでしょ!」
まったく、もう! と呆れる鳳翔であった。
「いい? スカートに注意する事! 分かった?」
と皆に何度も念押しするのだった。
◇
クラス全員が夏服になると、一気に雰囲気が夏!になる。
季節的には、まだまだ梅雨なのだが・・・。
それでも、それだけでも気分はだいぶ違う。
ただ・・・
「この上衣って、下着が透けるよねぇ・・・」って。
だいたい、夏の制服って、生地が薄いから、下着のラインがうっすらと透けて見える。
ここの学校では白セーラー服のため、背中が若干、透けるのだった。
中学1年であれば、ブラジャーをしている子もいれば、タンクトップの子も、キャミソールだけの子も。
女子の意見は・・・
「透けるのは、ちょっとやだねぇー」だ。
だいたいは白だが、白以外だと、そこそこ目立ってしまう。
だが、透ける事を喜ぶ奴らも要る・・
男子たちだ。
これくらいの年齢になると、やっぱり、異性を気にし始めてしまうのだろう。
女子たちは特に、
「男子の視線、なんか、やらしー」
と言うのが定番だった。
もちろん、男子全員がやらしい、と言うわけではなかったが。
◇
クラスで席に着く五人だが、五人とも”楠木”姓を名乗っているため、五人の席は近い。
朝霜、卯月、皐月、睦、弥生の順だ。
学校では、鳳翔の監視の眼が無いため、スカートを気にしない朝霜。
今日もいつものように、椅子の上で胡坐を掻いていた。
「朝霜ちゃん、またぁ・・・ いっつもお母さんに言われてるでしょ? スカート注意って。」
と注意するのは皐月だ。
「え? いいじゃん、いいじゃん。 見えるわけでもないしさ。」
とケケケと笑ってる。
「朝霜ちゃんは背が高いのに、スカート短いから、うーちゃん達よりもミニに見えるんだよねぇ。」
「そうだよ。 先生たちからは、”短いだろう?”って散々言われるし。 なんなら、見せようか?」
と言ってスカートを自ら捲った。
!!
パカーン!!
「もう! 朝霜ちゃん!!」
と睦が朝霜の頭をはたいた。
「イテェ!!」
頭を押さえる・・・
「あ、あにすんだよ! 睦ちゃん?」
「ここでスカートを捲らないで! ほらぁ・・見てみなよ? 廻りの男子達のいやらしい視線・・ まったく、もう。 お母さんに言いつけるよ?」
呆れる睦。
「あ。 それ勘弁して。 お願い!! お母さんに言わないで。」
バツの悪そうな朝霜が、睦にお願いポーズだ。
「で、でも、ちゃんとハーフパンツ穿いてるからさ。 捲っても・・・・」
ゴン!!
「イッテェ!」
今度は、睦が握りこぶしで、朝霜の頭を殴っていた。
再び、頭を押さえている朝霜・・・
「もう、そう言う問題じゃないでしょ! 帰ったら、お母さんに言ってやる。 絶対、言ってやるんだからね!!」
「あ、冗談、冗談だよ。 マジでそれだけは止めて! マジマジ! ねぇ、お願いだよ?」
うっ。
睦が、睦の目が、冷たかった・・・
目を細めている睦・・
視線が・・・冷たい・・・
「そ、その目は・・ い、痛いよ? 冷たいよ? む、睦ちゃん・・・」
おろおろとする朝霜。
はあああっと盛大に溜息を付く睦。
「まったく。 何回言ってもダメなんだね。 今度しでかしたら、お母さんのご飯、抜きね?」
「え? そ、それ無し! それ絶対なしだよ! お母さんのご飯、抜かされたら、あたい餓え死んじゃうよ~。」
ゴメン、ゴメン、と睦に謝り続ける。
朝のホームルームまでの時間が、朝霜の謝罪の時間となっていた。
「じゃあ、ちゃんとお母さんとの約束、守れる?」
「うん、守る、守るよ!」
「約束だよ!」
と、睦が左手を腰にあて、右手人差し指で、朝霜の顔を指して言った。
「最近の睦ちゃん、まるでお母さんみたいだよね?」
そう言うのは皐月だ。
「うん。 小さいお母さんが居るみたい・・・」
とは弥生だ。
「しょうがないにゃし。 父さんとお母さんから、みんなの学校での生活ぶりを聞かれてるし。 ”ちゃんとやってる?”って。」
「朝霜ちゃんは、正直だからすぐに態度に出るぴょん。 ある意味、かわいそうぴょん。」
「卯月ちゃん・・・ 分かってくれるかい。 しくしく・・・」
泣き真似をして見せる朝霜だが・・睦はもちろんのこと、皐月、弥生の視線が・・・ 乾いた視線だった。
「な、なんだよぉ、三人してその視線わ! あたいは悲しい!」
ついには、
「ホントにご飯、抜こうか・・」
とマジで言われる始末だ。
そうしているうちに、ホームルームの時間となっていった。
◇
授業の合間の休み時間、一人の女子が睦に近寄ってきた。
このクラスの学級委員長をしている圭子だ。
「ねぇ、楠木さん。 あなたの”家”って、海軍の相生警備部だよね?」
「およ? そうだよ。 あたしたちの”家”だけど?」
「お父さんは提督さん?」
「うん。 そうだよ。」
「じゃぁ、みんな、艦娘なの?」
「およ? みんな?」
「あなたたち、楠木さん、五人とも。」
そう聞いてきた。
その会話を聞いていた朝霜が口を挟んだ。
「ん? 艦娘かい? そうだよ。 あ、睦ちゃんは違うよ。 あとの四人はそうだけど?」
「え? 睦ちゃんは違うんだ・・・」
「ウチのお母さんも艦娘だよ。」
「え?? お母さんも??」
そこんところは、マジで驚いていた。
「そ、そうなんだ。」
「で、委員長、どうしたの?」
と皐月。
「うん・・ 実はね、私にはお姉ちゃんがいたの。」
「お姉ちゃんが、いた?」
皐月が聞き返す。
「そう。 いたの。 3年くらい前まで。 艦娘になるって言って、家を出ていったの。」
「それで?」
「お姉ちゃん、”青葉”って言うんだけど、知らないかな? ウチの父さんや母さんには、連絡が来たことがあるらしいんだけど、私には教えてくれないんだ・・。 だから、同じ艦娘だったら、知ってるかなって・・・。」
「あ、そういうことね。」
「確か・・ 去年までは、確か大湊にいたハズだよ。 ボクらは今年になってから、相生警備部への配属だから、最新の情報は分かんないんだ。」
「そう・・ 去年まで、大湊に・・」
視線を落として、呟くように答えていた。
「委員長? どうしたの?」
「あ、ごめんね。 そっか・・。」
ちょっと気になった睦が聞いてみた。
「ねぇ、委員長? 会いたいの?」
と。
圭子は、静かに頷いた。
「私は、お姉ちゃんに、会いたい! でも・・ でも、父さんや母さんは、何も教えてくれないの・・・」
俯いたままの圭子だったが、顔を上げて・・
「だから、知っていたら、教えて欲しくて・・」
「・・・わかった。 じゃぁ、父さんに聞いてみるよ。」
と答えたのは睦だった。
「え? いい、の?」
「うん。 なんなら、今度の休みの日、ウチに来る? 父さんに直接聞いてみるのもアリかもよ?」
と睦が応えた。
「「お、そりゃあ、いいかも。」」
「うん。 ありがと。」
と、今度の休日に、圭子が警備部に来ることになったのだった。
◇
艦娘・・・とは言え、普通の人である。
であるが、ちょっと変わった能力があるだけなのだ。
人々の中には、”妖精”が見えて会話が出来、”艦”と精神同調が出来る艦娘を、人ならざる者として見ている輩も、少なからずいるのも確かだった。
それを、気持ち悪い、表する輩も。
圭子の両親も、そういう輩たちの部類かもしれなかった。
秦は、そんな事を聞くと真っ先に飛んで行って、以前は鉄拳によって沈黙をさせたこともあった。
今は、説得に切り替えたようだが。
もちろん、睦や朝霜、皐月らも、そう思われている事は知っている。
知った上で、深海棲艦と戦っている。
彼女たちの境遇からすれば、理不尽極まりない状況だ。
だが、そんな事はお構いなし! として普段から生活している皐月たち。
はっきり言って、気にしていたらなんにもできないから。
だから、普段通りに日々を過ごしているのだった。
皐月らの”父親”たる秦は、彼女たち艦娘を無碍に扱う事はしないし、することは無かった。
秦は、彼女らを一人の人間、女性として見ていた。
何にせよ、秦の妻は”艦娘”の鳳翔なのだから。
相思相愛の二人なのだ。
秦と鳳翔、この二人を見ている限り、まったく普通の夫婦としか思えないのだった。
いや・・ 少々、いや、多々、イチャイチャが過ぎるのだが・・・
◇
そんな秦に、圭子が聞きに来るという、休日になった。
「えっとぉ、睦に皐月? その学級委員長は何時ころに来るんだい?」
「特に決めてないんだけど、お昼前には行くねって。 ね? 睦ちゃん。」
「うん。」
「そうなの? じゃぁ、お昼はウチで食べてもらいましょ。」
と鳳翔が言った。
時刻が1100頃になって、一人の女の子が玄関にやってきた。
「ごめんください。」
「はあーーい。」
と言って鳳翔が出迎えた。
「あら、いらっしゃい。」
「あの、睦ちゃん、皐月ちゃんは居ますか?」
「ええ。 いるわよ。 ちょっと待っててね。 睦ちゃーん、皐月ちゃーん!! お客様よー!」
「「はぁああーーい!!」」
どたどたと足音が奥から聞こえてきた。
「「あ! いらっしゃい、委員長! ようこそ警備部へ。」」
と睦と皐月が出迎えた。
「さ、入って。」
と、二人は手を引いて執務室まで案内していった。
「お、おじゃまします。」
と言っておずおずと睦に案内されて入ってきた。
「いらっしゃい。 どうぞ、座って。」
ソファーに案内されて、圭子らが座った。
提督席から秦がソファーまでやってきて、圭子と向い合せになる格好で座った。
そこへ「どうぞ。」と鳳翔がお茶を持って来た。
「じゃあ、みんな、座ろうか。」
と秦が促す。
8人が座るには、ソファーは少なかったので、椅子を持ちこんで全員が座った。
「父さん、この子が前に話した学級委員長の圭子ちゃん。」
「始めまして・・」
「圭子ちゃん、ここの司令官で提督の私たちの父さん。 で、こちらの和服の女性が私たちのお母さん。」
「こんにちは。 父親の楠木 秦です。 よろしくね。」
「こんにちは。 鳳翔と言います。 よろしくね。 あ、お茶、冷たいうちにどうぞ。」
「あ、はい。 いただきます。」
ゴクッっとお茶を飲んだ。
「で、今日の赴きは・・・ お姉さんの居所を聞きたいという事だけれども、それでいいのかな?」
「は、はい。 父さんにも母さんにも聞いたんですけど・・ 教えてくれなくて。」
「そうか。 話す前に、君は・・ 艦娘をどう思ってるのかな?」
「え? 艦娘、ですか?」
「うん。」
「私は・・ 艦娘は人です。 私と同じです。 そりゃ、ちょっと変わったところもあるけど、人に違いはありません。 そう、思います。」
「ありがとう。 そうだね。 艦娘とは言え普通の人だね。 ・・だから・・互いを信頼し合えるのだと。」
そう言って鳳翔を見つめた。
「この鳳翔は、まだ艦娘だ・・・ だけども、私の妻でもある。 私の最愛のね。」
それを聞いて、頬を赤める鳳翔・・。
「もう。 お客さんの前でもラブラブ度満載なんだからぁ・・。」
「まったく、恥ずかしいったら、ありゃしないんだから。」
と、こども達からのクレームが入るのだった。
「ま、まあ、お前たちの事も愛しているよ。」
とウインクして見せた。
された方も、頬が赤くなるのだった。
秦は、改めて圭子を見て、
「ホントは軍機なんだけど、そう思ってくれる君になら、包み隠さず話そうか。」
「あ、ありがとうございます!」
「君のお姉さん、青葉と言ったかな? 青葉は、去年まで大湊に配属されていたんだが、本年度初めの配置換えで、大きく変更があったんだ・・ で、今はっと・・」
秦は、全国の配置表を捲っていた。
「あったあった。 ここかぁ。 今は呉に居るね。 重巡洋艦だったか。」
「呉、ですか?」
「ああ。 呉の鎮守府所属になっているよ。」
そう言って配置表を見せた。
ホッと溜息をついて、小さく「良かったぁ。」と。
その姿をみて、
「会いたい?」
と秦が聞いてみた。
「え? 会えるんですか?」
「ああ。 もちろん、すぐっていう訳にはいかないけど、ね。」
「どうするの、父さん?」
と聞くのは皐月だった。
「実は・・ みんなの訓練に、実際の潜水艦を使ってみたくてね。 前から検討していたんだ。 その際の派遣に、1隻、随伴を付けようと思ってたんだよ。」
そこまで言うと、鳳翔は気付いたらしく、
「! その随伴に、青葉ちゃんを指名するんですね?」
「ああ。 潜水艦は、呉に居る子を指名するつもりだったし、これなら一石二鳥だろ?」
と言って、ニヒヒと笑いが見える顔をしていた。
「あ、ありがとうございます! やたっ、やっとお姉ちゃんに会える!」
と言って、うっすらと涙が見て取れた。
「君は・・ お姉ちゃんのこと、好きかい?」
「はい。 大好きです! 小さいころ、お姉ちゃんに遊んでもらいましたから。 私、お姉ちゃん子だったんで・・・。」
「そう。 決まったら、睦たちを通じて連絡するよ。 それでいいかな。」
「はい!」
【よかったね。】
と言って笑いあう、こども達だった。
◇
「あら。 もうお昼の時間ですね。 お昼ご飯にしましょうか。」
時刻は1230。
お昼にはちょうどいい時間になっていた。
「圭子ちゃんも食べていくよね?」
と皐月が圭子に聞いた。
「あ、じゃぁ、遠慮なく・・・」
「じゃぁ、みんな食堂に行きましょ。」
と鳳翔。
今日のお昼は、オムライスだった。
鶏肉と玉ねぎ、グリーンピースが入ったケッチャップライスを、金色の卵に包んだ、オムライス。
ソースは、ケッチャップにウスターソースを混ぜ込んだ、ケッチャップソース。
ちょっと色の濃い、ケッチャップソースに仕上がっていた。
付け合せに、ブロッコリーなどの温野菜。
白いお皿に、黄色と赤と緑が映えていた。
「はい、召し上がれ。」
【わぁぁ。 美味しそう!】
六人がほぼ同時にオムライスを食べ始めた。
「んん、ケッチャップライス、美味しー。」
「ホント、美味しいね。」
「ケッチャップソースも、ちょっと味が濃くていい感じ!」
「金色の薄い卵を割ると現れる赤いご飯! うま!!」
さすが、鳳翔のご飯である。
六人は、美味しそうに、たいらげていく。
そして・・
「お母さん、おかわり!!」
そう言ったのは、朝霜だ。
「はいはい。 ちょっと待っててね。」
「おい。 あんまり食べすぎるなよ? またこの間みたいに、お腹を押さえて苦しまないだろうな?」
「大丈夫だよ。 控えめに食べてるから。 でも、もうちょっと欲しいんだよねぇ。」
「はい。 おかわりよ。 さっきより、小さくしたからね。 これでいい?」
「ありがとうお母さん。 あ、これカワイイ大きさ!」
「ねぇ・・ 睦ちゃん? あなたたちって、いつもこうなの?」
と圭子が不意に睦に聞いてきた。
「およ?」
「学校でも、朝霜ちゃん、賑やかだけど。 それに、ご飯、美味し・・・」
「あ、朝霜ちゃんは、いつもの通りだよ。 学校でも家でもね。」
そう答えるのは皐月だ。
「ご飯が美味しいのは、お母さんの手料理だからぴょん! その辺のお店より美味しいぴょん!」
「へぇー、そうなんだ。 でも・・・みんな、仲がいいんだね。」
「当然じゃん。 同じ釜の飯食って、同じ部屋で寝て、裸の付き合いもして・・・」
ゴン!
「イッテェ!」
睦の握りこぶしが、朝霜の頭を殴っていた。
頭を押さえる朝霜・・・
「もう! 乙女の話す言葉じゃないでしょ!!」
「な、何がだよぉ。 いちいち殴らなくてもいいんでなぁい?」
「こうしないと、言う事聞かないでしょ、朝霜ちゃんは?」
「わあーったよ。」
そのやり取りを見ていた圭子が、フフフッと笑った。
「ホント、みんな仲良いのね。」
「そうだよ。 ねー?」
「はははっ。 圭子ちゃん、これからもウチの子たちと仲良くしてくれるかい?」
笑いながらではあったが、秦がお願いをした。
「はい!」
元気な返事だった。
六人で顔を寄せて、笑っていた。
圭子は、連絡をもらう事を約束して、帰って行った。
帰って行く姿を見ながら、秦が言った。
「お前たち。 友達はたくさん作れよ。 艦娘だ、人だ、関係ないからな。 ともかく。 笑いあえる友達をたくさん、な?」
「あったぼうジャン! そうでなかったら、あたいが殴って・・・」
ゴン!
またもや、睦の握りこぶしが、朝霜の頭を殴っていた。
「イッテェ!」
頭を押さえる朝霜・・・
「もう! すぐ人を殴ろうとする。」
「殴って無いじゃん! 殴ってやろうって・・・。 って、それより! 睦ちゃんの手、段々早くなってない?」
「朝霜ちゃんだからいいんだよ。」
「なんで、あたいならいいんだよ?」
「なんでって、いっつもくっだらない事いうからでしょ。 ね、みんな?」
皐月、弥生、卯月の三人が、言葉は発しないものの、大きくウンウンと頷いていた。
「あーーー!! みんな、ひどっ!! あたいは悲しいよぉー! しれーかん、慰めてぇ!」
とかいいながら、秦に抱き着いて、頬をスリスリしていた。
その顔は、悲しむどころか、にへへと笑っていた。
「さあ、入りましょ。 今日はゆっくり休むんでしょ?」
鳳翔の一言で、はあーーいっと、みな建物に入って行くのだった。