遊霧 粋蓮様より 『魔導ナル剣士ノ物語』
※注意!
この話は『魔導ナル剣士ノ物語』とのコラボ回です。
読んでイメージが崩れる恐れがありますのでご了承下さい。
幕間 其ノ剣ハ、神ニスラ届キウル ~前編~
どうも、カミトです。
現在、アクアとデート……という名の買い出しに、商店街にいます。
いや訂正、商店街にいた。
「少し休むか」
商店街を抜けて、少し裏に入った道。
荷物を置いてベンチに腰を掛ける。
同時に、ふぅとため息を吐き出す。
結果的に言えば、大漁であった。
お店の今後が心配になるレベルで。
肉、魚、野菜のほか、果物、キノコ、調味料、お惣菜、スッポン、マムシ……などなど。
お裾分けしても消費しきれるかどうか……中には、お裾分けしずらいブツもあるし……。
スッポンとかマムシとか、明らかに確信犯だろ。
「はぁ、楽しいには楽しいけど、デート的な楽しさじゃないよな。デートってもっとこう、服とかアクセサリーとか買ったりするような……」
「そう?私は楽しいわよ。みんなが私を崇めてくれて」
既婚の奥様方から『あらあら、女神様の祝福があるといいわね~』という話をかれこれ91回は聞いた。
ちなみに、会った人数は7人。
一人あたり平均21回聞いた計算になる。
というかアクア、多分それは崇めてるんじゃなくて祝ってるんだと思うぞ。
あなた祝福する側でしょ、女神なんだから。
「カミトとアクアじゃないか。その荷物は……あー…」
「ダクネスか。まぁ、多分お察しの通りだよ」
苦笑いで俺の足元を見る。
ダクネスは大量の荷物を見て察した様子だ。
ホントにどうしようか、特にマムシとスッポン。
「断ったんだけどなぁ……押し負けて、つい」
「それだけ慕われているということだ。胸をはっていればいい」
「だからこそ余計に断りづらいんだ。はぁ……」
再びため息を吐いて、頭を垂れる。
申し訳ない、そう思うほかにない。
万が一、彼らが破産すると俺が原因になるわけで……。
『サービスのしすぎで破産した』なんて目も当てられない。
「彼らも商いを営んでいる身だ。その辺りは弁えているだろう」
「……この肉、300エリス」
肉屋で買った肉を見せる。
誰が見ても高そうな、程よく霜の乗った肉だ。
ラードもしっかり処理してあり、おおよそ気軽に手は出せない代物だ。
「どうせ、100gあたり300エリスというオチだろう?」
多分、そのぐらいはするだろう。
現代風に言って『A5ランク』にすら相当する程だ。
だれだってそー思う、俺だってそー思う。
しかし、事実は小説より奇であった。
「問題ででん!『1kgあたり150エリスの肉を2kg買いました。さて、お代はいくらでしょう?』参加者のアクアさん、お答え下さい」
「えーっと……わかった!300エリスね!」
「大正解!つまりはそういうことだよ。はぁ……」
「……お前も大変だな」
わかって頂けてなにより。
基本面倒を起こす側なのにそれを解決して感謝されるって、これなんてマッチポンプ?
貰える物は貰っておくにも限度があるだろうに。
……考えれば考えるほど、俺の詐欺師疑惑が確信に近づいていく。
今度は冤罪でも何でもないので、訴えられたら確実に敗訴する。
ふと、あちらから男女二人が歩いてきた。
歳は同じくらいかな?
キョロキョロしているので観光客かとも思ったが、こんな裏道に入ってくるあたり捜し物か何かだろうか?
あ、目があった。
すると、男のほうが近づいてきて話かけてきた。
「あんたら、この街の人か?」
「ああ。そっちは捜し物かなにか?」
「人を捜しているんだ。けど俺たち、この街に来たのは初めてで、おまけに文字も分からないんだ。よければ手を貸してくれないか?」
人捜しかぁ……。
俺であれば、この街の知人もそれなり多いし、屋外に限るが上から捜すこともできる。
見つけられるかはともかく、しらみ潰しにくらいにはなるだろう。
「俺は大丈夫だが……どうする?」
「私は手を貸そう。人手が多いにこしたことはない」
「わ、私は……」
アクアは答えあぐねている。
当然だ。
デートの途中で人捜しなんて、水を差すことに他ならない。
分かる、すごく分かる。
どんな答えであれ、俺はアクアを尊重しよう。
無論、呼び掛けぐらいはするけど。
「……や、やる!やったろうじゃない!」
「俺が言うのも何だが、いいのか?」
気合いの入った返事に面食らう。
思わず聞き返してしまった。
……ぶっちゃけ、アクアはごねて嫌がると思ってた。
そして慰めてる内に寝る未来まで予想していた。
女神様らしく迷える子羊には手を差しのべるんだなぁ、と惚れ直した。
と、当の女神様は不適に笑みを浮かべて手招きしている。
「アクア、ホントにいいのか?」
「これは私の女神様っぷりで信者を増やす一攫千金チャンスよ。やったねカミト、信者が増えるよ」
「やめなさい」
しかし、理由はともかくそのいきやよし!
曲がりなりにも、人助けはいいことだ。
「その人の見た目の特徴とかは?」
「……そういえば聞いてないな」
……。
「じゃあ、その人の名前は?」
「……わからない」
……。
……。
「ご住所は?」
「……」フイッ
……。
……。
……。
「森で木葉見つけさせるとかクライアントだ!?」
「クライアント?」
ダクネスが不思議そうに首を傾げる。
彼らが個人的に探していると思ってるらしい。
特徴を
これらからして、クライアントがいるはずだ。
以上をダクネスとアクアに懇切丁寧説明する。
「ふむ……しかし、何故話さないのだ?秘匿するにしても、これでは捜しようもないではないか」
「さてね。なにせクライアントっつっても、相手が天の声じゃなぁ……」
も少し教えたれよ天の声。
無茶ブリにも限度があるだろ。
現に、ここのブラック企業所属の派遣社員共が困ってるんだが。
お導きどころか迷宮入りだわこんなん。
「よくもまぁ天の声だけで、知らない場所で知らない人捜しなんてわざわざやろうと思ったな。めぼしい理由でもあった?」
「理由というか……『毎朝必ず
腓返りって、またやることがショボい。
ウチの女神様もこないだ似たようなこと言ってたな。
カズマの時にはポテチ食ってたとも聞く。
三幻神(本体)も、あの娘たちに『主様』呼びをさせたりしてたような……こっちは後で止めさせたけども。
天界には
「「私(エリス様)は暇じゃない!!」」
心のボケへの的確なツッコミご苦労様です。
千年眼でもあるの?
手札見えちゃうの?
ま、それはともかくとして、だ。
「じゃあむしろ、その天の声から何のお告げを授かったのさ?」
「それがなぁ……この街に、
「……あーうん、確かにな……うん……」
ソーダネ。
イルワケナイヨネ。
ソンザイシナイヨネ。
メルヘンジャアナインデスカラネ。
……。
……。
……。
うわぁー……言いづらい。
どうしよう。
その人、絶対俺だよ。
心当たり有りすぎて申し訳ない。
一思いに『ごめんなさい、それは自分です』と言えたらどれだけ楽だろうか。
俺の後ろメーター(後ろめたい度合いを表すメーター)がぐんぐん上昇中だ。
話は変わるが、視界の端でアクアが顎に手をやってうんうんと熟考している。
あ、閃いたっぽい。
キュピーン!という効果音の付いた電球が見えるよう。
「ねぇ、その『神を従える人間』ってカミトじゃない?」
「カミト……って」
男がこちらへ振り向く。
先ほどとは一変して、突き刺すような鋭い視線で俺を見据える。
「そこのあんたか?」
あらまやっぱり気付かれた。
黙っていたの、不味かったかなぁ……。
これって証拠隠匿に当てはまるのかな?
黙秘権は適用されます?
「まぁ……恐らくそうだな。心当たりはある」
反論も沢山だが。
ばつが悪くなって目を反らす。
すると、男は腰を低くして腰元の刀を抜き放つ。
漆黒の刀身に一輪の桜が彫ってある美しい業物だ。
……ん? あれ? 刀? この世界で?
しかも、よく見ると服装も少し現代風だ。
仮に転生者だとしても、文字が分からないのは不自然だ。
日本人が集う集落かなにかがあるとも考えにくい。
いったい、何者だろうか?
あるいは……
と、1つの仮説が過る。
(……だろうな)
(でもでも、どうやって?あの人、フツーの人間だよね?)
(……少なくとも、
目的は戦いで間違いないだろう。
この際、天の声もなにも関係はない。
戦って、その後に色々聞けばいいか。
創世の剣を抜き、俺も構える。
あちらは構え方からして、一目で剣術を修めていると分かる。
それほどに洗練された構え方だ。
対して俺の構えは、右足を前に出して剣を右胸の前で構える、レイピアでよく見るような構え方。
死にたくも死なせたくもないので、速攻重視の構えをとる。
「……俺は
「
「神と呼ばれる聖職者、ねぇ……」
「ははは、それを言われると耳が痛い」
それから数秒がたった。
だれが言うでもなく、視線を合図に睨み合う。
そして体を前傾姿勢にして踏み込み「「待て待て待て待て待て!!」」
「「……?」」
外野からタイムがかかった。
ダクネスと男と一緒にいた女性が慌てて制止に入る。
「二人とも場所を考えろ!!」
「こんな裏道じゃなくて、もっと広い場所でやって!! 被害出るから!」
「「ごもっともです……」」
返す言葉もない、全くの正論だ。
ぐうの音も出ないとはこの事か。
「じゃあどこでやる?外の草原とか?」
「そうだな……2秒間、目を瞑ってくれるか」
「……?まぁ、わかった」
とりあえず、指示に従って目を瞑る。
相手のホームグラウンドかも、とも思ったが、仮になにかあってもその時はその時だ。
どうにかなるなる!
「無窮へと誘おう」
…………
……
…
「もういいぞ」
「はぇー……」
視界に広がるのは、未使用のキャンバスだった。
御影石のような感触の、しかし真っ白な床。
日も月も星もない、だが明るい宙。
文字通り、なにも無い……いや、なにも
「ここら一帯
「ご明察。ここは次元の狭間、無窮の大地だ。故に変化も時間の流れもない。あっちで時間が経ってても1~2分の誤差くらいだろうな」
「なんてご都合主義な……」
ここまで
ともあれ、ここなら周囲の被害を考えずに戦える。
普段なら出来ない、周りの地形に被害を及ぼす程の広範囲雷撃もブッパなせる。
温度調整のきかなくなる自爆&自己蘇生の不死鳥戦法も使えるのだ!
「ルールはどうする?終わりぐらいは決めといたほうがいいんじゃないか?」
「そうだな……どっちかが気絶するまで、でどうだ?」
「了解。他は……まぁいっか」
「ふぅ……」
「……………」
互いに構え、睨み合う。
阿吽の後、蓮が踏み出した。
ヤベッ!
予想より速い!
間に合うか……!
「はあ!」
「あぐっ……!重っ、たいな……」
疾風迅雷の一撃、そういう他にない。
防御には成功したが、咄嗟だったので力が入りづらいったらありゃしない。
鍔競り合いに持ち込むも体勢が悪く、圧されるばかりだ。
こちらも負けじと身体強化をかけ、徐々に圧し返していき、拮抗する。
「っ……!」
「ぐぬぬ…………はあああああ!!」
「このっ……おらぁ!」
手元ばかり気にしていたところに蹴りを食らった。
足を引いていない分軽くはあるものの、前のめりになったところに入ったので深く刺さる。
腹部をおさえ、よろけたことで更なる追撃を許してしまう。
刀だけではない、身体全て使う息つく間もない猛攻の雨あられ。
それでいて立ち回りも上手く、時折反撃を仕掛けるも防御ないし回避されてしまう。
一朝一夕で長年の努力を上回るほどの才能は、俺には無いらしい。
「ええい、ファイアー!(ただの火炎放射)」
「うおっ!魔法もできたのか……」
「魔法……んーまぁ、そんなとこ」
原理は違っても、やってることは魔法とたいして変わらないし、勘違いしてるなら魔法ってことでいいや。
別名、口から火を吐く宴会芸ともいう。
「ボオオオオオオケホッゲホゲッホゲフッ!!むせた……」
「……隙あり!」
「ゲッフゥ!」
またもや腹に蹴りをくらう。
今度は、さきほどより重く深い一撃だったため、意識がとびかけた。
(死なせたらマズイと思って出し惜しんでたけど、この強さ……死にはしないな。じゃあそろそろ……)
『天空竜化』
何もない世界に突如、雷雲が立ち込める。
天空より轟く雷鳴と咆哮。
冥界を思わせる暗雲の中、迸る一条の赤い竜。
古代エジプトの民は、この竜を神と崇め、こう呼んだ。
『オシリスの天空竜』と。
『さぁ、第2ラウンドだ』
皆様、お待たせ致しました!
コラボ回 前編でございます。
カミト〈おい、今回も投稿が大幅に遅れたな。コラボ回なのに。コ ラ ボ 回 なのに!!
作者〈申し訳ございませんんんんん!!新作案が大量に思い付いたり、ソシャゲの年末年始イベントやったり、課題やったり、リンクスでオベリスクでたりで……。
カミト〈皆さん、こいつは1ヶ月以上前から書き始めてるのに書き直しやら新作やらで結局二分割とか……粋蓮さんと読者さんに訪問土下座して詫びろ!
作者〈ヤメテ!!顔も住所も知らない人に訪問されて、あまつさえ土下座されても迷惑でしかないから!!
……というわけで、後編に続きます。
一応、匿名で他の作品も執筆してはいるので気づいたらコメントで言っても大丈夫です。(違っても自己責任でお願いします。)
遅れたことについては、本当に申し訳ございません。
再発防止に努めたい……。