Family of Seven ~ハズされ者の幸せ2~   作:鶉野千歳

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いよいよ相生での生活が終わりを迎え、次の任地へと向かう楠木家。
さてさて、どうなりますやら・・


さよなら! と こんにちは!

ついに、相生を後にする日が明日となった。

睦たちの転校の手続きは既に秦が行った。

警備部のご近所さんへの挨拶も鳳翔が行った。

各人の荷造りもほとんどが終わり、明日の学校の終業式で持って帰ってくる荷物と明日の朝まで使う道具類だけとなっていた。

夕刻、各艦の点検・整備が終わった、と報告をするために、執務室にやってきたこども達。

 

「しれーかん、みんなの艦体の整備、点検が終わったよ。」

 

「おお。 お疲れさま。 みんな、ご苦労だね。 空母・鳳翔は既に昼間にやったから、これで全艦の整備・点検が終わったね。」

 

「みんな、お疲れ様ね。」

 

「でも、父さん、この部屋の機械類はどうすんの? 荷造りしてないし・・」

 

「これね? 置いていくんだよ。」

 

「へ?」

 

どういう事、と言いたそうな顔する皐月だ。

 

「大丈夫なの?」

 

「じゃぁ、誰か後にくるの?」

 

「ん? ここには誰も来ないよ。」

 

「は?」

 

更に怪訝そうな表情をする睦たち。

 

「ここに置いておけば、軍の工兵さんが来て片付けてくれるんだよ。 全部、綺麗さっぱりとね。 必要な物はリストアップしてて、当日中に呉に運んでもらう事になってるし。」

 

「そうなんだ。 だから荷造りしたのは、少なかったんだ。」

 

ふーーんっていう雰囲気が漂う。

 

「明日は、終業式から帰ってきたら、そのまま出港するからね。 朝には最後の荷物をまとめておいてくれよ。」

 

【ほーーい!】

 

何とも締まらない返事だ。

そして、夕食。

冷蔵庫の食材も残り少なくなっていたが、明日の朝食とお弁当の分を残して全て使ってしまおう!と頑張る鳳翔だったが・・

食堂のテーブルに並んだのは・・

具だくさんの豚汁、牛挽肉のミンチカツ(メンチカツだね。)、いろいろ野菜の温野菜サラダ、なぜかアジの南蛮漬け。

ご飯も、キノコいっぱいの炊き込みご飯。

温野菜サラダのドレッシングは、明太マヨだった。

 

「さあ、召し上がれ。」

 

【いただきまぁぁっす!】

 

いい匂いの炊き込みご飯。

汁より具の方が多い豚汁。

それだけでも十分に美味しいご飯なのだが、残り物の材料とは言え、鳳翔の料理だ。

旨いに決まっている。

はずれは無い。

みんなの顔は、凄く満足そうだった。

 

「いつも、美味しいご飯ありがとう、お母さん。」

 

「あら、ありがとう。 珍しいわね。 どうしたの?」

 

皐月がちょっと俯きながら答えた。

 

「だってぇ、今日がここでの最期の夕食でしょ? お母さんに感謝しておかないと、と思ったんだ。 ・・でも、呉に行ったら大食堂でしょ? そしたらお母さんのご飯、食べられないなって思ってさ・・」

 

秦は、なんだ? と思ったが、秦より早く、

 

「まぁ。 向こうに行ってからも、作ってあげるわよ?」

 

と鳳翔が答えていた。

 

「ほんと? 食堂じゃなくても?」

 

「ええ。」

 

にこやかに答える鳳翔だった。

やった! と笑顔になるこども達。

元気を取り戻していた。

まったく、げんきんなこども達であった。

その後、秦も鳳翔の料理をおいしく頂くのだった。

 

 

翌朝。

いつものように鳳翔が一番に起きてきた。

桜色の着物に、紺色の女袴を穿き、白いハイソックス。

袴の結びは、乙女結びだ。

今は、着物の上から割烹着を着ている。

ここでの調理もいよいよ最後となるのだ。

みんなの朝ご飯を用意し、昼食用のお弁当も作るのだ。

今日は、秦もこども達も、誰からも起こされることもなく、0615に起き出してきた。

既に身支度は終えている。

食堂のテーブルに七人が座って朝食となるのだが・・

ご飯、味噌汁、焼き魚、卵焼きではなくハムエッグ、サラダにお新香だ。

今日もいつものように、賑やかな朝食風景だった。

 

「お母さん、おかわり!」

 

とは朝霜だった。

 

「今日も、元気ね。」

 

「あったぼうじゃん! いっぱい食べて、遊んで、だよ。」

 

「今日は、終業式だけだから、午前中で帰って来るね。」

 

「うん、わかった。 荷造りは、あとちょっとだし、みんなが帰ってくるまでには、運び終えてると思うよ。」

 

「うん。 残ってても、みんなで手伝うよ、父さん。」

 

そんな会話がなされていても、みなしっかりと朝ご飯を食べた。

睦や皐月らは最後の荷造りをして、玄関にやってきた。

秦と鳳翔が見送るのだ。

 

【じゃ、行ってきます!】

 

「気を付けてね。 行ってらっしゃい。」

 

と互いに手を振って。

こども達を見送った鳳翔と秦。

鳳翔は、お弁当作りにかかった。

秦は最後の荷造りと、こども達の荷物の搬出だ。

既に、冷蔵庫の食材はわずかで、お弁当を作ってしまえば、ほぼ全てを使い切ることになる。

いつぞやの重箱に詰めていく。

ご飯は、おにぎりにした。

ごま塩結びと、中身の具に、梅、おかか、しぐれ煮を入れたお結び。

ローストビーフに根菜の煮物、鶏もも肉の塩焼き、人参のグラッセ、野菜のフライ(素揚げね。)などなどを作った。

重箱は四段にもなった。 具だくさんのお重だ。

秦も、最後の荷物を運び終え、執務室に帰ってきていた。

 

「ふう。 これで全て運び終えたな。」

 

「はい。 おつかれさまです。 こっちもお弁当は出来ましたよ。 食器類も必要分は詰めちゃいましたし。」

 

「そうか。 あとは、あの子らを待つだけだな。」

 

建物で、今、窓が開いているのはここ一階の執務室だけとなっていた。

夏の暑い空気のなか、海風が吹き込んで、いくらかは涼しく思えるが・・

首に手拭いを掛け、じんわりと汗が染み出るのを拭いていく。

秦と鳳翔は、誰もいない執務室の窓際に立ち、外を見ていた。

庭には、二人で暇つぶしに作った家庭菜園があった。

ここで摂れた野菜は食卓に並んだものだった。

互いに、手をとり、指を絡めていた。

 

「短かったけど、楽しかったな。」

 

「はい。 楽しかったですね。 呉でも、楽しく過ごせればいいですね。」

 

「ああ。 鳳翔、ここでの事、いろいろとありがとう。 改めて言わせてもらうよ。 それと、これからもよろしくね。」

 

鳳翔に向いてニコリとする秦。

 

「何を言うかと思えば。 私も、これからもよろしくお願いしますね。」

 

秦に向いて、微笑む鳳翔。

お互いが向き合い、口づけをする。

数秒間、いや十数秒か。

いつになく、長い口づけを交わす二人だった。

 

「もう。 大好きですよ、あなた・・。」

 

「俺も、大好きだよ。 鳳翔・・。」

 

そう言って抱きしめあった。

 

 

時計は1000になろうとしていた。

遠くから、わいわいと声が聞こえてきた。

どうやら終業式を終えて、帰って来たみたいだ。

 

「帰って来たみたいだな。 ん? 人の声が、多いような・・」

 

「確かに、うちの子の五人以上の声がしますね。」

 

最後の荷物とお弁当を持って、玄関に向かう二人。

 

【ただいま!】

 

帰ったよ! と元気な声だ。

 

「お帰り。 みんな、お疲れ様。」

 

「へへへっ。 元気なのは確かだね。」

 

「で、後ろにいるみんなは?」

 

「うん、みんな、見送りに来てくれたんだ。」

 

「えっ、そうなの?」

 

「はい。 最後くらい、みんなで見送ろうって話になりまして。」

 

と説明するのは、学級委員長の圭子だった。

 

「そう。 それは、ありがとう。」

 

そう言いつつ、警備部の戸締りをして、桟橋に向かう。

秦、鳳翔に続いてこども達五人と見送りの生徒達が続いていた。

睦、皐月、卯月、弥生、朝霜は、第一中学のセーラー服のままだ。

着替えるのがめんどくさい、という一言で、セーラー服のままで行くことにしたのだった。

睦月型のセーラーでもなく、だ。

秦は、その辺は、各人に任せたのだった。

睦、皐月、卯月、弥生、朝霜は、成績表の入った学生鞄を持っている。

秦は、最後の荷物を、鳳翔は、お弁当を抱えている。

艦の手前まで来て、

 

「じゃあ、ここで。 みんな、今までありがとう。」

 

「圭子ちゃんも、みんなも元気でね。」

 

「睦ちゃんも皐月ちゃんも、卯月ちゃん、弥生ちゃんも元気でね。 朝霜ちゃんは元気いっぱいだろうけど。」

 

「なんだよ、それ。 ま、あたいはいつでも元気だぜ。」

 

【じゃぁね! ばいばい!】

 

と言って皐月、卯月、弥生、朝霜が各自の艦に乗り込んでいく。

 

「それじゃぁ、俺たちも行くか。」

 

「ええ。」

 

秦、睦、鳳翔が、空母・鳳翔へと乗り込んでいく。

暫くして、舫を解いて、各艦の機関が始動し始める。

 

「こちら、朝霜! 出港準備完了だよ!」

 

「こちら、皐月! 同じく、完了。」

 

「うーちゃんも、完了ぴょん!」

 

「弥生、出港準備完了。」

 

「よし。 鳳翔?」

 

「はい。 空母・鳳翔、出港準備完了しています。」

 

そして、

 

「では、朝霜を先頭に、各艦、出港!」

 

と秦が指示をだす。

 

「了解! 駆逐艦・朝霜、出るよ! 前進微速!」

 

朝霜に続いて、皐月、卯月、弥生が動き出した。

 

「次、ボクだね。 駆逐艦・皐月、出るよ!」

 

「弥生、出ます。」

 

「あーーん、うーちゃんも! 置いてかないで~。」

 

桟橋ではクラスのみんなが手を振っている。

 

「元気でねー!!」

 

「ばいばーい!」

 

各艦の窓から各自が手を振り返す。

 

【みんなも元気でねー! さよならー!】

 

四艦が桟橋を離れ、微速で進む。

最後に鳳翔だ。

 

「提督、行きます。」

 

「了解だ。」

 

「空母・鳳翔、前進微速!」

 

徐々に速度を上げる。

デッキで手を振る睦。

 

「さよーならー!」

 

睦の隣で帽子を振る秦が居た。

 

「いろいろと、ありがとうございましたー!」

 

各艦が汽笛を鳴らした。

別れを惜しむかのように、最大ボリュームだ。

全艦が微速ではあったが進み、徐々に桟橋が小さくなる。

そこにいるクラスメイトも小さくなっていく。

湾内を南に、左舷の筏を見つつ進んだ。

 

「各艦、湾の外で単縦陣を組む。」

 

と指示を出す秦。

相生湾を出ると、もう、桟橋は確認できなくなった。

 

「針路、呉鎮守府だ!」

 

【了解!】

 

湾の外で陣形を組んで速度を上げていく。

ついに、ここ相生湾での生活が終了した。

次は、呉だ。

期待と不安とが入り混じった思いで、船が進んでいく。

 

 

第一対潜駆逐艦隊、旗艦・鳳翔を始めとする計5隻の艦隊は、相生湾沖で単縦陣を組んだ。

先頭は、朝霜。

二番艦に、皐月。

三番艦に、卯月。

四番艦に、弥生。

殿に、鳳翔。

艦隊速度は14ノットとやや早めだ。

艦隊が相生を出港するのと同じころ、姫路の飛行場にいた、鳳翔の各飛行隊も移動を開始した。

移駐先は、岩国だ。

各小隊単位に、順次飛び上がって、西へ、岩国へと飛んで行くのだが、やや南に進路を取っていた。

 

「飛行隊が本艦の上空を通過します!」

 

見張妖精からの報告だった。

”上空”のはずが、空母・鳳翔の艦橋のすぐ上まで下りてきていた。

艦隊の上を、最大速力で通過していく。

 

「うわっ!」

 

「びっくりするなぁ、もう。」

 

驚く朝霜たち。

それをみた秦が、

 

「なんだ、トップガンごっこのつもりか?」

 

と少々怒り気味だ。

 

「まあ、そのようですね。」

 

と鳳翔が呆れたように答えていた。

さらに、

 

「後で叱っておきます。」

 

と続けたが、

 

「しょうがない連中だなぁ。 ま、今回だけは、大目に見よう。」

 

と秦。

 

「すみません・・」

 

と項垂れる鳳翔だった。

結局、飛行隊全機が通り抜けていった。

艦隊は相生湾から南南西に針路をとり、家島の西を抜けて小豆島の東をすり抜けるような航路を選んだ。

小豆島の風ノ子島の東を抜け、大角鼻の岬を右に見て回る。

ここで艦隊は、坂手港に向かう。

以前は、接岸したが、今回は沖合で停船する。

各艦を寄せ、各人が空母・鳳翔に集まってくる。

 

「来たよ!」

 

「それじゃぁ、お昼にしようか。」

 

そう。 お昼ご飯だ。

今日のお昼も鳳翔お手製のお弁当だ。

ごま塩結びと、中身の具に、梅、おかか、しぐれ煮を入れたお結びだ。

ローストビーフに根菜の煮物、鶏もも肉の塩焼き、人参のグラッセ、野菜のフライ。

四段の重箱は、具だくさんのお重だ。

あまり時間をゆっくりと取れないから、30分だけだった。

慌ただしい昼食だったが、お弁当は、美味しく頂いた。

 

「あー、美味しかった。」

 

「やっぱり、お母さんのご飯は美味しいね!」

 

お重は、すっからかんになっていた。

しばしの休憩の後、再び単縦陣で進みだした。

 

「さぁ、夜までには呉に着きたいから、ちょっと急ぐよ。 いい?」

 

【了解!】

 

その後、小豆島の南を西に向かって過ぎ、男木島の北を通過する。

この辺りは、高松-土庄を主とする連絡船が多数運行されている。

五隻分の艦隊は、前後が長くなっているので、横切る船に注意が必要だ。

 

「皐月の後ろを、北から連絡船がすり抜けるよ!」

 

「朝霜から、各艦へ。 対向する大型船あり。 注意されたし。」

 

対向する船から、手を振られることもあった。

播磨灘から広島までの間は、そんなに軍の艦艇が、しかも艦隊で航行することは、珍しかったから、近くの漁船からも、手を振られることもあった。

男木島を過ぎ、右手に直島が大きくなる。

直島を過ぎると、宇高間の船が増えてきた。

先頭を行く朝霜から連絡が入った。

 

「正面に、障害物の反応あり。 どうやら、前方に見える橋の様なんだけど・・」

 

水上電探に映る、長い影が障害物を現すが、どうも反応が薄かったのだ。

 

「どれどれ。 おお。 瀬戸大橋だな。」

 

と秦が答えていた。

 

「「せとおおはし?」」

 

「ああ。 鉄道と道路の2層構造になってる橋だよ。」

 

本州側の下津井と四国側の坂出を結ぶ、大きな橋だ。

ただ、明石海峡大橋みたいに、単一の橋ではなく、いくつかの島を結ぶ橋が連なって、”瀬戸大橋”を形成している。

艦隊の目標は、”瀬戸大橋”の南側、南備讃瀬戸大橋だ。

この下をくぐるのだ。

秦は、艦隊速度を上げるよう指示を出した。

 

「艦隊速度、黒5。」

 

と。

この海域は西から東へと流れる潮の流れが速い。

牛島の南を過ぎ、高見島の北を通って、備後灘に入った。

南西に針路をとったまま、瀬戸内を進む。

しばらく進んで、しまなみ海道を成す、大島に近づいた。

大島の、四国側の来島海峡を抜けるのだ。

ここは、潮の流れが速く、機関出力を上げて通過するのだった。

 

「艦隊速度、さらに黒5。 潮流と付近の船に気をつけて。」

 

ここにも大きな橋が架かっている。

西瀬戸自動車道の、しまなみ海道だ。

ここは、自動車道路と、歩道がある。

本州側の尾道から四国側の今治まで、歩いて渡ることができる。

まあ、時間が掛かるんだけど。

四国の大角鼻を左にみて、更に西に向かう。

そこからは響灘になる。

再び艦隊速度を戻す。

やや南寄に進路を変え、艦隊が進む。

 

「ねぇねぇ、呉に入るには、何処を通るの?」

 

そう聞いてくるのは朝霜だった。

 

「何処って?」

 

「音戸の瀬戸を通るの? それとも早瀬の瀬戸? ひょっとして、江田島を廻るとか・・」

 

「まあ、早瀬の瀬戸を抜けるつもりだよ。 いい?」

 

「いいよ。 分かった。」

 

「音戸の瀬戸を通った方が近いんだけど、みんなは通れるけど、鳳翔が通れないからね。」

 

「そうだね。 音戸大橋は、私たちなら問題無いけど、お母さんの船は、引っかかるかもね。」

 

と言うのは弥生だった。

音戸の瀬戸に掛かる橋が、水面から二十数メートルしかなく、駆逐艦サイズなら余裕でくぐれるのだが、空母である鳳翔は、マストまで入れると30メートルを超える高さがある。

仕方なく、音戸大橋より高い、早瀬大橋の方を選ぶしかなかったのだ。

倉橋島を大きく廻りこんで早瀬の瀬戸を目指した。

大きな弧を描きながら、艦隊が進む。

右に倉橋島、左に能美島が近づく。

速度を落とし、ゆっくりと進む。

ただ、満潮ではないため、ソナーから探針音を発しながら進む。 水深を測りながら。

西北西に針路をとって、水道の奥まで進んでいく。

途中、早瀬の瀬戸に向けて、真北に針路を変える。

ここは、結構な急旋回を必要とする。

 

「まわりの小船に注意して! 左回頭するよ。 取り舵いっぱい。」

 

先頭を行く朝霜から順に左回頭をしていく。

 

「朝霜、回頭完了。 早瀬の大橋をくぐるよ!」

 

回頭し終わった朝霜が目の前の橋を見上げる。

 

「続いて皐月、回頭完了。」

 

各艦が順次、回頭して、橋をくぐる。

 

「うーちゃん、完了。」

 

「弥生、回頭完了。」

 

「提督。 全艦、回頭完了しました。」

 

殿の鳳翔の回頭が終わる頃には、先頭の朝霜が呉港を視認できるところまで近づいていた。

 

「朝霜、早速頼む。 派手にやってくれ。」

 

「了解だよ!」

 

ここで、秦が、朝霜に指示をだす。

呉港の監視所からの連絡が来る前に、

 

「こちら、第一対潜駆逐艦隊所属一番艦、夕雲型駆逐艦・朝霜。 ただいま呉に到着だよ!」

 

と発信。

 

「続いて、同じく二番艦、睦月型駆逐艦・皐月、到着!」

 

「うーちゃんも到着ぅ!」

 

「四番艦、睦月型駆逐艦・弥生、帰って来たよ。」

 

そして、最後に、

 

「第一対潜駆逐艦隊旗艦、空母・鳳翔、ただいま呉に到着致しました。 以後、よろしくお願いいたしますね。」

 

と発信する。

 

「こ、こちら呉鎮守府本部。 貴艦隊の到着を歓迎す。 投錨は江田島小用沖に向かわれたし。」

 

「了解。」

 

「みんな、小用沖よ。」

 

【了解だよ!】

 

小用沖に各艦が寄り添い、錨を下した。

ようやくの、呉に到着である。

秦にしてみれば、半年以上遅れての呉着任であった。

 




いよいよ呉での生活が始まります。
が、
「Family of Seven ~ハズされ者の幸せ2~」ですが、
一旦、ここでお休みに入らせていただきます。
ここまでお読みいただきありがとうございました。

次話以降、新たな家族を迎えて賑やかになる楠木家にご期待ください。
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