死神と法皇は夢を見た   作:ウボァー

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文字数増えない。荒木先生ばりの例えも思いつかない。
アニメ面白い……ハーメルンにジョジョ二次創作増えて嬉しい……。
……そのうちジョジョピタ時空で二次創作を書く人が出てきてもおかしくないのでは?(皆一緒のマンション)(ゲーム内で荒木荘再現は果たして何年かかる)(n巡目って便利)


静かな進展

「どこでそれを知ったのかは知らないが……まあいい」

 

 話を聞くよりも読む方が手っ取り早い。この辺りでは見たことがない緑の長ランを身に纏う男子高校生に天国への扉(ヘブンズ・ドアー)を叩き込む。

 顔に真っ直ぐにぱん、と切れ目が入る。男は意識を失いその場に倒れ、その衝撃からか本となった部分がパラパラと数ページめくれた。

 

「なっ……これはッ!!」

 

 一瞬。そう、ほんの数行目を通しただけの一瞬。たったそれだけで、今自分はとんでもない体験をしていると理解した。

 

「そんな、まさか、いや――」

 

 こいつ……いいや、この人は。あの空条承太郎と共にエジプトへと向かい、DIOのスタンド能力を暴き、そして命を散らせた――。

 

「間違いない! 『花京院典明』ッ! 死んだはずの彼だッ!」

 

 死人に天国への扉(ヘブンズ・ドアー)を使用したのはこれが初めてではない。杜王町に巣食う怪物、それを知る切っ掛けとなったある女性の幽霊に対して使ったのが最初だ。その時は彼女が生きていた時の記憶を読んだ。

 そして今、あの時と同じように、自分は彼の生前の体験の一部を見ている! 彼自身原理はさっぱり分かっていないようだが、こうして存在出来ているのは彼の夢のスタンドが関係しているらしい。

 

「体温がある、脈がある、呼吸している。思い込みとか幻覚なんてちゃっちいモノじゃあない。生きている!」

 

 僕への問いに嘘偽りはない。彼は本当に探しているだけだ。……道路の真ん中なんかで出会ってしまったのが悔やまれる。

 承太郎さんには天国への扉(ヘブンズ・ドアー)を使う機会も隙もないから、あの旅について僕は承太郎さんが語ってくれる事だけしか知らない。……花京院さんが良ければ、だが。後で同意の上、読ませてもらえないだろうか?

 腹を空かせた犬みたいに今ここでがっついたら、この先得られるかもしれない極上のネタを全て失う可能性がある。プッツン由花子じゃあるまいし。僕は我慢ができる大人だ。

 

「『今起こったことは全て忘れる』、と……」

 

 こんこんと湧き出る好奇心を押し留め、いつもやってきたようにそう書き込み、元どおりに閉じる。

 

「――あなたは夢のスタンドを使う彼を、知っているのだろう?」

 

 彼だけ時間を巻き戻して再生したような、天国への扉(ヘブンズ・ドアー)を使う直前と全く同じ言葉が紡がれる。

 

「ああ、知っている。そういう貴方はどうして彼を探しているのか説明してもらいたいのだが」

 

 天国への扉(ヘブンズ・ドアー)を使い体験を読んだとは言え、たった数十秒間。細かいところまでは把握しきれていない。

 大掃除を始めて数分後、掃除に関係ない漫画や雑誌なんかの余計な物に時間を奪われるのは誰だって経験があるだろう。もっと読み込もうとしたら僕もそうなるのは目に見えてる。

 花京院は返事を目を合わせたまま言うのは恥ずかしいのか、視線を少し下へずらす。

 

「……ただ、お礼を言いたくて。そういう貴方は彼と一体どんな関係で?」

 

「どんな、か……寄る辺がないから頼られている、ってのが適当か? それと僕の名前は岸辺露伴、漫画家だ」

 

「えっ、漫画家……!? 漫画家のスタンド使い!? ……そうか、あれからもう10年以上も経ってるんだ。僕が知らない漫画家がいて当然か」

 

「週刊少年ジャンプで『ピンクダークの少年』という作品を連載している。もし時間があるなら読んでほしいね」

 

「なっ! ジャンプで!?」

 

 憧れのスーパーヒーローと出会った少年のような高揚した声。花京院さんはどうやら漫画が好きなようだ。好感が持てる。

 

「……いえ、この話は後にしましょう。露伴さんには急ぐ理由があるようだ」

 

 花京院が呼び止める前、露伴はどこかに行った彼を自分の足で探していた。走るとまではいかないが、急いでいるのは見てわかる速度だった。

 

「彼のスタンドの制御が上手いこといかないのに対してある仮説が浮かんだんだ。暴発するかもしれない爆弾を止められるなら誰だって急ぐだろう」

 

 スタンドの制御。それは彼にとって他人事ではない。

 ホリィさんの場合はスタンドを制御するだけの闘争心が無いことが原因、解決するにはDIOを倒す必要があるとはっきり分かっていた。彼の場合も精神が関係しているのだろうか、と当たりをつける。

 

「成る程、そうだったんですか。なら! 法皇の緑(ハイエロファントグリーン)!」

 

 自身の半身を呼び出し、索敵の為に触脚を広げる。法皇の緑(ハイエロファントグリーン)が届く範囲なら、どこに何があるかは全て把握できる。

 

「これが……!」

 

「僕の法皇の緑(ハイエロファントグリーン)の射程距離は100メートルを超える。これでより広い範囲を捜索できます」

 

「有難い。彼がどの方面に行ったかの予想はついているんだが、どこまで行ったかまでは把握していなくてね。……貴方さえ良ければ、なんだが」

 

「ええ、ご一緒させてもらいます」

 

 土地勘がある人と共に行動すれば効率よく彼を探せる。恐らくこっちだ、と岸辺露伴が先を行き、それについて歩く。

 

「彼とは幼い頃、夢の中で『夢日記』を貰った繋がりがある。それが原因で彼のスタンドに紛れ込んでいたと思っていたが――」

 

 何故あそこにいたのか、彼のスタンドそのものも把握していなかった。彼が意図しないところで、僕はあのスタンド能力に巻き込まれてしまっていた。

 

「……制御、か。もしかしたら関係しているかもしれない」

 

 僕が死んでから何年も過ぎた。その間中ずっと僕は夢を彷徨っていた。……あの世界は終わりが見えないほど広かった。あのモノクロ姉妹には自我があるように見えた。

 普通のスタンドじゃない。恐ろしいほどのパワー。持続力。DIOの『世界(ザ・ワールド)』とは異なる強大な力。

 

 それだけのスタンドを内包している彼の精神とは一体――?

 

「そう言えば露伴さん、仮説とはいったい?」

 

 いつ爆発するかはわからない爆弾を安全に処理できるかもしれない。必ずではないが可能性は高いからこそ、彼は急いでいた。そんな仮説を知らないまま付いていくのは流石にリスクがある。

 

「スタンドの発したある言葉が妙に気になっていてね。……漫画家は常にネタを考えて生活している。些細な言葉一つを重要な伏線へ化けさせるなんてよくあることだ。一見適当で意味がなさそうなものほどその人物の本質を表すのさ」

 

 

 ――『現実も夢も、あなたにとっては同じ事』。

 

 

「何気ない言葉ほど核心を突く。本音が出る。彼のスタンドの発する言葉を鵜呑みにするのは危険が伴うだろうが、一考の価値はある」

 

 起きているときは当然、寝ている間も発動するスタンド能力。それはつまり、常に発動している能力と言い換えられるのではないだろうか。

 

「つまり、彼にとってスタンド能力は常に発動していて当然であり、そこから更に発動しようと強く思うと予定外の存在も溢れでてしまう。それを認識させて初めてスタートラインに立てる、と考えたんだが……」

 

 名探偵の推理を聞く助手のように耳を傾けていた花京院が、突然立ち止まる。

 

「見つけたか!」

 

「ええ! こっちです!」

 

 住宅地から離れた、朝のマラソンコースにピッタリな道路。側には休憩用に置かれたベンチがある。そこに彼は目を瞑って腰掛けていた。

 

「こんな所で呑気に居眠り、か。こっちがどんな思いで探してたと――」

 

 揺り起こそうと手を伸ばして――異変に気付く。

 

 何故か苦しそうな顔をしている。

 呼吸が荒い。

 吐く息が白い(・・・・・・)

 

 ……今の季節は秋で、まだ日が昇っている。そこまで身体が冷えるはずがない。

 

 

 

 力なく、ずるりと横に倒れる。

 

 倒れた衝撃で腕がひび割れる。

 

 ひび割れから赤が滲み、固まる。

 

 体表を氷が覆う。

 

 

 

 

「――――な」

 

「なにィィーーーーーーッ!!?」

 

 彼は現在進行形で、攻撃を受けていた(・・・・・・・・)




無敵に見える主人公のスタンドですが、遠距離攻撃や範囲攻撃が可能なスタンドには相性がかなり悪いです。……そんなスタンド誰だって相性悪いか。あと戦闘慣れしていないのも大きい。
以上を踏まえてパッと思いつく勝ち目が薄いスタンドはザ・グレイトフル・デッド、メタリカ、グリーン・デイ……あれ……? イタリアの戦闘力ヤバない……?

夢の世界での弱点の一つとして、『招いたスタンド使いが普通に能力を使える』所にあります。
夢の中で主人公を攻撃しているスタンド使いはいったい誰なんだ……?(すっとぼけ)

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