Family of Seven ~ハズされ者の幸せ2~   作:鶉野千歳

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呉に着任するも、やることはいっぱいの秦たち。
当面の整備に取りかかるが・・・


艦隊整備

執務室には、相生と同様に、既に通信関係、情報端末関係の設備は整えられていた。

この日の朝、早速横須賀の秋吉へと連絡を入れた。

 

「あい、、じゃなかった、呉の楠木です。 秋吉中将はご在席ですか?」

 

画面には秘書艦の赤城が出た。

 

「あら。 楠木提督。 秋吉提督ですか? 少しお待ちくださいね。」

 

赤城が秋吉に取り次いでくれるという。

しばらくして秋吉に変わった。

 

「お。 もう仕事を始めているのか、呉の楠木提督さん。」

 

「おはようございます、秋吉提督。 はい。 遊んでは居られませんから。」

 

「で、何用か?」

 

「はい。 楠木、大石ともに、現時刻を持って稼働状態になりましたので、ご報告を、と思いまして。」

 

「そうか。 了解した。」

 

「それと、中将にお願いがあります。 対潜駆逐艦隊も稼働状態に入りましたので、例の特殊攻撃弾の使用許可をいただきたいのですが。」

 

「あれか? そうだな・・ 分かった。 判断は貴様に任せる。 そっちの工廠でも製造可能なハズだ。 良きに使ってくれ。」

 

「はい。 ありがとうございます。」

 

「それではな。」

 

そこで通信が終了した。

秦が鳳翔に向き直し、

 

「鳳翔、対潜駆逐艦隊の各艦に特殊対潜攻撃弾の積み込みを指示しておいておくれ。」

 

と指示を出した。

 

「はい。 了解しました。」

 

「それと、広の工廠に連絡して、対潜及び対地攻撃弾の製造を始めるよう、手配をお願いできるかな。」

 

「はい。 では、書類を用意しますね。」

 

「ありがとう。」

 

さすがに息の合った会話である。

そこへ・・

 

「提督? その特殊攻撃弾ってなんなんですか?」

 

と聞くのは大石大佐だった。

 

「ああ。 特殊攻撃弾は2種類あってね。 一つは対潜攻撃弾だ。 主砲から放つ砲弾で、海面下に居る潜水艦を直接攻撃するんだ。 2つ目は対地攻撃弾で、戦艦の主砲から敵陸上基地の広範囲に子爆弾をばら撒くんだ。 ま、見た方が理解は早いとは思うけど。」

 

「そうなんですか。 軍はそんなのを開発してたんですか。」

 

「まあね。 構想は昔からあったんだ。 ただ、艦娘用艦船に対応出来なかったのさ。」

 

秦も人の案に乗っかっただけなんだが、と思っていた。

とは言え、秦が率いる第一対潜駆逐艦隊の各艦の主砲にこの対潜攻撃弾が搭載されることになった。

睦月型の、弥生、卯月、皐月は、艦の前後部に計4門の12センチ単装砲を装備していたが、相生での改造で、前後部に12.7センチ単装両用砲2基2門に取り換え、空いたスペースに25ミリ連装対空機銃を増備していた。

12.7センチ単装両用砲は、従来型の砲より発射間隔が短く、初速も向上していたし、なにより射程距離が伸びていた。

搭載されている魚雷発射管も酸素魚雷に対応させており、61センチ酸素魚雷を搭載している。

発射管は前後に4連装が1基づつで計8発。

朝霜は元々から12.7センチ連装砲を装備していたところに、対潜攻撃弾を搭載するのだった。

 

対潜攻撃弾・・・

艦砲から発射される砲弾で、弾頭が鋭く尖っているのが特徴だった。

砲身のライフリングによって回転しながら飛んでいく。

海面下20m程度までなら、船体に大きな損傷を与えられる。

もっとも、一撃で潜水艦を撃沈させることが目的ではなく、艦体に被害を与え、浮上させ、再び潜航できないようにすることが目的だ。

 

対地攻撃弾・・・

戦艦の艦砲から発射される砲弾で、目標地点の高度500から1000mでカバーが外れ、中にある子爆弾があたり一面にばら撒かれる。

弾頭は、通常炸薬のバージョンと、滑走路等の構築物を破壊できる成型炸薬弾とがある。

ただ、駆逐艦クラスの小口径砲には向かない装備だった。

 

また、第一対潜駆逐艦の各艦とも、搭載爆雷数は増加されていた。

もちろん、鳳翔の主砲にも対潜攻撃弾が搭載されることになった。

 

 

「さてと。 ここの艦隊編成も考えないとね。 で、現状で在籍しているものは?」

 

秦は、大石大佐と共に、整理を始めたのだった。

在籍一覧を見ながら。

まずは、秦が溜息を付きながら一覧表を見た感想を言った。

 

「うーん、戦艦など大型艦は、高練度だけど、軽巡洋艦以下の小型艦は総じて練度が低いなぁ。」

 

「それは、把握しています。 が、なかなか上がらなくて・・」

 

そう恐縮して応えるのは、大石大佐だ。

 

「ここの資材は、たんまりあるのに、改装や開発は行ってないのかい?」

 

「私が来る前までは、弾薬や主砲の開発は行っていたようですが、それ以外は、軽視されていたようで・・」

 

前任提督は、戦艦派で、空母、航空機、駆逐艦らを軽く見ていて、弾除けくらいにしか考えていなかったらしい。

大艦巨砲主義・・

一時代においては、それが主流だったが、今の時代は・・ 今の時代では全くの時代遅れの考え方だ。

 

「ま、そうだろうねぇ。」

 

溜息が大きくなる秦。

申し訳なさそうに説明する大石大佐だった。

 

「私への命令は、臨時という事でしたので、積極的に開発等は行ってきませんでした。」

 

「それで、提督さんはどうするの?」

 

と聞いてきたのは五十鈴だ。

 

「どう、と言われてもねぇ。」

 

腕を組んで考える秦。

しばらく考え込んでいたが・・

 

「大石大佐、君は・・ 君なら、どうする?」

 

秦は、逆に大石に聞いてみた。

 

「は? 私、ですか? 私なら、でよろしければ・・」

 

「ああ。 構わない。 君の意見を聞きたい。」

 

「では、申し上げます。 私なら、やはり練度の向上の為に、訓練を増やします。 それと艦載機の機種更新をやります。 とりあえず、手を付けるのはそこからかと。」

 

と、恐縮しながら答えるのだった。

 

「まあ、無難だね。」

 

確かに無難な案だった。

外れでもない。

まぁ、当たりとも言えた。

 

「は。 ありがとうございます。 では、提督は、いかにお考えですか?」

 

「うん、やることは変わりないけど・・ やはり、ここからだな。」

 

そう言って、鳳翔を見た。

 

「まずは、航空隊の機種転換だ。 九六式、二一型や九九式、九七式を更新する。 鳳翔、工廠に連絡して、補充機を廻してもらってくれ。 足りないだろうから、生産も依頼することになる。」

 

「はい。 了解です。 では、艦戦は、烈風、紫電改を中心に。 あとは流星と彗星、偵察機ですね。」

 

「ああ。 それぞれ200機近く必要となるはずだ。 確か、烈風は補充機があると思う。 俺の名前をフルに出しても構わないからね。」

 

「はい。」

 

「それで各航空隊の機種転換をしたとして、だな・・ 航空隊の訓練は、鳳翔の航空隊に訓練教官を頼みたい。 いいかな?」

 

「大丈夫です。」

 

「なら、みっちりやっておくれ。」

 

「了解しました。 月月火水木金金でやります。」

 

真剣な顔で返す鳳翔だが、その顔は、どこか余裕があった。

 

「その次は、水中聴音、水上電探、対空電探だ。 こっちは、大石大佐と五十鈴に手伝ってもらおうか。」

 

「了解しました。」「了解。 いいわよ。」

 

「出来れば、新型で艦数分揃えたい。 生産を工廠に依頼してくれ。 次は、各艦の訓練だが・・ 水雷戦隊を編成するので、軽巡を旗艦として訓練をやろう。 まずは、神通と名取の二人に指導教官をやってもらう。」

 

これには大石が聞いてきた。

 

「では、随伴艦は、どうなりますか。」

 

と。

 

「随伴は、駆逐艦を中心に割り当てる。 艦隊編成は、軽巡が2から3、駆逐艦が3から4の編成で、対抗戦をやらせよう。 駆逐艦は順次入れ替えて演習を行おう。」

 

「分かりました。」

 

「とりあえず、これだけでも手を付けよう。 それと・・・」

 

「それと?」

 

「大鷹がいたろ?」

 

「はい、います。」

 

「彼女には、対潜駆逐艦隊として対潜哨戒機を搭載してらう。」

 

「対潜駆逐艦隊・・ 対潜哨戒機、ですか?」

 

「ああ。 第二対潜駆逐艦隊の整備だよ。 そうだなぁ・・ 睦月型駆逐艦2隻と択捉型海防艦2隻の四隻と合わせて5隻だ。 それと、他の空母たちには装甲甲板化工事をしてもらう。 可能ならばカタパルトを装着してもらう。 それと、各艦の装備についても、改装できるところは改装しよう。」

 

「提督、それだと、相当の時間が掛かりますが? いいんですか?」

 

秦の整備計画に疑問を投げかける大石大佐だ。

無理もない。

一度にすべてをやろうという、感じだったから。

だが、それに秦が答える。

 

「むしろ、やらせる。 工廠やドックの要員達には苦労を掛けるけど、やらざるを得ない。 それが・・生き残るために必要な事だからね。」

 

「生き残る為に、ですか。」

 

そう答えたのは大石だった。

 

「そう。 これは、どこまで行っても戦争だ。 なら、どうやってでも生き残らなければならない。 もちろん、こちらの被害は無いに越したことは無いけどね。 なら、出来る事は、各艦の性能を強化する事しかないだろう。」

 

元々秦の考えは、出来るだけ艦の強化を行うことにあったので、その通りにやろうとしただけだった。

 

「了解しました。 それなら、私に異存はありません。 私も助力させて頂きます。」

 

「ああ、よろしく頼むよ。」

 

秦と大石は、改めて握手を交わすのだった。

 

「あらぁ。 これらをやるとなると大変じゃない。 いきなり疲れるわよ?」

 

「すまないな、五十鈴。 でも、やるんだ。 勝つために。 よろしく頼むよ。」

 

「そうだよ、五十鈴。 やらなくちゃ。」

 

「もう。 そう言われちゃあ、仕方がないじゃない。 私も協力するわ。 よろしくね、お二人さん。」

 

「あら、私も居ますよ? 忘れないでくださいな。」

 

「す、すみません! 忘れてたわけじゃないんですけど・・」

 

「フフフ。 いいのよ。 みんなで頑張りましょ。」

 

「はい!」「ああ。」

 

鳳翔の一言で、四人の意見が纏まった瞬間だった。

 

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