ミカ君ちゃんが何に変身するのか、予想できましたか?
それでは答え合わせです。
これまでヒントとして『紫色』そして『いのちだいじに』と言ってきました。
フフフ、誰だか分かりましたかね?
それでは、
21話 醒めない悪夢
どうぞ!
どうも、カミトです。
現在、紅魔の里に来ているのだが、そこで弟のミカと再開。
例によって特典を授かっていたのでそれを見せてもらうことに。
俺と同じ、変身するタイプの特典のようである。
禍々しい気配を感じて視線をやった先には……
「地縛神……」
視線の先に在ったのは、幼い頃に画面の中で猛威を奮っていた古の邪神、『地縛神』だった。
空はつい先ほどまで快晴だったというのにも関わらず見渡す限り黒雲が敷き詰められ、それなのに輪郭をくっきりと把握できるほど明るいのは、天に紫色に怪しい光を放ちつつ浮かび上がった絵のせいだろう。
絵は視界に入りきらないほどに巨大で、かくいう俺も、絵とは言うものの何の絵かは見て取ることができない。
更に言えば、前世で見ていなかったらそもそも絵とすら分からなかっただろう。
ふと、天を仰いでいた視線を少しだけ下げてみた。
「あ~……そうか、そうだよね。『いのちだいじに』なお前は変身するタイプの特典なんかより、もっとこう、鎧とか盾みたいな身を守るようなやつを選ぶと思ってたけど……
問題
相手プレイヤーに直接攻撃ができ、魔法・罠・モンスターカードの効果を受けず、自分ターン時に相手の魔法・罠・モンスターカードの効果の発動を無効にし、攻撃力がフィールド上で最も攻撃力の高いモンスターの攻撃力+100のモンスターがいたとします。
このターンでなんとかしなければ、自分は直接攻撃されて確実に負けてしまうという状況。
貴方ならどう切り抜けますか?
そもそもそんな状況にさせない、直接攻撃で削り切る、バーンループ、デッキ切れ、エクゾディアとかで特殊勝利、ワンターンキルゥ……などなど十人十色とまではいかなくても七色ぐらいには出てくるだろう。
俺?
俺だったら……そうだな、サイバーダーク・エッジで直接攻撃するかな。
恐らくではあるが、ミカだったらこう答えるだろう。
「そもそも
下げた視線の先には、いつぞやのデストロイヤーと肩を並べ得る巨体を有した
個人的に印象深い姿に、生前のトラウマと
生前、ミカも(俺が無理矢理引きずり込んだのが切っ掛けで)遊戯王を嗜んでいた。
いつでも手加減無しなタイプで、「ロマンデッキ?キャラデッキ?何それ美味しいの?」といった感じでガチデッキしか作らないような奴だった。
しかし弟よ。
大会ならともかく、兄弟同士とか身内だけとかのエンジョイデュエルで幾らなんでもさ……
「『地縛神ChacuChallhua』……」
『チャルアイーター』は無いだろう!?
モリンフェンデッキでどう勝てと!?
うっ!と、トラウマが……ッ!
「カミト!あのドデカい魚はなんですか!?あれが弟さんですか!?」
「あぁ、多分な。俺もにわかには信じられないけど」
「……お前がそれ言うか?」
ここまで長々と話していても、変身から名乗りまで律儀に待ってくれる敵怪人のように大人しい。
過去には名乗ってる途中で攻撃してくるトキメキラーさんもいたけど、最終的には仲間になったのでノーカンノーカン。
敵味方を判断するだけの理性やお約束を守る堪え性が存在している。
まぁ変身してほしいと言われて快諾していたからほぼ確信していたが、やっぱりというか暴走はしないらしい。
それが分かっただけでもだいぶ心強い。
「さてと。おーいミカー!」
大きく手を振りつつ、大声でミカを呼んでみる。
しかし、首?頭?を向けはすれど返事が返ってくることはなかった。
言葉は理解できるけど喋ることはできないようだ。
かくいう俺も、変身している状態で喋ることはできない。
今までの『 』は聴覚神経に弱い電気信号を送りこんで、さも声がしているように錯覚させているだけ、会話というよりは念話に近い。
この方法は電気が扱えることを前提としているので、経験の貧富に関わらず電気を扱う魔法でもない限りはミカにはできない。
と、急に視界が真っ白になった。
一瞬、何が起きたのか分からなかったが、どうやらミカが変身を解除したようだ。
元の明るさに慣れるべく目を何度もパチパチしている内に、真っ白だった世界が徐々に色付いてきた。
空は青く澄み渡っていて、不気味に浮かんでいた絵は既に虚空と化していた。
上を向いていると足音が近づいてきた、ミカだ。
「はぁ、はぁ……ふうぅ……はい、何ですか兄さん?」
「いや、そんなことよりお前大丈夫か!?」
「はぁ……もちろん、ですよ……仮にも……はぁ、冒険者ですよ?……ふぅ」
「また一人……要注意ね……早めに潰さなきゃ……ブツブツ」
そう思うなら、せめて途切れ途切れな文をくっ付けてから喋ってくれ。
息は絶え絶えで膝に手を当てて肩を上下させていながら言われてもまるで説得力がない。
具体例を挙げるとするなら、「行けたら行く」と同じくらいには。
そしてアクア、物騒な事を口走るのは止めてね。
というか、要注意ってどう言うこと?
また一人ってことは他にもいるってこと?
これはまた今度聞き出しておく必要がありそうだ。
そんな中、一人額の汗を拭っているミカを尻目に、カズマがゆっくり近づいてコソコソと耳打ちしてきた。
「……なぁカミト。アイツ、本当に男なんだろうな?」
「ん?あぁ、兄としてそれだけは約束する。ミカは男だ、一緒に風呂に入ってた俺が言うんだから間違いない」
「ならさ……」
そう前置きすると、カズマはふいっと視線を反らした。
視線の先には、地面に座り込んで何処からか取り出した飲み物でゴッキュゴッキュと喉を潤しているミカの姿があった。
む、あの容器、見覚えが……あっ!
あれは!?生前ミカが愛飲していた『お茶の渋み(地域限定特産茶葉使用)』!
香りと口当たりは最高に良いのに、ワンテンポ遅れてやってくる渋みと苦みが相応の覚悟が必要なほど強烈と悪名高い『お茶の渋み(地域限定特産茶葉使用)』ではないか!!
はい、どう考えても茶葉の使いすぎです、本当にありがとうございました。
「ならさ!何で!あんなに色っぽいんだよ!!」
カズマの力説(と顔芸)を受けて、改めてミカを見てみる。
茹で上がったように頬を紅潮させ、薄桃色の唇の狭間からは熱っぽい吐息を漏らし、きめ細やかな柔肌はうっすらと汗ばんで、動きやすそうな軽装の薄い布地は汗を吸って肌が透けている。
言われて初めて……否、訂正。
蓋をしていただけで、心の奥底ではとっくに気付いていたのだろう。
改めて言葉にされたことで初めて自覚しただけで。
十数年間、一つ屋根の下で寝食を共にしてきたが一度も考えたことなどなかった。
近すぎて視界に入らなかったということだろう。
灯台もと暗し……とは少し違うか。
ふつふつと胸の奥から沸き上がってくる言葉を、俺はありのままに吐き出した。
「いや、流石にないわー」
カズマに侮蔑の意を含めた視線を向ける。
今鏡は持ち合わせていないが、多分目付き以外は真顔だろう。
いくら女っぽい、色っぽいといっても限度がある。
男として植え付けられている俺からすれば、ミカはどこからどう見ても男だ。
それが弟ともなれば、殊更男にしか見えない。
女らしいとは言っても、それはあくまで
「完全に女に見える」というのはあり得ない話だ。
まぁ、カズマみたいな性的少数派の特殊な人であれば話は別だけど……少なくとも俺は男としてしか見れない。
そもそもとして、「弟を女性として見ろ」というのが無理な話なのだ。
「そんな事に共感を求めること自体が間違いだ。カスマとかクズマとか変態とか言われても俺には弁護できかねるぞ」
「えらい直球だなオイ!てか俺がおかしいの!?ねぇ、俺がおかしいの!?」
「…………。いや、男性を女性扱いするのは流石に失礼だぞ、カズマ!」
「今考えたよな!「自分もそう思ってたけど騎士として失礼だから」って思ったよな!!」
「そ、そんな訳あるか!第一、そんな事は騎士であるなし以前の問題だ!」
「カズマ、私は━━━」
「(^U^)つバチバチ」
「……ソーデスヨー、カミトヤダクネスノイッテルコトガタダシイデスヨー」
「あっテメッカミト!電気バチバチさせて脅迫とかきたねぇぞ!」
「ナンノコトヤラ……」
「コイツッ!!」
うん、平 等 な 多数決の結果、カズマはやはり少数派ということが確定した。
え、公職選挙法?公職というわけでもないし、異世界だから問題ないよネ!
もしあったとしても、そこはダクネスの権力でちょちょいとしてもらって……。
神の論理に
作者のイタズラが入り込んだが気にするな!
「大丈夫だカズマ、世界は広いんだ、いつかきっとそんなお前でも好きになってくれる人がいてくれないと良いね!」
「やったー……って、騙されるか!」
「ちっ……言質取っておいて何かと揺すろうと思ってたのに……騙されてはくれないか」
「当たり前だ!まったく、危うく別の世界線に引っ張られて素直に喜んじゃう所だったぜ……」
「ワガママだなあ、かずたくんは」
「誰がかずたくんだ!」
ふぅ、カズマを弄り倒したお陰で鬱憤が晴らせた気がする。
心なしか世界が綺麗だ。
「なに?お前は俺に恨みでもあるの?」
「……いいかカズマ!よく聞いておけ!!」
俺はカズマの肩に掴みかかり、食い気味に力説する。
これは俺が一方的に思ってるだけかもしれないが、カズマとは少なからず『YU-JYO』が築けていると俺は思っている。
今の弄りも、親しい間柄だからこそ成立していると。
だから、さ、身勝手かもしれないが、やっぱりお前はこのパーティーに必要なんだよ、カズマ。
俺、知ってるんだぞ?大雑把な制御しかできない俺の代わりに、裏で細かい所を片付けてくれてるの。
完全にオーバーキルな攻撃をブッ放つ俺やめぐみんの後処理をしてくれてるの。
数字上だけで見れば最弱凡骨クソ雑魚ナメクジ以下のゴミカスでも、功績の方に目を向ければ枚挙に暇がない。
それだけは俺が保証する、と。
「本当に大した奴だよ、お前は」
むしろ、最弱職である『冒険者』なのに、上級職ばかりのこのパーティーで不可欠な役割があるということ自体が異常……いや、偉業なのだ。
聞いた話しでは、『冒険者』がそれなりのパーティーにいても、基本的に荷物持ちか数合わせが精々で「居ないと困る」ことはまずあり得ないそうな。
『上級職パーティーで不可欠な役割を担う最弱職』、レッテルとしては充分すぎる。
もはや、何かの物語の主人公の様だ。
「……いやいやいや!いい話風に閉めてんじゃねぇよ!?最初はマトモな事言ってんのに後半ボロクソじゃねぇか!何だよ『最弱凡骨クソ雑魚ナメクジ以下』って!!」
「最後に『ゴミカス』も付いてただろう!!」
「そこじゃねぇよ!悪化してどうする!!」
「下げてから上げるのは話しの基本だろ?」
「下げすぎなんだよ!下がりすぎて上がりきらんわスカタン野郎!!」
そんな言い合いをしている内に、日はむこうの山に沈み始めてきた。
ミカはクエストでここに来ていたのを思い出し、再開を惜しみつつも一足先に里を発っていった。
光源の少ない、それも見知らぬ土地でさ迷うことは避けたい。
今夜の寝場所も考えておかないとな。
ここは地元民に聞くのが一番手っ取り早いだろう。
「ゆんゆん、ここに宿屋は━━━って、ゆんゆん?」
「私なんて……まともな戦闘シーンがない私なんて……ブツブツ」
「おーい、帰ってこーい」
「……ハッ!は、はい!呼びました!?」
「うん、この里に宿屋はあるか聞こうと思ったんだけど……どったの?」
「い、いやー……何でも無いですよー……ハハハ。そうですねー……宿屋……」
「その前に私の実家に寄ってもいいですか?折角なので、顔を見にいくついでにパーティーを紹介しておこうかと」
「うーん……まぁ大丈夫だろう、ちょっと寄っていくか。なんならめぐみんとゆんゆんは実家で寝るか?」
「元よりそのつもりです。というか、全員ゆんゆんの実家に止めてもらえばいいじゃありませんか」
俺も最初訪ねた時はそう考えてたけど、少し難しい。
というのも、問題はゆんゆんのお父さんにある。
「大丈夫なの?あのおじさん、カミトの顔を見た途端に上級魔法乱射してたわよね?」
「その後すぐに魔力切れでぶっ倒れてたけどな」
屋内がちょっとした地獄絵図になってたな。
この場合は修羅場か?
天井は凍りついているのに床では火が燃え盛っているし、小型の台風みたいな暴風雨(砂利つき)ときどき雷が巻き起こるし、最終的には炸裂魔法を詠唱しようとする始末。
魔力切れ起こしてなかったら、あの家ふっ飛んでたぞ。
「お前らはともかく、次に俺の顔見たら間違いなくまるごとふっ飛ばすぞ、あの人」
「すみません……ウチの父が本当にすみません」
「でも、カミトって木の上でも寝れるんでしたよね?」
「あー、あったなそんな設て……」
「アルカンレティアの時は馬車の上で寝てた、し……な……」
「あっ……。ねぇ、めぐみん、まさかとは思うけど……」
おいおい、まさか……ね。
からかい上手なめぐみんのことだ、これも何かの冗談だろ、冗談なんだろう?
その眩しい笑顔はからかうのが面白いからだよね?
その紅く輝いてるカッコいいお目々も楽しいから光ってるんだよね?
決して、「憂さ晴らしできるから」みたいな理由じゃないよね?
ひょっとして、今までの特製電気マッサージが不満だったのか?
そうだとしたら謝るから、もっと上手くなるから。
だから……な、頼むよ。
めぐみんだって本当は仲間思いの優しい子だって、俺信じてる。
「あ な た は 外 で 寝 て く だ さ い 」
嘘だと言ってよめぐみん。
選ばれたのは「シャチ」でした。
能力解説的な何か
『地縛神ChacuChallhua』
攻撃と防御の2モードを搭載したお魚。
攻撃モードでは、ダメージが体の芯に直接届く攻撃ができる。
防御モードでは、相手の攻撃の一切を封じつつ徐々に命を削っていく。
共通効果として、相手からの攻撃を霧のようにすり抜けることができる、ただし無効化する訳ではないので仲間に流れていく可能性あり。
設定としてはこんな感じでしょうか。
何事も、設定を考えるのが一番面白いと思う今日この頃。
そして結局、設定だけのお蔵入りするまでがいつものスタイル。
次回 ガーディアンの力
デュエルスタンバイ!