ガールズ&フレームアームズ   作:ロボ太君G。

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もう一作の更新もままならない中で何を、と思われるかもしれません。
正直に言って作者もプロットとこの話を書いた後に思いました。



次話の更新はどうなるか分かりません。


Ep.1:始動-Start-

 まだ、朝の早い時間。

 

  チュンチュン

 

 小鳥のさえずりさえも聞こうと思えばそれなりに明瞭に聞ける、そんな時間。

 

  ピピピピッ ピピピピッ

 

 聊かやかましいと思えるほどのアラームが鳴りながら、部屋の主を電子音で叩き起こす。

 

「……わわわっ!」

 

 寝る時は一緒だったのか抱きかかえていたのかは当人ばかりしか知り得ないが、傍らに包帯だらけのクマのぬいぐるみを侍らせた、部屋の主になったばかりでもある茶色がかった髪をショートカットに揃えた少女が飛び起きる。

 そのまま僅かばかり前のめりになりつつアラームをやや乱雑に止めると、慌ててパジャマの上を脱ぎつつ――

 

「……そっか」

 

――『それまで』のいつもは『それだけ』クローゼットの外に出していた物を探すが、すぐに視線を彷徨わせ、無いことを認識する。

 

「もう、(うち)じゃないんだ!」

 

 部屋の主である少女は、心底楽しそうに笑う。

 だが、それも束の間の事。部屋の中に立ててある三枚だけ立ててある写真を見るまでだった。

 

「……お姉ちゃん、エリカちゃん、小梅さん、エミちゃん。

 ごめんね」

 

 罪悪感に満ちた顔になるが、それもやはり束の間の事。すぐに笑顔へと戻っていく。その笑顔の中に、ひっそりと、陰りを秘めながら――。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 特に何かを意識していたわけでも無く、少女は歩みを進めていく。

 

「あ、ファ〇マだ」

 

 後でチェックしよう、とこの時少女は決意したという。

 

「焼き立てのパンの匂い~……♪」

 

 自らが今日から通う学校への歩みを進める最中、ふと香ってきた焼き立ての香りに鼻孔をくすぐられる。

 

(まるで、『普通の女子高生』のようだよ♪)

 

 軽い心のまま、足取りもつられて軽く進んでいく。

 だが、聊か軽くし過ぎたのだろう。

 

  ガンッ!

 

「うげっ!」

 

 短い悲鳴を紡ぎ、少女が電柱に激突した。焼き立ての香りにつられての前方不注意が原因だった。

 

「ったたた……」

 

 そのまま頭を押さえつつ、再び歩き出そうとしたその時だった。

 

「ヘイか~のじょ♪」

 

 不意に後ろから聞こえた、明るい声に軽い口調。

 声のした方を慌てて振り向くと、明るめの茶髪のロングヘアーに女の子らしい凹凸の大きめな体つきをの女の子と、黒髪のロングに年不相応に大人びた雰囲気の、同じ学校の制服を着た二人組が立っていた。

 

「えっと……私?」

「そうそう!

 西住さん、で合ってるよね?」

「あ……うん」

 

 話しかけてきた少女の勢いに押されていたが、それもしばしの間の事。

 

「あ、でね!

 私は……」

「武部、沙織さん」

 

 それまで勢いよく話しかけていた少女が、初めて驚いた顔を見せた。

 

「覚えててくれたんだ!」

「うん。

 確か、誕生日は6月22日、だったよね」

「すっごい、そこまで覚えてたんだ」

 

 感心したように、話しかけた少女、武部沙織が漏らした。

 

「うん。

 昔からの癖みたいなので、覚えるのは得意だし……それに……」

「それに?」

 

 不思議そうな表情で瞳を覗き込んでくる武部沙織に、話しかけられた少女―西住みほ―は答えた。

 

「……その……いつ、友達ができてもいいようにって……」

 

 消え入りそうな声で呟かれた言葉に、沙織は一瞬だけポカンとするとニンマリとした笑顔を浮かべた。

 

「そっかそっか! それじゃ、今からお友達になっちゃおう!」

「すいませんが、私もよろしいでしょうか?」

 

 話が一段落ついてきたあたりで、黒髪の少女が話しかけた。

 

「あっと……五十鈴、華さん」

「私の事もご存知でしたか」

「うん。

 確か……12月16日が誕生日、だったよね」

「はい♪」

 

 短く、だが明瞭に返事をした五十鈴華に、みほもつられて笑顔になる。

 

「じゃ、もうそろそろ学校に行こっか」

「そうですね。遅れてしまってはいけませんし。

 西住さんも」

「は、はい!」

 

 みほも慌てて歩き出そうとして前のめりになりながらも、なんとか体勢を整えて歩き出した。

 

(今日はいい日になりそう♪)

 

 みほが浮かれるそんな中、不意に聞こえてきた異音があった。

 

  ガショオオォォン……

 

「ん?」

「何?」

「何でしょうか?」

 

 釣られて三人が音源を見れば、そこには果たして聊か以上に奇妙な機械が『立って』いた。

 

「ああ、FAですか」

「最近は工場現場とかでも見るよね」

 

 そう、フレームアームズ。

 嘗ての『月面戦争』がすでに教科書の中の出来になって久しく、今は既に産業用機械としても軍事用機械としても広く普及している『基本は』人型の機械。

 

「……珍しい」

 

 それを見て、他の二人と全く違う感想を漏らしたのはみほだった。

 

「何がどう違うのですか?」

「ああ、それ聞きたい聞きたい!」

 

 其の一言に、興味を引かれたのは華と沙織の二人。

 

「あ、えっと……。

 まず、胸部の装甲が『漸雷』系のものなんだけど……頭は『轟雷』の物だし、それに腕も右肩だけ多分『轟雷』で、左肩は『榴雷』、両腕が『漸雷』、足も右足が『轟雷』だと思うけど……太腿部分はフレーム剥き出しで、膝部分の装甲もないね。それに、左足に至っては『榴雷』ほぼそのままだけど、前にあるはずの安定板が無くて後ろの方が『轟雷』のクローラになってる。

 一応、部品そのものは全部『轟雷』の系譜になっているからそこまで不安定ではないけれど……ここまで色々と混ぜてるのは、中々見ないから……」

 

 みほの解説に、感心しきりで聞いていた二人。対してみほはここまで言ったところで、「しまった」と思ってしまった。

 だが、幸か不幸か、それ以上に話が続くことはなかった。

 

「って、いっけない!

 もう時間無いよ!」

「そうですね。急ぎましょう

「わ、わわわっ!」

 

 携帯で時間を確認した沙織が発した一言に、雰囲気が一気に慌ただしくなる。

 この後は三人とも、急ぎ足で学校へと向かうことになった。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「それじゃ、鯖の味噌煮定食を……」

「私は納豆定食で♪」

「それでは……私は、このラーメンライス定食トマトサラダ付きを野菜マシライス大盛りでお願いします」

 

 ラーメンの上にうず高く積まれた野菜と、茶碗の上で白い山を作っているご飯を嬉しそうに見ていたのは五十鈴華、それを見ながら驚いた顔になったのは西住みほ、もはや見慣れた光景とばかりにマイペースに昼食のお盆をとって準備していくのは武部沙織。

 

「か……かなり食べるんだね」

「そうでしょうか?」

「華のこれは今に始まったことじゃないから気にしない方がいいよ、西住さん」

 

 午前中の授業も終わり、時間は昼食時。

 朝に知り合った三人は連れ添って食堂へと来ていた。そのまま一塊でお盆を持ったまま、空いている手近な席へとそれぞれの昼食が乗ったお盆を持ちながら座っていく。

 なおこの時、みほのことを若干熱っぽい目で見つめていた茶髪の癖毛が特徴的な少女がいた事を、三人は知らない。

 

「エヘヘ、ナンパしちゃったな♪」

「ナンパ?」

「朝、西住さんに話しかけた時の事ですね」

 

 果たしてその言い方は正しいのかどうか、とはこの時のみほが思った疑問だった。だが、それを言い出す前に華が続く話題を切り出していく。

 

「でも、私達、以前から西住さんとお話をしてみたいとは思っていたんですよ?」

「そうそう!

 西住さん、なんかいつもアワアワしてて見てて楽しいし」

「アハハ……」

 

 我ながらどんくさいことは重々承知の上のつもりだったが、それでもここまではっきりと言われれば苦笑いも出てくる。だが、今朝の電柱激突を始め様々な場面での自覚があるみほとしてはそこまで強くは言えなかった。

 

「ねね、西住さんの事さ、名前で読んでもいいかな?」

「名前?」

「はい。みほ、と。

 私たちの事も名前でよろしいので」

「もっちろん、私も沙織でいいよ♪」

 

 予め言い出すつもりだったのかはたまたこの二人が気心の知れている仲だからか、二人はとても息が合っていた。

 言われたみほはと言えば、一瞬だけポカンとした後――

 

「すっごーい!」

 

――歓声を上げた。思わずビクッとした二人に気づかないくらい、其れは凄い喜びようだった。

 

「名前で呼び合うなんて、女子高生みたい!」

「いやいや、みたいって……」

「みほさんも、現役の女子高生でしょう」

 

 二人が思っていた以上に大袈裟な反応だったが、ひとまず嫌がってはいないらしい。胸をなでおろす二人に、ますます上機嫌で話すみほだった。

 

「そう言えばさ!」

 

 そんな他愛も無い雑談を繰り返していた中、不意に強めの語調で聞いてきたのは沙織だった。

 

「西住さんってさ、FA詳しいの?」

「あっ……うん、まあ……」

「わぁ……もしかして西住さん、お乗りになっていたのですか?」

「ひ、人並みには……」

 

 興味津々といった様子の二人に、みほはタジタジだった。

 だが、一向に踏み込んだ事は話そうとしない。そんな様子を察したのか、話題を変えたのは沙織だった。

 

 

 其の後も、和気藹々と話は進んでいった。ただ一つの話題を、置き去りにして――。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「ね、みほは選択科目どうするの?」

「選択科目?」

「はい。もうそろそろ、選ぶ時期ですから」

 

 昼食を終えた後も、三人は連れ添って行動していた。そのまま自分たちの教室に入り――

 

「お前が西住か?」

「あ……はい」

 

――唐突に、見慣れない女生徒に声をかけられた。みほは自分の教室の生徒の事はすべて覚えているが、その記憶の中から出てこない。つまり、この女生徒は自分達のクラスではないということである。

 いきなり目の前に立った、片眼鏡を付けた短い黒髪の女生徒がに押されながらもみほは答えた。

 

「西住ちゃん。選択科目なんだけどさ、FA道取ってね」

 

 大洗女子学園生徒会長を名乗り、片眼鏡の女性の後ろから出てきた小柄な体躯に赤に近い茶色のツインテールの少女、角谷杏の一言を聞いた時、みほは目の前が真っ暗になったような、そんな感覚を覚えていた。

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